音楽大学生における音楽家のジストニアの実態調査

By , 2015年4月1日 6:10 AM

ロベルト・シューマンがピアニストの道を諦め、作曲家になったのは「音楽家のジストニア」のためだったと言われています。現代だと、レオン・フライシャー が有名ですね。

海外のデータでは、音楽家の数% (約 1~5%) が罹患し、その半数が演奏家の道を諦めるといわれています。早期の治療開始が重要なのですが、この疾患が比較的良く知られているヨーロッパですら、音楽家のジストニアを正しく診断できたのは整形外科医 7.2%, 神経内科医 70.2%, 一般医 3.2%だったという報告があります。患者側、医療関係者側双方に啓蒙活動が必要ですね。ちなみに、現在ではリハビリを中心とした治療法が発達しつつあり、以前と比べるとかなり予後が改善してきているようです。

さて、今回臨床神経学 55巻 4号に掲載された論文。日本でも音楽家におけるジストニアの有病率は海外とほぼ同じということが明らかにされました。ヨーロッパと比べて「音楽家のジストニア」の知名度が低い日本で、こういう情報を発信していくことは、とても重要なことだと思います。

音楽大学生における音楽家のジストニアの実態調査

(概要) 日本での音楽家のジストニアについての調査。音大生 580名にアンケート用紙を送り、有効回答率 97.9%であった。本調査では「音楽家のジストニア」との疾患を認識している学生は対象者の 29%であった.また 1.25%の学生にジストニアの経験があることが示された.

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初出勤

By , 2015年4月1日 5:56 AM

2015年3月23日にピアノを搬出し、3月27日に練馬区豊玉北の自宅を退去。福島県に移住し、3月30日に転入届を提出しました。新居の片付けは半分くらい終わりました。

今回の引越しで、電化製品をほぼ全て買い替えました。例えば、1995年から使っていた冷蔵庫を廃棄し、1997年から使っていた洗濯機を買い替えました。1997年から使用していた掃除機がありましたが、こちらも廃棄。この掃除機は、購入以来一度も中のゴミを捨てたことがありませんでした。これまで吸ってきたゴミたちはどこにいってしまったのでしょうか?一度ゴキブリを吸い込んだこともあったのですが、その行方も不明・・・。掃除機については、友人から近いうちにルンバを頂くことになっています。

今日は初出勤。心機一転です。

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ACP(米国内科学会)日本支部 年次総会2015

By , 2015年3月25日 8:42 AM

毎年参加している、米国内科学会日本支部年次総会まで後 2ヶ月となり、事前登録しました。

ACP (米国内科学会) 日本支部 年次総会 2015

A Paradigm Shift in Internal Medicine:From Diagnosis / Treatment to Prevention

内科のパラダイムシフト – 診断・治療から予防

今年は下記の講演を申し込みました。製薬会社がスポンサーについていない会ため多少費用はかかりますが、学問的な話が利害関係で歪められるリスクが少なく、好感が持てます。

講師の中に数名知り合いがおり、一緒に飲む約束をしていて、そちらも楽しみです。

非常に勉強になる会なので、興味のある方は、是非登録を。

<セッション等事前登録>
5月30日
10:00–11:30 1-1-1 第1会場 明日から外来・ 病棟で実践できる エビデンスに基づく 成人の予防医療(八重樫 牧人)  (2,000円)
11:45–12:45 1-4-2LS 第4会場 (昼食付) Antimicrobial stewardshipと感染症診療(細川 直登)  (3,000円)
13:00–14:30 1-1-3 第1会場 最新論文30選2015年度版:忙しいあなたのために(平岡 栄治)  (2,000円)
19:00–20:30 レセプション  (7,000円)
5月31日
10:00–11:30 2-2-1 第2会場 ACP臨床研究WSシリーズ 3「論文執筆に活かせるFIRM2NESSチェック」(福原 俊一・栗田 宜明)  (2,000円)
12:15–13:15 2-6-2LS (昼食付) 第6会場 がんの予防・検診のエビデンスはどれだけあるのでしょうか?(勝俣 範之)  (3,000円)
13:30–15:00 2-3-3 第3会場 Medical eponyms for clinician(清田 雅智)  (2,000円)

ちなみに、私が 2013年、2014年に参加したときに聴いた講演の内容は下記になります。

ACP日本支部年次総会 2013

ACP(米国内科学会)日本支部 年次総会2014

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頭内爆発音症候群 (exploding head syndrome)

By , 2015年3月23日 5:47 PM

仕事の合間に、図書館で国内の医学雑誌をパラパラ眺めていたら、2010年1月号の Brain Nerve誌に、面白い症例報告が載っていました。その名も、「頭内爆発音症候群」。「夜間、うとうとしている際に頭の中で急激な爆発音を感じるもしくは頭蓋内で爆発が起こった感覚を持つという病態」なのだそうです。非常に稀らしく、病因は不明であるものの片頭痛との関連が示唆されているそうです。世の中には、まだまだ知らない病気がたくさんあるんだなぁ・・・と思った次第でした。

以下、診断基準を引用。

Diagnostic criteria of exploding head syndrome ICSD, 2nd edition (AASM)

A. The patient complains of a sudden loud noise or sense of explosion in the head either at wake-sleep transition or upon waking during the night.

B. The experience is not associated with significant pain complaints.

C. The patient rouses immediately after the event, usually with a sense of fright.

Note: In a minority of cases, a flash light or myoclonic-jerk may accompany the event.

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アスピリン、NSAIDsと結腸直腸癌リスク

By , 2015年3月22日 12:48 AM

以前、アスピリンの癌予防効果について書きました。2015年3月17日の JAMAに、そのテーマで遺伝学的なアプローチをした論文が掲載されました。遺伝子多型により、癌予防の恩恵を強く受ける人と、恩恵があまりない人、逆にリスクが増加してしまう人がいるようです。

Association of Aspirin and NSAID Use With Risk of Colorectal Cancer According to Genetic Variants

アスピリンや NSAIDsの常用は、常用しない場合と比較して、結腸直腸癌のリスク低下に関連していた (有病率 28% vs 38%, オッズ比 0.69)。

rs2965667 TT genotypeを持つ人びとでは、アスピリンや NSAIDsにより結腸直腸癌のリスク低下がみられた (有病率 28% vs 38%, オッズ比 0.66) が、稀 (4%) なTAあるいは AA genotypeを持つ人びとでは、結腸直腸癌のリスク上昇がみられた (有病率 35% vs 29%, オッズ比 1.89倍)。

rs16973225 AA genotypeを持つ人びとでは、結腸直腸癌のリスク低下がみられた (有病率 28% vs 38%, オッズ比 0.66)。しかし、より頻度の少ない (9%) ACあるいは CC genotypeを持つ人びとでは、リスクとの相関はなかった (有病率 36% vs 39%, オッズ比 0.97)。

このように、アスピリンや NSAIDsの結腸直腸癌に対するリスク減少は、rs2965667 (chromosome 12p12.3) や 16973225 (chromosome 15q25.2) 遺伝子多型の影響を受けるようです。将来、こういう遺伝子多型をチェックしてから薬の選択をする時代がくるのでしょうか。

ちなみに、先行研究では、PIK3CA変異があると、アスピリンの恩恵をうけやすいことが示されているそうです。

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脳梗塞発症 3-4.5時間における rt-PA療法

By , 2015年3月19日 7:43 AM

2015年3月17日の British Medical Journal (BMJ) に興味深い論文が掲載されていました。

Thrombolysis in acute ischaemic stroke: time for a rethink?

脳梗塞に対する血栓溶解療法 (rt-PA) は、最初に 3時間以内で認可され、後に 4.5時間以内に拡大された経緯があります。現在、日本アメリカ AHA/ASAのガイドラインでは、発症 4.5時間以内の血栓溶解療法を強く推奨しています。ところが、発症 3-4.5時間での rt-PA療法については未だに議論があるところで、ガイドラインによっては、弱い推奨だったり、通常考慮すべきではないという扱いだったりするようです。

この BMJ論文では、発症 3-4.5時間での rt-PA療法の安全性や有効性について再検討しています。まず、「強く推奨する」AHA/ASAガイドラインの根拠になった ECASS-IIIはベースラインの群間の違いがバイアスを生んでいるのではないかという意見があります。また、AHA/ASAガイドラインでは、IST-3について言及していますが、そのトライアルの 3-4.5時間でのデータについては言及していません。著者らが発症 3-4.5時間での rt-PA療法についてサブグループ解析をしてみると、信頼区間 95%で機能予後悪化は Odds比 0.76, NNH 16でした。また、2014年の meta-analysisについては、機能予後を改善するという結果を信用するには問題点が多く、一方で致死的な脳出血などの害は確実に存在するとしています (NNH 44)。

このように、脳梗塞発症 3-4.5時間以内における rt-PA療法については未だに難しい問題を孕んでおり、臨床医にとって「ガイドラインに書いてあるからやればいい」という単純な問題ではないことがよくわかります。大事なのは、発症 3時間以内であれば可能な限り早く血栓溶解療法を開始すること、3-4.5時間については議論があることを前提に適応を検討する、ということなのでしょうね。

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引越し

By , 2015年3月16日 1:54 PM

ついに引越をするときがきました。

3月15日荷物の搬出、3月16日荷物の搬入です。仕事の関係で、練馬の自宅を引き払うのは 3月27日。3月15日の荷物の搬出後は、フローリングに毛布一枚で生活しています。

今朝から荷物を受け取りに福島県に来ています。家具はほとんど一新し、いつ結婚相手が現れても良いようにクイーンサイズのベッドを購入しました (←後輩から「随分楽観的ですね」と突っ込まれた)。

エアコンが力不足なので新たに購入しないといけないとか、外から室内が丸見えなのでカーテンを買わないといけないとか、ベッドはあるのに掛け布団や毛布がないとか、転出届/転入届などの事務手続きがまだ終わっていないとか、やるべきことは沢山ありますが、少しずつ進めていこうと思います。

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髄液検査とマスク

By , 2015年3月12日 7:28 AM

髄液検査をするとき、検査を行う医師のマスク着用は基本です。マスクを着用しなかったことによる、医原性髄膜炎が複数報告されているそうです。詳しくは、下記ブログ記事と、そこに紹介された論文リンクを御覧ください。

医療者の口や鼻からの感染予防

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読書

By , 2015年3月12日 7:20 AM

ここ 1週間くらいで数冊の本を読み終えました。いずれもお薦めです。

死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日 (門田隆将著, PHP研究所)

ヤキモキしながらニュースを見ていた当時を思い出しました。「極限状態における人間の心理」の描写に胸を打たれました。原発が現在「冷却可能な状態」であるのは、彼らの命がけの努力によるものだということを忘れてはいけません。

イスラーム国の衝撃 (池内恵著, 文春新書)

ニュースで話題になることの多い、いわゆる「イスラム国」についてです。このようなテロ組織が出来上がるようになった背景、「イスラム国」の変遷、戦略などが深く考察されています。

世界史の極意 (佐藤優著, NHK出版新書)

世界史を、「民族主義」「宗教」といった面から読み解いています。また、現在の世界が抱える問題を、過去に起きたこととのアナロジーを通じて理解します。

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レジデントのための感染症診療マニュアル

By , 2015年3月5日 7:36 AM

「レジデントのための感染症診療マニュアル」といえば、知らない医師がいない程の名著です。日本語で読める感染症診療の本としては、最も有名な本だと思います。

私が医師になったばかりの頃は、第1版が売られており、それを読んで感染症診療の原則を学びました。当時臨床病理学教室におられた先生が、この本を持って血液培養陽性患者のラウンドをされていたのが記憶に残っています。その後、2007年に第2版が出版され、すぐに購入しました。

そして、2月25日に医学界新聞から気になるツイートが・・・。

ついに第3版が出るようです。

先月 Amazonをチェックしたときは見当たらなかったのですが、昨日 Facebookで知人が第3版を予約できることを書き込みされていました。これは即予約ですね。

レジデントのための感染症診療マニュアル 第3版

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