Soloist evaluations of six Old Italian and six new violins

By , 2014年4月9日 6:59 AM

2012年4月19日のブログで、ヴァイオリンの新作楽器と “オールド” の弾き比べについての論文をお伝えしました。目隠しをしたプロのヴァイオリニストには、どれがストラディヴァリウスか当てることができないばかりか、新作楽器の方を名器として認識してしまうというものです。

2014年4月3日の PNASに、その研究の追試の結果が掲載されました。

Soloist evaluations of six Old Italian and six new violins

前回の研究より楽器の数を増やして研究していますが、トップ 2位まで新作楽器でした (第 3位は黄金期のストラディヴァリウス)。やはり、トップヴァイオリニストでもストラディヴァリウスの評価は低く、モダン楽器の評価の方が高いようです。そして、楽器が製作されてからの年数、価格と楽器から感じる品質に関連は乏しいと・・・。

別のニュースに、今回の研究に参加したヴァイオリニストの名前が載っています。成田達輝さんが入ってる (゚д゚)!

Blind-tested soloists unable to tell Stradivarius violins from modern instruments

The soloists taking part in the study were: Olivier Charlier (France), Pierre Fouchenneret (France), Yi-Jia Susanne Hou (Canada), Ilya Kaler (pictured, Russia), Elmar Oliveira (US), Tatsuki Narita (France), Solenne Païdassi (France), Annick Roussin (France), Giora Schmidt (US), and Stéphane Tran Ngoc (France).

上記のニュースには、ホールでの演奏や、演奏者と聴衆の評価の違いなど、さらに 2本の論文を発表する予定だと書かれていました。続報が楽しみです。

(参考)

YAKINIKU

調整

Post to Twitter


α-synucleinの伝播

By , 2014年4月8日 8:53 PM

2013年1月23日のブログで、変性疾患の原因タンパク質の伝播について簡単に触れました。

変性疾患の原因タンパク質の伝播に関し、2014年2月18日にオンライン公開された Annals of Neurology誌論文が興味深かったです。

Lewy body extracts from Parkinson disease brains trigger α-synuclein pathology and neurodegeneration in mice and monkeys

パーキンソン病患者の脳からレヴィー小体 (α-synucleinが主成分) を豊富に含む分画を抽出し、マウスやマカクザルの黒質や線条体に注入したら、内因性の α-synucleinが病的な α-synucleinに置き換わりました。つまり、ヒトのパーキンソン病患者の脳にあった異常な α-synucleinが、動物の正常な α-synucleinを病的な性質に変えてしまったということです。まるでプリオンをみているかのようです。

現在、α-synucleinをターゲットとした薬剤がいくつも開発中ですが、病的なヒト α-synucleinを脳内で発現した上記の実験動物にこうした薬剤を使ってみたら、どのような効果がみられるのだろうかと思いました。

Post to Twitter


Tocilizumab

By , 2014年4月5日 9:35 PM

2013年1月15日、このブログで視神経脊髄炎に対する tocilizumabの症例報告について紹介しました。

日本国内でも視神経脊髄炎に対する tocilizumabの臨床研究がされているという風の噂は聞いていましたが、2014年3月15日、Neurology誌に国立精神神経センターから 7例の報告が掲載されました。

Efficacy of the anti–IL-6 receptor antibody tocilizumab in neuromyelitis optica

論文の内容については、国立精神神経センターのプレスリリースが纏まっています。

神経難病「視神経脊髄炎」の症状を改善
~難治患者7名で抗IL-6受容体医薬の有効性を実証~

これを見るとかなり効果があるようで、tocilizumabの有効性を示すエビデンスが、着々と積み上げられていますね。一方で、以前ブログ記事のコメント欄で下記のような指摘を頂いていて、副作用には十分注意して使用する必要があると思います。

同じ tocilizumab使用後の RAの女性で小生、acute axonal sensorimotor neuropathyのケースを経験致しました。その関連で調べたところ、治験段階の副作用として多発性硬化症様の中枢神経病変の報告と、また血管炎性ニューロパチーを使用後発症したcase reportを見ております。
この辺の仲間のお薬たちは、よい話と悪い話が同時に聞こえて来るような気がします。確かに免疫環境を変えていることだけは間違いなさそうですね。

 

Post to Twitter


糖尿病患者における ACE阻害薬と ARB

By , 2014年4月3日 8:02 PM

JAMA Internal Medicineに、2014年3月31日付けで興味深い meta-analysisの結果が出ていました。糖尿病患者の降圧に ACE阻害薬を使うか、ARBを使うかという論文です。ご存知の通り、日本では製薬会社のプロモーション活動が功を奏し、ARBが広く使用されています。あまりに宣伝が過熱して、ディオバンブロプレスはデータ捏造等の不祥事を起こしてますね。

Effect of Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors and Angiotensin II Receptor Blockers on All-Cause Mortality, Cardiovascular Deaths, and Cardiovascular Events in Patients With Diabetes Mellitus

今回の meta-analysisでは、糖尿病患者に対し、ACE阻害薬は総死亡、心血管死、心血管イベント (心筋梗塞、心不全) を抑制するが、ARBは心不全を除いていずれも抑制しなかったという結果でした。過去の BPLTTCの結果なんかを見ても、心疾患に関しては、ARBより ACE阻害薬の方が有効と思っていましたが、それを裏付ける結果です。しかし、ARBがここまで効かないとは驚きでした。

でも、この meta-analysisが今後どの程度医師の処方に影響を与えるかはちょっと疑問です。普段から論文を読んで勉強している医師はこういうシチュエーションで最初からあまり ARBを使っていなかったと思うし、勉強していない医師はこれからも製薬会社の宣伝に乗っかって ARBを出し続けると思うからです (多くの製薬会社は、都合の悪いデータを宣伝しません)。こういう現状は、ちょっと残念に思っています。

ちなみに脳卒中はどちらの薬でも差はなく、やはり「何を使って下げるか」より「どの程度下げるか」の要素の方が大きいのだろうと思いました。

Post to Twitter


食事会

By , 2014年3月31日 10:17 PM

2014年3月27日、ヴァイオリニストの成田達輝さんと二人で食事をしました。まずは TOKYO DAIHANTENで中華料理。好きな作曲家やパリの街の話などで盛り上がりました。二人の作曲家の好みが驚くほど一致していてビックリしました。紹興酒のハーフボトルを私一人でガブガブ飲んでいたら、すっかり酔っ払ってしまいました (^_^;)

次は、私のお気に入りの Bar Tizianoに行きました。Bachのヴァイオリン・ソナタが BGMで流れるのを聴きながら、まったり。素敵な時間を過ごせました。

成田さんからは御菓子と「新しい音を恐れるな」という現代音楽に関する本を頂きました。本は近いうちに読んで、このブログで紹介したいと思います。

・Tatsuki Narita – Violin Concerto From Paganini (First movement)

・Tatsuki Narita – Violin Concerto From Paganini (2nd and 3rd movements)

2012年エリザベート王妃国際コンクール・ヴァイオリン部門 (Queen Elisabeth Competition of Belgium – violin) (3CD+bonus CD) [輸入盤] [CD

成田達輝 デビュー!

Post to Twitter


漱石の疼痛、カントの激痛

By , 2014年3月27日 8:07 AM

漱石の疼痛、カントの激痛  『頭痛・肩凝り・歯痛』列伝 (横田敏勝著、講談社現代新書)」を読み終えました。

横田氏の著書については、「名画の医学」を以前ブログで紹介したことがあります。非常に芸術に造詣の深い先生で、尊敬しております。本書は、「作家、画家、その作品」と、医師が日常診療する疼痛とを並べて扱っています。扱われた芸術作品をみると、著者の教養の広さがわかります。関節リウマチを「慢性関節リウマチ」と記述していたり、片頭痛治療でエルゴタミンを紹介していたり、少し古くなってしまった記述もありますが、一般人向けに書かれているにも関わらず、医師の眼から読んで唸らされることばかりです。オススメの一冊です。

神経内科医にとって「頭痛」は、初診患者での主訴として最も多い疾患の一つです。本書では、頭痛に関連した項で、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、クモ膜下出血による頭痛 (源頼朝)、高血圧性頭痛、二日酔いよる頭痛 (源実朝) などが扱われています。例えば、芥川龍之介の「歯車」という小説で、芥川自身の片頭痛体験が記されていることは本書で初めて知りました。小説中では閃輝暗点が詳細に描かれています。ちなみに、文学作品の中で「肩が凝る」という言葉を初めて使ったのは夏目漱石だったそうです。「門」という小説に登場します。欧米では「肩こり」という語はないそうで、彼らは「首の凝り」あるいは「僧帽筋の筋肉痛」と呼んでいます。

沢村伝之助 (三代目) という花形役者が閉塞性血栓性血管炎で下肢を切断することになったとき、手術したのはジェームズ・カーティス・ヘボンでした。手術はクロロホルム麻酔下で行われました。ヘボンの名は、ローマ字で「ヘボン式」というとピンときますね。ヘボンの弟子に、大村益次郎、高橋是清、林董、などがいます。彼は後年、明治学院で教鞭をとり、その間に島崎藤村を教えました。また、最初の和英・英和辞典 「和英語林集成」 を完成させています (上海で印刷)。ヘボンが「ヘボン式ローマ字」の開発など日本と西洋文化をつないだ人だとは知っていましたが、医師として業績は、本書で初めて知りました。

本書には疼痛に関するネタが満載なのですが、私の好きなミレーの「落穂拾い」の絵が腰痛の項で扱われていますので、絵の背景に関する部分を最後に紹介しておきます。この背景を知っていれば、「落穂拾い」の絵がもっと楽しめるはずです。

ジャン・フランソワ・ミレーの名作「落穂拾い」は、旧約聖書の「ルツ記」をもとにしている。「ルツ記」は名もない民衆の一人の物語である。

-むかし、ベツレヘムの村にエリメルクという人がいた。妻ナオミとの間にキリオンとマロンという息子があった。エリメルクは裕福であったが、ベツレヘム一帯が飢饉に襲われ、すっかり財産をなくしてしまう。従兄弟ボアズの助けをかりることもできたが、新しい土地に移って心機一転やり直そうと決意し、死海のさきのモアブに移住した。

エリメルクは新しい土地で懸命に働き、間もなく多少の資産ができた。しかし、過労がたたって、病に倒れ、死んでしまう。残されたナオミは、幼い二人の子を抱えながら、よく働いた。やがて成長した息子たちは、母親をよく助け、近くに住むモアブ人から嫁を迎えた。こうして、ナオミと息子たちの家族は、モアブの地に根を下ろすことができた。

ところが、息子たちは二人とも病弱で、相次いで死んでしまう。気落ちしたナオミは、故郷のベツレヘムに帰りたいと思った。息子の嫁たちには、ベツレヘムに行くのか、残るのか、自分の好きなように選ばせた。キリオンの嫁のオルパは残ることにし、マロンの嫁のルツは、ひとりぼっちになったナオミを見捨てることはできないと言い、一緒にベツレヘムへと旅立った。

苦しい旅の末にベツレヘムにたどりついた二人には、一切れのパンを買うお金も残されていなかった。ルツは、何とかして年老いた姑においしいパンを食べさせたいと思う。ちょうど麦刈りの時期だったので、畑に出て落穂を拾い、それを粉にして、パンを焼くことにした。イスラエルでは、収穫が済んだあとの畑で落穂を拾うことが、貧しい人たちの権利として認められていたのである。これはモーゼが定めた掟の一つで、ルツは貧しい人たちにまじって、毎日毎日落穂を拾い、ナオミに食べさせた。やがてルツとナオミの噂がベツレヘムの人たちの間にひろがり、ナオミの亡き夫の従兄弟ボアズの耳にも届いた。

ボアズはルツの人柄に感心して、彼女の様子を見たいと思った。そこで、そしらぬふりをして、彼女がせっせと働く姿を見ていたが、昼になると、彼女を食事に誘った。ルツは食卓に出されたパンのほんの一部を食べ、残りを年老いた姑のために持ち帰った。

ボアズはルツとナオミを助けようと、麦の借り手たちに言いつけて、あまり念入りに収穫せず落穂をたくさん残すようにした。あくる日も落穂拾いにきたルツは、持って帰れないほどの落穂を拾うことができた。ナオミは「ボアズがルツに好意を抱いているな」と思って、大変喜んだ。「自分はそんなに長く行きられない。嫁のルツの身の振り方が気がかりだ。妻に死なれてやもめ暮らしをしているボアズがルツをめとってくれたらいいのだが。ボアズも幸せになれるだろうし、このけなげで優しいルツも、立派な主婦になって、幸せに暮らせるだろう」、こんな思いから「どうか私が死ぬ前に、この二人が幸せになれますように」と祈るのだった。やがてこの願いがかなえられ、ルツはボアズと結ばれて、子宝に恵まれた。ナオミは初孫を抱いてから、この世を去った-。

ミレーの「落穂拾い」は、貧しいながらも落穂を拾って、けなげに生きるルツのイメージを伝えている。貧しさと厳しい労働に耐えている姿が痛々しい。背景の豊かな収穫は、貧しさを一段と際だたせている。この絵に描かれた姿勢で長時間働いていると、筋筋膜痛症候群になり、筋肉が痛むようになるだろう。長年前かがみの姿勢で農作業に従事していると、立ち上がるときに腰が伸びにくくなり、歩くと腰の痛みがひどくなる。五十歳を過ぎた農村の女性の背骨は農作業をするのに適した前かがみの姿勢に固まってしまい、いつもこの姿勢で歩くようになる。この絵を見ていると、心が痛む。

Post to Twitter


続・ANCA

By , 2014年3月26日 6:17 AM

2014年3月23日に炎症性腸疾患と ANCAについて書きましたが、知り合いのリウマチ科医から、数多くの疾患で ANCAが陽性になることを記した論文を教えて頂きました。

Antineutrophil cytoplasmic antibodies

ANCA

 

ANCA

これを見ると、陽性率はともかくとして、かなりの数の疾患で ANCA陽性になることがわかります。ここまで多くの疾患でとは知りませんでした。抗体だけで診断、というのが危険なことがわかります。

余談ですが、2014年2月26日から、保険診療において ”ANCA関連血管炎” の病名で MPO-ANCAが算定できるらしいです。これまでは “ANCA関連血管炎” なのに保険診療では ANCAが算定できないというおかしな状態でしたから、当然こうしてもらわないと困りますね。

審査情報提供事例について

Post to Twitter


炎症性腸疾患と ANCA

By , 2014年3月23日 7:43 PM

好中球細胞質抗体 (ANCA) は、顕微鏡的多発血管炎 (MPA)、Wegener肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫性血管炎 (AGA) などで陽性となります。ANCAが陽性になる自己免疫疾患で、しばしば末梢神経障害などを引き起こすことから、我々神経内科医もよく検査を提出します。

最近、若年性脳梗塞の患者を診療したときに、ANCA関連血管炎が脳梗塞の原因になっていないか、ANCAを調べました。すると、PR3-ANCAが陽性でした。しかし、その患者にはクローン病の既往があったのです。

抗体陽性というだけで ANCA関連血管炎と短絡的に診断するわけにいかないので、炎症性腸疾患で ANCAが陽性になることがないか文献を調べると、結構たくさん報告されていました。パラパラ眺めてみると、潰瘍性大腸炎の約 50~70%, クローン病の 約 20~30%で ANCA陽性になるイメージです。別に脳梗塞の原因が見つかったこともあり、先ほどの患者さんの場合は、クローン病に伴う PR-3 ANCA上昇だったということになるのでしょうね。

ANCAが陽性になる鑑別に、炎症性腸疾患が頭から抜けていたので、よい勉強になりました。

(参考)

Diagnostic precision of anti-Saccharomyces cerevisiae antibodies and perinuclear antineutrophil cytoplasmic antibodies in inflammatory bowel disease.

Meta-analysisの結果、MPO-ANCAの潰瘍性大腸炎における感度/特異度は、55.3%, 88.5%だった。

Presence of anti-proteinase 3 antineutrophil cytoplasmic antibodies (anti-PR3 ANCA) as serologic markers ininflammatory bowel disease.

PR-3 ANCAの潰瘍性大腸炎における 感度/特異度は、52.1%, 97.3%であった。クローン病より潰瘍性大腸炎の方が有意に陽性率が高い。

The diagnostic accuracy of serologic markers in children with IBD: the West Virginia experience.

MPO-ANCAの感度/特異度は、潰瘍性大腸炎で 73/84%, クローン病で 16/35%だった。

Antineutrophil cytoplasmic antibodies (ANCAs) in patients with inflammatory bowel disease show no correlation with proteinase 3, lactoferrin, myeloperoxidase, elastase, cathepsin G and lysozyme: a Singapore study.

ANCAの陽性率は、潰瘍性大腸炎 50%, クローン病 30%だった。

Prospective evaluation of neutrophil autoantibodies in 500 consecutive patients with inflammatory bowel disease.

潰瘍性大腸炎の 66.3%, クローン病の 11.9%で MPO-ANCA陽性であった。

Antineutrophil cytoplasm autoantibodies against bactericidal/permeability-increasing protein in inflammatory bowel disease.

潰瘍性大腸炎の 60%, クローン病の 28%, 細菌性腸炎の 23%で ANCA陽性だった。

Inflammatory bowel disease serology in Asia and the West.

炎症性腸疾患における ANCAの陽性率には、人種差なさそう。

Post to Twitter


クマムシ博士の「最強生物」学講座ー私が愛した生きものたち

By , 2014年3月22日 5:49 AM

クマムシ博士の「最強生物」学講座ー私が愛した生きものたち (堀川大樹著、新潮社)」を読み終えました。著者はクマムシの研究者です。クマムシは乾眠という仮死状態をとることができ、マイナス273℃、プラス100℃、ヒトの致死量の 1000倍の放射線、水深 1万メートルの 75倍の圧力、真空などに耐えることが可能です。宇宙空間に 10日晒しても一部生存していた個体がいたそうです。このようなスーパー生物のクマムシですが、なかなか研究するための環境は大変で、著者は海外にポストを得て、有料メルマガやクマムシをキャラクター化したグッズのオンライン販売などで研究費を捻出しています。

本書には、クマムシの紹介、クマムシの探し方・飼い方の解説、他の「最強生物」について、研究全般について広く書かれています。下記の著者ブログで目次等が紹介されているので、興味のある方は御覧ください。

クマムシ博士の「最強生物」学講座ー私が愛した生きものたち

この本を読んで、生物の多様性を強く感じました。生物によっては、本当にさまざまな環境で生きられるんですね。それと、「博士生態学講座」の項に書かれた、「理系的『ジョジョの奇妙な英語学習法』」はとても面白かったです。好きな漫画の日本語版のセリフを暗記してから英語版を読んで、言い回しを学ぶというものですが、有名な「ジョジョの奇妙な冒険」のセリフを例にとるとこうなります。「ありのまま、起こったことを話すぜ→ I’ll just explain what happened!」

また、「オタクと変態はモテる」には、ハッとさせられました。私がモテないのは、変態であることを隠していたからなんですね。

結論からいうと、研究者、いや、オタクと変態はモテる。ただし、オタクや変態がモテるためにはひとつ気をつけなければならないことがある。彼らがモテるためには、自らの歪んだ性癖を隠さずに誇りをもってアピールする必要があるのだ。(略) 世の中にはマジョリティから逸れた尖った人間、つまり、変わった性癖を持つ人たちを好む男女が一定数いる。だから、このニッチを占める人々をターゲットにするのだ。 (p166~167)

「私は変態です (`・∀・´)エッヘン!!」、変態好きの女性募集中です!

Post to Twitter


Parkinson病の新しい治療戦略

By , 2014年3月21日 10:33 AM

Roche社が Elan社の子会社 Prothenaと契約し、PRX02の開発を進めることが、2014年3月10日のNature biotechnology誌の Newsで紹介されていました。その Newsでは、他にもいくつかの薬剤が紹介されています。

Roche bets on alpha-synuclein for Parkinson’s

α-synucleinは、Parkinson病の多くやレヴィー小体病の原因と推測されているタンパク質です。α-synucleinが勝手に重合して蓄積することが、疾患にとって重要な役割を果たすと考えられています。PRX02は、α-synucleinの C末端に結合して、それを防ぐことが期待されるモノクローナル抗体です。この薬剤は、第一相臨床試験に向けて動き出しているようです。

また、AFFiRiS社も α-synucleinをターゲットとしたワクチン PD01Aを開発中です。作用機序としては、α-synucleinに似た小さなペプチドを用いることで、免疫応答を引き出すそうです。現在、第一相臨床試験が行われています。

ProteoTech社が開発する小分子 Synuclereは、α-synucleinの重合を防ぎ、また重合した α-synucleinを重合していない形にかえることで、α-synucleinを除去することを目的としています。開発が安価で、安全で、血液脳関門を通過しやすいというメリットのある薬剤のようです。

別の戦略として、Biogen社は、Amicus Therapeutics社と組んで、リソソーム酵素 glucocerebrosidaseの活性を高める小分子を開発することを発表しました。 glucocerebrosidaseの欠損は、脳内の α-synucleinの重合を引き起こすとされています。

パーキンソン病の根本的治療薬は現在のところないので、我々は患者さんの症状を緩和する薬剤を使うしか方法がないのですが、疾患の原因物質に作用して進行を遅らせることができるような薬剤が開発されれば、これほど喜ばしいことはないですね。治療薬の開発がうまくいくことを祈っています。

Post to Twitter


Panorama Theme by Themocracy