とろみ

By , 2016年5月24日 7:21 AM

神経疾患で嚥下障害を呈することは珍しくなく、栄養管理をどうするのかというのは常に問題になります。水で誤嚥が起こることが多いので、ぎりぎり経口摂取可能な程度の嚥下障害がある方は、トロミをつけて食事をしていただくことがしばしばあります。慣習的なもので、そのエビデンスについて、私は深く考えたことがありませんでした。この問題について、下記のブログを読んでとても勉強になったので紹介しておきます。

LESS IS MORE: トロミ剤の不適切使用 The horrible taste of nectar and honey-Inappropriate use of thickened liquids in dementia A teachable moment

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最近の医学ネタ

By , 2016年5月20日 8:40 AM

論文の reviseの締め切りとか、雑誌の編集会議用の資料作りとか、色々重なって、ブログを更新する時間が全く取れませんでした。最近出た論文や医学系ニュースも概要のみチラッとチェックしているだけですが、後々見返すことがありそうなので、備忘録として簡単にメモしておきます。

Low-Dose versus Standard-Dose Intravenous Alteplase in Acute Ischemic Stroke

“Approximately two thirds of the patients were Asian, and 43% were recruited from China. ” とアジア人を多く含む試験で、アルテプラーゼ 0.6 mgは 0.9 mgに死亡や障害で非劣性を示せず。rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法 適正治療指針 第二版 にも「アルテプラーゼの至適用量に関するデータは国内外ともに未だ乏しく、このような用量の差が人種 差に基づくものか否かも含めて今後の更なる検討が必要である」とか書いていますし、今後は、アジア人のみを対象として至適用量を探す研究が出てくるんですかね。今のところ、clinicaltrials.govでそれっぽいのはないけれど。

Ticagrelor versus Aspirin in Acute Stroke or Transient Ischemic Attack

発症 24時間以内の急性虚血性脳卒中が対象。13199人をランダム化比較された。1:1割り付けで、薬物の用量は下記。
Patients received either ticagrelor (a loading dose of 180 mg given as two 90-mg tablets on day 1, followed by 90 mg twice daily given orally together with loading and daily doses of aspirin placebo) or aspirin (a loading dose of 300 mg given as three 100-mg tablets on day 1, followed by 100 mg daily given orally together with a loading dose and twice-daily doses of ticagrelor placebo).

Ticagrelorはアスピリンに脳卒中、心筋梗塞、死亡の複合エンドポイントで優位性を示せず。
In conclusion, in our trial involving patients with acute ischemic stroke or transient ischemic attack, ticagrelor was not found to be superior to aspirin in reducing the risk of the composite end point of stroke, myocardial infarction, or death.

二次エンドポイントである虚血性脳卒中もギリギリだめ。
The main secondary end point, ischemic stroke, occurred in 385 patients (5.8%) in the ticagrelor group and 441 patients (6.7%) in the aspirin group (hazard ratio, 0.87; 95% CI, 0.76 to 1.00; nominal P=0.046)

あと、Ticagrelorは呼吸苦での内服中断が 1.4%あり。
Dyspnea and bleeding events were the most frequent factors accounting for the difference, with rates of discontinuation due to dyspnea in the ticagrelor and aspirin groups of 1.4% and 0.3%, respectively, and rates of discontinuation due to any bleeding of 1.3% and 0.6%.

やはり、脳卒中の急性期治療でアスピリンに勝てる薬剤は無いんですね。

Popular Pain Drug Linked to Birth Defects

神経障害性疼痛の治療で用いられるプレガバリン (商品名:リリカ) で先天性異常のリスクが高まる可能性があり、妊婦さんは注意を。

Olanzapine: Drug Safety Communication – FDA Warns About Rare But Serious Skin Reactions

抗精神病薬のオランザピンで DRESS (Drug Reaction with Eosinophilia and Systemic Symptoms) の報告。1996年以降 23件の報告が FDAに寄せられているが、報告されていないものもあるため、実際にどの程度生じるかは不明。

Mucocutaneous Findings and Course in an Adult With Zika Virus Infection

ジカウイルスでは皮膚粘膜の所見に注意。講演で忽那先生がおっしゃっていた通り

Migraine photophobia originating in cone-driven retinal pathways

片頭痛患者は光過敏を示すが、緑色よりも白色や青色、黄色、赤色で悪化する。円錐由来の網膜経路が関与しているらしい。

Metformin for chemoprevention of metachronous colorectal adenoma or polyps in post-polypectomy patients without diabetes: a multicentre double-blind, placebo-controlled, randomised phase 3 trial

ポリペクトミーの既往のある非糖尿病患者へのメトホルミン投与で、異時性大腸腺腫やポリープが減るらしい。

メトホルミンの癌に対する効果の研究は最近色々と行われています。

Intensive vs Standard Blood Pressure Control and Cardiovascular Disease Outcomes in Adults Aged ≥75 Years

Systolic Blood Pressure Intervention Trial (SPRINT) で高齢者のサブグループを調べた研究。糖尿病のない 75歳以上の高齢者において、収縮期血圧 140 mmHg未満よりも 120 mmHg未満で管理した方が、主要な心血管イベント、総死亡は減るようだ。

高齢者の降圧については凄く議論のある分野で、ガイドラインは下げ過ぎない方向に向かっていて、この研究だけでプラクティスを変えるようなことにはならなさそう。今回は時間がなくてアブストラクトしか見てないので、時間ができたら先行研究と比較吟味したいところ。

ここが知りたい!高齢者診療のエビデンス [第1回]認知症治療薬,どう使う?
✓ 認知症治療薬は,効果が限定的であることも,改善効果を示すこともあり,各薬剤の特徴を知って適切に使用したい。
✓ 認知症治療薬は少量から開始し,有害事象にも注意しながら12週間を目安に効果を判定する。
✓ 服薬中の錐体外路症状,興奮,不穏は,薬剤の有害事象である場合もある。
✓ 薬剤の有害事象かどうかの判断は,薬剤を中止してその症状が軽快するか否かで見極める。

ここが知りたい!高齢者診療のエビデンス [第2回]スタチン,いつやめる?
✓ 1次予防でのスタチンの適応は,リスク計算や年齢だけでは判断できない。
✓ 1次予防目的でスタチンを始める場合,効果発現には2年程度かかる可能性がある。
✓ 虚弱高齢者へのスタチンの継続は,目的をきちんと話し合う。
✓ 終末期のスタチンの中止は,患者にとって害にはならず,QOLの改善につながる可能性もあることから,中止も考慮したい。

Effects of aspirin on risk and severity of early recurrent stroke after transient ischaemic attack and ischaemic stroke: time-course analysis of randomised trials

TIAもしくは虚血性脳卒中でアスピリンとプラセボと比較して、二次予防効果を検討。過去の 12の臨床試験のデータを使用。アスピリンは 6週間の虚血性脳卒中再発リスクを 60%低下し、重症ないし致死性虚血性脳卒中を 70%低下させた。特に TIAや minor stroke患者で効果が大きかった。これは重症脳卒中の低減効果によるものだった。これらの効果は投与量や患者の特性、TIA/虚血性脳卒中の原因に独立してみられた。

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犬養木堂記念館

By , 2016年5月5日 10:06 AM

ゴールデンウィーク、5月3-5日に帰省しました。3, 5日は移動日だったので、出かけられたのは 4日のみでした。乗馬クラブは混んでおり、犬養木堂記念館に出かけることにしました。

犬養木堂記念館

犬養木堂 (犬養毅) といえば、憲政擁護運動で知られた政治家です。明治憲法と日本国憲法の違いはありますが、憲法記念日の翌日に訪れることができてよかったと思います (憲法を変えるとか変えないとかいう議論とは全然別のものです)。記念館には、木堂が撃たれたときに座っていた血痕のついた座布団や、孫文が武器弾薬を陳情した手紙、木堂の書などが飾られていました。また、木堂の演説の録音を聴くことが出来ました。

その後は、川崎医大の前を通り、大山名人記念館に行きました。

大山名人記念館

展示はワンフロアのみで、大山康晴ゆかりの品がいくつか展示されていました。彼が使用した盤駒、駒袋、眼鏡などです。棋書が自由に読めるようになっており、奥座敷では、若者が一人将棋盤を使って詰将棋を解いていました。大山名人が残した「助からないと思っても助かっている」という名言は、重症患者を診ているときなど、ふと頭に浮かぶことがあります。

夜は、福島県の行きつけの酒屋で買った「十四代 中取り純米吟醸 播州愛山」を家族で飲みました。行きつけの酒屋ではスタンプカードが貯まると定価で買うことができますが、ネットオークションでは 3万円もするんですね。調べてみてびっくりしました。あとは、地元の「御前酒 馨」、こちらも美味しかったです。

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更年期障害

By , 2016年5月5日 9:18 AM

とあるクリニックで外来をしていたら、患者さんから更年期障害について相談を受けました。突然発汗してしまい、困っているのだそうです。婦人科へのアクセスの悪い地域だったので、何か自分でできることはないか、少し調べてみると、オープンアクセスとなっている NEJMの総説がとてもよくまとまっていました。

Management of Menopausal Symptoms

・周閉経期 (menopausal transition) は 40歳代後半から始まり、約 4年間続く。閉経年齢の中央値は 51歳であり、喫煙者では約 2年間早くなる。周閉経期の初期は、エストロゲンは通常正常からやや高値で、FSHは上昇し始めるが概ね正常範囲内である。周閉経期が進むにつれて、ホルモンレベルは変化するが、エストロゲンは著明に低下し、FSHは上昇する。閉経すると排卵は起きなくなる。卵巣は、エストラジオールやプロゲステロンを産生しなくなるが、テストステロンの産生は続く。

・閉経期の女性は様々な症状を訴えるが、年齢や交絡因子で調整すると、血管運動症状 (vasomotor symptoms, ホットフラッシュや夜間の発汗) と膣症状 (vaginal symptoms)、睡眠障害のみである。記憶障害や倦怠感は、ホットフラッシュや睡眠障害によるものかもしれない。

・ホットフラッシュは、顔面や頸部、胸部を中心とした突然のほてりである。持続時間にばらつきはあるが、平均 4分程度である。しばしばおびただしい発汗と、それに引き続く寒気がある。ホットフラッシュは、周閉経期の後期に多く、約 65%の女性にみられる。中国人や日本人は白人よりも少ない。

・ほとんどの女性でホットフラッシュは一過性である。30~50%の女性では、数ヶ月以内に改善し、85~90%の女性では、4~5年で解決する。しかし、10~15%の女性では、なぜか閉経後も長年続く。ホットフラッシュのある女性とない女性では、内因性エストロゲンレベルに差はない。FSHの高値のみがほてりと関係していたという研究がある。

・膣症状 (乾燥、違和感、そう痒感、性交時痛) は、閉経後初期の約 30%、後期の 47%の女性にみられる。ホットフラッシュとは異なり、持続するか、年齢とともに悪化する。

・40歳代後半から 50歳代半ばの典型的な血管運動症状であれば、ほかに疑われるような原因がないかぎり、検査は不要である。注意深く問診し、アルコール摂取、カルチノイド、ダンピング症候群、甲状腺機能亢進症、麻薬離脱、褐色細胞腫、薬物 (硝酸薬、ナイアシン、GnRHアゴニスト、抗エストロゲン薬) などの除外を行う。FSHや LHは周閉経期の間、閉経前の正常範囲内に収まるが、ホルモン測定をルーチンに行うべきではない。

・複数の無作為研究で、エストロゲンはホットフラッシュの頻度や重症度を改善した。一般的に頻度は 80~95%減少する。どのような投与法でも有効である。効果は用量依存であるが、少量のエストロゲンでもしばしば有効である。効果は通常量のエストロゲン (経口エストロゲン 1 mg/dayないしその相当量) を開始して 4週間以内に見られる。エストロゲンあるいはプロゲスチンとの併用療法で脳卒中は 40%増える。直接比較はされていないが、エストロゲン+プロゲスチンの併用療法で、冠動脈疾患、肺塞栓症、乳癌はより増加するようだ。エストロゲンは、冠動脈疾患や乳癌、子宮がん、静脈血栓症の既往があったりハイリスクである患者、あるいは活動性肝疾患の患者では避けるべきである。経口薬より貼り薬の方が、静脈血栓症のリスクは低下するかもしれないが、はっきりとはわかっていない。

・エストロゲン+プロゲステロンの方が、エストロゲン単剤より有害事象が増えるかもしれない。しかし、エストロゲンを単剤で投与すると、有意に子宮過形成や子宮癌が増加する。プロゲスチンの少量投与は、子宮内膜を保護する。プロゲスチン単剤では副作用がしばしばみられる。

・SSRIや SNRIも効果があるが、薬剤や臨床試験での被験者の層によりホットフラッシュへの治療成績は異なる。パロキセチンで中等度の効果がある。乳癌サバイバーで治療効果が高い。抗エストロゲン薬の使用やうつの合併頻度が高いことなどが、治療効果が高いことの理由として推測されている。

・ガバペンチンも、わずかにであるが、乳癌の治療歴有無に関わらずホットフラッシュに効果がある。しかし副作用が出やすい。

・αアドレナリン作動薬であるクロニジンは、ホットフラッシュに対して効果がないか、あってもわずかである。

・膣症状にはエストロゲンがとても効果的であり、推奨される用量、投与頻度を守る限りは、プロゲスチンの追加は不要である。

その他、知人の医師から、産婦人科医によるわかりやすい解説も教えて頂きました。

「更年期障害」の診方

あと、BMJの総説も読みやすかったです。

Hormone replacement therapy.

これらの総説を読んだ結論としては、下記になります。

・診断は比較的容易で、通常はホルモン検査も不要。

・ホットフラッシュは一過性のことがほとんどで、治療の副作用を考えると、軽度であればそのまま経過観察でよい。

・ホットフラッシュの治療を行う場合、エストロゲンが良く効くが、禁忌がないことを確認する必要がある。また、子宮癌や乳癌等のリスクには留意する必要がある。子宮がある女性患者にエストロゲン療法を行うときは、子宮内膜癌のリスクを減らすため、プロゲスチンを併用するべき (←BMJ論文の表現)。ホルモン療法を行う場合、ダラダラと長期間続けない。ホルモン療法が行えない場合、SSRIは治療オプションになり、特に乳癌の既往がある場合に有効である。

ということで、ホルモン療法を行うならば、子宮内膜癌や乳癌のスクリーニングが可能な専門家に御願いしておいたほうが良さそうですね。自分で治療することはないと思いますが、半分近くの女性は、ホットフラッシュが数ヶ月で改善するとか、調べてみて色々と勉強になりました。

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極論で語る感染症内科

By , 2016年5月3日 10:05 AM

極論で語る感染症内科 (岩田健太郎著, 丸善出版)」を読み終えました。

「極論」とは言っても、第一版から青木本を読んで育ってきた我々世代にとっては、感染症診療の原則そのものが書いてあるなぁ・・・という印象でした。最終章の HIV/AIDSは少しマニアックな感じがしましたけれども。

神経内科医としては、髄膜炎の章は是非読んでおくべきでしょう。細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014ではカルバペネムが推奨されるシチュエーションが多いですが、私は基本的に、岩田健太郎先生が書いているのと同じように、第三世代セフェム+バンコマイシン±アンピシリンで治療しています。カルバペネムの温存と、肺炎球菌のカルバペネムへの耐性化が進んでいることが理由です。本書には、JANISのデータで、5%弱の肺炎球菌がカルバペネム耐性であること、髄液検体だと 10%以上は感性でないことなどが書かれており、そこまで耐性化が進んでいるのかと思いました。あと、細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014では、MICの縦読みがされていることを私は気にしているのですが、そのことへの言及はありませんでした。実際、どうなんでしょうね。感染症の専門家の意見が聞きたいです。

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気管支喘息バイブル

By , 2016年5月3日 9:42 AM

気管支喘息バイブル (倉原優著、日本医事新報社)」を読み終えました。

研修医時代は、天気の変わり目の当直といえば喘息発作が列をなしていて、ひたすら気管支拡張薬の吸入やステロイドの点滴を使っていた印象が強く残っていますが、近年ではそういう患者を見かけることもめっきり減りました。おそらく、吸入薬の進歩によるものでしょう。

吸入薬の進歩はめざましく、近年では様々な製剤が出ています。私はせいぜい ICS/LABAとしてアドエアくらいしか使ってこなかったのですが、ICSおよび ICS/LABAの使い分け、ステップアップやステップダウンの方法など、とても勉強になりました。

また、気管支喘息と ACOS (気管支喘息+COPD)、咳喘息、アトピー喘息の鑑別法もとても丁寧に書いてありました。気道過敏性と気道感受性の違いも、本書で初めて知りました。

クリニックなどで一般外来をしていると、「夜になると咳が止まらない」等の主訴でいらっしゃる喘息患者はたまにいらっしゃいます。そういう時に、本書はとても役立ちます。

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側頭動脈炎とVZV

By , 2016年4月29日 6:15 AM

2015年11月の JAMA Neurologyに、側頭動脈炎と水痘・帯状疱疹ウイルス (VZV) の関連を示した論文が掲載されました。

Analysis of Varicella-Zoster Virus in Temporal Arteries Biopsy Positive and Negative for Giant Cell Arteritis

「側頭動脈炎で、巨細胞性動脈炎の病理所見が得られなかった症例の 64%, 巨細胞性動脈炎の病理所見が得られた症例の 73%で VZV抗原が病理学的に証明された。正常の側頭動脈で VZV抗原が陽性だったのは 22%だった」という報告です。側頭動脈炎において、VZVが関連している可能性が強く示唆されました。著者らは、抗ウイルス療法をステロイドに追加すると有効かもしれないと推測しています。

もともと、VZVは血管障害を起こすことが知られているウイルスで、私も VZV感染に合併した脳梗塞症例の経験があります。昨年、JAMA Neurologyのこの論文を読んだ時は衝撃を受けましたが、言われてみれば納得できる話です。

最近これに関連した報告を知人に教えてもらったのですが、肉芽腫性動脈炎患者の大動脈で、11例中 11例に VZV抗原が検出されたそうです (非肉芽腫性動脈炎患者では 18例中 5例)。

Varicella Zoster Virus Infection in Granulomatous Arteritis of the Aorta


(2016.5.5追記)

最近、こんな報告も出たようです。知り合いがリツイートしていて知りました。

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女川

By , 2016年4月28日 9:21 PM

2016年4月24日、女川に行ってきました。

4月23日に仙台に宿泊し、4月24日午前9時24分発の JR仙石東北ライン特別快速・石巻行に乗って、まず石巻へ。仙石線は、東日本大震災で駅や線路が流された後、山側にルートが変更されていました。野蒜付近では、山の間から、旧野蒜駅周辺が見渡せました。石巻駅 10時16分着。石巻では駅向かいの石巻市役所の横に石巻市立病院が建設中であるのが、到着したホームから見ることができました。

石巻市立病院1

石巻市立病院1

石巻市立病院2

石巻市立病院2

向かいのホームに渡って 1o時37分石巻線女川行き。津波の被害のなかったところでは所々海沿いを走っており、景色が綺麗でした。11時2分に女川駅に着きましたが、Suicaは使えず、現金精算となりました。「Suica・PASMO・パスネット処理連絡票」というのを貰い、後で Suicaの扱える駅で入場記録を取り消して貰うのですね。

女川駅

女川駅

新築された女川駅は、改札の向かいが土産物屋で、その上は温泉ゆぽっぽになっていました。土産物屋で震災関連の写真集や、本「寄り添い支える 公立志津川病院 若き内科医の 3・11 (菅野武著、河北選書)」を買いました。店内には、震災直後に石巻日日新聞が発行した壁新聞の現物が展示されていました。温泉も入りましたが、くつろげる座敷が併設されており、ゆったりできました。

石巻日日新聞

石巻日日新聞

駅の屋上は展望台になっており、街が一望できました。街の中心部にはシーパルピアというテナント型の商店街があり、飲食店、案内所、レンタカーショップ、コンビニなど、必要なものがすべて揃うようになっていました。唯一足りなかったのはコインロッカーくらいでしょうか。荷物の多い方は御注意を。

女川駅展望台

女川駅展望台からの風景

女川では、少しだけ ingressをやったのですが、工事中で閉鎖された道路が多く、かなり迂回して歩く必要がありました。震災直後に訪れた女川町立病院は、現在、女川町地域医療センターとなっていました。

女川町地域医療センター看板

女川町地域医療センター看板

女川町地域医療センター

女川町地域医療センター

昼食は、海鮮丼などを食べられる店が数件あり、ウニ丼をおいしく頂きました。観光客が多くてかなり混むので、温泉で少し時間を潰して 13時頃に入るのがミソですかね。その時間だと割と空席があります。

昼食

昼食

その後、女川ビールが飲めるガル屋という barにふらりと入ったら、店員が ingressの Tシャツを着ており、周囲に座っていた集団が ingressトークで盛り上がっていました。

女川ビール

女川ビール

時間がなかったので、「希望の鐘」はまた次回にして、14時55分発の石巻線に乗り15時20分石巻着、15時24分石巻発 16時48分仙台着でした。帰りの電車で「寄り添い支える~」を読み、胸が熱くなりました。

他の地域に少し遅れ、現在復興真っ只中の街。また近いうちに行こうと思います。

(参考)

5年後の311 (スライド後半に当時の女川の写真)

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骨粗鬆症治療薬ビスホスホネートの適切な使い方

By , 2016年4月23日 8:19 AM

医学界新聞に「骨粗鬆症治療薬ビスホスホネートの適切な使い方」という良記事を見つけました。

骨粗鬆症治療薬ビスホスホネートの適切な使い方

■FAQ1 BPによる治療で,本当に骨折は予防できるのでしょうか。
■FAQ2 BPの投与によってかえって増える骨折があるそうですが,どのように対処したらよいのでしょうか。
■FAQ3 BPの長期投与には弊害もあるため,5年間継続したら休薬すべきとの意見もありますが,どうしたらよいでしょうか?

この記事で特に素晴らしかったのは下記の部分です。

ただ,BPによる骨折予防効果を得るには,正しく治療されることが必要とされています。「正しく」というのは,少なくとも1年以上継続して,治療期間内の処方率が80%以上で,内服方法が遵守され,かつビタミンDやカルシウムが充足していれば,ということを意味します。そのため,骨粗鬆症治療を行う場合には,薬剤の選択のみならず,正しく治療を続けるための工夫が大変に重要なポイントです。

ビタミンDやカルシウムが充足していることが前提条件なんですね。

ここで、日本のステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドラインに脱線します。この問題は、いつか書こうと思っていたので。

ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン:2014年改訂版

読んでみると、とても突っ込みどころの多いガイドラインです。例えば下記の部分です。

・ガイドライン作成者の利益相反が開示されていない

→いまどき、利益相反の開示されていないガイドラインなんてありえません。このガイドラインは、製薬会社が宣伝に使っています (実際、私のところに、このガイドラインを持ってビスホスホネート製剤の宣伝に来た MRがいます)。「製薬会社にいくらもらってこの宣材 (=ガイドライン) 作ったんだ」と言われても、利益相反が開示されていなければ反論できないでしょう (ない、なら、ないって書けよっていう話です)。

・骨折の予測因子について

→「骨折を予測する因子」をコホート研究で作成し、スコアをつけています。そのコホート研究は、スコア作成に男性 117名、女性 786名のデータを用い、男性 1名、女性 143名のデータを用いて検証しています。検証に用いたデータが男性 1名って・・・。さらに、基礎疾患のほとんどが RA, SLE+PM/DM+血管炎です。他の疾患に外挿できるデータなのでしょうか?

・いきなりビスホスホネート

→欧米のほとんどのステロイド性骨粗鬆症ガイドラインでは、ビタミンD, カルシウムを内服した上でリスクの高い患者にのみビスホスホネートを使用することになっています。骨を作るための材料を入れずに、骨を作るように命令するような薬 (ビスホスホネート) を内服したところで「空打ち」になるからです (この表現は知り合いのリウマチ科医に習いました)。そもそも、このガイドラインでも引用しているような、ビスホスホネートの有効性を示した臨床研究では、「血清ビタミンDの低い患者を除外」し、「ビタミンDおよびカルシウムを内服している」上での追加効果をみているのです (例えばこの研究)。それを、このガイドラインではビタミンDやカルシウム内服なしでビスホスホネートをいきなり始めるように推奨しており、どう考えても変です。

私は、ステロイド内服患者にはまずビタミンD製剤を優先して内服してもらっています。カルシウム製剤との併用でなくビタミンD製剤を優先しているのは、併用で高カルシウム血症の副作用が出やすくなるのを危惧するのと、下記の理由からです。

①カルシウムのサプリメント (単剤) で心血管イベントが増える報告がある。

Effect of calcium supplements on risk of myocardial infarction and cardiovascular events: meta-analysis

②カルシウムを単独で内服しても骨折リスクは減らないとする報告がある (ステロイドを内服していない患者ですが) 。

Calcium intake and risk of fracture: systematic review

③種々の免疫疾患で、ビタミンD低下が病状の悪化と関連するという報告がある。下記は多発性硬化症。

多発性硬化症と緯度の話

④ビタミンDは USPSTFが高齢者の転倒予防として推奨している薬剤である。

ACP(米国内科学会)日本支部 年次総会2015 【1日目】

ビタミンD製剤を内服した上で、リスクの高い患者さんにはビスホスホネートなどを内服して頂いています。

(参考) 過去のブログ記事

ステロイドと骨粗鬆症

Glucocorticoid-Induced Bone Disease

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Dr.須藤の酸塩基平衡と水・電解質

By , 2016年4月19日 6:35 AM

Dr.須藤の酸塩基平衡と水・電解質 (須藤博, 中山書店)」を読み終えました。著者の須藤先生とは、米国内科学会日本支部総会で数度一緒に飲んだことがあります。

要点だけをまとめたコンパクトな本なのでポケットサイズになっていて、持ち歩くことも可能ですが、私はその中でも特に大事な部分を抜き出して、iPhoneのメモアプリに入れてあります。これまで輸液・電解質はあまり得意ではなかったのですが、本書を読んで知識がかなり整理されました。

前半は水と電解質の評価の話。高Na血症は Na過剰なのではなく水欠乏が本態である、とか、Na過剰でおきるのが浮腫である (浮腫の側からみると他にも鑑別はありますが・・・) など、病態の本質がクリアカットに解説されていました。それによって選択する輸液と量が決まってきます。

後半は酸塩基平衡の話。予想 PCO2で、winters formula, magic numberなどの式は初めて聞きました。

巻末に症例問題が付いています。”pH 7.45, PCO2 40, PaO2 100, HCO3- 25, Na 145, K 4.0, Cl 100″ を見て、「非常に重症」と思えない人は、是非本書で勉強しておいた方が良いと思います (解答は本書 p153)。

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