Category: 感染症

極論で語る感染症内科

By , 2016年5月3日 10:05 AM

極論で語る感染症内科 (岩田健太郎著, 丸善出版)」を読み終えました。

「極論」とは言っても、第一版から青木本を読んで育ってきた我々世代にとっては、感染症診療の原則そのものが書いてあるなぁ・・・という印象でした。最終章の HIV/AIDSは少しマニアックな感じがしましたけれども。

神経内科医としては、髄膜炎の章は是非読んでおくべきでしょう。細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014ではカルバペネムが推奨されるシチュエーションが多いですが、私は基本的に、岩田健太郎先生が書いているのと同じように、第三世代セフェム+バンコマイシン±アンピシリンで治療しています。カルバペネムの温存と、肺炎球菌のカルバペネムへの耐性化が進んでいることが理由です。本書には、JANISのデータで、5%弱の肺炎球菌がカルバペネム耐性であること、髄液検体だと 10%以上は感性でないことなどが書かれており、そこまで耐性化が進んでいるのかと思いました。あと、細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014では、MICの縦読みがされていることを私は気にしているのですが、そのことへの言及はありませんでした。実際、どうなんでしょうね。感染症の専門家の意見が聞きたいです。

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側頭動脈炎とVZV

By , 2016年4月29日 6:15 AM

2015年11月の JAMA Neurologyに、側頭動脈炎と水痘・帯状疱疹ウイルス (VZV) の関連を示した論文が掲載されました。

Analysis of Varicella-Zoster Virus in Temporal Arteries Biopsy Positive and Negative for Giant Cell Arteritis

「側頭動脈炎で、巨細胞性動脈炎の病理所見が得られなかった症例の 64%, 巨細胞性動脈炎の病理所見が得られた症例の 73%で VZV抗原が病理学的に証明された。正常の側頭動脈で VZV抗原が陽性だったのは 22%だった」という報告です。側頭動脈炎において、VZVが関連している可能性が強く示唆されました。著者らは、抗ウイルス療法をステロイドに追加すると有効かもしれないと推測しています。

もともと、VZVは血管障害を起こすことが知られているウイルスで、私も VZV感染に合併した脳梗塞症例の経験があります。昨年、JAMA Neurologyのこの論文を読んだ時は衝撃を受けましたが、言われてみれば納得できる話です。

最近これに関連した報告を知人に教えてもらったのですが、肉芽腫性動脈炎患者の大動脈で、11例中 11例に VZV抗原が検出されたそうです (非肉芽腫性動脈炎患者では 18例中 5例)。

Varicella Zoster Virus Infection in Granulomatous Arteritis of the Aorta


(2016.5.5追記)

最近、こんな報告も出たようです。知り合いがリツイートしていて知りました。

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入れる、締める、叩く!

By , 2016年4月10日 11:17 AM

以前、敗血症の定義が変わる話を書きました。簡単に触れただけでしたが。

敗血症の再定義

今回、週刊医学界新聞に、詳しい解説記事が出ました。書いたのは、知人の 2人です。

敗血症の新定義・診断基準を読み解く
2001年以来の改定で臨床・研究はどう変わるか

非常に勉強になる記事ですので、是非読んでください。敗血症研究の歴史、旧基準や新基準の問題点などを絡め、わかりやすく書かれています。

私は 2015年末に秋田県 (※お世話になった先生が勤める医師不足の病院に、毎月お手伝いに行っているのです。一人で全科当直してます。) で行った 4回の当直のうち、3回でショック患者の対応をしました。一人は旧基準での敗血症性ショック、二人目は消化管出血によるショック、三人目は慢性腎不全に鎮痛薬 (NSAIDs) を内服していたら腎不全が悪化し、カリウム保持性利尿薬の効果が強く出て、血清カリウム 7台というショックでした。

私のような神経内科医でも特にパニックになることなくショック患者の治療に当たれるのは、初期研修医の頃の指導医の言葉があるからです。

私は初めてショック患者を診た時、頭が真っ白になってオタオタしてしまい、他科の医師に助けられました。そのことを救命センターの指導医に告げたら、次の言葉を教わりました。

ショック患者を見たら、女を思い出せ!

「入れる (十分量の輸液を入れる)」

「締める/絞める (血管収縮薬を使う)」

「叩く (強心薬を使って心臓を働かせる)」

だ!

ショック治療の原則を押さえた、シンプルで非常に覚えやすい言葉です。女を思い浮かべて「入れる!締める!叩く!」。頭が真っ白になっても忘れませんね。とても有用なので、自分が指導医になって女性研修医を指導するときに、ニタニタしながらこの言葉を教えています。

順番も大事で、最初に「入れる」です。入れるだけで o.k. のことも多々あります。先に血管収縮薬や強心薬を入れると、心臓を空打ちさせて負担をかけてしまいます。女性も後 2つが先だと、入れさせてもらえな (自粛

もうワンランク上の診療のために、下記のブログ記事も読んでおきましょう。

Surviving Sepsis Campaign 2012 :日本語訳

敗血症のABCs② (循環、ショック治療)

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妊婦の尿路感染症

By , 2016年4月6日 6:14 PM

お手伝いに行っている診療所で、第三世代セフェムの経口薬であるメイアクトとフロモックスの採用を中止するようにしてもらっていたのですが、他の医師の指示で復活していました。このことを Facebookで書いたら、知り合いの医師が、「無いと困るやんけ!(ヤブ医の鑑別が困難になる)」とスパイスたっぷりのコメントを返してくださって、そのウイットに笑いました。

何故メイアクト、フロモックスの採用を中止するようにしてもらったかの説明は、下記を御覧ください。

  1. 経口三世代セフェムへの決別(フロモックス、メイアクト、トミロン、バナン、セフゾンなど)、もちろん経口カルバペネムも
  2. 「だいたいウンコになる」抗菌薬にご用心!(要会員登録)

すると、泌尿器科の知り合いがそれを見て、「メイアクトやフロモックスは膀胱炎治療のファーストチョイスとして良く使用します。何故ダメなんですか?」とコメントしてきました。ガイドラインでニューキノロン系薬剤と共に第三世代セフェムも推奨薬としてあることが根拠で、非妊婦ならニューキノロン (私だったら若者の単純性尿路感染症には ST合剤を使うことが多いですけれど・・・)、妊婦なら第三世代セフェムというプラクティスにしているようです。

JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―尿路感染症・男性性器感染症―

そこで、私は次のように答えました。おそらくこのガイドラインは、効くかどうかをアウトカムとして文献を解釈して作ったガイドラインです。実際に使うときには「耐性菌を防ぐ」ことも考えながら使いますので、単に効くかどうかより、もっと総合的に考えて適切な抗菌薬を選択することになります。「使ってもよい」というのと、実際に「使う」というのは違います。もう一つ、このガイドライン作成者の多くに製薬会社との利益相反があります。そのような場合、推奨薬剤を減らすことが難しくなります (ガイドラインに入っているかどうかで売上が凄く違うのです)。実際に、このガイドラインでは、第一選択、第二選択に多くの薬剤が入っています。

議論の中で、妊娠の可能性があってニューキノロン系薬剤が使えない場合、第三世代セフェムを使わないのなら何を選択するのか問われたので、下記のサイトをお伝えしました。

レジデントのための 日々の疑問に答える感染症入門セミナー〔 第8回 〕 ERに発熱した妊婦と授乳婦がやってきた!

とても勉強になるレクチャーです。施設や地域による耐性菌の割合の違いといった問題はありますが、アモキシシリンやアモキシシリン・クラブラン酸などが使いやすいところですね。あとこの他に、マンデルの教科書で「妊婦の細菌尿」の項目にセファレキシン (ケフレックス) という記載があることもお伝えしました。第一世代セフェムだと、一般的に「グラム陽性菌+PEK (Proteus mirabillis, E.coli, Klebsiella pneumoniae) のグラム陰性桿菌」にスペクトラムがありますが、大腸菌 (E.coli) が主体の膀胱炎とかだと、それをカバーしていて吸収も良く、スペクトラムも比較的 narrowなので選択肢に入ってくるのでしょう。

私は感染症の専門家ではないのですが、やりとりが勉強になったというコメントをあちこちで見かけたので、こちらに書くことにしました。

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ジカウイルス関連髄膜脳炎

By , 2016年3月11日 5:36 PM

ジカ熱が世界的な問題になっています。南米や東南アジア、オセアニアで流行している蚊が媒介する感染症です。感染が原因と考えられる小頭症の新生児の増加や、Guillain-Barre症候群などで、WHOがいくつものガイダンスを出しています。

Publications, technical guidance on Zika virus

2016年3月6日に国立国際医療センターでの勉強会で、忽那医師によるジカ熱の講演を聴いてきました。「ジカ『熱』というけれど、高熱は非常に少ない (デング熱やチクングニヤ熱では多い)」「患者さんは比較的元気」「皮疹で来院することが多い」「眼脂を伴わない眼球結膜充血が多い」「潜伏期間 10日以内」「デング熱やチクングニヤ熱を疑うとき、ジカ熱も疑う (流行地域もかぶる)」などというのがキーワードでしょうか。

2016年3月9日、New England Journal of Medicine (NEJM) にジカ関連髄膜脳炎の症例報告が掲載されました。神経内科医は知っておくべき論文です。簡単に要約しました。

Zika Virus Associated with Meningoencephalitis

症例は、81歳男性。ニューカレドニア、バヌアツ、ソロモン諸島、ニュージーランドを 4週間旅した 10日後に、ICUに入院となった。体温は 39.1℃で、神経学的に GCS 6点の意識障害、左片麻痺、右上肢麻痺、左 Babinski徴候を認めた。腱反射は正常だった。気管挿管し、人工呼吸器管理を行った。一過性の皮疹がその 48時間以内にみられた。

脳MRIでは、髄膜脳炎の所見を呈した。FLAIRで非対称性の皮質下高信号域、拡散強調像で虚血性病巣を思い起こさせるような多発高信号域があり、また、(FLAIRで) 右ローランド溝に髄膜炎でみられるような淡い高信号域があった (Figure 1)。CT angiographyでは、右脳梁縁動脈に不規則な狭窄を認めた。

髄液は day 1に行われ、髄膜炎を支持する結果だった。細胞数は 41 /ul (多核球 98%), 蛋白 76 mg/dl, 髄液/血清の糖比 0.75だった。入院時よりアモキシシリン、セフトリアキソン、ゲンタマイシン、アシクロビルが投与されたが、day 5に中止した。髄液での HSV, VZV, HHV6, JC virus, Enterovirus, 結核菌の PCR、クリプトコッカス抗原、ニューモコッカス抗原は陰性だった。血清学的検査では HIV, HBV, HCV, ボレリア, 梅毒は陰性だった。また、ANCAは陰性で、抗核抗体は 80倍で臨床的意義はなかった (supplement参照)。一方で、髄液のジカウイルス (ZIKV) PCRは陽性であり、ベロ細胞を用いた培養で髄液のジカウイルスが増殖した。これらの所見からジカウイルス関連髄膜脳炎と診断した。

意識障害の原因としててんかんが鑑別となったので、ICU入室時よりレベチラセタムが投与下ではあったが、脳波でてんかんを示唆する異常はなかった。気管挿管 24時間以内に自発的な覚醒がみられ、人工呼吸器はを day 2に離脱した。その時点で患者は覚醒していたが、視覚性および運動感覚性の幻覚を伴った妄想と、持続的な左上肢の麻痺 (2/5程度) がみられた。神経症状は特異的な治療なしで改善した。day 17に ICUを退室し、day 38には認知機能は完全に回復した。しかし、左上肢の麻痺 (4/5程度) が後遺症として残存した。

(参考)

Identification and management of Guillain-Barré syndrome in the context of Zika virus:ジカウイルスに関連した Guillain-Barre症候群の診断と治療についてのガイダンス (WHO, 2016.2.25)

Zika Virus as a Cause of Neurologic Disorders:小頭症、ギラン・バレー症候群について (NEJM, 2016.3.9)

Zika Virus Infects Human Cortical Neural Progenitors and Attenuates Their Growth:神経前駆細胞にジカウイルスを加えると、多くが感染~一部死滅するという基礎研究 (Cell stem cell, 2016.3.4)

Zika Virus Outbreak on Yap Island, Federated States of Micronesia:ジカウイルス感染症の臨床症状 (NEJM, 2009.6.11)

Guillain-Barré Syndrome outbreak associated with Zika virus infection in French Polynesia: a case-control study:ジカウイルス感染と Guillain-Barre症候群 (Lancet, 2016.2.29)

Zika virus and Guillain-Barré syndrome: another viral cause to add to the list:ジカウイルス感染と Guillain-Barre症候群 (Lancet, 2016.2.29)

デング熱:デング熱による神経症状

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抗菌薬関連脳症

By , 2016年2月24日 6:19 AM

2016年2月17日の Neurology誌に抗菌薬関連脳症についての総説が掲載されていました。

Antibiotic-associated encephalopathy

入院患者でこうした脳症をきたしたとき、抗菌薬関連脳症の存在を知らないと、例えば精神症状をせん妄として治療してしまうかもしれません。診断が遅れないように知識として持っておく必要があります。

著者らによると、抗菌薬関連脳症 (AAE) は 3つのフェノタイプに分けられるそうです。以下に要点を示しておきます。

① Type I

薬剤開始後数日以内に痙攣発作やミオクローヌスをきたす脳症。頭部MRIは正常で脳波異常がみられる。セファロスポリンやペニシリン系に多い。セファロスポリン関連脳症は、腎不全で多く報告されている。数日以内に改善する。GABAを介した抑制系のシナプス伝達の障害による易興奮性が原因と考えられている。

② Type II

通常開始後数日以内に精神症状、まれに痙攣発作がみられる。脳波異常は稀 (あったとしても、てんかん性というよりむしろ非特異的な異常) で、頭部MRIは正常、数日以内に改善する。プロカインペニシリン、スルホンアミド、フルオロキノロン、マクロライドに多い。ドパミンD2受容体やNMDA型グルタミン酸受容体を介した効果を示す薬剤 (コカイン、アンフェタミン、フェンサイクリジン) との類似性が指摘されている。

③ Type III

メトロニダゾールのみで出現する。薬剤開始後数週間以内に、しばしば小脳失調、まれに痙攣発作がみられる。脳波異常はまれで非特異的である。可逆性の MRI異常が小脳歯状核、脳幹背側部、脳梁膨大部にみられ、血管原性浮腫、細胞障害性浮腫を示す。病因的には、フリーラジカル形成やチアミン (ビタミンB1) 代謝と関連があるといわれている。

抗菌薬関連脳症

抗菌薬関連脳症

(参考)

バンコマイシン誘発振戦

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パレコウイルス

By , 2015年11月25日 10:06 PM

若者に原因のはっきりしない筋炎が流行したのを経験したことがあります。数年前にさいたまで外来をしていた頃で、その時は電気生理検査をしてくれた先生から「何らかのウイルスによる流行性の筋炎だと思う。たまに見かけるよ」と教わりましたが、何のウイルスが原因なのか気にかかっていました。

2015年10月頃、Idatenという感染症のメーリングリストに似たような筋炎の話題が流れ、パレコウイルスではないかと議論されていました。

先日、旧職場の先輩にその話をしたところ、「流行った年に山形の先生が学会で発表していたので、自験例についてアプローチしたことがあるよ。確か、山形の先生達は立派な論文を書いていたよ」と教えてくれました。論文は下記になります。勉強になりました。

Epidemic myalgia associated with human parechovirus type 3 infection among adults occurs during an outbreak among children: findings from Yamagata, Japan, in 2011.

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ALSと HERV-K

By , 2015年11月24日 6:26 AM

筋萎縮性側索硬化症 (ALS) は原因遺伝子が多く見つかってきていますが、遺伝子変異が同定されていない孤発性の方が圧倒的に多く、現時点では原因は未知と言って良いと思います。

2015年10月1日の Neurology Todayに、ALSの原因がウイルスなのではないかという説が掲載されました。

Latent Viral Genes May Reactivate in Some ALS Cases, Prompting Neurodegeneration

ヒトゲノムの 8%は数百万年前に感染したヒト内因性レトロウイルス遺伝子 (human endogenous retroviral genes;HERV)、いわゆる「ジャンク DNA」だと言われています。Wenxue Liらは、ALS患者 10名の脳で HERV-Kの転写産物が増えており、アルツハイマー病患者の脳ではそれがみられないことを指摘しました。そして培養細胞に HERV-Kを感染させると、量依存的に細胞毒性や細胞死がみられました。マウスモデルでも、進行する運動ニューロンの障害をきたし、50%のマウスは月齢 10ヶ月で死亡しました。HERV-Kの発現が ALSに関連した遺伝子でもある TDP-43によって制御されていることもわかりました。

本当であれば素晴らしい発見ですが、まだマイナーな説です。他の研究者らの追試の結果を待ちたいと思います。もしこれが正しければ、来年くらいには有名誌にたくさん似たような論文が掲載されるはずです。

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HPVワクチン

By , 2015年11月7日 5:04 PM

HPV (ヒトパピローマウイルス) ワクチンを接種した後に様々な症状を訴える患者が社会問題となっています。私は直接診療したことはありませんが、テレビなどで症状が映されるのを見ると、心因性の要素が強いのではないかと感じさせられることがあります。例えば、座位と臥位で不随意運動の周波数が違うことや、注意が他にいっているときに症状が弱くなることなどからです。親がかなり強固に症状を主張しているので、患者もその状況から抜けられなくなっている要素もあるかもしれません。

とはいえ、すべて心因性といえるかというと、それを証明するのは難しいですしょう。

私はどちらの可能性も含めてもう少しニュートラルに議論すれば良いのではないかと思うのですが、薬害というレッテルを貼ることで冷静な議論が難しくなっているのが現状ではないかと思います。母が子宮頸癌で苦しんでいる背中を見てきた私としては、ヒステリックな議論に引っ張られてワクチンを受けない選択をとる方々が増えているのを見るのは辛いところがあります。

そうしたなか、この問題に正面から取り組んでいる医師が話題になっています。非常に説得力のある文章なので、ぜひ一度読んでみてください。

あの激しいけいれんは本当に子宮頸がんワクチンの副反応なのか 日本発「薬害騒動」の真相(前篇)

子宮頸がんワクチン薬害説にサイエンスはあるか 日本発「薬害騒動」の真相(中篇)

子宮頸がんワクチンのせいだと苦しむ少女たちをどう救うのか 日本発「薬害騒動」の真相(後篇)

なお 2015年11月6日、欧州医薬品庁 (EMA) は HPVワクチンが複合性局所疼痛症候群 (CRPS) や体位性頻脈症候群 (POTS) の原因になるという根拠はないと結論づけたそうです。

Europe Concludes Syndromes Are Not Caused by HPV Vaccine

November 6, 2015 // Despite continued reports in the lay media of teenage girls developing various symptoms after human papillomavirus (HPV) vaccination, and also documented cases in the medical literature of two syndromes — complex regional pain syndrome (CRPS) and postural orthostatic tachycardia syndrome (POTS) — after such vaccination, an eagerly awaited review from the European Medicines Agency (EMA) has concluded that the “evidence does not support that vaccines cause CRPS or POTS.”

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誤嚥性肺炎と禁食

By , 2015年11月2日 5:58 AM

誤嚥性肺炎の患者に対しては、禁食、抗菌薬で治療するのが一般的かと思います。

しかし、逆に治療期間中、食事をさせた方が良いのではないかという論文が発表されました (2015年10月8日)。

Tentative nil per os leads to poor outcomes in older adults with aspiration pneumonia

抄読会で使用した資料に概要を纏めてみました (PDF)。

抄読会 Tentative nil per os leads to poor outcome in older adults with aspiration pneumonia

注意すべき点は、初期にきちんと嚥下評価をして経口摂取可能か判断していることと、呼吸不全の強い患者は除外してあることです。そのため、誤嚥性肺炎全てに経口摂取させようと勘違いされると危険ですが、一部の患者についてはこれまでと治療が変わってくる可能性があるわけですね。

まだ、マイナーな雑誌に掲載された論文一本にすぎませんし、limitationもいくつかありますので、今後の追試の結果を待ちたいと思います。

(参考)

propensity score 図解まとめ

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