Category: 感染症

Antiflu Arsenal

By , 2010年1月9日 8:08 PM

抗ウイルス薬ついての論文に挑戦的なタイトル。「アーセナル」なんていう単語を使っています。アーセナルって調べてみると、貯蔵武器とか武器庫なんていう意味なのですが、英国プレミアリーグのサッカーチームの名前でもあります。サッカーチームの「アーセナル」は、王立兵器工場ロイヤル・アーセナルの労働者たちによって結成されたのが始まりだからですね。

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家族へのインフルエンザ感染率

By , 2009年12月31日 10:56 AM

親友のはりやこしかわ先生が、Pandemic Influenza A (H1N1) Virus、いわゆる新型インフルエンザに感染してしまったらしいと連絡がありました。

彼の家族には、(私が婚約した?) 生後 11ヶ月くらいの赤ちゃんと、妻がいるので、うつらないか心配です。

何というタイミングか、家族への感染力がどのくらいなのか調べた論文が、昨日付の New england Journal of Medicineに掲載されていたのを見つけました。

 Household Transmission of 2009 Pandemic
Influenza A (H1N1) Virus in the United States

Background
As of June 11, 2009, a total of 17,855 probable or confirmed cases of 2009 pandemic influenza A (H1N1) had been reported in the United States. Risk factors for transmission remain largely uncharacterized. We characterize the risk factors and describe the transmission of the virus within households.

Methods
Probable and confirmed cases of infection with the 2009 H1N1 virus in the United States were reported to the Centers for Disease Control and Prevention with the use of a standardized case form. We investigated transmission of infection in 216 households — including 216 index patients and their 600 household contacts — in which the index patient was the first case patient and complete information on symptoms and age was available for all household members.

Results
An acute respiratory illness developed in 78 of 600 household contacts (13%). In 156 households (72% of the 216 households), an acute respiratory illness developed in none of the household contacts; in 46 households (21%), illness developed in one contact; and in 14 households (6%), illness developed in more than one contact. The proportion of household contacts in whom acute respiratory illness developed decreased with the size of the household, from 28% in two-member households to 9% in six-member households. Household contacts 18 years of age or younger were twice as susceptible as those 19 to 50 years of age (relative susceptibility, 1.96; Bayesian 95% credible interval, 1.05 to 3.78; P = 0.005), and household contacts older than 50 years of age were less susceptible than those who were 19 to 50 years of age (relative susceptibility, 0.17; 95% credible interval, 0.02 to 0.92; P = 0.03). Infectivity did not vary with age. The mean time between the onset of symptoms in a case patient and the onset of symptoms in the household contacts infected by that patient was 2.6 days (95% credible interval, 2.2 to 3.5).

Conclusions
The transmissibility of the 2009 H1N1 influenza virus in households is lower than that seen in past pandemics. Most transmissions occur soon before or after the onset of symptoms in a case patient.

まだ論文を全部読んでいませんが、斜め読みで概要を簡単に。

インフルエンザ感染者の家族が急性の呼吸器症状 (≒インフルエンザ) を発症する確率は、13%くらいです。18歳以下は 19~50歳の約 2倍のリスクでした。家族への感染率は過去の pandemicよりも低いようです。

論文中の表 (Table. 2) をみると、はりやこいしかわ先生の 0歳の娘が感染する確率は 約 25%, 30歳代の妻が感染する確率は約 10%となります。もちろん、どの程度の接触があったかとか、部屋の密閉性とかなどは影響するように思えますが。

また、接触してから発症までの平均中央期間は 2.6日 (95%信頼区間 2.2-3.5日) と言われてますので、接触してだいたい 4日くらいして発症してなければ安心して良いようです。

お大事にどうぞ。

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新型インフルエンザの疫学

By , 2009年12月24日 7:09 AM

感染症診療の原則-死亡率が低いのは-で紹介されていた論文です。

Epidemiological characteristics and low case fatality rate of pandemic (H1N1) 2009 in Japan

以前、私が新型インフルエンザ年齢別死亡率で紹介したようなことを更に詳細に行った研究です。インフルエンザに関する疫学的研究で、年齢別患者数、年齢別入院患者数、年齢別死亡率などのデータが示されています。また、海外との比較、季節性インフルエンザとの比較なども検討されています。

日本の治療成績が何故良いのか?抗ウイルス薬が寄与しているのかもしれないけれど、本当のところはわかっていません。抗ウイルス薬を初期から投与しても重症化が防げないケースがあることがわかっています。抗ウイルス薬が季節性インフルエンザの合併症を減らすかどうかは疑問視されていますし、新型インフルエンザの重症化を防ぐかどうかの根拠もそれほど強いわけではないのですね。

こうしたことを考えると、我々は「○○かもしれない」「○○の方が良いのではないかなぁ・・・」という判断を通じて、インフルエンザと戦っているのだと実感します。まさに試行錯誤ですね。

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ペラミビル

By , 2009年12月19日 7:18 AM

ペラミビルがついに発売になりそうです。

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カルバペネム

By , 2009年12月19日 6:10 AM

岩田健太郎先生のブログにカルバペネムのまとめがありました。面白かったので紹介。

楽園はこちら側-カルバペネムのまとめ-

ついでに、もう一つ、過去の勉強になるエントリーも紹介。

楽園はこちら側-透析療法と感染対策-

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twice

By , 2009年12月13日 10:56 AM

11月15日に季節性?というエントリーを書きました。A型インフルエンザに罹患後、1ヶ月後に再度インフルエンザA型が陽性になった患者を診察したときの話です。その時は、新型と季節性、各1回ずつ罹患したのかなと思ったのですが、どうやら新型インフルエンザに 2度罹患することがあるらしいという話が出てきています。

感染でも発症しない例確認=新型インフル、2度発症も-大阪府立公衆衛生研調査

大阪府内で5月、新型インフルエンザの集団感染が確認された関西大倉中学・高校の生徒を対象にした血清疫学検査で、府立公衆衛生研究所は11日、ウイルスに感染しながら症状が出ていない「不顕性感染者」が確認されたと発表した。
検査は8月下旬、生徒550人、教職員95人、生徒の家族2人の計647人を対象に実施。ウイルスに感染もしくは疑いが強い、高濃度(抗体価160倍以上)の抗体量を示した98人のうち18人(18.4%)に発熱、せきなどの症状がなかった。
また検査後に発症した108人のうち、高濃度の抗体を持つ人は3人おり、発症が1度にとどまらない可能性もあることが判明した。
同研究所は「(年齢層に偏りがあるため)必ずしも一般化できない」としながらも、「季節性インフルエンザと似ている」との見解を示している。(2009/12/11-22:35)

Idatenという感染症専門メーリングリストでも同様の報告がされており、今後の動向が注目されます。

新型インフルエンザに同年に再感染することがあるのなら、ワクチンを接種したにも関わらず感染することがあるのも納得出来ます。まぁ、2回新型インフルエンザに感染すれば、よっぽど強い免疫の「記憶」が出来そうですけどね。

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新型インフルエンザ年齢別死亡率

By , 2009年12月2日 5:58 AM

小名浜生協病院館山政美先生のサイトで、インフルエンザ年齢別感染率、死亡率が掲載されています。わかりやすくまとめられているので、是非ご覧ください。

Dr. Tateyama Penguin Homepage -年齢別感染率 死亡率-

実際にデータを見ると、老人はかかりにくいけど、比較的重症化しやすいことがわかります。インフルエンザに感染して死亡した場合、すべてインフルエンザが死亡原因とは断定できませんが、80歳以上で感染した場合 10000人中 3.6人が亡くなるというデータは、急変リスクを考える上で一つの目安になります。

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USMLE study songs

By , 2009年11月27日 8:19 AM

某 MLで紹介されていた歌ですが、面白かったです。

・USMLE Study Songs – Streptococcus Pneumoniae

他にも色々と study songってあるんですね。流行のインフルエンザとか・・・(こっちは季節性です)。

・USMLE Study Songs – Influenza

私は英語が苦手なので、歌詞を聞き取れないのですが・・・。

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インフルエンザ脳症調査結果第2報

By , 2009年11月21日 1:48 PM

国立感染症研究所より、インフルエンザ脳症調査結果第2報が出ています。

MRIで所見があるのが 約 30%にしかすぎないんですね。もっと所見が出るものだと思っていました。治療はステロイドパルス療法が基本のようです。60例中 3例が亡くなっており、治っても後遺症を残すことがあるようです。

小児科医、神経内科医は目を通しておかないといけないニュースだと思います。

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インフルエンザ脳症

By , 2009年11月19日 6:45 AM

11月 28日の神経学会関東地方会で新型インフルエンザ脳症の症例報告があります。

かつて松本サリン事件の症例報告が神経学会でなされたことがありましたが、その際は学会場に人が入りきれなくなり、マスコミも大勢かけつけていたという話を聞いたことがあります。

今回も人だかりとなる予感。何とか時間を見つけて行ってみたいと思います・・・と思ったら当直だ!しかも連直中。行った人に話を聞くに留めます。

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