Category: 医療問題/その他
Japanese M.D. in New York
週報の Nature, Science誌はこまめにチェックしないくせに、バミュ先生のブログは毎週チェックするオーレ。
日本の産婦人科医が、妻のアメリカでの出産を体験中。ほぼリアルタイムで書かれています。
父親になりかけの産婦人科医 4
一度も医者に会わないうちに
診察が終わった。(略)
数日後に
病院から郵便物が届いた。医療費の請求書だった。
その額は
4500ドルだった。
いくつかのトラブルに見舞われているようで、上手く乗り越えられるよう、祈るような気持ちで読んでいます。
アメリカでの出産
2週間前に紹介した、産婦人科医バミュ先生の奥様の妊娠の件、結構大変なことになっているみたいで・・・。アメリカの医療はやっぱりカネがかかるんですね。日本の出産の 5~10倍くらいが相場のようです。
Japanese M.D. in New York がんばろう日本-父親になりかけの産婦人科医 3-
NYでは
全額自費の場合
妊婦検診から分娩まで
3万ドルから5万ドルかかる
そうだ。5万ドルなんて
どうやって払えばいいのか
検討もつかない。母体と胎児の事だけを考えていたら
そこに
保険の心配事も加わった。
救命
「救命 東日本大震災、医師達の奮闘 (海堂尊監修, 新潮社)」を読み終えました。被災した、或いは震災直後から現地に乗り込みボランティアをした九名の医師が体験を綴っています。先日紹介した「石巻赤十字病院、気仙沼市立病院、東北大学病院が救った命」という本が病院に所属する医師としての目線だったのに対し、こちらは個々の医師としての目線で書かれています。津波で病院の屋上まで避難しそこで患者さん達と一晩を過ごした医師、「(酸素)ボンベの切れ目が命の切れ目」という現実、その中でそれぞれが震災を必死で生き、職務を全うしている姿が伝わってきました。
歯科医江澤庸博先生の章での「(身元確認の資料として)デンタルデータベースを作ってはどうか」、川越一男先生の章での「(震災後に無線が混乱して情報伝達が出来なかったので)テレビのアナログの周波数帯に医療の専用チャンネルを作ってはどうか」といった提言は、次に起こりうる関東、南海での大震災に備える上で重要だと思います。
震災以外にも、興味を引く話がありました。震災前既に平成24年3月31日での退職が決まっていた田老診療所の黒田仁先生の、退職が決まるまでの市とのゴタゴタです。黒田先生は外来60人/日、入院患者10名、訪問診療、老人ホームを担当し、休日は第三土曜日の28時間のみ。7時過ぎ~23時頃までの勤務に加え、夜間の呼び出しもある職場で身を粉にして働いていました。医師二人体制を目指して作られた診療所だったのに、黒田先生が一人で何とか支えていたのです。なのに宮古市議会では「現在、市の診療所の医師数は充足しておりますが・・・」とした市長の答弁があり、一方市の医師募集サイトではこの診療所への募集をしていなかった、こうした市の姿勢に心が折れたのだそうです。医師が去る地域がどういう地域なのか垣間見た気がしました。そしてこうした地域で働く医師がどんな気持ちで働いているかも少しわかりました。
色々な意味で、読んでみて頂きたい一冊です。
「ヨーロッパの病院食」後記
過去10回に渡って、ヨーロッパの病院食を紹介してきました。情報は、写真が掲載されている個人のブログを中心に集めましたので、ブログを書かれた方の病状、病院の規模などによって違ってくることは容易に想像されます。
ただ、それらを勘案しても、日本の病院食は素晴らしいなと感じました。医師には、検食が義務づけられていて、当直先では患者さんと同じ物を食べています。私は 10カ所以上の病院で検食をしてきて、不味くて嫌な経験をしたことがありません。というか、当直するときは検食は楽しみな仕事の一つです(15年以上食べ続けているコンビニ食から離れるチャンスだし・・・)。決められた予算の中、栄養を考え、365日食事を作り続けてくださるスタッフには、本当に感謝ですね。
今回、こうして情報を集めていてわかったことは、福祉が充実しているとされるヨーロッパでも、患者さんがかなりの我慢を強いられていることで、日本以上のサービスがヨーロッパだから供給されるわけではありません。また、食事に満足している方は、それなりに金のかかる病院に入院している事が多い傾向にありました。私が紹介したブログ達の、病院食以外の部分も読んで頂ければ、ヨーロッパの医療の生の姿が伝わってくるのではないかと思います。例えば、大部屋は日本独自のシステムなのかと思っていましたが、ヨーロッパでも珍しくないということは、色々なブログを見て初めて知りました。
情報に関しては、病院食の写真が載っているサイトを出来るだけ網羅したつもりですが、いくつか漏れがあるかもしれません。参考になるサイトなどありましたら、コメント欄などで教えて頂ければ幸いです。
ヨーロッパの病院食-北欧編-
「ヨーロッパの病院食」もいつの間にやら十回目。今回は社会福祉が充実しているとされる北欧からです。残念ながら、ノルウェーとフィンランドの病院食が載ったブログは見つけられませんでした。色々探す過程で、フィンランドの病院食からネズミの頭というニュースを見つけびっくりしました。
フィンランドの病院食、温野菜の中から「ネズミの頭」
2008年 01月 27日 12:27 JST
[ヘルシンキ 26日 ロイター] フィンランド東部の病院が入院患者に出した食事の中にネズミの頭部が混入していたのが見つかった。病院の管理責任者が26日に明かした。
病院食として出された温野菜にネズミの頭が入っているのを、食事を出された男性患者が発見。この患者は食欲を失ってしまったという。
ネズミの胴体部分は見つかっておらず、調理に使われた袋入りのベルギー野菜にネズミの頭部だけが入っていたとみられている。
<スウェーデン病院食>
・スウェーデンで天使ママ-スウェーデンの病院食 8.13-8.22-
・スウェーデンで天使ママ-スウェーデンの病院食・その2 7.24~8.2-
・LIVING ROOM-入院
・LIVING ROOM-病院食第一弾-
<デンマーク病院食>
・丁抹よろず帖-病院食-
ヨーロッパの病院食-ポーランド編-
「ヨーロッパの病院食」の第九回。今回はポーランドを紹介します。病院食の画像はほとんど見つけられなかったのですが、資金不足で病院食がほとんど出なくなったニュース (2005年) を紹介しておきます。
ポーランド政治・社会情勢(2月16日~22日)
2.医療現場の苦難
資金不足が深刻な公立病院では、医療現場の荒廃が指摘され、給与不足による診療制限、診療所の閉鎖、不良機器の修理・買替えの遅れ、医師・看護婦の志気低下、薬品関連の犯罪などが目立ってきている。2月17日付FAKT紙は、病院の悪現象のワースト6を上げた。
①賄賂-例:心臓診療に正規料金外に数千plnを要求された。
②長大な診療待ち行列-例:自動車事故での腎臓障害治療に2ヶ月待たされ、悪化。
③誤診の頻発-例:扁桃腺除去で、アレルギーを無視した手術が行われ、5才児童が死亡
④劣化医療機器の使用-例:故障したままの放射線照射で火傷
⑤低所得者層に高額な薬品-例:月800zlの年金で心臓薬毎月100plnの負担
⑥入院条件の悪化-例:病院食がほとんど出ず、家族が毎日差し入れ
ヨーロッパの病院食-オーストリア&ハンガリー&チェコ編-
「ヨーロッパの病院食」の第八回。旅行雑誌などで纏めて取り上げられることの多い三国を紹介します。
ちなみに、オーストリアに関しては消化器外科ナーシング 15巻5号 (2010) のp.428-428に「ドクター丸山がいく!世界の病院食探訪 Returns オーストリアの田舎町キットゼーの病院食は4 段階」という論文があるようです。
<オーストリア病院食>
・家ごはん 「お試しあーれ!」-ルドルフィーナ病院(ウィーン)の病食事情-
・Kohei写真記録-オーストリアの病院-
<ハンガリー病院食>
・よーなぽとinハンガリー-お食事編@ブダペスト公立病院- (このブログ、母乳が売れるというエントリーも面白いです)
・生きていてよかったー交通事故顛末記
<チェコ病院食>
・こにくのプラハの街角から~Ahoj!-入院してました-