Category: 医学一般

喀痰の吸引

By , 2012年2月28日 8:11 AM

2012年4月1日から、介護福祉士や介護職員が喀痰の吸引をできるようになります。しかし、この資格を取得するのに、実習以外に 50時間の講義を聞かないといけないようです。個人的には、2日間くらいで全て終わるようにしないと、参加に躊躇する介護職の方が多いと思うのですが・・・。一方で、これから介護福祉士を目指す方の場合は、養成課程で資格を取得できるようです。

多くの神経疾患で、喀痰の吸引を必要とするだけに、気になる制度です。

平成24年4月から、介護職員等による喀痰吸引等(たんの吸引・経管栄養)についての制度がはじまります。(PDF)
厚労省:喀痰吸引等(たんの吸引等)の制度について

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もう膠原病は怖くない!

By , 2012年2月23日 7:44 AM

神経内科医をやっていると、膠原病は比較的目にします。「何らかの神経障害があって、膠原病を疑って膠原病科医にコンサルト」というパターンが多いです。

しかし、神経障害以外の部分の知識不足は否めません。学生時代に勉強した教科書的な知識は年月と共にどんどん抜けていきますし、学問もどんどん進歩していきます。

そんな中、臨床医にとって非常に役立つ話をわかりやすく解説した連載を見つけたので、紹介します。

もう膠原病は怖くない! 臨床医が知っておくべき膠原病診療のポイント

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エルゼビア

By , 2012年2月22日 7:37 AM

エルゼビアという会社があります。科学雑誌を発行する最大手の雑誌社です。

ところが、この会社、過去に兵器取引という副業があり、問題視されていました

今回、別の問題で反エルゼビア運動が起きているようです。

欧米圏で“学術の春”運動始まる、電子ジャーナル出版大手Elsevierに対し学者たちのボイコット運動が急拡大

【編集部記事】英The Economist紙によると、欧米圏の学者たちを中心にオランダの電子ジャーナル出版大手Elsevier社(本社:オランダ・アムステルダム市)のボイコット運動が急拡大している模様。

記事によると、発火点となったのは米国下院の委員会において昨年末から策定作業が始められたResearch Works Act法案。この法案は、アメリカ国立衛生研究所のオープンアクセス論文サイト「PubMed」を実質停止させることを狙った法案で、米国の出版社団体AAPや学術ジャーナル出版界などが後押ししている。これが引き金となり、1月21日にフィールズ受賞数学者であるCambridge大学Timothy Gowers教授がElsevier社からの出版をボイコットすることをブログ上で宣言。あっという間に欧米圏の主要大学に飛び火し、約3,900名(本稿執筆時点)の研究者がボイコット活動に署名する事態となっている。

The Ecomonist紙はこれをArab Spring(アラブの春)になぞらえて、Academic Spring(学術の春)運動と命名。ネット上で今後ますます拡大し続けるだろうと予想している。【hon.jp】

記事中にある、基礎研究者や臨床医が文献検索をするのに最も多く使用する Pubmed実質停止は、もし現実になれば影響力が大き過ぎますね。Research Works Act法案が通るかどうか、非常に気になります。Elsevierボイコットの背景には、出版業者が後押しするこの法案のみならず、雑誌の値段が高いことなどもあるようです。

この問題、研究者にとっては目が離せませんが、末端の研究者の本音を言うと、「Elsevierだろうがなんだろうが、とにかく論文を acceptしてください」。ボイコット出来るくらい、実力があれば良いのだけれど・・・ orz

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48

By , 2012年1月21日 11:48 AM

誰かがやるとは思っていたけれど・・・。

 群馬大:「酸化ストレス」可視化に成功

群馬大の岩脇隆夫講師(分子細胞生物学)らの研究チームが、体内の活性酸素が細胞などに損傷を与えて起きる障害「酸化ストレス」を光で確認できるマウス実験に成功した。老化やがん、生活習慣病の一因とされる障害で、岩脇講師は「長期的な実験が可能になり、予防・治療薬開発に役立てられる」と話している。生きたマウスでの可視化は世界初で、19日付の英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」(電子版)で発表された。

群馬大によると、ホタルの発光遺伝子を使って、酸化ストレスの患部が光る人工遺伝子を作り、マウスに組み込んだ。そのマウスと通常のマウスの両方に酸化ストレスを引き起こす薬を投与、前者のみ体内が発光することを確認できたという。48パターンの実験を行ったことから、人気アイドルグループ「AKB48」にちなみ、人工遺伝子を「OKD48」と命名した。【鳥井真平】

そのうち Anti-protein kinase binding protein antibodyとかを 48kDaくらいで発見して、”AKB48″とか名づける研究者は出るだろうと思っていたけど、こんな力業とは思いませんでした orz

ちなみに、論文はこちらです。

A transgenic mouse model for monitoring oxidative stress

>To facilitate in vivo analysis, we developed an indicator for oxidative stress in living cells, named OKD48 (Keap1-dependent Oxidative stress Detector, No-48). Here, we describe the specificity and sensitivity of OKD48 as an oxidative stress indicator, and the usefulness of OKD48 transgenic mice.

Keap1-dependent Oxidative stress Detector, No-48が正式名称らしいですね。

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文字の脳科学――過去・現在・未来

By , 2012年1月15日 11:25 AM

素晴らしい内容ですね。岩田先生の言葉には、いつも感銘を受けます。

文字の脳科学――過去・現在・未来

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プロテアソーム阻害薬

By , 2012年1月14日 10:57 AM

私が研修医の頃、多発性骨髄腫に対する有効な治療はほとんどありませんでした。ところが、プロテアソーム阻害薬 bortezomib (商品名:ベルケード) が出現し、予後は大きく改善しました。とはいえ、プロテアソーム阻害薬には、末梢神経障害、血球減少、消化器症状といったいくつもの副作用があります。また、長期の使用により腫瘍が薬剤に対して耐性を獲得するようになります。そこで、次世代のプロテアソーム阻害薬に期待が集まっています。

次世代プロテアソームについて、Nature medicine 2012年 1月 6日号に特集していたので、簡単に紹介します。

 Next-generation proteasome blockers promise safer cancer therapy.

・carfilzomib
プロテアソームの作用に対する選択性が高く、オフターゲット効果も少ないようだ。第二相試験、第三相試験の結果では、bortezomibに比べて、より有効で副作用が少ないようだ。しかし、bortezomibとは違ってプロテアソームに不可逆的に結合するため、より毒性が強い可能性があり、長期間での安全性はまだ保証されていない。一方、肺癌や腎癌、卵巣癌といった他の癌への適応拡大が期待されている。

・MLN-9708 / ONX-0912
プロテアソーム阻害薬は点滴投与が必要なので、より治療しやすい経口薬の開発が進んでいる。

・その他
第3世代と呼ばれるプロテアソーム阻害戦略が研究中されている。2011年に Nature Medicineに報告された薬物 b-AP15は、20Sプロテアソームの活性中心ではなく、19Sプロテアソームを阻害する (※通常プロテアソームと呼ばれる蛋白質は、26Sプロテアソームを指し、19S, 20Sプロテアソームから構成されている。くわしくは Wikipedia「プロテアソーム」参照)。細胞実験レベルでは、これまでの薬剤より癌殺傷効果が高いとされている。

(補足)
b-AP15は、ユビキチンC末端加水分解酵素及びユビキチン特異的ペプチダーゼ14を阻害する。急性骨髄性白血病動物モデルでは、臓器浸潤を抑制した。

ユビキチン・プロテアソーム系は神経変性疾患に大きく関係しているとされているので、こうした薬剤が長期的にどういう副作用を起こすか、関心のあるところです。

また、既知の副作用として末梢神経障害を起こすので、神経内科医にとって、知識のアップデートは欠かせないところだと思います。

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一酸化炭素中毒

By , 2012年1月10日 7:53 AM

救急当直をやっていると、一酸化中毒の方を診療することが時々あります。

印象に残っているのは、ワカサギ釣りで密閉された空間でランタンを使っていて発症した方です。不倫の二人が搬送されてきて、奥様には状況を隠して説明して・・・などと色々ややこしかった記憶があります。

最近、こんなニュースがありました。

宿泊客3人が頭痛や吐き気 鶴の湯温泉

7日午後11時ごろ、仙北市田沢湖田沢の乳頭温泉郷「鶴の湯温泉」(佐藤和志社長)で、宿泊客の女性3人が頭痛や吐き気を訴え、市内の病院に搬送された。仙北署によると3人とも命に別条はなく、回復に向かっているという。

同署によると、3人は同7時ごろ、炭火がたかれたいろりのある客室で夕食を取っていた時から体調不良を感じていたという。同11時ごろに連絡を受けた同温泉が119番した。仙北署は一酸化炭素中毒の疑いもあるとみて原因を調べている。

3人は都内の40歳と30歳、神奈川県の25歳。同日午後5時半に同温泉にチェックインした。

(2012/01/08 12:00 更新)

一酸化炭素中毒のリスクが高い環境では、警報装置の設置を考慮すべきです。ネットでは様々な危機が販売されていますが、特に飲食店へは 東京ガスが無料警報装置を提供しているそうです。

(参考)
「まさか」と思う状況で発生する一酸化炭素中毒の怖さ こまめな換気と的確な情報伝達が二次災害も予防する

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思想から語る

By , 2012年1月8日 8:49 AM

ある高名な神経内科医の文章を過去に紹介しました。

論文捏造疑惑

同じ先生が、ある難病に対しての率直な思いを書いています。色々考えさせられる文章ですので、是非読んでみて下さい。

思想から語る「慢性疲労症候群」
※本論とは関係ありませんが、慢性疲労症候群における XMRVの Science論文は撤回されていることを付記しておきます (下記参照)。

Again: No XMRV-Chronic Fatigue Link

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研修医がエイズになるとき

By , 2012年1月6日 6:17 AM

某病院の感染症科の先生に教わった読み物ですが、哀しすぎる現実がそこにはありました。

研修医がエイズになるとき

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謹賀新年

By , 2012年1月1日 12:05 PM

明けましておめでとうございます。今年もよろしく御願い致します。

元日に Twitterで 科学雑誌 “Cell” が縁起の良い論文を紹介していました。2009年の論文です。

Happyhour, a Ste20 Family Kinase, Implicates EGFR Signaling in Ethanol-Induced Behaviors

アルコール使用障害 (アルコール依存症など) に関わる遺伝子のスクリーニングをショウジョウバエで行い、”Happyhour遺伝子”を同定しました。この遺伝子は哺乳類の Ste20 family kinaseと強いホモロジーがあるそうです。

Happyhourの役割についてですが、ショウジョウバエでは EGFR signalingがエタノール感受性に関係があり、Happyhourはこの経路を阻害するらしいです。

それにしても Happyhourって、恰好イイ名前ですね。

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