一般の方への風邪講座
nikkei TRENDYnetに『見分けて治す! 「本当のカゼ」と「カゼに似た病気」』という記事が掲載されました。一般の方が読んでもわかりやすいように書いてあります。知り合いの医師に、著者がどんな方か聞いたところ、非常に優秀な先生なのだそうです。
我々は平均して年に数度風邪を引きます。いざ風邪を引いてしまった時のために是非読んでおくことをオススメします。
nikkei TRENDYnetに『見分けて治す! 「本当のカゼ」と「カゼに似た病気」』という記事が掲載されました。一般の方が読んでもわかりやすいように書いてあります。知り合いの医師に、著者がどんな方か聞いたところ、非常に優秀な先生なのだそうです。
我々は平均して年に数度風邪を引きます。いざ風邪を引いてしまった時のために是非読んでおくことをオススメします。
「細胞夜話 (藤元宏和著、mag2libro)」を読み終えました。培養細胞の開発秘話、名前の由来、研究のこぼれ話など、非常に興味深かったです。
この本は、GEヘルスケアジャパンのバイオダイレクトメールに記されていた内容をまとめたものです。私は本の方が読みやすいので本で読みましたが、同じ内容が webでも公開されています。
専門的な知識をそれほど必要としない読み物です。興味のあるかたは上記リンクからどうぞ。
takのアメブロ 薬理学などなど。-ヒトゲノム解読4万円時代はもうすぐ?米国では賞金1千万ドルのゲノム決定コンテストがスタート予定-
ゲノム関連の技術の進歩はすさまじいものがあります。一昔前、Sanger法が開発されて楽に読めるようになってきたかと思えば、超高速シークエンサーの登場で、年々解読時間が短縮されています。
以前のブログに書きましたが「ヒトDNA 30万塩基を1回読むのにかかる時間は、1996年の機械で約 5000年、2002年の機械で約 5年。ところが2006年に超高速シークエンサーが登場し、2006年に約 15日、2007年に約 6日」となっています。
コストについては、2009年に 40万円というのがニュースになったくらいなので、現時点ではまだまだ高いと思います。しかし、細胞工学誌の 2011年 8月号に「数年以内にはナノポアなどの長鎖/超高速/低ランコストシークエンシングのためのさらなる新技術が控えており、特に GnuBio社や Halcyon Molecular社の DNAシークエンサー、IBMがロシュと共同で開発を進めている DNAトランジスターは数千~数万円程度で全ヒトゲノムを解読できる潜在力を有している (p791)」とあります。2014年にこのコンテストの結果が出てしばらくする頃には、こうした検査が一般人の手に届く時代となっているかもしれません。
言うまでもないですが、遺伝子は究極の個人情報ですから、扱いは非常に大事です。もし私が下記にあるような遺伝子を持っていることが周囲に知れたら・・・
・男性が浮気をする原因となる遺伝子を発見か?
・男性の早漏、原因は遺伝子の異常の可能性大。しかも遺伝する
・女性の浮気は遺伝子のせい
以前、ペースメーカー挿入患者に対する MRI検査について、ちらりと触れたことがありましたが、前向きで行った興味深い研究がありました。
葦の髄から循環器の世界をのぞく-ペースメーカー使用者へのMRI-
機種と設定次第では安全に行うことができそうですが、一般臨床の現場で用いられるには、クリアしなければならない問題が多そうです。MRI対応ペースメーカーの開発も注視していきたいところです。
以前、「診察のとき子供を泣かせない技」で紹介したブログですが、管理人の方が震災の時にどのように過ごしていたかが最近更新され、胸が締め付けられるような思いで読みました。是非ご覧下さい。
10月3日にノーベル医学生理学賞の発表がありました。公式サイトでは中継もされていたようです。
日経サイエンス2011年11月号では、ノーベル医学生理学賞予想として、山中教授や審良教授の特集を組んでいましたが、どちらも受賞せず残念な結果に終わりました。特に審良教授は、今年の受賞分野(自然免疫)でのパイオニアだったのに落選し、本当に残念。今年を逃したと言うことは、今後の受賞は厳しいかもしれません。来年、iPSの山中氏、オートファジーの大隅氏、プロテアソームの田中氏、スタチンの遠藤章氏などを期待したいです (自分の趣味で候補を挙げてますが・・・)。
(P.S.)
①今回の発表を見ながら、昨年旅行でカロリンスカ大学に行ったのを思い出しました。カロリンスカ大学は、ノーベル医学生理学賞を決める場所です。病院前のバス停の直ぐ傍から墓地が広がっていたのが強烈な記憶となっています。
②日経サイエンスで審良氏のびっくりするエピソードがあったので紹介しておきます。ほぼ泊まり込みで実験を続ける研究者も多い中、天才ってのは違うんですね。
日経サイエンス 2011年 11月号
2003年に武田医学賞を受賞したとき、夫人(故人)は関係者からこう聞かれた。「夜遅くまで帰ってこないし、土曜日曜の休みもない。研究者の奥様は大変でしょう」。すると夫人は「いいえ、主人はいつも午後 5時頃には帰ってきます。土日もだいたい家にいます」と答え、驚かれた。審良は「学生時代は午後 7時か 8時までいた」と苦笑するが、それでも早い。
③昨年紹介した、ノーベル医学生理学賞の動画が、面白いので再掲します。ただし、基礎知識が多少必要です (^^;
「最終講義 (坪内祐三解説、実業之日本社)」は高名な学者達の最終講義をまとめたものです。そこに収録されている講義のうち、沖中重雄教授による「内科臨床と剖検による批判」の章を読みました。
講義は剖検の重要性についてから始まります。そして、どのようなときに剖検を受諾されやすく、どのようなときに断られやすいかが述べられます。例えば剖検を承諾した理由として、欧米では死因を知りたい、病気の知見を他人に役立たせたいというのがほとんどで、医師への謝意と答えた人は 3%しかいないそうですが、日本では医師に対する謝意が重要な役割を果たしていることが示されます。実際、入院期間が長く医師との人間関係が構築される方が剖検率は高くなるそうです。
各論では、それぞれ領域における誤診率と、いくつかの例が示されています。ただしこれらの誤診率はかなり厳しい基準によるものです。第一の基準は臓器の診断を誤ったもの、第二の基準は臓器の診断は正しいけれども病変の性質の誤診、第三は悪性腫瘍に関するもので原発巣の診断を誤った場合、とされています。以下、簡単に要約してみます。
1. 神経疾患
82例のうち 15例の誤診例があり、18%の誤診率である。脳腫瘍を血管障害、炎症性病変と誤診したものが多かった。
2. 循環器疾患
55例中 7例で 12.7%の誤診率。動脈瘤に関する誤診が多かった。
3. 腎臓疾患
60例中 7例で、11.6%の誤診率。腎盂腎炎、腎癌に関するものが多かった。
4. 肺疾患
77例中 13例で 16.8%の誤診率。肺癌の見落としが多かった。
5. 血液疾患
118例中 12例で 10.1%の誤診率。悪性リンパ腫と白血病の誤診が多かった。
6. 消化器疾患
126例中 15例で 11.8%の誤診率。胃癌の見落としが多かった。
7. 肝・胆道疾患
106例中 20例で 18.8%の誤診率。肝硬変に合併した小肝癌の見落とし、転移性肝癌と診断したものが原発性肝癌であったもの、肝癌と診断したものが胆道癌であったものなど。
8. 膵臓疾患
17例中 7例で 41.1%の誤診率。膵頭部癌がほとんどだった。
9. 感染症・膠原病
60例中 10例で 10%の誤診率。放線状菌性髄膜炎→多発性根神経炎、クリプトコッカス髄膜炎→結核性髄膜炎、全身性結核性病変・内分泌器官の病変→非定型エリテマトーデス、全身性汎血管炎→Hodgkin病疑いなどの誤診があった。
10. その他
49例中 5例で 10.2%の誤診率。Sheehan症候群など。
これらをみると、画像診断を始めとする診断技術の未発達な時代に、すごく低い誤診率であると思います。病歴、診察所見、限られた検査所見でここまで診断をつけていたことに敬服します。逆に我々は画像診断学の発達した社会にいますが、それによって生まれた疾患概念も多くありますので、ピタリと診断を当てるのはいつの世も難しいことに変わりはありません。内科医がずっと追求していかないといけないことです。
この講義のまとめの部分「書かれた医学は過去の医学であり、目前に悩む患者のなかに明日の医学の教科書がある」は重い言葉です。胸に抱いて日々の臨床、研究を行いたいと思います。
そういうふうないろいろなことを考えますと、診断というものがいかにむずかしいものであるか、こういうことを自分としては経験するほど、そのむずかしさを感じます。簡単にみえる症状の病気を診る場合でも、かえって診断に対して非常な恐怖心をいだき、むずかしいなにかがそこに潜んでいるかという心配をいたしますので、臨床というもののむずかしさをますます感じているというのが現状であります。
それにしても平凡なことですが、いつも正確な既往歴 Anamneseをとる、これをなんべんも読み返すことが大切です。それから、これは学生諸君にとくに申しあげるのでありますが、精細な臨床検査、ことに bed sideでの緻密な観察、検討というものをたえず怠ってはならないと思います。同一の患者を診る場合にも、毎日新しい患者を診る気持ちで観察していかなければなりません。
なにもむずかしい検査をいつもする必要はないのですが、少なくともそれに頼る前に、頭と目と手で簡単な検査道具を使って、よく患者を診ることがいつも大切です。
病理でやってもらえばわかるんだ、外科であけてもらえばわかるんだ、そういう安易な気持ちは、われわれ内科医としては夢にももってはいけないとわたくしは思います。あくまでも自分で考えて、それで診断をしていく。学生諸君に先輩として、わたくしはそういうことを申しあげるのであります。よく考える医師になっていただきたいのです。
時間もそろそろまいりましたので、この非常に平凡な結論になりまして、先輩・同僚の各位にとりましては誠に申しわけのない話しになりました。しかし学生諸君にとりましては、なにがしかの教訓になったことと、わたくしは教師として、また先輩としてそう信じております。
自分は、なお元気でございますので、将来とも自分の経験知識をできるだけ活かして進んでいきたいと思いますが、どうか次の時代をになわれる学生諸君、若い方々に、こんごの勉強をお願いし、大成を祈ってやまない次第でございます。
ここで、わたくしはこの「最終講義」を終わりにしたいと思いますが、最後に一言、学生諸君に申しあげておきたい言葉がございます。これはわたくし自身がつくったものではありませんが、わたくしがこれは非常にいい言葉だと思って、なにかのときにメモしておった先覚者のいわれた言葉だと思いますが、その言葉を、学生諸君にお伝えして、わたくしのこの最後の講義を終わりたいと思います。
それは”書かれた医学は過去の医学であり、目前に悩む患者のなかに明日の医学の教科書の中身がある“というのです。もう一度申しますが、”書かれた医学は過去の医学であり、目前に悩む患者のなかに明日の医学の教科書がある“-少しオーバーな言い方かもしれませんが、しかし、わたくしはそういうことを諸君に述べまして、このわたくしの最後の、八百二十回目の講義を終わりたいと思います。
長らくご静聴ありがとうございました。(鳴りやまぬ拍手)
この講義で、長崎大学の病理学の松岡教授を「りっぱな数字をだしておられます」として好意的に扱っています。私の叔母、旧姓が松岡で、親が長崎大学の病理の教授だったと聞いています。こんな有名な講義で登場するなんてびっくりしました。
(参考)
長崎大学病院病院第一内科の抄読会、ネットで見ることができるのですが、面白いです。コンパクトにまとまっているし、タイトルの付け方が秀逸すぎます。過去に遡って楽しみました。
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