Category: 医学一般

発疹性の薬疹

By , 2015年2月15日 6:29 PM

神経内科医は、抗てんかん薬を良く使います。処方する時、頭の片隅をよぎるのは皮疹のことです。つい最近も、ゾニサミドで SJS-TEN (Stevens-Johnson Syndrome and Toxic Epidermal Necrolysis) を発症した方を経験しました。

薬疹については勉強しておかないとと思っていたら、総合診療の研究会で、急性全身性発疹性膿疱症 (acute generalized exanthematous pustulosis; AGEP) について学ぶ機会がありました。その時に引用されていた New England Journal of Medicineの論文が素晴らしいと思ったので、読んでみました。

Exanthematous Drug Eruptions

・発疹性の薬疹 (Exanthematous Drug Eruptions) は、麻疹様 (morbilliform) や丘疹性 (maculopapular) 皮疹とも呼ばれ、多くの薬剤で初回使用の 1~5%の患者に起こる。ペニシリン、セファロスポリン、スルフォンアミドといった抗菌薬や、アロプリノールでは 1000人の新規投与で 50名、カルバマゼピン、フェニトイン、ラモトリギンといった芳香族アミンの抗てんかん薬では 1000人の新規投与で 100人発症する。

・皮疹は、典型的には原因薬剤を投与した 4~21日に出現し、急速に拡大し、時に癒合する、左右対称性で、ピンク~紅色斑/丘疹である。

・HIV感染や骨髄抑制ではリスクが増す。また、ある種の感染症がリスクとなる場合があり、伝染性単核球症でアミノペニシリンを用いると、高率に皮疹が出現する。また、HLA alleleも関与しており、例えばカルバマゼピンでは HLA-A3101は丘疹性発疹のリスクを高めると言われている。

・似たような皮疹が出現する疾患に、麻疹、風疹、突発性発疹、感染性紅斑、伝染性単核球症、急性 GVHD, 急性 HIV, その他のウイルス性発疹がある (Table 1に鑑別のポイントあり)。

・原因薬剤を中止することが最も大事である。対症的に痒み止めを用いたり、強力なステロイド薬の塗布も有効かもしれない。SJS-TENでは、ステロイドやシクロスポリンの全身投与で死亡率が低下したという研究がある。

・臨床医が注意するべき重篤な皮膚反応には、粘膜浸潤、38.5℃以上の発熱、水疱形成、顔面の浮腫と紅斑、リンパ節腫脹が含まれる。

・SJS-TEN, AGEP, DRESS (drug reaction with eosinophilia and systemic symptoms) は T細胞が介在する type IVの遅発性過敏反応である。

DRESS, SJS-TEN, AGEPを鑑別する表を最後に紹介しておきます。初回薬剤暴露から皮疹が出現するまでの間隔の目安として、DRESSは 14日以上、SJS-TENは 4~21日、AGEPは 3日以内なんですね。その他の鑑別点についても、勉強になりました。

 

Features of selected severe cutaneous adverse reactions to drugs

Features of selected severe cutaneous adverse reactions to drugs

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The Sanford Guide to Antimicrobial Therapy

By , 2015年2月8日 6:18 PM

感染症のことで困った時、感染症科にコンサルト出来ると良いのですが、感染症科のない病院も少なくありません。

私は現在はそういう環境におり、「Mandell, Douglas, and Bennett’s Principles and Practice of Infectious Diseases」「Up to date」「レジデントのための感染症診療マニュアル」などを参照することが多いです。

その他に、感染症診療でよく使われるのが、「SANFORD GUIDE」です。よく「熱病」とも呼ばれます。研修医の頃は小冊子をポケットに忍ばしていたものですが、数年前から iPhone用のアプリがあるというのを知りました。

The Sanford Guide to Antimicrobial Therapy

 

熱病

熱病

 

実際に使用してみると、疾患名、病原菌、抗菌薬等から探したいものがすぐ見つけられますし、検索機能もついています。そしてアプリ版は、随時最新の内容にアップデートされているようです (下記画像参照)。やや値段は高いですが、お勧めのアプリです。

熱病アップデート

熱病アップデート

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Gadolinium-associated plaques

By , 2014年11月18日 6:19 AM

MRIの造影剤であるガドリニウムは腎障害がある患者では腎性全身性線維症 (nephrogenic systemic fibrosis ;NSF) が副作用として問題になることがあります。そのため、数年前から腎不全の患者に対するガドリニウムの使用は禁忌とされています。

腎障害がない患者においては比較的安全に使用できるはずなのですが、今回 JAMA Dermatology誌に副作用で発症しうる新たな疾患概念が報告されました (2014.11.12 Published Online)。著者らは「Gadolinium-associated plaques (GAP)」と呼ぶことを提唱しており、この副作用は、なんと腎障害がなくても起きうるようです。

Gadolinium-Associated Plaques

上記の論文で報告されたのは 2症例です。1例目は 80歳代の男性で、2008年8月から 2011年1月まで計 5回造影MRI検査を受けました。使用したガドリニウム造影剤はオムニスキャンで、1回当たり 20 ml投与されました。その後、両側手背に掻痒感、灼熱感のある径 0.5-2 cmの皮疹が出現し、clotrimazole及び detamethasone dipropionate cream、clobetasol diproprionate creamで治療しましたが改善がなく、18ヶ月間症状は続きました。腎障害はなく、臨床像も腎性全身性線維症と異なっていました。生検により “sclerotic bodies” と診断されました。患者は triamcinoloneacetonide 20 mg/ml, 0.5-1.0 ml/plaqueの局所投与を受け、3ヶ月後には完全に改善しました。2例目は 70歳代の女性です。2年間かけて徐々に拡大する下腿前面の径 2.5-2.0 cmの皮疹を呈しました。この患者には慢性腎不全の既往があり、かつ何度か造影MRIを施行されたことがありました (造影剤の種類や量は不明)。生検により “sclerotic bodies” と診断されました。

論文中の tableにサマリーがあり、臨床像や病理所見が纏められています。

 

Table.1

Table.1

これらの症例における “sclerotic bodies” とガドリニウム暴露との関連は次のように考察されています。

1.  “sclerotic bodies” はガドリニウム暴露に特徴的である。事実、今回の患者―1例では確認できた―は同じタイプのガドリニウム造影剤を使用していた(オムニスキャン)。興味深いことに、オムニスキャンは直鎖状のガドリニウムキレート剤である。直鎖状のキレート剤は環状キレート剤よりガドリニウムと結合しにくく (※ガドリニウム造影剤は、ガドリニウムとキレート剤の化合物である)、理論上組織に沈着しうる。

2. 腎性全身性線維症は FDAに承認された 5種類のガドリニウム造影剤全てで報告されている。曝露量は 15~90 mlである。腎性全身性線維症は腎障害と関連があり、(腎排泄能が低下しているため) 少量投与でさえもガドリニウム血中濃度が比較的高値になるのだろう。

3. 文献的根拠から推測すると、腎性全身性線維症における sclerotic bodiesは、ガドリニウムキレートの不安定化に直接関連しており、それが炎症の元となる線維の増殖や結合組織の合成を促進する。事実、腎性全身性線維症患者の組織を電子顕微鏡で調べると、ガドリニウムが検出される。腎障害はガドリニウムの排泄を遅延させ、体内での半減期を延長すると目されている。これは 100 mlのガドリニウム暴露を受けた 1例目や腎障害があった 2例目の Gadolinium-associated plaques患者の原因の説明になるかもしれない。

4. Sclerotic bodiesの石灰化傾向は際立った特徴である一方で、腎性全身性線維症の患者においては石灰化は 2~5%にしかみられない。これまで慢性腎不全に伴う二次性副甲状腺機能亢進症が、sclerotic bodyや別の組織への異所性石灰化の原因かもしれないと考えられてきた。 事実、今回の 2例目の患者は副甲状腺切除術の既往があった。しかし、1例目の患者には腎不全も副甲状腺の異常もなかった。

5. 今回の症例における Gadolinium-associated plaquesは、ガドリニウム暴露から約 3.5年で発症しており、腎性全身性線維症を欠いて sclerotic bodiesを来したとする別の報告での 5年と同程度である。その報告の著者らは、sclerotic bodiesを腎性全身性線維症の遅発性の所見かもしれないと推測していたが、今回の報告の著者らは sclerotic bodiesの存在がガドリニウムのタイプに依存し、発症のタイミングが腎性全身性線維症を発症した日ではなくガドリニウムに暴露された日に依存すると考えている。

 Gadolinium-associated plaquesは、これまで注目されていなかった MRI造影剤の副作用であるようです。しかし、どうやら重篤なものではなく、治療により完全治癒しうるもののようです。発症頻度も極めて低いようですし、あまり懸念するものではないと思います。ただし、造影剤を数年後に発症するというのは要注意で、問診で疑えないと診断は難しいのかもしれません。論文の figure 1には皮疹の写真が、figure 2には病理写真が掲載されているので、興味のある方は御覧ください。

ポイント:

①MRI造影剤を使用してから数年後に、副作用として皮疹が出現することがある。

②臨床像は腎性全身性線維症とは異なるが、同様の発症機序が想定されている。

③腎障害がなくても出現しうる。

④適切な治療で治癒しうる。

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診断精度研究のメタ分析

By , 2014年10月28日 5:13 PM

2014年10月25日に、「診断精度研究のメタ分析」という研究会に行ってきました。

第17回 診断精度研究のメタ分析

この分野の本は数冊読みましたが、実際に講演を聞いて非常に勉強になりました。質疑応答でも質問させて頂きました。臨床疫学の様々な分野に渡って開催されている研究会のようですので、また別のテーマでも参加したいと思います。

今回の講演の中には “SlideShare” でスライドが公開されているものがあります。下記にリンクを貼っておきますので、興味のある方は御覧ください。

「診断精度研究のメタ分析」の入門

「診断精度研究のメタ分析」の書き方

「診断精度研究のメタ分析」の報告事例

なお、この研究会を主催した「臨床疫学研究における報告の質向上のための統計学の研究会 (REQUIRE)」 のサイトでは、それ以外の講演会の内容も一部オープンになっているようです。

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論文解釈のピットフォール

By , 2014年10月19日 7:02 AM

臨床医が EBM “根拠に基づく医学” を実践するとき、過去の臨床試験の解釈は大きな役割を果たします。ところが、臨床試験の解釈の仕方のトレーニングを受ける機会はあまりありません。

2009年の週刊医学界新聞に、素晴らしい連載を見つけました。臨床医必読だと思います。

論文解釈のピットフォール

下記は、序文です。

ランダム化臨床試験は,本来内的妥当性の高い結果を提供できるはずですが,実に多くのバイアスや交絡因子が適切に処理されていない,あるいは確信犯的に除去されないままです。したがって解釈に際しては,“ 騙されないように” 読む必要があります。本連載では,治療介入に関する臨床研究の論文を「読み解き,使う」上での重要なポイントを解説します。

この連載は、ディオバンを用いた JIKEI HEART研究の問題は表面化する前ですが、何度も登場します。わかる人には当時から問題がわかっていたんですね。

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遠隔画像診断.JP

By , 2014年8月26日 5:44 AM

遠隔画像診断.JPというサイトでは、様々な疾患の画像所見を解説しています。かなりの量あるので、まとめて見るのは結構大変ですが、Twitterや Facebookでフォローしておくと、毎日のように画像解説が流れてきて、自然と勉強できます。

遠隔画像診断.JP

先日は、妊婦の CT検査による胎児への影響について解説していました。

多くの医師は、学生時代、妊婦にレントゲンや CTは原則禁忌扱いで、月経から 10日以内なら妊娠の可能性がないので安全 (10-day rule) と習ったと思います。臨床現場でも、妊娠が否定できない方の CT検査の前に、妊娠反応をチェック・・・というのは、たまに見かける風景です。妊婦とわかれば、可能な限り検査は避けたいのが心情だと思います。

ところが妊婦とわかっていても、母体の治療をするために、どうしてもレントゲンや CTを撮像しなければならない場合があります。そうしたとき、検査がどの程度の胎児に影響するのかはあまり良く知られていません。下記の解説は非常にわかりやすかったので紹介しておきます。これを見ると、必要があるときはきちんと説明して検査しないといけないのだなということがよくわかります。

妊婦の CT検査による胎児への影響

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アスピリンの話

By , 2014年8月16日 11:17 AM

神経内科では、脳梗塞の二次予防によく抗血小板薬を使います。具体的にアスピリン、クロピドグレル、シロスタゾールといった薬剤です。

さて、2014年8月5日に、アスピリンを内服することによる癌予防効果が副作用を上回るかもしれないという、興味深い論文が発表されました。

Estimates of benefits and harms of prophylactic use of aspirin in the general population

論文によると、75~325 mgのアスピリンを 5年以上飲むと、メリットがデメリットを上回るらしいです。50~65歳に限っていえば、10年間アスピリンを内服することで、15年あたりの癌、心筋梗塞または脳卒中患者が、相対リスクで 7% (女性)/9% (男性) 減少し、20年間あたりの死亡が、相対リスクで 4%減少するという結果だったそうです。

アスピリンは、大腸癌の予防乳癌の再発予防においてもいくつか知見が出ているみたいですし、面白いですね。

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ACP(米国内科学会)日本支部 年次総会2014

By , 2014年6月5日 7:58 AM

ACP(米国内科学会)日本支部 年次総会2014に参加してきました。ハズレの講演が一つもなく、非常に有意義な時間を過ごすことが出来ました。

 5月31日10:00~11:30 第1会場  「最新論文30選:忙しいあなたの ために」 平岡 栄治

<循環器・医学教育アップデート>

Vasopressin, Steroids, and Epinephrine and Neurologically Favorable Survival After In-Hospital Cardiac Arrest

院内心静止:VSEで神経予後良好 (Good: デザイン, ADL自立生存, ROSC, 全患者フォロー, 低体温治療 24%) (Bad: ギリシャ 3施設で少ない, ACLS 2005使用, VSEに慣れた施設, 院内 (院外は?), 同意は蘇生後, 組成前入院期間 2日 vs. 5日)

Comparison of the efficacy and safety of new oral anticoagulants with warfarin in patients with atrial fibrillation: a meta-analysis of randomised trials

NOACはワルファリンに比べての脳卒中、特に脳内出血の頻度を優位に減少させる。NOACはワルファリンに比べて死亡率、頭蓋内出血の頻度を減少させるが消化管出血の頻度を増加させる。低用量 (Dabigatran, Edoxaban) 群においては安全性が高まり死亡率の改善も高用量群同様維持される。(Good: 計 71683人と多い, 脳卒中・脳塞栓症減少, 死亡率低下 by 10%, INR治療域 >66%) (Bad: コスト約 10倍/月, エドキサバンは Afに未認可, 消化管出血増加, 新規抗凝固薬の直接比較不可)

Spironolactone for Heart Failure with Preserved Ejection Fraction

スピロノラクトンは心収縮能が維持されている心不全患者の心血管事故およびその既往、心不全入院の複合アウトカムを減少させないが心不全入院は減少させる。(Good: 多国間他施設?, BNP↑では利益, 心不全入院↓, フォロー期間十分, 重篤有害事象~), (Bad: BNP↑ or 過去一年間に心不全入院が対象, 心不全入院既往は本当に HFpEF? 再入院が少ない, 1/3で中断)

2014 Evidence-Based Guideline for the Management of High Blood Pressure in Adults

60歳以上の血圧ゴール 150/90以下, 60歳以下の拡張期血圧ゴール 90以下, 60歳以下の収縮期血圧ゴール 140以下,慢性腎不全患者の血圧ゴール 140/90以下, 糖尿病患者の血圧ゴール 140/90以下, 黒人以外の患者における降圧剤は CCB/Thiazide/ACE-I/ARBいずれかを選択する, 黒人患者には糖尿病患者を含め CCB/Thiazideを使用する, 慢性腎不全患者には人種をとわず ACE-I, ARBのいずれかが第一選択薬である, 血圧コントロール不良ならば現行の治療薬を増量するか他剤を追加する。(Good: IOMガイドライン基準, Do no harmの精神, エビデンスレベル明確, 利益背反があれば投票できない, 血圧がどのくらいで薬物療法開始, 降圧目標どのくらい, 降圧薬の優劣) (Bad: RCTのみで Meta解析なし, 低質の研究無視, 血圧正常研究除外, 狭い範囲 (推奨 9個のみ), 公のレビュー不十分, シニア筆者が離脱)

Next Accreditation System (NAS)

米国においては教育のシステムを進化させるべく New accreditation systemを開始ししている。より実社会のニーズに則したものをアウトカムとしている。本邦においても教育システムの構築が必要である。(Good: 教育機関の教育能力の質の保証, 患者中心・研修医主役, ACGME-Iに注目, アウトカムに基づく教育) (Bad: 研修医 1人に$280の費用, 日本でどのように活用?)

<呼吸器・集中治療・周術期>

Short-term vs Conventional Glucocorticoid Therapy in Acute Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease

COPD急性増悪患者における副腎皮質ステロイド全身投与患者は、5日間と 14日間で、6ヶ月間の急性増悪再発率に差を認めなかった。(Good: GOLD2013ガイドラインでは 10~14日→治療を変える, ステロイド用量 65%減少も, 比較的重症患者, 非劣性試験) (Bad: 肺炎患者除外, 全患者で抗菌薬, 28%は感染症あり)

Oral Apixaban for the Treatment of Acute Venous Thromboembolism

急性静脈血栓塞栓症の治療において、固定用量のアピキサバン単独のレジメンは、従来の治療法に対して非劣性で、出血率が有意に少なかった。(Good: 非劣性試験, 有症状の近位 DVTか PE, ダブルプラセボ, 再発/関連死減少, 重大な出血少ない, 活用すれば入院減らせる) (Bad: 死亡率有意差なし, 日本未認可の薬剤, 75歳より高齢だと大出血増加, 脳出血増加)

 Fibrinolysis for Patients with Intermediate-Risk Pulmonary Embolism

中等度リスクの肺塞栓症症患者において、血栓溶解療法は血行動態破綻を予防するが、重篤な出血と脳卒中リスクを増加させた。→中等症の肺塞栓に血栓溶解療法を解説者は推奨しない。血圧低下時のレスキュー血栓溶解療法で十分。

Prone Positioning in Severe Acute Respiratory Distress Syndrome

早期の腹臥位療法は、重症 ADRS患者の 28日, 90日死亡率を低下させる。(Good: 死亡率低下, 安定期 12~24時間改善患者除外, 1日>16時間, 低1回換気量と PEEP (ARDS net), 離脱プロトコール, 発症<36時間, 酸素化↑) (Bad: 腹臥位に超慣れている施設, 抜管少ない (慣れている施設のため), ARDSの少数派)

A Randomized Trial of Protocol-Based Care for Early Septic Shock

プロトコールに基づく蘇生は、敗血症ショックを呈する救急患者の生存アウトカムを改善しなかった。さらに、筆頭著者 Riversはカテーテルの特許を持っていたが利益背反の記載なし、Edwards Lifescience社より $404000+α, プリセップカテーテルが高い、対照群の死亡率が高過ぎる (46.5%), 288名→263となっており 25名はどこに?、単施設→ARISE研究/ProMISe研究 (Good: 多施設研究, Surviving Sepsis Campaignガイドラインに反論, 3時間以内に抗菌薬 76%, 早期診断・治療) (Bad: 輸液量、重症度、死亡率)

<消化器・老年医学>

Transfusion Strategies for Acute Upper Gastrointestinal Bleeding

急性期上部消化管出血では、輸血閾値を Hb 7以下にした方が、Hb 9以下にするより 45日後の全死亡率・再出血率・合併症率を改善する。(ただし、除外基準に大量出血や 90日以内の急性冠症候群があるので、そういう患者には適応できない)

Vascular and upper gastrointestinal effects of non-steroidal anti-inflammatory drugs: meta-analyses of individual participant data from randomised trials

プラセボと比較して COX2阻害薬は心血管イベント・上部消化管イベント・心不全での入院率・死亡率を増加させる。NSAIDsは心血管と上部消化管イベント・心不全での入院率を増加させるが、ナプロキセンだけは心血管イベントを増加させない可能性がある。低用量でもこの結果が適用されるかは不明である。→ナプロキセンは心血管イベントリスクの点からは最も安全、消化管出血リスクが高い症例には Coxib or ジクロフェナクがまだまし

Proton Pump Inhibitors and Risk of 1-Year Mortality and Rehospitalization in Older Patients Discharged From Acute Care Hospitals 

高齢者に対する PPIの長期投与は再入院率は増加させなかったが、死亡率の増加に関与している可能性が示された。高齢者に PPIを長期投与する際はそのメリット・デメリットをよく考慮し、投与中であれば中止可能か常に検討すべきである。→PPI一般論として肺炎のリスクや C.difficile腸炎のリスク、長期投与で骨粗しょう症のリスクを高め、今回の論文では 1年後の死亡率すら高める可能性がある。

Lactobacilli and bifidobacteria in the prevention of antibiotic-associated diarrhoea and Clostridium difficile diarrhoea in older inpatients (PLACIDE): a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre trial

PLACIDE studyでは probioticsの AADに対する予防効果は証明されなかった。CDDについても有意差なしであったが、AADの 60%にしか CDDの検査がされておらず、発症率も平均より低いため、probioticsの効果なしとは評価しづらい。PLACIDE studyは研究デザインの整った probioticsでは過去最大の多施設 RCTであり、この結果は無視できない。現時点では probioticsの使用についてはそのメリットやコストなどを考慮し個別化して対応すべきである。

Glucose Levels and Risk of Dementia

糖尿病のありなしにかかわらず、高血糖は認知症のリスク因子である可能性が示された。糖尿病患者においても平均血糖 160に比し平均血糖 190ではハザード比 1.4で認知症発症のリスクが上昇する。これは高齢の糖尿病患者においても血糖コントロールの必要性を示唆している。

<腎・内分泌>

Combined Angiotensin Inhibition for the Treatment of Diabetic Nephropathy

蛋白尿を伴う糖尿病性腎症に対して ACE阻害薬と ARBの併用は有害。Limitationとして、退役軍人を対象としており、99%が男性である。→JNC8の推奨でも ACE-Iと ARBを併用してはいけないと記載あり。併用している患者がいたら中止を推奨。

Blood Pressure and Mortality in U.S. Veterans With Chronic Kidney DiseaseA Cohort Study

CKD患者で最適な血圧は 130-159/70-89 mmHgの組み合わせ。下げ過ぎには注意。Limitationとして後ろ向きコホート、退役軍人医療機関での研究、99%男性、9割白人。

Comparison of survival analysis and palliative care involvement in patients aged over 70 years choosing conservative management or renal replacement therapy in advanced chronic kidney disease

高齢者の CKD患者でも、透析により長生きする。ただし、80歳以上/併存症増加/performance status低下のいずれか該当で透析のメリットはなくなる。透析導入の選択は慎重に。

2013 ACC/AHA Guideline on the Treatment of Blood Cholesterol to Reduce Atherosclerotic Cardiovascular Risk in Adults: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines

ASCVDあり→高用量スタチン、LDL-C≧190→高用量スタチン、 糖尿病/ASCVD 10年リスク≧7.5%→高用量スタチン、糖尿病/ASCVD 10年リスク<7.5%→中等量スタチン。ストロングスタチンは LDL-C値を約 50%以上低下、中等度スタチンは LDL-C値を約 30~50%低下。数値目標はない。

Repeat Bone Mineral Density Screening and Prediction of Hip and Major Osteoporotic Fracture

BMD測定は一回で十分。一回目の骨密度測定 (BMD) で薬物療法の適応でない患者では、4年後に BMDを行っても方針はほとんど変わらない。骨粗しょう症マネジメントでは、栄養指導 (カルシウム摂取)、禁煙指導、不必要な PPIの中止、荷重のかかる運動など。

<血液・腫瘍・膠原病>

Twenty five year follow-up for breast cancer incidence and mortality of the Canadian National Breast Screening Study: randomised screening trial

マンモグラフィーは乳癌による死亡率を減らさない。マンモグラフィーは小さな癌を見つけるが、424人に 1人は over-diagnosis (一生顕在化しない)。スイス医学会では、マンモグラムを新たに導入しないように勧告している。

Parenteral Hydration in Patients With Advanced Cancer: A Multicenter, Double-Blind, Placebo-Controlled Randomized Trial

末期癌患者への生食 1 L輸液は脱水症状、QOL, 生存期間いずれも改善しない。

Phase II Randomized Study of Trastuzumab Emtansine Versus Trastuzumab Plus Docetaxel in Patients With Human Epidermal Growth Factor Receptor 2–Positive Metastatic Breast Cancer

トラスツズマブ・エムタンシンは、トラスツズマブ+ドセタキセルに比べて、無増悪生存期間、安全性が勝る。

Therapies for Active Rheumatoid Arthritis after Methotrexate Failure

関節リウマチ MTXでコントロール不良例では、Triple Tx (MTX+スルファサラジン+ヒドロキシクロロキン) はエタネルセプト+MTXに非劣性である。

Efficacy of Remission-Induction Regimens for ANCA-Associated Vasculitis

重症 ANCA関連血管炎に対してリツキサンは寛解導入、寛解維持療法とも従来の免疫抑制剤 (シクロホスファミド 2 mg/kgで寛解導入→アザチオプリン 2 mg/kgで維持) に対して非劣性であった。

<神経内科・感染症>

Effects of Immediate Blood Pressure Reduction on Death and Major Disability in Patients With Acute Ischemic Stroke

脳梗塞急性期の積極的降圧は死亡や身体障害の改善に寄与しなかった。

Endovascular Therapy after Intravenous t-PA versus t-PA Alone for Stroke

血管内治療追加は t-PAと比較し予後を改善しなかった。ただし、有意差はないが、NIHSS>20以上だと血管内治療を追加した方が mRS 0-2 (自立した生活) の割合が高い可能性がある。今回の研究では、先行研究より血管内治療の開始が 32分遅れていることが関与している可能性がある。

Clopidogrel with Aspirin in Acute Minor Stroke or Transient Ischemic Attack

対象患者は高リスク TIA (ABCSD2 >4点), Minor stroke (NIHSS score ≦3点), 感覚障害のみ/視野障害のみ/めまいのみ/MRI正常を除外。介入群:初日クロピドグレル 300 mg+アスピリン 75~300 mg, 2~21日クロピドグレル 75 mg+アスピリン 75 mg, 22~90 日 クロピドグレル 75 mg, コントロール群:初日アスピリン 75~300 mg, 2~90日アスピリン 75 mgとしたところ、介入群で脳卒中再発は減少したが、出血性イベントは増えなかった。ただし、すべての脳梗塞患者には一般化できない。また、先行研究の結果から、長期にわたって 2剤を併用すべきではない。

Association Between Influenza Vaccination and Cardiovascular Outcomes in High-Risk PatientsA Meta-analysis

インフルエンザワクチン接種と心血管イベントの低下には関連性がある。特に活動性の心血管疾患を持つ高リスク患者には強い治療効果がみられる。ただし、この研究では primary endpointが複合エンドポイントであり、エンドポイントで 1次2次予防が混合している。ちなみに、AHA/ACCF冠動脈疾患 2次予防ガイドラインでは、心血管疾患がある人は毎年インフルエンザワクチンを接種することを推奨している (Class I)安定虚血性心疾患患者に対して PCIをしても生命予後改善は示されておらず、短期間心筋梗塞を増加させる可能性があり、長期経過において急性心筋梗塞を減少させないが、インフルエンザワクチンは心血管死、心筋梗塞を減少させる。

A New Strategy for Healthcare-Associated Pneumonia: A 2-Year Prospective Multicenter Cohort Study Using Risk Factors for Multidrug-Resistant Pathogens to Select Initial Empiric Therapy

HCAPでも層別化すると 50%程度が CAPとして治療しうる

この講演では、最新論文が 30本紹介されました。しかし、ただ紹介されたのではなく、論文が PICOで示され、批判的吟味もなされていました。非常に勉強になりました。

5月31日11:40-12:40  第3会場  「風邪の診かた」 岸田 直樹

岸田先生が書かれた「 誰も教えてくれなかった「風邪」の診かた」という本に沿った内容でした。本自体は読んだことがありましたが、トークが絶妙で、会場が何度も笑いに包まれていました。

5月31日13:00-14:30  第5会場  「誰も教えてくれなかった診断学・中級編」~複雑な症例に挑戦する~ 野口 善令

large B cell lymhomaの骨病変に伴う高 Ca血症のケースが、診断名を伏せて示され、グループでディスカッションをして診断をしていくプロセスを学習しました。

野口先生の講演が終わってから、ポスター発表を見て、ホテルで休んでから赤垣屋に出かけ、演者の先生らと数名で食事をしました。非常に有意義な意見交換が出来ました。

6月1日10:10-11:40  第2会場  「Snapdiagnosis ver. 2」 須藤 博

身体所見は手から (British style)。

<手>

自身の爪の伸びる長さを William B. Beanが数十年に渡り調べている。32歳 0.123 mm/day, 61歳 0.100 mm/day, 67歳 0.095 mm/day

1. Terry’s nail: 肝硬変, 2型糖尿病, 慢性心不全, 慢性腎不全, 加齢

2. Mee’s Line: 重症の全身性疾患, ヒ素中毒

3. Beau’s Line: 1本だけなら外傷の既往を考える (棒線と覚える)

4. Muehcke Line (BMJ, 1956): 重症の低アルブミン血症

5. 手の皮疹: PHSと覚える。P=掌蹠膿疱症, H=手足口病, S=梅毒。ほかに Osler結節, 多形滲出性紅斑など。

6. 手の腫脹: RS3PE症候群, 早期の関節リウマチ, リウマチ性多発筋痛症 (PMR) 遠位型

7. Achenbach症候群: 急に指がズキッと傷んだ→血腫形成。明らかな誘因なし。治療適応なし。

<頸動脈>

8. 頸動脈怒張: CVP推定, 右心系の血行動態の推定。座位で鎖骨上に頸静脈の拍動が見えたら、中心静脈圧の上昇を意味する (例外=心タンポナーデ, 上大静脈症候群, 緊張性気胸)。仰臥位で全く見えなかったら、静脈系の虚脱を意味する (例外=太った人)。(その他、CVPの推定についての動画あり)

9. 傍胸骨拍動: 右室圧の上昇を意味する。

10. 心尖拍動: 鎖骨中線より外側や直径が 500円玉より大きいときは心拡大を示唆する。鎖骨中線より外側のときは EFも低下している。

<喉>

11. 亜急性甲状腺炎: 喉の痛い場所が移動する。赤沈高値が特徴。頸部に紙を置くと汗で貼り付く。頸部正中で心音を聴取することがある。

12. Hypothyroidism: Hypothyroid speechは 構音障害と間違えられることがある。Yellow palm, ATR弛緩相の遅延。

<腹部>

臍の直下には大動脈分岐部がある。臍の位置は剣状突起と恥骨結合の中点±1cm, 腹水や肝腫大で下方に移動する。

13. 腹部下半分の腫脹: 卵巣腫瘍, 妊娠, 尿閉

14. 簡単な尿閉の見方: 恥骨結合の上に聴診器を置いて、頭側から打診すると急に音が大きくなる場所がある。それが聴診器から 8 cm以上頭側にあれば尿閉。

15. 「持続的」な腹痛: 血管性の痛み, 膵炎, 胆石発作, 腹膜炎, 腎結石 (急性水腎症では、立ち上がるときに腎が引っ張られ疼痛でることもある), 小腸アニサキス

16.  虫垂炎: 個々の症状よりも、症状の順番が大事 (=march of events)。Pain→Anorexia→Tenderness→Fever→Leukocytosis

17. 腹膜炎: 頼みもしないのに膝を曲げている。

<その他>

18. PMR: 起き上がるとき疼痛のため特徴的な姿勢をとる。呼びかけても頚部痛ですぐに振り向かない。「全ての両側性の疾患は片側から始まる (ティアニー)」

19. PMRと思ったけれど実は・・・:環軸関節偽痛風 (Crowned dens syndrome: コップの水が飲めない, 首が回らない, 目薬させない→NSAIDs著効), Occult breast cancerの骨転移, 咽後膿瘍, ペースメーカーリード感染

20. Marcus Gunn pupil: swinging light test

21. 伝染性紅斑: 成人では net-like lace, 浮腫・関節炎症状。パルボウイルスを見たら、必ず SLEを考える。SLEを見たらパルボウイルスを考える。高齢者の全身痛は PMR, 30~40歳の全身痛は伝染性紅斑を考える。

22: けいれん: 頭部回旋, 舌の咬傷, 尿失禁・・・

23. 指導医へのオススメ論文: The clinical approach to the patient

24: 身体所見のオススメ本: 身体診察のアートとサイエンス

2013年の時と共通する内容がいくつかあり、良い復習になりました。また、新しく勉強になったことがいくつもありました。

6月1日12:45-13:45  第6会場  Meet the expert 「医学古書のすすめ」 清田 雅智

清田先生とは 2013年の ACP日本支部年次総会の時、一緒に飲みに行って意気投合し、私のことを覚えていてくださいました。今回は Sister Mary Joseph’s noduleの歴史について、1時間語られました。Sister Mary Joseph’s nodule (Pants-button umbilicus) は、腫瘍の臍転移を示す所見ですが、その命名に紆余曲折があったようです。講演のあと、私から清田先生に「神経学の原著」シリーズの論文コピーを御渡ししました。

6月1日14:00-15:30  第2会場  「Unsuspected killer in ED!  alive or dead」 林 寛之

1. Walk inの 0.2~0.7%が重症疾患である

2. 心筋梗塞は診断が難しく、訴訟になることが最も多い

3. 下壁梗塞では迷走神経症状として、消化器症状がみられる

4. 心筋梗塞を示唆する症状として冷汗は LR+ 4.6, 放散痛は LR 7.1 (右側に多いらしい)。ニトロや制酸薬が効くかどうかはあてにならない。胸痛パターンでは除外できない。

5. 冷汗は心筋梗塞, 低血糖, 有機リン中毒で見られる

6. 痛みのない心筋梗塞が 22~35%を占める

7. 心筋梗塞では、受診後 10分位内に心電図, First Medical Consultから 120分位内に心カテを目標とする。そのため、ナースの権限で心電図を取れるように院内の規定を整える必要がある。

8. 心筋梗塞に対する心電図の感度は 13~69%とされている。3~4時間後に再検することで 96%つかまえることができる。8~12時間後に follow up ECGならほぼ必ずつかまる。

9. 心筋梗塞に対する心筋逸脱酵素の感度 50%, 特異度 85%とされている。発症 1時間以内だと感度 10~45%だが、8時間以上で感度 90%以上になる。発症の時間をチェックしておくことが大事。

10. 心筋梗塞に対する心臓超音波検査の感度は 93%, 特異度は 66%である。心電図などの情報をみてから検査しないとわかりにくい。

11. 心筋梗塞の 6~52%は非典型的。女性では急性冠症候群の 43%に胸痛がない (女性の胸ばかり見ていてはいけない)。女性では、嘔気・嘔吐、息切れ (58%), 倦怠感 (53%)、放散痛を訴えることが多い。85歳以上で最も多い症状は息切れ。

12. Vancouver chest pain ruleはあるが、感度 100%ではない。

13. Wellens syndromeは、左冠動脈の虚血を示唆し、心電図で前胸部誘導で 2相性 T波または陰性 T波がみられる。放置すると 75%が数週間以内に心筋梗塞を発症する。左室肥大があるときは異常とはとらない。

14. 新規出現の左脚ブロックのみでは慌てなくてもよい。例外は、ショック、心不全、Sgarbossa criteriaを満たすとき。

15. 心電図で giant negative Tは中枢性疾患を示唆する。クモ膜下出血などの検索。

16. くも膜下出血について。Ottawa SAH ruleなど。

私自身、心筋梗塞についての知識は最近アップデートされていなかったので、非常に勉強になりました。救急当直をしている医師にとって、このような知識はとても価値があります。また、林先生はプレゼンテーションが上手で、スライドの作り方を含む、講演の技術という面でも勉強になりました。

(参考)

ACP日本支部年次総会 2013

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音楽家と難聴

By , 2014年5月13日 9:30 PM

2014年5月1日の BMJの Research Newsに、プロの音楽家は騒音性難聴のリスクが高いという記事が載っています。

Musicians are at increased risk of noise induced deafness, study finds

年齢や性別などを調整すると、音楽家は一般人より 3.51倍難聴になりやすく、1.45倍耳鳴りが出現しやすいことがわかりました。プロの音楽家は作曲家なども含んで解析されており、演奏家に限ると、実際にはもっとリスクが高いのかもしれないそうです。このニュースの元となったのは、下記の論文です。

Incidence and relative risk of hearing disorders in professional musicians

その論文を見ると、プロの音楽家は “Professional musicians were identified using the Standard Classification of Occupations, which is used by Federal Employment Agency. The corresponding code comprises rock/pop or classical instrumental musicians, singers, conductors  and composers.” となっていますから、確かに様々な職種の音楽家をまとめてリスクを計算していますね。

なお論文では、演奏家は騒音性難聴の ”protective in-ear device” や “sounds shields” を用いることが推奨されているようです。オーケストラでの金管楽器の音量を見ていると、さもありなんです。

(追記)

某ヴァイオリニストから、パリ音楽院の入学式の日に、「地下鉄などの移動中は耳栓、楽器の練習中はミュートをつけなさい」と指導されたことを教えて頂きました。ヨーロッパでは、音楽家のための医学が進歩していて、羨ましく思います。

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プラスグレル

By , 2014年5月1日 7:21 PM

2014年3月24日にプラスグレルの製造販売が日本でも認可されたようです。チエノピリジン系薬剤では、チクロピジン (パナルジン)、クロピドグレル (プラビックス) に続いて 3剤目ですね。

プラスグレル (エフィエント®):3成分目のチエノピリジン系抗血小板薬は画期的な新薬か?

今回の適応は「経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患(急性冠症候群、安定狭心症、陳旧性心筋梗塞)」のようですが、薬効的には、おそらく将来脳梗塞の治療にも用いられるようになるのでしょう。今回はプラスグレルでしたが、チカグレロルがいつ日本で認可されるかも気になります。

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