被災地の病院へ
これまで、何度か小鷹昌明先生の医療ガバナンス学会への投稿をお伝えしてきました。
最新の文章によると、獨協大学医学部準教授の地位を捨て、被災地の病院に勤務することを選択されたらしいです。
一人の優秀な神経内科医がどのように考えてそのような道を選んだか、是非下記の文章をご覧下さい。
これまで、何度か小鷹昌明先生の医療ガバナンス学会への投稿をお伝えしてきました。
最新の文章によると、獨協大学医学部準教授の地位を捨て、被災地の病院に勤務することを選択されたらしいです。
一人の優秀な神経内科医がどのように考えてそのような道を選んだか、是非下記の文章をご覧下さい。
誰かがやるとは思っていたけれど・・・。
群馬大:「酸化ストレス」可視化に成功
群馬大の岩脇隆夫講師(分子細胞生物学)らの研究チームが、体内の活性酸素が細胞などに損傷を与えて起きる障害「酸化ストレス」を光で確認できるマウス実験に成功した。老化やがん、生活習慣病の一因とされる障害で、岩脇講師は「長期的な実験が可能になり、予防・治療薬開発に役立てられる」と話している。生きたマウスでの可視化は世界初で、19日付の英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」(電子版)で発表された。
群馬大によると、ホタルの発光遺伝子を使って、酸化ストレスの患部が光る人工遺伝子を作り、マウスに組み込んだ。そのマウスと通常のマウスの両方に酸化ストレスを引き起こす薬を投与、前者のみ体内が発光することを確認できたという。48パターンの実験を行ったことから、人気アイドルグループ「AKB48」にちなみ、人工遺伝子を「OKD48」と命名した。【鳥井真平】
そのうち Anti-protein kinase binding protein antibodyとかを 48kDaくらいで発見して、”AKB48″とか名づける研究者は出るだろうと思っていたけど、こんな力業とは思いませんでした orz
ちなみに、論文はこちらです。
A transgenic mouse model for monitoring oxidative stress
>To facilitate in vivo analysis, we developed an indicator for oxidative stress in living cells, named OKD48 (Keap1-dependent Oxidative stress Detector, No-48). Here, we describe the specificity and sensitivity of OKD48 as an oxidative stress indicator, and the usefulness of OKD48 transgenic mice.
Keap1-dependent Oxidative stress Detector, No-48が正式名称らしいですね。
東京医科歯科大学が快挙です。病理学的に孤発性 ALSに近い初めての動物モデルです。このサルは、これからの研究を牽引することになりそうです。
「筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因究明につながるサルモデルの作製」
私が研修医の頃、多発性骨髄腫に対する有効な治療はほとんどありませんでした。ところが、プロテアソーム阻害薬 bortezomib (商品名:ベルケード) が出現し、予後は大きく改善しました。とはいえ、プロテアソーム阻害薬には、末梢神経障害、血球減少、消化器症状といったいくつもの副作用があります。また、長期の使用により腫瘍が薬剤に対して耐性を獲得するようになります。そこで、次世代のプロテアソーム阻害薬に期待が集まっています。
次世代プロテアソームについて、Nature medicine 2012年 1月 6日号に特集していたので、簡単に紹介します。
Next-generation proteasome blockers promise safer cancer therapy.
・carfilzomib
プロテアソームの作用に対する選択性が高く、オフターゲット効果も少ないようだ。第二相試験、第三相試験の結果では、bortezomibに比べて、より有効で副作用が少ないようだ。しかし、bortezomibとは違ってプロテアソームに不可逆的に結合するため、より毒性が強い可能性があり、長期間での安全性はまだ保証されていない。一方、肺癌や腎癌、卵巣癌といった他の癌への適応拡大が期待されている。・MLN-9708 / ONX-0912
プロテアソーム阻害薬は点滴投与が必要なので、より治療しやすい経口薬の開発が進んでいる。・その他
第3世代と呼ばれるプロテアソーム阻害戦略が研究中されている。2011年に Nature Medicineに報告された薬物 b-AP15は、20Sプロテアソームの活性中心ではなく、19Sプロテアソームを阻害する (※通常プロテアソームと呼ばれる蛋白質は、26Sプロテアソームを指し、19S, 20Sプロテアソームから構成されている。くわしくは Wikipedia「プロテアソーム」参照)。細胞実験レベルでは、これまでの薬剤より癌殺傷効果が高いとされている。(補足)
b-AP15は、ユビキチンC末端加水分解酵素及びユビキチン特異的ペプチダーゼ14を阻害する。急性骨髄性白血病動物モデルでは、臓器浸潤を抑制した。
ユビキチン・プロテアソーム系は神経変性疾患に大きく関係しているとされているので、こうした薬剤が長期的にどういう副作用を起こすか、関心のあるところです。
また、既知の副作用として末梢神経障害を起こすので、神経内科医にとって、知識のアップデートは欠かせないところだと思います。
救急当直をやっていると、一酸化中毒の方を診療することが時々あります。
印象に残っているのは、ワカサギ釣りで密閉された空間でランタンを使っていて発症した方です。不倫の二人が搬送されてきて、奥様には状況を隠して説明して・・・などと色々ややこしかった記憶があります。
最近、こんなニュースがありました。
宿泊客3人が頭痛や吐き気 鶴の湯温泉
7日午後11時ごろ、仙北市田沢湖田沢の乳頭温泉郷「鶴の湯温泉」(佐藤和志社長)で、宿泊客の女性3人が頭痛や吐き気を訴え、市内の病院に搬送された。仙北署によると3人とも命に別条はなく、回復に向かっているという。
同署によると、3人は同7時ごろ、炭火がたかれたいろりのある客室で夕食を取っていた時から体調不良を感じていたという。同11時ごろに連絡を受けた同温泉が119番した。仙北署は一酸化炭素中毒の疑いもあるとみて原因を調べている。
3人は都内の40歳と30歳、神奈川県の25歳。同日午後5時半に同温泉にチェックインした。
(2012/01/08 12:00 更新)
一酸化炭素中毒のリスクが高い環境では、警報装置の設置を考慮すべきです。ネットでは様々な危機が販売されていますが、特に飲食店へは 東京ガスが無料警報装置を提供しているそうです。
(参考)
「まさか」と思う状況で発生する一酸化炭素中毒の怖さ こまめな換気と的確な情報伝達が二次災害も予防する
ある高名な神経内科医の文章を過去に紹介しました。
同じ先生が、ある難病に対しての率直な思いを書いています。色々考えさせられる文章ですので、是非読んでみて下さい。
思想から語る「慢性疲労症候群」
※本論とは関係ありませんが、慢性疲労症候群における XMRVの Science論文は撤回されていることを付記しておきます (下記参照)。
Again: No XMRV-Chronic Fatigue Link
2011年末に驚くべきタイトルの記事を見つけました。筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の原因がわかったかのようなニュースだったのでビックリして論文を読んでみたところ、「発症メカニズム解明」とまでは言えないようでした。かなり誤解した方の多い記事だったので、論文の内容を簡単に紹介したいと思います。
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