Category: 医学と医療

ヒトゲノム

By , 2011年11月6日 4:31 PM

takのアメブロ 薬理学などなど。-ヒトゲノム解読4万円時代はもうすぐ?米国では賞金1千万ドルのゲノム決定コンテストがスタート予定-

ゲノム関連の技術の進歩はすさまじいものがあります。一昔前、Sanger法が開発されて楽に読めるようになってきたかと思えば、超高速シークエンサーの登場で、年々解読時間が短縮されています。

以前のブログに書きましたが「ヒトDNA 30万塩基を1回読むのにかかる時間は、1996年の機械で約 5000年、2002年の機械で約 5年。ところが2006年に超高速シークエンサーが登場し、2006年に約 15日、2007年に約 6日」となっています。

コストについては、2009年に 40万円というのがニュースになったくらいなので、現時点ではまだまだ高いと思います。しかし、細胞工学誌の 2011年 8月号に「数年以内にはナノポアなどの長鎖/超高速/低ランコストシークエンシングのためのさらなる新技術が控えており、特に GnuBio社や Halcyon Molecular社の DNAシークエンサー、IBMがロシュと共同で開発を進めている DNAトランジスターは数千~数万円程度で全ヒトゲノムを解読できる潜在力を有している (p791)」とあります。2014年にこのコンテストの結果が出てしばらくする頃には、こうした検査が一般人の手に届く時代となっているかもしれません。

言うまでもないですが、遺伝子は究極の個人情報ですから、扱いは非常に大事です。もし私が下記にあるような遺伝子を持っていることが周囲に知れたら・・・

男性が浮気をする原因となる遺伝子を発見か?
男性の早漏、原因は遺伝子の異常の可能性大。しかも遺伝する
女性の浮気は遺伝子のせい

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ペースメーカーと MRI

By , 2011年10月28日 7:46 AM

以前、ペースメーカー挿入患者に対する MRI検査について、ちらりと触れたことがありましたが、前向きで行った興味深い研究がありました。

葦の髄から循環器の世界をのぞく-ペースメーカー使用者へのMRI-

機種と設定次第では安全に行うことができそうですが、一般臨床の現場で用いられるには、クリアしなければならない問題が多そうです。MRI対応ペースメーカーの開発も注視していきたいところです。

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目の前のひとつの命

By , 2011年10月18日 7:37 AM

以前、「診察のとき子供を泣かせない技」で紹介したブログですが、管理人の方が震災の時にどのように過ごしていたかが最近更新され、胸が締め付けられるような思いで読みました。是非ご覧下さい。

まちの小児科うら話-目の前のひとつの命-

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救命

By , 2011年10月4日 7:43 AM

救命 東日本大震災、医師達の奮闘 (海堂尊監修, 新潮社)」を読み終えました。被災した、或いは震災直後から現地に乗り込みボランティアをした九名の医師が体験を綴っています。先日紹介した「石巻赤十字病院、気仙沼市立病院、東北大学病院が救った命」という本が病院に所属する医師としての目線だったのに対し、こちらは個々の医師としての目線で書かれています。津波で病院の屋上まで避難しそこで患者さん達と一晩を過ごした医師、「(酸素)ボンベの切れ目が命の切れ目」という現実、その中でそれぞれが震災を必死で生き、職務を全うしている姿が伝わってきました。

歯科医江澤庸博先生の章での「(身元確認の資料として)デンタルデータベースを作ってはどうか」、川越一男先生の章での「(震災後に無線が混乱して情報伝達が出来なかったので)テレビのアナログの周波数帯に医療の専用チャンネルを作ってはどうか」といった提言は、次に起こりうる関東、南海での大震災に備える上で重要だと思います。

震災以外にも、興味を引く話がありました。震災前既に平成24年3月31日での退職が決まっていた田老診療所の黒田仁先生の、退職が決まるまでの市とのゴタゴタです。黒田先生は外来60人/日、入院患者10名、訪問診療、老人ホームを担当し、休日は第三土曜日の28時間のみ。7時過ぎ~23時頃までの勤務に加え、夜間の呼び出しもある職場で身を粉にして働いていました。医師二人体制を目指して作られた診療所だったのに、黒田先生が一人で何とか支えていたのです。なのに宮古市議会では「現在、市の診療所の医師数は充足しておりますが・・・」とした市長の答弁があり、一方市の医師募集サイトではこの診療所への募集をしていなかった、こうした市の姿勢に心が折れたのだそうです。医師が去る地域がどういう地域なのか垣間見た気がしました。そしてこうした地域で働く医師がどんな気持ちで働いているかも少しわかりました。

色々な意味で、読んでみて頂きたい一冊です。

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ノーベル医学生理学賞

By , 2011年10月3日 10:43 PM

10月3日にノーベル医学生理学賞の発表がありました。公式サイトでは中継もされていたようです。

Nobelprize.org

日経サイエンス2011年11月号では、ノーベル医学生理学賞予想として、山中教授や審良教授の特集を組んでいましたが、どちらも受賞せず残念な結果に終わりました。特に審良教授は、今年の受賞分野(自然免疫)でのパイオニアだったのに落選し、本当に残念。今年を逃したと言うことは、今後の受賞は厳しいかもしれません。来年、iPSの山中氏、オートファジーの大隅氏、プロテアソームの田中氏、スタチンの遠藤章氏などを期待したいです (自分の趣味で候補を挙げてますが・・・)。

(P.S.)
①今回の発表を見ながら、昨年旅行でカロリンスカ大学に行ったのを思い出しました。カロリンスカ大学は、ノーベル医学生理学賞を決める場所です。病院前のバス停の直ぐ傍から墓地が広がっていたのが強烈な記憶となっています。

②日経サイエンスで審良氏のびっくりするエピソードがあったので紹介しておきます。ほぼ泊まり込みで実験を続ける研究者も多い中、天才ってのは違うんですね。

日経サイエンス 2011年 11月号

2003年に武田医学賞を受賞したとき、夫人(故人)は関係者からこう聞かれた。「夜遅くまで帰ってこないし、土曜日曜の休みもない。研究者の奥様は大変でしょう」。すると夫人は「いいえ、主人はいつも午後 5時頃には帰ってきます。土日もだいたい家にいます」と答え、驚かれた。審良は「学生時代は午後 7時か 8時までいた」と苦笑するが、それでも早い。

③昨年紹介した、ノーベル医学生理学賞の動画が、面白いので再掲します。ただし、基礎知識が多少必要です (^^;

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ALS患者の 6塩基リピート – GGGGCC

By , 2011年9月29日 11:55 PM

9月 24日に上司からメールが届き、Neuron誌に驚くべき論文が掲載されることを知りました。2011年 10月 20日の Neuron誌に載るようですが、オンラインでは一足早く紹介されています。

 Neuron

ONLINE EARLY: New Gene Identified as Major Cause of Familial ALS and FTD
Two independent groups have identified a repeat expansion in C9ORF72 as the underlying genetic defect on chromosome 9p21 responsible for frontotemporal dementia (FTD) and amyotrophic lateral sclerosis (ALS).

Renton et al. A Hexanucleotide Repeat Expansion in C9ORF72 Is the Cause of Chromosome 9p21-Linked ALS-FTD

DeJesus-Hernandez et al. Expanded GGGGCC Hexanucleotide Repeat in Noncoding Region of C9ORF72 Causes Chromosome 9p-Linked FTD and ALS

上記二本の論文の内容ですが、筋萎縮性側索硬化症 (ALS) 及び前頭側頭型認知症 (FTD) に関係する遺伝子が同定されました。それは C9ORF72という遺伝子のイントロンでの、GGGGCC 6塩基反復配列です。2つのグループから独立に報告されているので、かなり信頼性がありそうです。

Rentonらの論文を読んだので、簡単に紹介します。要旨は下記。

・過去に報告されていた chromosome 9p21に locusを持つ ALS-FTD家系を調べたところ、C9ORF72の第1 exonの 63塩基セントロメア側に GGGGCC 6塩基反復配列を同定した。
・フィンランドの 402名の ALS患者、478名のコントロール群を用いた解析では、ALS患者 113名 (28.1%), コントロール群 2名 (0.4%) で、この反復配列を認めた。ALS患者でみると、家族性 ALS患者の46.4%, 孤発性 ALS患者の 21.0%にこの反復配列を認めた
・6塩基リピート数は、ALS群で平均 53 (30-71), コントロール群で 2 (0-22) だった。
・北アメリカ 198名、ドイツ 41名、イタリア 29名の家族性 ALS患者についても調べたが、この遺伝子異常は 102名 (38.1%) に見られた。
・FTD患者 75名についても調べた。進行性非流暢性失語症 6名、行動障害型認知症 16名、合計 22名 (29.3%) でこの変異が見られた。22名中 8名にはALSの家族歴があった。
・C9ORF72の RNAは脊髄や小脳など神経系に広く検出された。ALS患者と健常者の前頭葉皮質の組織での RNA発現量は同程度であった。

6塩基リピートというと、神経内科医が思い浮かべる疾患があります。トリプレット・リピート病と呼ばれる、3塩基リピートを来す疾患群です。しかし、同じリピート病といいながら、C9ORF72の場合は 6塩基リピートというのが興味深いです。

ALSの病因研究に関して大きく一歩進んだ印象ですが、未解決の問題は山ほどあります。例えば、元々 chromosome 9p21に locusを持つ ALS患者で同定された C9ORF72ですが、この haplotypeを持たない ALS患者でも C9ORF72の異常が見つかっているのは何故なのかは、わかっていません。また、表現促進現象 (anticipation) があるのかないのかもわかっていません。C9ORF72の RNA発現量が各神経組織でそれほど変わらないのに何故 ALSでは運動野の神経細胞を中心に脱落するのかも謎のままです。

未解決の問題が一つずつクリアされ、一日も早く治療法が開発される日が来ることを願っています。

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最終講義

By , 2011年9月21日 10:13 AM

「最終講義 (坪内祐三解説、実業之日本社)」は高名な学者達の最終講義をまとめたものです。そこに収録されている講義のうち、沖中重雄教授による「内科臨床と剖検による批判」の章を読みました。

講義は剖検の重要性についてから始まります。そして、どのようなときに剖検を受諾されやすく、どのようなときに断られやすいかが述べられます。例えば剖検を承諾した理由として、欧米では死因を知りたい、病気の知見を他人に役立たせたいというのがほとんどで、医師への謝意と答えた人は 3%しかいないそうですが、日本では医師に対する謝意が重要な役割を果たしていることが示されます。実際、入院期間が長く医師との人間関係が構築される方が剖検率は高くなるそうです。

各論では、それぞれ領域における誤診率と、いくつかの例が示されています。ただしこれらの誤診率はかなり厳しい基準によるものです。第一の基準は臓器の診断を誤ったもの、第二の基準は臓器の診断は正しいけれども病変の性質の誤診、第三は悪性腫瘍に関するもので原発巣の診断を誤った場合、とされています。以下、簡単に要約してみます。

1. 神経疾患
82例のうち 15例の誤診例があり、18%の誤診率である。脳腫瘍を血管障害、炎症性病変と誤診したものが多かった。

2. 循環器疾患
55例中 7例で 12.7%の誤診率。動脈瘤に関する誤診が多かった。

3. 腎臓疾患
60例中 7例で、11.6%の誤診率。腎盂腎炎、腎癌に関するものが多かった。

4. 肺疾患
77例中 13例で 16.8%の誤診率。肺癌の見落としが多かった。

5. 血液疾患
118例中 12例で 10.1%の誤診率。悪性リンパ腫と白血病の誤診が多かった。

6. 消化器疾患
126例中 15例で 11.8%の誤診率。胃癌の見落としが多かった。

7. 肝・胆道疾患
106例中 20例で 18.8%の誤診率。肝硬変に合併した小肝癌の見落とし、転移性肝癌と診断したものが原発性肝癌であったもの、肝癌と診断したものが胆道癌であったものなど。

8. 膵臓疾患
17例中 7例で 41.1%の誤診率。膵頭部癌がほとんどだった。

9. 感染症・膠原病
60例中 10例で 10%の誤診率。放線状菌性髄膜炎→多発性根神経炎、クリプトコッカス髄膜炎→結核性髄膜炎、全身性結核性病変・内分泌器官の病変→非定型エリテマトーデス、全身性汎血管炎→Hodgkin病疑いなどの誤診があった。

10. その他
49例中 5例で 10.2%の誤診率。Sheehan症候群など。

これらをみると、画像診断を始めとする診断技術の未発達な時代に、すごく低い誤診率であると思います。病歴、診察所見、限られた検査所見でここまで診断をつけていたことに敬服します。逆に我々は画像診断学の発達した社会にいますが、それによって生まれた疾患概念も多くありますので、ピタリと診断を当てるのはいつの世も難しいことに変わりはありません。内科医がずっと追求していかないといけないことです。

この講義のまとめの部分「書かれた医学は過去の医学であり、目前に悩む患者のなかに明日の医学の教科書がある」は重い言葉です。胸に抱いて日々の臨床、研究を行いたいと思います。

 そういうふうないろいろなことを考えますと、診断というものがいかにむずかしいものであるか、こういうことを自分としては経験するほど、そのむずかしさを感じます。簡単にみえる症状の病気を診る場合でも、かえって診断に対して非常な恐怖心をいだき、むずかしいなにかがそこに潜んでいるかという心配をいたしますので、臨床というもののむずかしさをますます感じているというのが現状であります。

それにしても平凡なことですが、いつも正確な既往歴 Anamneseをとる、これをなんべんも読み返すことが大切です。それから、これは学生諸君にとくに申しあげるのでありますが、精細な臨床検査、ことに bed sideでの緻密な観察、検討というものをたえず怠ってはならないと思います。同一の患者を診る場合にも、毎日新しい患者を診る気持ちで観察していかなければなりません。

なにもむずかしい検査をいつもする必要はないのですが、少なくともそれに頼る前に、頭と目と手で簡単な検査道具を使って、よく患者を診ることがいつも大切です。

病理でやってもらえばわかるんだ、外科であけてもらえばわかるんだ、そういう安易な気持ちは、われわれ内科医としては夢にももってはいけないとわたくしは思います。あくまでも自分で考えて、それで診断をしていく。学生諸君に先輩として、わたくしはそういうことを申しあげるのであります。よく考える医師になっていただきたいのです。

時間もそろそろまいりましたので、この非常に平凡な結論になりまして、先輩・同僚の各位にとりましては誠に申しわけのない話しになりました。しかし学生諸君にとりましては、なにがしかの教訓になったことと、わたくしは教師として、また先輩としてそう信じております。

自分は、なお元気でございますので、将来とも自分の経験知識をできるだけ活かして進んでいきたいと思いますが、どうか次の時代をになわれる学生諸君、若い方々に、こんごの勉強をお願いし、大成を祈ってやまない次第でございます。

ここで、わたくしはこの「最終講義」を終わりにしたいと思いますが、最後に一言、学生諸君に申しあげておきたい言葉がございます。これはわたくし自身がつくったものではありませんが、わたくしがこれは非常にいい言葉だと思って、なにかのときにメモしておった先覚者のいわれた言葉だと思いますが、その言葉を、学生諸君にお伝えして、わたくしのこの最後の講義を終わりたいと思います。

それは”書かれた医学は過去の医学であり、目前に悩む患者のなかに明日の医学の教科書の中身がある“というのです。もう一度申しますが、”書かれた医学は過去の医学であり、目前に悩む患者のなかに明日の医学の教科書がある“-少しオーバーな言い方かもしれませんが、しかし、わたくしはそういうことを諸君に述べまして、このわたくしの最後の、八百二十回目の講義を終わりたいと思います。

長らくご静聴ありがとうございました。(鳴りやまぬ拍手)

この講義で、長崎大学の病理学の松岡教授を「りっぱな数字をだしておられます」として好意的に扱っています。私の叔母、旧姓が松岡で、親が長崎大学の病理の教授だったと聞いています。こんな有名な講義で登場するなんてびっくりしました。

(参考)

私の履歴書 沖中重雄

医学の進歩と医の倫理

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第35回日本神経心理学会総会

By , 2011年9月17日 12:25 PM

9月 15~16日、宇都宮で開かれた日本神経心理学会総会に行ってきました。心理士の方が中心のためか、若い女性の多いなかなか楽しい会でした←何かが間違っている・・・。

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中枢の病理

By , 2011年9月2日 7:48 AM

2011年 1月頃、新潟脳研のサイトで中枢の病理が勉強できるとお伝えしました。

もう一つ、勉強になるサイトを見つけました。

東京都医学研 脳神経病理データベース 脳の細胞病理

中枢神経の病理を理解するために必要なことをわかりやすく書いてありますので、神経内科専門医試験を控えた方など、活用して頂ければと思います。

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J-CAN2011

By , 2011年8月28日 12:00 AM

8月27日、J-CAN 2011「α-synucleinopathy: update」という研究会に行ってきました。10:00-18:30までみっちりでした。

個人的には、[11C]BF-227 PETや iPS細胞、バイオマーカーとしての脳脊髄液のα-synucleinの話が面白かったです。

一点気になったのは、多系統萎縮症 (MSA) の原因遺伝子の話。数週間前に北海道大学から、重要な論文が出ていたのですが、多くの研究者が「遺伝子さえわかれば・・・」と発言しており、その論文を知らない感じでした (誰も言及した研究者がいなかったので、質疑応答でこの論文について質問しようかと思ったのですが、大御所達のオーラに負けた私は小さくなって黙っていたのでした)。

Copy number loss of (src homology 2 domain containing)-transforming protein 2 (SHC2) gene: discordant loss in monozygotic twins and frequent loss in patients with multiple system atrophy

読んだのが少し前なので若干忘れた部分もありますが、この論文の要旨は、

①一卵性双生児で、片方が発症して片方が発症していない兄弟の whole genomeを調べた。
②3カ所の Copy number lossを認めた。
③そのうちで、subtelomereにある 19p13.3に注目した。なぜなら、subtelomereは欠失や重複の起きやすい部位だからである。
④孤発性 MSA患者 (MSA-p11名, MSA-c 22名) で、19p13.3を調べたら、33名中10名で Copy number lossを認めた (MSA-p, MSA-cなど、表現形に統計学的な有意差はなかった)。正常コントロールでは異常を認めなかった。
⑤Copy number lossのあった部位には SHC2, HCN2, MADCAM1, FGF22といった遺伝子が含まれるが、その中でもモデルマウスで神経系の異常を引き起こすとされる SHC2が原因であると考えた。しかし、SHC2以外の遺伝子も神経系への関与が疑われている。

というものでした。今の時代、GWASとか盛んに行われていますが、Copy number variationは塩基配列の異常を伴わないので、盲点になりやすいのですね。

MSAの発症メカニズムは良くわかっていませんが、この論文が示したように遺伝子異常が明らかとなり、候補となる蛋白質がわかれば、研究がずっとしやすくなります。

MSAでは病理学的に oligodendrogliaに異常が見られることが有名ですが、SHC2が oligodendrogliaでどのような役割をしているかとか、oligodendrogliaの蛋白とどのような相互作用をするかとか、或いは MSAで出現する glial cytoplasmic inclusion (GCI) の主要構成蛋白である α-synucleinとどう関係しているかと考えると、ワクワクしてきます。

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