Category: 医学と医療

木越洋のチェロがうたうコンサート

By , 2010年12月2日 7:23 AM

尊敬する先代の教授ラロー先生 (仮名) と二人でコンサートに行ってきました。奥様の都合が悪くチケットが一枚余ったので私に白羽の矢が立ったのでした。

Continue reading '木越洋のチェロがうたうコンサート'»

Post to Twitter


医学英語

By , 2010年11月29日 6:53 AM

科学論文を書く際、表現方法は非常に大事です。例えば、「certainly」、「likely」、「perhaps」などの言葉はそれだけで確かさをある程度規定し、使い方を間違えると、内容が変わってしまうこともあります。

他にも細々とした決まりがあるので、英語圏の大学教授も、科学英語の勉強会に参加することが珍しくないと、どこかで読んだ記憶があります。

細かいことはちょっとずつ勉強していくしかないのですが、解説がわかりやすく、楽しく勉強できるサイトを見つけましたので紹介しておきます。

NEJMを越えてゆけ!

Post to Twitter


Dabigatran承認

By , 2010年11月26日 6:48 AM

11月 17日のブログでお伝えした新しい抗凝固薬、Dabigatranがついに国内でも承認される見通しとなりました。なお、新薬の場合、発売後 1年間は 2週間処方のしばりがありますので、恩恵を受けるのはもう少し先になるかもしれません。

Continue reading 'Dabigatran承認'»

Post to Twitter


ワルファリンの代替薬 納豆が食べられる時代が来るのか?

By , 2010年11月17日 7:16 AM

心房細動などの不整脈は、脳卒中の原因となり得ます。側副血行路が発達していない状況で、突然心臓から大きな血栓が飛んできますので、重篤な脳卒中となることが多いです。亡くなった小渕総理も心原性脳塞栓症だったのではないかと言われています。そのため、患者さんによっては予防的にワルファリンでの抗凝固療法が必要となりますが、心房細動がある場合、一般的には CHADS2 scoreに基づいて適応を決めます。

ところが、ワルファリンは毎日一定量飲んでいても、効き目が安定しません。そこで定期的に採血をして INRが目標値付近になるように、投与量を調整します。更に、薬物相互作用が強い、納豆が食べられなくなど、不自由な点がいくつかあります。

こうしたことから、代替薬が求められ、いくつか開発されてきました。最初にアストラゼネカが開発した Ximelagatranが良い線まで行ったのですが、肝障害で開発中止。続いて、数年前のブログで書きましたが Dabigatranに注目が集まりました。最近、Rivaroxabanという薬も登場してきて、ニュースとなっています。

The drug war to replace warfarin

どうやら、Rivaroxabanもワーファリンと同等以上の効果がありそうだとわかりました。Dabigatranは 2回/日なのに対して、Rivaroxabanは 1回/日で良いそうです。ただし、出血した際に半減期が短い方が有利なこともあるので、1日 1回が良いか 2回が良いかは微妙です。

記事を読むと、ワルファリンと比較する限り、Dabigatranの方が、Rivaroxabanより若干効果ありそうですが、両者を直接比較したスタディがないので、head to headでガチンコ対決させないと、どっちの方が効くかはわからないようです。Dabigatranはベーリンガーから、Rivaroxabanバイエルとジョンソン&ジョンソンから販売になりそうです。

あと数年かかるでしょうが、販売となる日を首を長くして待ちたいと思います。

外来やっていて、ワルファリン飲んでいる患者さんに毎月の採血で苦情言われることはないのですが、「納豆食べたい」って懇願されること、意外と多いのですよね。

(参考)
内科開業医のお勉強日記-第Xa因子阻害剤 rivaroxaban 治験: ATLAS ACS-TIMI 46 Trial-
NM online-抗トロンビン薬に続き抗Xa薬も続々と-

Post to Twitter


蘭学事始ツアー

By , 2010年11月10日 7:13 AM

週間医学界新聞に、江戸蘭学ゆかりの地を巡る「女子医大・蘭学事始ツアー」の記事が載っていました。

女子医大・蘭学事始ツアー

本文中にある蘭学事始の裏話など、面白いですね。「蘭学事始の地」碑の横に「慶應義塾開塾の地」碑が並んでいることにビックリしました。

それにしても、この魅惑的なツアー・コース、デートで歩んだら振られるのだろうなぁ・・・。

Post to Twitter


ペースメーカーと神経伝導検査

By , 2010年10月20日 7:08 AM

医局の抄読会があり、どの論文にするか結構考えたのですが、Muscle & nerve誌に面白い論文を見つけ、これにしました。Muscle & nerve誌は、タイトルだけは全部チェックするようにしてますが、面白い論文が時々あります。

Continue reading 'ペースメーカーと神経伝導検査'»

Post to Twitter


街を歩く神経心理学

By , 2010年10月9日 8:35 AM

「街を歩く神経心理学 (高橋伸佳著、医学書院)」を読み終えました。神経心理学コレクションの中の一冊です。

本書では、地理的障害について詳細な検討を行っています。まず概論を述べた後に、脳血管障害などでの脳損傷症例、次いで functional MRIなど機能画像検査を通して、機能局在その他を明らかにします。高次脳機能の領域では、オーソドックスな検討の仕方ですが、その実際のプロセスを興味深く読ませて頂きました。

地理的失認の分類法はいくつかありますが、本書は「街並失認」「道順障害」に分けます。

①街並失認
街並失認は、熟知した街並 (建物・風景) の同定障害です。右紡錘状回前部~舌状回が責任病巣と考えられています。また、新規の街並の記憶には海馬傍回後部が関与しているようです。この部位が傷されると記銘の障害によって新規の場所での街並失認が起こるかも知れません。
街並の記憶は右側頭葉前下部に蓄えられ、視覚情報と記憶の照合は右側頭極で行われるのではないかと推測されています。
相貌失認の責任病巣は紡錘状回後部~舌状回にかけてで、街並失認の病巣のやや後方ですが隣接しているので、両者は合併することがあります。
街並失認の原因は、後大脳動脈領域の脳梗塞が多く、障害は半年~数年続くことが多いようです。

②道順障害
道順障害は熟知した地域内の2地点間の方角定位障害で、視空間失認の一型です。
責任病巣は主として右側の脳梁膨大後皮質 (Brodmann 29, 30野)、後帯状皮質 (Brodmann 23, 31野) 後部、楔前部下部にあり、新規の場所での道順障害の出現では帯状回峡部の役割が重要であるそうです。道順の記憶がどこに蓄えられるかは、コンセンサスが得られていません。著者らは、海馬を含む頭頂葉内側部は新たな記憶の形成には関与するが遠隔記憶の再生には重要ではなく、頭頂葉内側部が重要なのではないかと考えているようです。
線維連絡の考察からは、脳梁膨大後皮質は記憶そのものに関係し、後帯状皮質は認知された視空間情報を記憶に結びつける処理に関係しているのではないかと推測されています。
道順失認の原因は、脳梗塞、脳出血が多いようです。障害の持続期間は街並失認と比べて短く、数ヶ月~半年くらいが多く、病巣が両側性だと症状は持続性です。

脳梗塞などで地理的障害が生じるのは圧倒的に男性が多いのですが、男性では女性に比べてこの能力が発達しているため、脳のある部分に機能を集中して効率良く処理させている可能性があります。そのため、その部位の損傷で障害が生じるようになるのかもしれません。

本書には「アルツハイマー病患者はなぜ道に迷うのか 」(道順失認の要素が大きい) や「ロンドンのタクシードライバー」といった面白いコラムもあります。興味を持った方は是非読んでみて下さい。方向音痴への対策としては「交差点など方向を決めるポイントとなる場所にあるランドマークに注目し、それと進むべき方角と結びつけて記憶すること」が有効であるなど、実生活で役に立つ話も書いてあります。

Post to Twitter


英語の紹介状

By , 2010年10月6日 7:15 AM

海外から検査のため来日して、以後海外で再び治療を続けたい患者さんを担当していました。退院時に英語で紹介状を書いて欲しいと言われ、どうやって書こうか結構考えました。参考になるサイトがあったので紹介。

英語の紹介状(つよぽん医学講座その4)

英語の紹介状 Ver.2(つよぽん医学講座その4-2)

こうしたものを参考に、自分で書いたのがコレ。正しいかどうかわかりませんが、大体のニュアンスは通じる筈ですので、英語で紹介状を書く必要があるときは参考にして頂ければと思います。

 

英文紹介状の例August XX, 20XX

To whom it may concern,
Mr. Beethoven is a ○○-year-old male, who has complained amnesia and visual symptoms since 20XX. He was admitted to our department on August X, 20XX. His neurological examination was unremarkable. Brain MRI showed global brain atrophy, non-specific white matter lesions and sinusitis. There was no abnormal intensity on diffusion weighted image (DWI). Laboratory data were normal including vitamin B1, B12, folic acid, thyroid function, ammonia and treponema pallidum hemagglutination test. Brain cerebral blood flow SPECT showed hypoperfusion in bilateral parietal lobes, occipital lobes, medial aspect of frontal lobes and posterior cingulate gyrus.

Consequently, we examined his cognitive function. The result of mini-mental state (MMS) was ○ points and that of revised Hasegawa dementia scale was ○ points (full marks 30 points). His full scale intelligence quotient (IQ) was ○ (verbal IQ ○ and performance IQ ○). He showed mild impairment in color word conflict test (so called “stroop test”) and frontal assessment battery (FAB). By contrast, he showed significant impairment in Rey’s auditory verbal learning test (RABLT), Rey’s-Osterrieth complex figure test (ROCFT), Symbol digit modalities test (SMDST) and Wisconsin card sorting test (WCST). Visual perception test for agnosia (VPTA), created in Japan, showed remarkable impairment of his visual function.

Finally, he was diagnosed as posterior cortical atrophy (PCA) because his impairment was remarkable in visual function. As the cause of PCA, we suggested that he was visual variant of Alzheimer disease because of moderate global cognitive impairment and hypoperfusion of posterior cingulate gyrus in SPECT. Diffuse Lewy body disease was excluded because he had no parkinsonism and hallucination. Creutzfeldt–Jakob disease was also excluded because his course was mild and brain MRI showed no abnormal intensity on DWI.

We administered Donepezil hydrochloride (the trade name Aricept) since August XX, and will raise this from 3 mg to 5 mg on August XX. He should receive laboratory check for side effect after about two months.

I am confident that when Mr. Beethoven seeks medical attention at your clinic, he will receive appropriate care. If you have any questions concerning the detail of his therapy, please feel free to contact me at the e-mail address below.

Medication: Aspirin (Bayaspirin) 100 mg/day, Donepesil hydrochloride (Aricept) 5 mg, Magnesium oxide 1 g

Yours sincerely,

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
Migunosuke, MD.
miguchi@miguchi.net
Yopparai university, School of medicine
Department of neurology
81-3-xxxx-xxxx (extended number xxxx)
x-x, Docokade-cho, Yopparai-ku, Tokyo, Japan
Post code xxx-xxxx
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

Post to Twitter


続・将棋思考プロセス研究

By , 2010年10月3日 2:34 PM

以前、将棋思考プロセス研究について報告しましたが、続きの課題を受けるため、10月1日に理化学研究所に行ってきました。

検査は将棋の問題を解きながら fMRIを受けるというもの。MRIは 4Tであり、病院で一般的に使われる 1.5Tと比べてかなり磁場の強いものでしたが、検査を受けていて特に不具合は感じませんでした。

MRIの機械の中に 90分間入り、ひたすら問題を解き続けたのですが、詰め将棋を瞬時に解くのは非常に難しかったです。プロ棋士達が如何に優れているか痛感しました。

私が医師と言うこともあり、検査が終わった後、T1WIでの解剖画像を見せて貰いました。磁場が強いため、副鼻腔内の含気からのアーチファクトが非常に強かったのが印象的でした。

今回のスタディの狙いについて色々教えて頂きましたが、他のソースで公表されていないので、内容は書きません。もう少しオープンになったらお伝えしようと思います。尚、以前お伝えした課題については論文投稿中のようです。

Post to Twitter


死者の護民官2

By , 2010年9月14日 1:33 AM

さて、いよいよホジキン病の本題に入っていきます。1832年に「内科外科学会誌」がホジキンの論文「吸収腺および脾臓の病理所見について」を出版しました。ホジキン自らが経験した 6例と、パリのルゴールが診療した 1例を加えた計 7例の病理所見を纏めたものです。この疾患は、全身のリンパ節が腫脹する、結核とは別の病態でした。

Continue reading '死者の護民官2'»

Post to Twitter


Panorama Theme by Themocracy