Category: 医学と医療

AAN2010

By , 2010年4月27日 6:46 AM

米国神経学会 2010が 4月 10~17日に開かれたようです。その時の様子を紹介しているブログを紹介しておきます。海外の学会に参加できなかった者としては、非常に貴重な情報です。

Neurology-AAN2010 TOPICS-

幅広い分野に渡って聞いていらっしゃったようです。以前このブログで紹介した CGRP受容体アンタゴニストもトピックスでしたね。ALSに対する幹細胞移植も気になります。ALSは治療している方も胸が痛くなる病気なので、何とか治療法が開発されないかと思っています。

東北大学大学院医学系研究科 多発性硬化症治療学寄附講座ブログ-第52回米国神経学アカデミー(AAN)-

主として多発性硬化症についてでした。これから続々と新薬が出てきそうな勢いです。インターフェロンより効果が見込める薬がいくつかありますが、それなりに気になる副作用も知られています。この辺をどうクリアしていくかでしょうか。Neuromyelitis optica (NMO) は日本に多いですが、海外に少ないためか、あまり話題にならなかったようです。

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膀胱結石手術図

By , 2010年4月26日 9:30 AM

マラン・マレー (1656-1728) に「膀胱結石手術図」という曲があります。知る人ぞ知る作品です。

マレーの時代は、膀胱結石手術の治療成績は悪かったらしく、手術はかなりの割合で死を意味しました。抗菌薬や無菌法もなかった時代です。麻酔も行われていなかった筈です。

「膀胱結石手術 -バロック期の標題音楽集 (WPCS-5989)」 という CDをアーノンクールが出しており、そこにこの曲は収録されています。ライナー・ノーツに語り手の台詞の日本語訳がありますので紹介しておきます。

Le Tableau de I’Operation de la Taille

[index I]
手術の様子
それを見て震える
手術台に登ろうと決心する
手術台の上まで行き
降りてくる
真剣に反省
腕と足の間に
絹糸が巻きつけられる
いよいよ切開
鉗子を挿入する
石が取り出される
声も出ない
血が流れる
絹糸がはずされる
寝台に移される

[Index 2]
快癒 (陽気に)

[index 3]
その続き

この曲は Youtubeで演奏を聴くことができます。

・Le Tableau de l’Opération de la Taille

・Marais – Le Tableau de l’Opération de la Taille

いかにもおどろおどろしい曲で、手術が成功に終わってもあまり明るさはありません。どちらかというと安堵感の方が表現されていると思います。

ちなみに上記の CDには、他に「常軌を逸したカルパッチョ (ファリーナ)」「フェンシング指南 (シュメルツァー)」「描写的なヴァイオリン・ソナタ (ビーバー)」「協奏曲 <夜> (ヴィヴァルディ)」が収録されています。

特に「常軌を逸したカルパッチョカプリッチョ」は面白い曲なので寄り道して紹介しておきます。この曲は動物の鳴き声を楽器で模倣するなど一見やりたい放題です。しかし音楽史上に残る貢献をいくつもしているんですね。まず、コル・レーニョという奏法で、弦を弓の木の部分で叩くテクニックはこの曲で初めて登場します。曲中の指示は「qui si batte con il legno del archetto」となっているようです。また、ヴァイオリン奏者が楽器の駒の近くを弓で弾く「ポンティチェッロ」もこの曲で初めて用いられました。

ヴィヴァルディの「」もお薦めです。良かったら聴いてみてください。

(2016.8.15)

動画リンクが上手く表示されなかったので貼り替えました

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3秒で心電図を読む本

By , 2010年4月26日 7:53 AM

「3秒で心電図を読む本 (山下武志著、メディカルサイエンス社)」を読み終えました。岩田健太郎先生のブログで紹介されていた本でした。

楽園はこちら側-3秒で心電図を読む本-

心電図というと、学生時代に心電図の教科書を読んで、ミネソタ・コードの一部まで覚えようとして結局身に付かなかった苦い経験がよみがえります。でも医者になってから経験を積むうちに、循環器疾患は「放っておいて危険かどうか?」を判断することがまず大事であることに気付き、それから心電図アレルギーがなくなりました。要するに、心電図をマニアックに読んで診断をつけなくても、大丈夫そうかどうかがわかれば、循環器医以外はまず困らないわけです (経験的な話です)。

本書で勉強になったのは、QRSの解釈の仕方やST-Tの扱いです。無症状例での疑陽性、有症状例での偽陰性リスクを考えた ST-T変化の扱い方は必読ですね。これらを知ると、過剰診断をしたり、放っておくと危険な心疾患を見逃したりしにくくなるのではないかと思います。

書評は、上記の岩田先生のブログが素晴らしいものですので、是非御覧になってください。私がそうであったように、読みたくなるかもしれません。心電図を 3秒で読めるようになるかどうかは別として、本書は 3時間くらいで読むことができる、「優しい」本です。

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若年性Parkinson病

By , 2010年4月20日 1:09 PM

2009年 10月に講演を聞いて紹介した内容が論文になったのですね。一部のParkinson病の発症機序が明らかになった訳で、根本的な治療法が開発されると良いですね。ただ、何故ミトコンドリア機能異常で脳の他の細胞ではなく「黒質」のドパミン産生細胞が特別に傷害されるのかは未知のままです。謎を解いても、まだ謎は山積みです。

若年性パーキンソン病の発症メカニズム解明 都研究機構など 遺伝子変異が原因

4月19日23時58分配信 産経新聞

40歳以下で発症する神経変性疾患「若年性パーキンソン病」の発症メカニズムを解明したと、東京都の外郭団体「都医学研究機構」が19日、発表した。遺伝子変異により細胞内に異常なミトコンドリアがたまるのが原因という。同日発行の米科学誌「ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー」に掲載される。

パーキンソン病は手足の震えなどの運動障害が起き、進行すると歩行もままならなくなるなど日常生活も困難になる難病。国内に15万人近い患者がおり、高齢で発症することが大半だが、若年性も全体の約10%ある。海外の著名人では米俳優のマイケル・J・フォックスさんや元ボクシング世界王者のムハマド・アリさんらも罹患した。

同機構の都臨床医学総合研究所によると、若年性パーキンソン病の発症メカニズムには定説がない。原因遺伝子はいくつか報告されており、これまでにパーキンソン病のあるタイプでは「Parkin(パーキン)」や「PINK1(ピンク・ワン)」という遺伝子に変異が起きると若年で発症することが知られていた。

同研究所は、順天堂大と共同でこれらの遺伝子を調べた。その結果、両遺伝子は協調してミトコンドリアの品質保持を担っており、そのメカニズムが壊れることで、不良品のミトコンドリアが神経細胞内に蓄積し発症することが分かったという。同研究所は「治療法開発の突破口になる画期的研究だ」としている。

 

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医学用語の起り

By , 2010年4月17日 12:04 PM

「医学用語の起り (小川鼎三著、東京書籍)」を読み終えました。我々が普段用いている医学用語には様々な歴史があることをまざまざと知りました。日本での多くの用語は杉田玄白らによる「解体新書」、大槻玄沢による「重訂解体新書」から生まれていますが、用語を作り出す時の事情も面白かったです。著者は非常に博学で、日本古来の医学書などを広く参考に考察しています。日本語にルーズになっている我々がこのような研究をすることは困難だと思うし、このような書籍という形で研究が残されたのは非常に価値があることと思います。また、著者は日本古来の医学書のみならず、海外の解剖学書を広く読んでいることも、この本を読み進めていくうちに良くわかります。読んで面白かった部分を抜粋して要約しておきます。気に入った方は是非購入して読んでみてください (とはいえ、中古本でもなかなか手に入り辛くなっているかもしれませんが)。

・瞳孔は英語で「pupil」である。「pupil」はラテン語の「pupilla」に起源がある。「Pupilla」は「Pupa」の縮小詞で女の孤児、「Pupillus」が「Pupus」の縮小詞で男の孤児を意味するらしい。この語は小さな人影が瞳孔に映ることが関係しているようだ。しかし、それ以前にギリシャ語のコーレ (χ’opη) が既に女の子供と同時に「ひとみ」を意味していたらしい (※ここからは私の推測だが、よく「isocoria」などという表現をするが、「coria」はコーレに由来するのだろうか?) (瞳孔)

・「医」は「醫」の略字である。「酉」の部分は元々「巫」(巫は舞をもって神おろしをなす象形文字で、从は舞うときの両袖の形、工はその舞に規矩があることを示すらしい) であった。「酉」は「酒」の意であり、医師が呪術から酒を用いて病人を治すものに変わったことを示すと推測される。しかし、「医者が酒を多く愛するから」とする説もある。「醫」の字の「医」の部分は「弓矢を蔵する器」という意らしく外科用語を意味すると思われる。「殳」の部分は兵庫の上から人を遠ざける用具であり、病気を払いのける道具として解釈され得る。(醫という字の分析)

・「膣」という字は、元々「肉が生じる」という意味であった。大槻玄沢はそれとは違った意味でこの語を用いようと思い、「シツ」と読むと定義した。しかし、この漢字には元々「チツ、チチ」という読みはあっても「シツ」という読みはなく、「チツ」として定着したという。(膣)

・解剖学者ヴェサリウスは著したファブリカで、第2頚椎をアトラス (athlas) と名付けたようだ。しかし、17世紀半ばのオランダのヴァン・ホルネらにより、第1頚椎をアトラスと呼ぶことになったらしい。Axisは元々第1頚椎の意で名付けられた。しかし、後に第2頚椎に用いられるようになった。 (捧宇内のこと)

・元気という用語は後藤良山 (1659-1733) に始まったのではないかとされている。彼の口術を門人が筆記したという「病因考」に「元気」という語が登場する。水腫の治療に温浴を推賞して、「元気を固むるやうにすべし」とあり、現在と用いられ方は違う。現在のような用いられ方の古い例は近松門左衛門の「淀鯉出生滝徳」の「三条の元喜と申す医者で、めっきり元気が見えました」に見られる。どうやらこの頃から慣用的に用いられ始めたようである。一方で、「病気」という語は中国の「史記」の倉公伝に「其の色を望むに病気あり」、日本の「保元物語」に「左府御病気の由聞こえしかば」などとあり、よほど古いらしい。(元気と病気)

・梅毒はヨーロッパからまず広東に伝わった。それから沖縄を経て瞬く間に日本に伝わったようだ。日本で唐瘡、琉球瘡と呼ばれたのは伝来の方向を示しているらしい。梅毒は当時楊梅瘡と呼ばれたが、梅瘡と略す人たちもいたらしい。楊梅はヤマモモの意味である。江戸中期に香川修徳は、楊梅と梅は甚だ異なるので、「楊梅瘡」を「梅瘡」と呼ぶのは不適切であると「一本堂行余医言」の黴瘡の項に著した。その後、明治26年に東京大学に初めて講座制が布かれたとき、皮膚病黴毒学 (ばいどくがく) という講座が出来た。黴毒と同音であったので、一般に梅毒という語が定着したようだ。しかしこの言葉の紆余曲折を考えると果たして正しい用語なのかどうか・・・。 (楊梅瘡と黴毒、梅毒) (※梅毒の歴史も参考にしてください)

・口腔の「腔」の字は正しくは「コウ」と発音すべきだが、「孔」や「口」と区別できないので、間違いが起こりやすい。そのため、医者は必ず「クウ」と読むべきであると昭和初期の用語委員会で決まった。 (口の奥、のどの二構造・・・口蓋垂と喉頭蓋)

・橈骨は「トウコツ」と発音するが、大槻玄沢が初めてこの骨名を「重訂解体新書」で用いたときは、「ジョウコツ」と読ませるつもりだった。しかし「撓」という似た字を「トウ」と読むため、みんな「トウコツ」と呼ぶようになったようだ。杉田玄白の「解体新書」では、尺骨を「撓臂骨 (ドウヒコツ)」、橈骨を「直臂骨 (チョクヒコツ)」と名付けた。 (鎖骨と橈骨)

・バセドウ病を見つけたバセドウは発疹チフスの患者を死後剖検し、自分も感染して 1854年4月に 54歳で死亡した。一方で、橋本病を発見した橋本策も腸チフス患者を診察し、自分も感染し 1934年1月9日に 52歳で死亡した。 (バセドウ氏病)

・狭心症 Angina pectorisについて。ラテン語の anginaは動詞の angere (狭める、圧縮する、締め付ける、苦しめる) と連関する名詞で、語源的にはギリシャ語の agkhoneと関係があるという。 (狭心症 (その一))

・ギリシャ語で軟骨はコンドロス (chondros) であり、コンドロイチンなどが派生した。コンドロスの元々の意味は、日本の粥のようなもので、西洋ではオートミールや、その材料であるひきわり麦などを指したらしい。ラテン語では cartilagoすなわち果肉の意であり、いずれにしても柔らかいものを指す。 (軟骨)

・解剖という語は非常に古い。中国最古の医典である「黄帝王内経」の霊枢の経水篇に「其の死する解剖して之を視るべし」とある。 (解剖の学と生象の学)

・Prostataというギリシャ語起源の名称は、紀元前から用いられたが、対象物は一定せず、今日の定義に合うものはデンマークのバルトリンが最初に記載した。尚、バルトリンは父子孫三代に渡って解剖学者であったらしい。「解体新書」では Prostataはキリイル (腺) とのみ述べられ、大槻玄沢により摂護腺と呼ばれるようになり、以後ずっと摂護腺とされた。しかし、昭和になり「漢字が難しい」「意味が不明瞭である」との批判で前位腺と暫定的に改められ、昭和24年4月の「解剖学用語 (丸善発行)」で「前立腺」と改められた。 (摂護腺から前立腺へ)

・イギリスのガイ病院はトーマス・ガイ (Thomas Guy) が私費を投じて設立した。ほぼ同時代にブライト病の Richard Bright(1789-1858)、アジソン病の Thomas Addison (1793-1860)、ホジキン病の Thomas Hodgkin (1798-1866) が活躍し、この三人は「The great men of Guy’s」と呼ばれたらしい。 (ガイ病院を訪ねて)

・「解体新書」の原本「ターヘル・アナトミア」には松果体は記載されているが、下垂体は載っていない。デカルト (1596-1650) が脳の精神作用に松果体の存在と働きを重視したことが関係している? (下垂体と松果体)

・第三脳室、第四脳室という語はあるが、第一、第二というのがあるのか気になる。Paul Terra著の “Vademecum anatomicum” (解剖学名集, 1913年) によると、右側脳室が第一、左側脳室が第二とある。しかし、放射線医学では伝統的に左を先にとるため、左側脳室を第一脳室、右側脳室を第二脳室と呼ぶのである。このようにややこしいので、現在では第一、第二という呼び方は付けず、単に右側脳室、左側脳室と呼ぶ。第五脳室は左右の透明中隔の間、第六脳室は Verga腔だが、厳密には脳室ではない。

・長崎の通詞本木良永 (蘭皐) がオランダ語の天文学を訳して、1744年に「天地二球用法」を書き、日本に初めて地動説を紹介した。その本木良永は木村蒹葭堂の「一角纂考」の成立に尽力した。一角とはナルワルという鯨の一種の一本だけのびた長い牙で、江戸時代には貴重な薬とされたようだ。日本最古の図入り百科事典として有名な寺島良安著の「和漢三才図会」にも一角 (ウンカフル) についての記載がみられる。また、一角の牙だけを見た人々が想像を膨らませ、神話と結びついて一角獣が生まれたという。 (一角の話 (その二))

・東大医学部の初代解剖学教授の田口和美は「解剖攬要」を著した。明治二十年に留学した際、渡航、滞在費の全てをこの印税でまかなったらしい。

※ギリシャ語やラテン語の表記で、記載の仕方がわからなかった文字については、近いアルファベットで表記してあります。可能であれば原著で確認ください。

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多発性硬化症ガイドライン

By , 2010年4月15日 11:04 PM

2010年 3月 31日付けで「多発性硬化症治療ガイドライン 2009」が出たようです。東北大学大学院医学研究科多発性硬化症治療学寄附講座で紹介されていました。

多発性硬化症治療ガイドライン2009

2008年夏頃には、確か2008年の秋頃出ると言われていたんですよね。多発性硬化症治療ガイドライン2009と言いながら 2010年春のこの時期に出たのは、視神経脊髄型に対するとらえ方に議論があるのが原因ではないかと邪推してしまいます。元々、Neuromyelitis opticaをどう捉えるかについて、東北大学と九州大学でかなりスタンスが違い、激論が展開されています。東北大学は抗アクアポリン4抗体に多くの原因を求め、九州大学はそんな単純なものではないとしています。色々な意見があるのは学問では良いことですが、ガイドラインを作る上では落としどころが難しかったのかもしれませんね。

このガイドラインでは、治療だけでなく、多発性硬化症の分類におけるこれまでのいきさつや診断基準なども冒頭にわかりやすく纏められています。172ページと長いので、最初の 20ページくらいをざっと読んで、あとはそれぞれの治療薬について結論だけ斜め読みするのがいいのではないかと思います。

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By , 2010年4月12日 12:05 PM

教師が嘘の安全日を教えて、教え子が次々と妊娠した話があるそうです。人生設計滅茶苦茶ですね。この話を読んで憤りを感じました。

河野美代子のいろいろダイアリー-「私と性教育」②うその安全日を教えたために。-

この一連のエントリーの最後 河野美代子のいろいろダイアリー-「私と性教育」④問題発言がきっかけとなって。- に「妊娠する性を持っている女性は自分の体に、妊娠させる性をもっている男性は女性の体に責任をもて、これが基本です」とあるようですが、至言ですね。

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動物の脳採集記

By , 2010年4月10日 11:34 AM

「動物の脳採集記 キリンの首をかつぐ話 (萬年甫著、中公新書)」を読み終えました。萬年先生は神経解剖学の大御所です。教育者としても業績が大きく、弟子から多くの教授を輩出しています。本書は彼が解剖学研究に打ち込んでいたときのこぼれ話を集めた本です。

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はじめてのメタアナリシス

By , 2010年4月4日 2:08 PM

「はじめてのメタアナリシス (野口善令著、福原俊一監修、健康医療評価研究機構)」を読み終えました。小冊子ながら、メタアナリシスのエッセンスが簡潔に纏めてあり、さくっと読むことができました。

メタアナリシスとは、同じテーマの論文を集めて統合して解析する研究手法です。多くの研究を総合的に解釈できるため、エビデンスレベルは高いと考えられています。しかし、質の高いメタアナリシスにするために、統合する前の研究の同質性が問題になってきます。また、セレクションバイアスやパブリケーションバイアスといったバイアスが出来るだけ入らないようにしなければいけません。

本書では、メタアナリシスの概念を説明し、どのような研究がメタアナリシスにふさわしいか概説しています。さらに実際にメタアナリシスをやってみせながら解説していきますので、その過程でどうやってバイアスを処理していけばよいのかが実感を持って理解できます。

薄くて軽い本で持ち運びに便利ですので、通勤の電車の中でお勧めの一冊です。

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花粉症ワクチン

By , 2010年3月27日 7:49 AM

花粉症に悩まされる私としては朗報です。今は抗ヒスタミン薬を内服していますが、花粉が酷いと症状が出てしまうし、かといって抗ヒスタミン薬の量を増やすと眠くなってしまうという板挟み状態です。このワクチンが完成すれば悩みから解放されます。

花粉症根治薬、8年後にも実用化=鳥居薬品と共同研究開始-理研

理化学研究所と日本たばこ産業(JT)グループの「鳥居薬品」(東京)は25日、理研が開発したスギ花粉症ワクチンの実用化に向けた共同研究を開始すると発表した。研究成果を臨床応用に生かすための仕組みを整備し、2012年に臨床試験を始め、18年の実用化を目指す。
このワクチンは、アレルギー反応の原因となるスギ花粉の主要な抗原たんぱく質2種類に、抗体反応を抑える化合物を遺伝工学的手法で融合させたもの。マウスの実験では効果が確認されており、花粉症シーズン前に摂取すれば、症状を引き起こさない初の根治薬として期待されている。
実用化には治験や生産など製薬会社の協力が必要だが、市場がほぼ国内に限定されることや、予想される薬価が低いことなどから、提携先を見つけることが難しかった。(2010/03/25-18:53)

余談ですが、抗ヒスタミン薬の臨床試験はかなり過酷です。密室に人を入れて、上から花粉をばらまいて、実薬群とプラセボ群を比較するというもの。このワクチンの治験も同じようなことをするのでしょうか、それとも日常生活での症状で比較するのでしょうか。ちょっと気になります。

さて、このワクチンが実用化されれば、積極的に受けたいという方がたくさんいそうです。私もその一人。楽しみにしています。それにしても、2012年治験開始、2018年実用化が目標って、まだまだ先の話ですね。途中でボツになる薬も多いだけに、順調に製品化されて欲しいです。

(参考)
理化学研究所プレスリリース

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