豚の方は落ち着いてきましたが、懸念されるのは鳥インフルエンザ。致死率が高すぎます。
国立感染症研究所の高病原性鳥インフルエンザ情報を見ていると、中国、ベトナムに続いてエジプトで流行が見られるのがわかります。
かなり心配して見ていたのですが、いなか小児科医様のブログで、興味深いニュースが紹介されていました。
『鳥インフルエンザウイルスにとってヒトの鼻腔は寒すぎる
鳥インフルエンザ(H5N1)ウイルスにとって、ヒトの鼻腔内は温度が低すぎることが明らかにされた。このウイルス株がこれまでヒトの間で拡大しにくかったのはそのためではないかと科学者らが報告している。
英インペリアル・カレッジ・ロンドンおよび米ノースカロライナ大学の研究グループによると、鳥インフルエンザウイルスは40℃前後の鳥の消化管内で増殖するが、通常ヒトへの最初の感染部位である鼻腔内の温度は約32℃である。実験の結果、この低温の環境では鳥インフルエンザ株は成長および増殖することができず、近辺の細胞を効率的に死滅させることもできないことが示されたという。
また、研究チームがヒトインフルエンザウイルスに鳥インフルエンザ株由来の蛋白(たんぱく)を追加して特殊な突然変異ウイルスを作製したところ、この株も32℃では生存および成長が困難であった。このことから、鳥インフルエンザウイルスがヒトの鼻腔に容易に感染するには少なくとも2回以上の変異が必要であることが示されるという。この知見は、オンライン医学誌「PLoS Pathogens(病原体)」5月15日号に掲載された。
当面、鳥インフルエンザの日本での流行はなさそうですが、その前に準備しておかないといけませんね。
タミフルやリレンザの備蓄(鳥インフルエンザにどこまで効果があるかわからないけど)、トリインフルエンザ・ワクチンの量産の準備、豚インフルエンザで露呈した対策の不備の修正など、やらなければならないことがたくさんあるはずです。
インフルエンザ騒動で、どこでもマスクが品切れなのだそうです。
Idatenという感染症メーリングリストで知ったのですが、WHOがマスク使用に関するアドバイスを出しています。一部紹介しておきます。
Advice on the use of masks1 in the community setting in Influenza A (H1N1) outbreaks
Advice on the use of masks in health-care settings is accompanied by information on additional measures that may
have impact on its effectiveness, such as training on correct use, regular supplies and proper disposal facilities. In the community, however, the benefits of wearing masks has not been established, especially in open areas, as opposed to enclosed spaces while in close contact with a person with influenza-like symptoms.
Nonetheless, many individuals may wish to wear masks in the home or community setting, particularly if they are in close contact with a person with influenza-like symptoms, for example while providing care to family members. Furthermore, using a mask can enable an individual with influenza-like symptoms to cover their mouth and nose to help contain respiratory droplets, a measure that is part of cough etiquette.
Using a mask incorrectly however, may actually increase the risk of transmission, rather than reduce it. If masks are to be used, this measure should be combined with other general measures to help prevent the human-to-human transmission of influenza, training on the correct use of masks and consideration of cultural and personal values.
医療環境下ではマスクの使用で感染を減らすことが出来るようですが、町中でマスクをつけても感染を減らすことが出来るという根拠はないようです。更に、不適切な使用で感染が増えることがあります (不適切な使用が具体的に何なのか明記はされていませんが、インフルエンザウイルスの付いた手でマスクの口の部分を触ってしまったりなどと推測します)。
1ヶ月くらい前、先輩の子どもがインフルエンザに罹患しました。弟が罹患したので、兄と弟にマスクを付けていたら、途中で兄が弟のマスクを付けていたのに気付いたのだとか・・・。幸い、兄は罹患しなかったそうですが。
このアドバイスの中で、WHOは人混みを出来るだけ避けることを推奨していますが、東京のサラリーマン、勤務医はそうはいきませんね。満員電車でぎゅうぎゅうに押し込まれて身動きもままになりませんし、冬は関東で新型インフルエンザが大流行するかもしれません。
5月 17日 (日) に「リアルタイムPCR手技 完全マスター 実技講習会」に参加してきました。学際企画のセミナーで、講師は防衛医大法医学の高田雄三先生でした。池袋駅から近く、開始も 10時とやや余裕があったので、当直先から参加することが出来ました。
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5月9日(土)
「はりやこいしかわ」先生は朝食抜き。どうやら前日飲み過ぎてしまったようです。この日は午前 9時から講義開始でした。Goldstein先生は、前日に引き続いての講義。なかなかハードな日程です。全部というわけにはいきませんが、興味深かった発表をいくつか紹介。
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5月8日(金)
午前11時にセミナーが始まりました。どの発表も面白かったのですが、エッセンスをいくつか、ごくごく簡単に紹介しておきます。
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昨日、ついに豚インフルエンザが Phase 5となりました。パンデミックを意味する Phase 6も視野に入ってきました。
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海外でブタインフルエンザが流行の兆しを見せているのだとか。ゴールデンウィークに海外旅行を計画している方には心配な話ですね。
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将棋の女流タイトル戦が対局者の出産のため延期となりました。女流棋士ならではですね。
更新: 2009年4月14日 19:25
株式会社 毎日コミュニケーションズ、社団法人日本将棋連盟、一般社団法人日本女子プロ将棋協会(LPSA)の三者で共催する女流公式棋戦「第2 期 マイナビ女子オープン」の五番勝負倉敷対局(第1局)として4月17日(金)、岡山県・倉敷市芸文館にて開催を予定しておりましたが、挑戦者 岩根忍女流二段(28歳)の出産予定日が当初より2週間ほど早まり4月21日となりましたことから、岩根女流二段の体調を考慮し、第1局の延期および倉敷での対局を中止することになりましたのでご報告いたします。
本日、岩根女流二段から、「主治医との相談の上、出産日を4月21日に変更することになった」という報告を受け、主催者3 者で倉敷対局での中止を協議、アルスくらしき(倉敷市文化振興財団)の理解と両対局者の同意を得て、正式に倉敷対局を中止することを決定いたしました。第1局は岩根女流二段の出産後、8週間以上の期間をあけての対局となります。
主催者コメントは以下になります。
「出産予定日が当初より早まったことを受け、岩根女流二段には安心して出産できる環境を整えることが最も重要だと判断し、中止の決定をいたしました。今般の変更に伴い、矢内女王には、第1局の対局延期の申し入れに際して、ご快諾いただけましたことを心より感謝いたしております。また、ファンの皆様、関係者の皆様にも直前の延期でご迷惑をお掛けいたしますが、ご理解をいただけますようお願い申し上げます。」
昔、一緒にカルテットを組んでいたチェロの方が、連絡取れないと思ったら妊娠してました (私の子供じゃないです)。身重のまま医師国家試験を受診し、直後に出産したと聞きました。妊娠のタイミングというのは難しいですね。ただ、今回の第 2期マイナビ女子オープンのように、主催者側の理解が得られたのは良かったことだと思います。でも、8週間以上経って対局があった場合、子供はどうするんでしょう?預けるのか対局に連れてくるのか気になるところです。今後の経緯を注目したいです。
現在、後輩医師が 2人同時に妊娠し、その分の人手が手薄になっています。そのせいか、もう 1人の女医が気を遣って妊娠のタイミングを待っているなんて噂を聞きました。デリケートな問題です。
医師の当直 (宿直)は、ほとんどの施設で違法のまま運営されています。すなわち、夜間数回の巡回程度の勤務で睡眠が確保されていることでのみ労働基準監督署から宿直許可が下りているものの、実際には時間を問わない救急対応が主な仕事です。一方で、救急を受け入れられなくて叩かれるところを見ると、世間からは上記に定義される当直ではなく、一般勤務として見られているようです。法的には、当直で救急患者に対応することにはなっていないのですが、救急患者に対応するため交代勤務性が組める病院はほとんどありません。大学病院でもそうです。
このような実態に光が当てられようとしています。とはいっても、本当に正しく運営することになると、夜間に救急医療を行える病院は都内でもかなり減ることになるでしょうし、数人の医師で医療を支えている地域では不可能です。どこかで落としどころを見つけるにしても、患者からの医療機関へのアクセスは、さらに悪化する可能性があります。
難しい議論なのですが、舛添厚生労働大臣が意欲を示している旨があるブログに記されていました。パンドラの箱になるのではないかと言われています。下記サイトを紹介しておきます。
産科医療のこれから-勤務医の宿直についての議論 梅村聡議員 in 参議院厚生労働委員会(>▽<)!!!
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