勤務中に不動産屋から電話がかかってくることがあります。私が研修医の頃は、勤務先の病院のみならず当直先にもかかってきていました。
大学病院のときには交換台から「○○病院の△△さんから電話です」とかかってきて、電話に出ると「先生、税金対策にマンションはどうでしょうか?」
他院で当直のときには、夜間受付から「当直の先生に」と電話が回されて、電話に出ると「先生、税金対策にマンションはどうですか?」
更に自宅でも、どこで知ったのか携帯電話に「先生、お住まい近くの環七の××というラーメン屋おいしいですよね。ところで税金対策に・・・」
これが診療中か否かにかかわらず週に何回かあり、マンションを買う意思がないこと、迷惑だからかけてこないで欲しいことを何度も伝えたのですが、全然改善されないので邪険に扱ったら、「ぶっ殺すぞ。今からテメーのところ行くからな。」なんて本性を現してきました。
最近は病院側がガードを堅くして取り次がないようにしたので電話はめっきり減り、携帯電話については相手の電話番号を登録して着信拒否にすることでかかってこなくなりました。
私だけかと思ったら、他の複数の医師に聞いても、同じような状態だったようです。脅し方まで(笑)。Bermuda先生もブログで取り上げています(コメント欄も面白いです)。
毒舌ドクターBermudaの三角形な気持ち-マンション-
どうやら関西の不動産屋数社がやっていることのようで、一部上場の会社まであるのですから、世の中わからないものです。こういうのって、ネット検索するとひっかかりますから、不動産会社を選ぶ前には調べた方が良いかも知れません。
以前紹介した、ピアニストの慢性疼痛。「Hingtgen CM. The painful perils of pianists: The chronic pain of Clara Schumann and Sergei Rachmaninov. Semin Neurol 19: 29-34, 1999」から、Clara Wieck Schumann について書かれた部分を読んでみましょう。
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偶然、滋賀医科大学名誉教授の横田敏勝氏のサイトを知りました。私は以前、シューマンの手についてこのブログに書いたことがありますが、横田氏も「芸術の中の痛み」という連載など、私の興味ある分野で色々書かれているようです(氏の「音楽家の “使いすぎ症候群”」というエントリーでは、シューマンにも触れています)。
氏の「痛みの世界史」というコラムを読むにつけて、一度お話したかったとの念を強くしました。しかし、残念。平成 17年 2月 14日に、腎臓がんで急逝されたそうです。ただ、幸いなことに横田先生の書かれた文章を読むことが出来ますので、紹介しておきます。
滋賀医科大学名誉教授 横田敏勝先生
今回紹介する論文は、慢性疼痛を持ったピアニスト二人についてです。その偉大なピアニストとは、「Clara Wieck Schumann (1819-1896)」と「Sergei Vassilievich Rachmaninov (1873-1943)」です。Clara Schumann は Robert Schumann の妻としても知られています。Sergei Rachmaninov は、有名なロシアの作曲家でありピアニストです。彼のピアノ協奏曲を扱った「Shine」という映画を覚えている人も多いと思います。
論文「Hingtgen CM. The painful perils of pianists: The chronic pain of Clara Schumann and Sergei Rachmaninov. Semin Neurol 19: 29-34, 1999」には、この二人の慢性疼痛について詳細に記載されています。
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先日、当直で HIV/AIDSの症例を経験しました。
症例は 60歳くらいの男性。初診で一過性の意識消失で搬送されてきたのですが、診察すると軽度の意識障害が残存しているようでした。他に神経学的に異常所見なく、採血で CRP 10 mg/dlと炎症反応の上昇と軽度の肝・腎機能障害が見られました。髄液、尿検査、胸部レントゲン、頭部 CTなどのスクリーニング検査で異常がなかったので、敗血症に伴う意識障害を第一の鑑別として、血液培養を提出。念のため HIV抗体を提出して入院としました。
エンピリカルに抗菌薬を使用して様子を見ていたら、翌日血液培養からグラム陰性桿菌が検出され、後日 E. coli と判明しました。入院数日して、HIV抗体も陽性であることが判明しました (B型肝炎、梅毒の重複感染あり)。CD4陽性リンパ球数は 47 /μl と著明に減少し、ウイルス量も30万copy/mlと増加していました。その方は、専門施設に転院されました。
その他に、研修医時代に結核を合併した AIDSの若年男性を診たことがありますが、近年患者数が増加し、HIVは臨床現場でも身近になってきています。感染症専門医でなくても、最低限の知識が求められます。
そこで、国立国際医療センターのサイトでラーニングプログラムがあり、結構勉強になるので紹介しておきます。
国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター HIV/AIDS eラーニング・プログラム
以前紹介した、横田智之氏のサイトで、リレンザの開発についての話が書いてありました。時々、氏のサイトを訪れるのですが、本当に良い仕事をされた方だと思います。
私はタミフル開発には関与していないが、一時期、リレンザの開発に関与したことがある。 リレンザは NA抑制剤としてタミフルよりも早く見つけられた薬剤である。 NA蛋白の X線による三次元構造解析により、NAの立体構造モデルを元に分子設計するという新しい手法によって合成された薬である。 1983年に Natureに合成の経緯と抗ウイルス活性を報告したオーストラリアの Von itzsteinらの論文は非常に注目された。タミフルを合成した研究者はノーベル賞をもらえないが、Von itzsteinはノーベル賞候補になっておかしくない。 私は彼が日本に来た時に親しく酒を酌み交わしたことがある。 リレンザはイギリスの製薬企業のグラクソ・スミスクラインで薬として市場に出された。 その後、この薬をまねて作られたのがタミフルである。 リレンザは水溶性に難があり、ヒトへは噴霧により直接ウイルスの増殖部位である気道、肺へ投与される。 一方、タミフルは経口薬として開発された。 副作用のことを考えるウイルス増殖部位にのみ投与する方が良いが、経口薬という手軽さが受けて、タミフルが市場では受け入れられている。
果たしてタミフルは H5N1に有効であろうか。 私はリレンザでヒト以外のインフルエンザウイルスを用いて抗ウイルス活性を測定したことがある。 それは馬インフルエンザウイルスを用いてである。 馬インフルエンザウイルスも時に大きな流行を起すことがある。 日本では 1971年に大きな流行があり、この年の 12月から翌年の 2月の東京での競馬レースにも大きな影響が出たほどである。 馬インフルエンザウイルスにはヒトと異なる H7N7、H3N8の二つの株が知られている。 リレンザはこの二つの馬インフルエンザウイルスの増殖をヒトのウイルスと同様に抑制した。 このことは NA抑制剤であるリレンザがヒトのインフルエンザウイルス以外の異なる N、Hタイプのウイルスも抑制することを示し、今流行している H5H1ウイルスにも有効性を示す可能性を示唆しているが、果たしてタミフルはどうなのであろうか。(060219記)
それにしても、リレンザが馬インフルエンザにも効くとはびっくりです。馬は体が大きいですから、どのくらいの量を使用するか考えただけでも大変そうですけどね。
以前、シューマンの手<1>と題し、Henson氏らによる後骨間神経麻痺説を元に、長々とシューマンの手の障害の検討をしました。
実は、その後、1991年の Annals of Hand and Upper Limb Surgery という雑誌にシューマンの右手についての論文が掲載されました。Henson氏らの論文とは別の視点から検討しています。
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雑誌「Newton」の 2009年 2月号の特集は、「細胞」でした。大学時代に習ったことをわかりやすく書いており、懐かしく読みました。
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某製薬会社の社員による薬のプレゼンテーションを見ていたときのことですが、ペンみたいなのを操作するだけで、スライドが進んだり戻ったりしていたのです。「スゲー!」と思って聞くと、パワーポイント専用のレーザーポインタがあるのだとか。
近くの電気屋に行っても置いてなかったのですが、コクヨのサイトで売っていました。
コクヨ S & T 株式会社 -パワーポイント対応タイプ-
プレゼンテーション中にスライドが進みすぎてしまって、戻し方がわからなくなってオタオタする演者を時々見かけますが、これがあれば、そんな心配はいらなさそうですね(※コクヨのサイトで買うより、ネットで探すともう少し安く買えるところがありそうです)。