Joint hypermobility
音楽家にとって、関節が軟らかいことはメリットなのでしょうか?単純に考えれば、指は開きそうだし、良いことずくめな感じがします。
世界最高峰の医学雑誌の一つ、New England Journal of Medicineに気になる記事が載っていました。発表したのはロチェスター医科大学らのグループです。
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音楽家にとって、関節が軟らかいことはメリットなのでしょうか?単純に考えれば、指は開きそうだし、良いことずくめな感じがします。
世界最高峰の医学雑誌の一つ、New England Journal of Medicineに気になる記事が載っていました。発表したのはロチェスター医科大学らのグループです。
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皆様、書いた論文の英文校正どうされていますか?
結構お気に入りのサービスを見つけたので紹介します。
実は、最近、英文校正の証明書が必要な国内の雑誌に投稿したのです。英文校正といってもたいしたものではなく、せいぜい Abstractと legendくらい。全部で 150語前後の英文でした。
先輩の医師が教えてくれた F社にまずお願いしました。日本の会社です。ところが、この校正がかなりひどいものでした。普段読む英語の医学雑誌で見慣れない表現のオンパレードに訂正されていました。一流英文誌の構文を下敷きに、単語を変えて作った英文も変に直されていて、絶対私の英語の方が正しいと確信していました。
英文校正の証明書が必要なので、校正の疑問な点を含めて、F社に手紙を書きました。そうしたところ、「言われたとおりに全部直して欲しい。納得いかないところがあったら、校正者に英語で手紙を書いて欲しい。」と言われました。
実際に手紙にすると、おかしな点が多すぎて、手紙だけで短い論文一本分くらいになってしまいます。日本語で手紙書くのならともかく、英文で手紙を書くには手間が多すぎます。「日本の会社に交渉するのに、いちいち英文で手紙なんて書いてられるか」って。そこで F社をあきらめました。
それで見つけたのが、Editageという会社。この会社のサイトを見ると、NatureやScienceといった一流雑誌に投稿された論文の校正もしているようです。
見積もりは 1時間以内。午後 4時にお願いした論文は午後 11時に校正が終了してメールが届きました。どっちでも良いような表現は、「気にいらなかったら無視してくれ・・・」という注釈付き。
F社の校正に対して私がおかしいと指摘した部分は、もちろん私の文章がそのまま生かされていました。さらに、医学用語のスペルミスを F社は見落としていましたが、Editage社はきちんと指摘してくれました。これは、校正者が普段医学論文を読み、その用語に慣れている証だと思います。
ただ、2カ所表現に納得いかなかったので、校正者に手紙を書きました。ただし・・・英文で。でも、2カ所だけだったので、短い手紙ですみました。
数時間後にメールが来て、私の主張を認めて貰えて、英文校正証明書も PDFで手に入りました。見積もりをお願いしてから、英文校正証明書が手に入るまで1日半。早いでしょ?
料金は、F社が10000円ちょっとで、Editageが1000円弱 (6円/語)。料金のところに、「1語からでも受け付けます」とあって、安いだけでなく、お茶目です。
結局F社で満足したのは、電話対応してくれたお姉様の声が綺麗だったことだけでした。先輩も、「やっぱりだめだな」と、Editageに乗り換えると言っていました。
この会社は、今後も英文校正や英語でのポスター作成に重宝すると思います。
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(注) 私はEditage社とは何の利害関係もありません。上記はあくまで個人的体験で、トラブルがあっても責任は負えませんのでご了承ください。
ヴァイオリンを演奏する姿勢は、人間の体の作りから見ると、どう考えても不自然です。さらに、頸の部分に常時楽器が押しつけられます。上手な演奏家は脱力しているので、素人に比べて少し負担は軽減するかもしれませんが、その分練習量が多いので、どこまで負担が減るかはわかりません。
で、何が言いたかったかというと、頸に押しつけられたヴァイオリンのせいで左頸動脈の動脈硬化が促進される可能性があるということです。そんな論文を見つけたので紹介します。
Kibata M, Nozaki R. Battle for violin exercise promotes “Carotid Plaque”? J Atheroscler Thromb 14: 151, 2007
15年間以上ヴァイオリン演奏を続けている 57歳の男性が、左頸動脈 plaqueと左頸動脈狭窄を指摘された。部位は bifurcationで、plaqueの IMT厚は 3.8mmだった。左内頸動脈の開存率は 40.4%だった。右頸動脈に異常はなく、左頸動脈でも他の部分の血管に異常はなかった。患者には、他に動脈硬化のリスクファクターはなかった。左側だけの高度動脈狭窄の原因はヴァイオリン演奏のせいだと考えられる。
論文のタイトルが疑問符になってるのは、可能性までしか指摘できないからでしょう。1例だけでは結論は出ないでしょうね。
もし、プロのオーケストラに協力して頂けるなら、ヴァイオリニストに片っ端から頸動脈超音波検査をして、動脈硬化の左右差を調べたいところです。左内頸動脈の動脈硬化は、優位半球の脳梗塞につながるリスクにありますから、特にきちんと調べた方が良いでしょうね。そうしたことで、この研究には意義があると思います。もし、協力して頂けるオーケストラをご存じな方がいらっしゃったら、連絡をください。
これはきちんと研究すべき課題だと思っています。
11月13日に、第9回ニューロトピックス21に参加してきました。その研究会では、鹿児島大学の有村公良先生が、「抗VGKC抗体症候群の新しい展開」と題した、素晴らしい講演を聞かせてくださいました。理解できた範囲で紹介しようかと思います。
今回は、「パガニーニの手」について語ってみたいと思います。
ヴァイオリン演奏史に燦然と輝く巨匠パガニーニ (1782-1840年)。彼は新たな奏法をそれまでの伝統に加え、彼が残した「24のカプリス」は、バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ」が旧約聖書と呼ばれるのに対し、新約聖書と呼ばれることがあります。更に、ヴァイオリン以外の楽器の演奏家にも影響を与え、リストやシューマン、ブラームス、ラフマニノフらが、彼の曲を編曲したり、彼の曲を主題とした曲を発表しています。そうした曲を集めた CDを聴いて、改めて彼の凄さを感じます。私は、「ラ・カンパネラ」をクライスラーが編曲したものを練習したことがありますが、「ラ・カンパネラ」は彼のヴァイオリン協奏曲第 2番第 3楽章に対してつけられた名前で、ピアノ用にリストが編曲したものが有名です。
演奏を得意とした作曲家の手の特徴は、作曲される曲に反映されることが多いように思います。リストの住んでいた家に行ったとき、彼の手から型を取った彫像があったのですが、非常に大きなものでした。リストの曲は手が大きい方が弾きやすいことは、ピアニストにとっての定説です。ラフマニノフはマルファン症候群という説がありますが、病気により手が大きかったため、彼の曲も手が大きい方が弾きやすいと思います。ヴァイオリン演奏においては、サラサーテは手が小さい方が弾きやすく、パガニーニは手が大きい方が弾きやすいと言われています。では、パガニーニは手が大きかったのか?それについてもこれから検討したいと思います。
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過酷な産科の労働環境。ある産科医が、自分の身の回りの過労死 2人について書かれています。2人とも 30歳代の医師。胸が痛みます。
その日も、病院で夜遅くまでお仕事をなさっていました。
術後の患者さんが落ち着くのを見届けた後、
0時過ぎから論文の添削を始めたところまでは、他の医師が見ていました。
翌朝、出勤してきた同僚医師が、医局で倒れている先生を見つけた時には
既にお亡くなりになっていたそうです。
(中略)
その日、彼女は当直でした。
翌朝、交代で当直に来た若い先生が当直室に入ると
彼女は机にうつ伏せになった状態で、亡くなっていたそうです。
大きな悲鳴を聞いて、一番に駆けつけた人が
何と過労で入院中の、彼女の上級医師でした。
その先生は、自分が休職したからだと自分を激しく責め、
入院先も変えた上に、退職されてしまいました。
残った同じ科の先生たちも、全員がご自分を責め続けています。
ボンでベートーヴェンハウスを見学したとき、彼のデスマスクを長いこと眺めていたものでした。
ベルリンの森鴎外記念館では、鴎外のデスマスクがあり、その解説文に「デスマスクを残した科学者たち (原田馨)」という論文から引用された文章が使われていました。
帰国して、その論文が気になっていたのでネットで検索したところ、化学史研究という雑誌であることがわかりました。
早速論文 (原田馨. デスマスクを残した科学者たち. 化学史研究 24: 226-231, 1997) を取り寄せて読んでみました。
そもそもデスマスクの起源は、13世紀頃から王侯の死像が彼らの石棺の上につくられていたことに由来し、そのために写実的な死面を得るのに 16世紀に粘土を使ったデスマスクをつくるようになったようです。その後、美しい像に仕上げられた墓碑芸術という文化になった一方、故人を直接写した分身としてのデスマスクも生み出され、後者がベートーヴェンであったり、森鴎外だったりする訳です。
この論文で紹介されているのは、筆者が実際に写真に収めた 7名で、5例は本来のデスマスクなのに対し、1例は大理石像、1例は油絵です。
・ウィリアム・カレン
スコットランドの化学者であり医師でした。神経組織の重要性を認識し、neurosisという言葉は彼の造語であるそうです。また、化学史について書いた最初の人だとも言われています。
・ユストゥス・リービッヒ
ドイツの化学者で、「化学理論」、「応用化学」「化学技術」などの発展に貢献したそうですが、私は聞いたことのない化学者です。
・ロベルト・ブンゼン
ドイツの化学者で、ブンゼンバーナーやブンゼン電池、水流ポンプ、熱量計などを開発し、キルヒホッフとともにスペクトル分析法を創始したそうです。
・ルドルフ・ウィルヒョウ
医師にとってはおなじみの病理学者です。「すべての細胞は細胞から」という言葉はどこかで聞いたことがある人もいるでしょう。彼の業績です。ウィルヒョウの師はシュワン (シュワン細胞などで有名) で、その師がミュラーです。
私が訪れたベルリンのシャリテ (旧大学病院) でも、ウィルヒョウは神の如く祭られ、彫像があったり、通りに名前が付けられたりしていました。
彼について面白いエピソードがあるので紹介します。「彼は医学者であると共に、政治的には自由主義者であり、プロイセンのビスマルクの政治に激しく抵抗した。怒ったビスマルクは何度もフィルヒョウに決闘を申し込んだが、フィルヒョウは遂に武器を取らなかった。」
・エルンスト・ヘッケル
動物学者で、「個体発生は系統発生を繰り返す」との命題を繰り返したそうです。
・エルヴィン・シュレーディンガー
物理学者として非常に有名です。私も以前彼の「生命とは何か」を読み、感銘を受けたものです。シュレディンガー方程式の名前も、物理学を勉強したことがあれば聞いたことがあるでしょう。
・森林太郎
森鴎外です。日本人には説明はいらないかもしれません。私はベルリンでこのデスマスクに触れることが出来ました。
以上、論文を紹介してきましたが、原田馨先生には同じ雑誌に「絵を残した科学者たち」という論文もあり、取り寄せたのですがパストゥールが 15歳の時に両親をスケッチした絵などが収録されており、こちらも楽しめました。
化学史研究という雑誌には、「宇田川榕菴と生化学」という論文もあり、こちらも取り寄せて、これから読むところです。この雑誌に多数収録されている魅力ある文献についても、今後機会があれば読んでみたいと思います。
「しゃっくり」は医学的には吃逆といいます。
吃逆について、「神経内科」という雑誌で面白い論文がありました。
神経内科では、多発性硬化症や脳幹梗塞などで、しつこい吃逆への対応を迫られることあります。これまで私はクロナゼパムなどを処方していたのですが、より優れた治療法が紹介されていました。面白い論文なので、是非原著を読んでみてください。日本語ですし、すぐに読めます。
以下、「逸見祥司, 砂田芳秀. 吃逆. 神経内科 66: 152-157, 2007」より抜粋して紹介します。
吃逆は「横隔膜の収縮と同期して声門が閉鎖する反射運動の一つ」と考えられており、「声門の閉鎖は横隔膜の収縮による吸気運動の開始から35msec以内に始まり、最大1秒持続する」ことが知られています。吃逆の中枢は延髄網様体にあるとされています。
神経内科医が良く目にするのは、中枢性の吃逆で、延髄の多発性硬化症や脳梗塞などですが、中枢性吃逆には他に代謝性や薬剤性などがあります。薬剤性の吃逆としてαメチルドパ、バルビツレート、デキサメサゾン、ジアゼパム、プラミペキソール、ペルゴリドなどの報告があるそうです。また、中枢性に対して末梢性吃逆も知られおり、吃逆の反射弓の求心路や遠心路の障害で起こると考えられています。
論文では実際の治療としては、身体刺激療法、薬物療法、神経ブロックが紹介されていました。身体刺激治療は民間療法とさして変わりません。舌牽引、外耳道圧迫、炭酸飲料を飲む、眼球圧迫、頸動脈洞圧迫などです。薬物療法としては、バクロフェン(15-45mg/day)が第一選択とされています。有効率が95%とする報告もあるようで、実験的にも確立しています。わたしが良く使用するクロナゼパムも一つの選択肢として認められていました。抗てんかん薬ではバルプロ酸やdiphenylhydantoinも効果があるようです。巷で良くジアゼパムを処方するのを見かけますが、ジアゼパムで吃逆を誘発した報告があり、適当ではないようです。
これまでは、クロナゼパムで困ったことはないのですが、バクロフェン内服も検討してみたいと思います。
郡山時代のボスに、「柿のへた」を煎じて飲むのが有効だとする民間療法を聞いたことがありますが、文献には紹介されていませんでした。
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