Category: 医学と医療

病院を受診するときに

By , 2007年7月8日 12:53 PM

外来をしていて、困ることがあります。他院かかりつけの患者が、情報無く来院したときです。半分近くの患者が、内服薬を答えられず、治療に難渋します。併用禁忌の薬を処方すると医師の責任が問われるので、実質、薬を処方できません。更に、ジェネリック医薬品ブームで、同じ薬でも病院毎に商品名が違う場合があります。このようなケースでは、患者が気付かず、2倍量の薬を飲んでしまう可能性もあります。自分の病名を答えられない患者も何割かいる印象です。

そのため、一般人向けに、受診する上での最低限の常識、裏話を記載してみたいと思います。

1. どの病院を受診するのか?-大病院のメリット・デメリット-
専門的治療が必要な場合は、大病院が望ましいと思います。専門的な医師が充実し、検査を含め専門的な医療が行えるメリットがあります。また、急を要する病態に成り得る疾患の場合、入院ベッドがある病院の方が良いでしょう。とはいえ、政府の医療費抑制政策のおかげでベッドが足りず、かかりつけでも大病院に入院できないケースは、いくらでもあるので注意が必要です(注意しようもないのですけど)。

よく知られたことですが、大病院では、待ち時間が長くなります (需要と供給のバランスの不均衡が原因ではないかと思います)。新患で受診する場合は特にです。新患は予約の合間に診察する場合が多いのですが、病院に余力があれば、新患担当医を設けている場合もあります。予約診療の場合、だいたい一人当たり 5-10分で枠がとられています。そのため、全員が余り込み入った話はしにくいのですが、病態の悪化や、癌や難病の告知で時間を要する患者がいた場合、病態の落ち着いた患者の診察時間を短めにして時間を作ります。

色々相談したいといった場合、開業医の方が地域にも密着していますし、良いでしょう。大病院では、せっかく医師と信頼関係を築けたとしても、医師の異動が激しい現実があります。

待ち時間を考えた場合、風邪で大病院を受診するメリットはありません。風邪薬は多くの場合気休めですし、どうせ同じ薬を貰うなら、待ち時間の少ない診療所の方が良いでしょう。実は、病院で貰う薬と全く同じ薬のいくつかは薬局で普通に買うことができ、胃薬のガスターなどが有名です。その場合は保険はききませんが。

大学病院などではモルモットにされるという神話が昔あったようですが、都市伝説に近いものだと思います。ただ、医療は万能ではないので、ある程度の try and errorというプロセスは、不可欠の方法論です。大学病院で治療手段のない患者に対して、エビデンスの確立していない治療を行う場合が多々ありますが、十分なインフォームド・コンセントがなされるのが普通です (このインフォームド・コンセントって無料なんですよね。飲み屋の女性ですら話すだけで高い金を取るっていうのに!)。研究に関して言えば、医療崩壊に伴って、日本の病院では研究に時間を割く医師が激減しています。先の暗い話です。

2. 病院間の医師の質の違い
開業する場合、ある程度診療経験を持ってから開業するのが普通なので、大病院の外来医より開業医の方が診療経験が豊富な場合が多々あります。大病院の診療科長レベルまで勤め上げ、多くの医師を指導してきた実力ある医師が開業するケースもあります。医院やクリニックなどでは、ネットで医師の略歴を掲載してある場合もあるので、その医師の専門も含めて参考になると思います。

3. 新しい病院にかかるとき
他にかかっている病院があるときには、紹介状を持って受診しましょう。正確な医学病名、既往歴、臨床経過、内服薬は重要です。昔は、「よろしく」としか書いていない紹介状を持たせる医師もみかけましたが、病診連携が進み、改善されてきています。

4. いざ受診して
「いつからどのような症状があるのか」をわかりやすく伝えましょう。出来るだけ自己判断を事実に含めないようにしましょう。医師が得る情報で、最も重要なのは患者の話です。何が必要で何が必要でないかは難しいところですが、それを聞き出すのも医師の腕です。一方、診療に関係のない話を長々とするのはやめましょう。あなたの後にも多くの患者が待っています。

医師の習性として、自分の眼で見たものしか信じないというのがあります。紹介状の内容も疑ってかかっていますし、患者の話も無批判に受け入れている訳ではありません。これは誤診を防ぐために必要なことなので、感情を害さないようにしてください。もちろん医師の側も出来るだけ悟られないようにはしますが。

5. 時間外で受診する
時間外診療は医師のボランティアです (大学病院での当直の私の時給は約 200円です。食事代 (出前) が別途自己負担です)。当直医は、当直の日の朝から働いていて、夜の当直も徹夜で働いて、次の日も通常通り夜まで働きます。時間外診療の増加も医療崩壊の原因の一つと言われています。

緊急性のある疾患を対象としている外来ですので、日中の外来とは質が異なります。緊急性のない場合は、日中の外来を受診しましょう。もちろん緊急性のある疾患の疑いがあると思ったら、遠慮無く受診しましょう。受診前には病院に電話して、受診が可能か、受診の必要がありそうか聞くのも良いと思います。

基本的に、最低限の検査しかできません。また、内服も1日分しか処方されないことを知っておく必要があります。これは、緊急性のある疾患の診断・治療が主体であるためです。夜間外来の受診抑制の意味合いもあるかもしれません。

6. 人として最低限のマナー
医師と患者は、患者の病気を治す、苦痛をとるという共通の目的を持っています。そのためには良好な関係が不可欠です。医師の側も努力が必要ですが、患者側にもそういう意識を持っておいて欲しいものです。医師も人間ですし、感情を持った生き物ですからね。

(番外編)
・セカンドオピニオン
大学病院で精密検査を受けているのなら、多くの場合必要ありません。実際にセカンドオピニオン外来の医師も、そう考えながら診療しています。多くの場合、納得へのプロセスという意味合いが強いと思います。

・標榜科
医師は基本的にどの科でも名乗れます。診療所で、多数にわたる科を標榜している場合、医師が一人ならば、その医師が本当は何が専門なのかを知る必要があります。風邪程度での受診なら関係ありませんが。

・外勤
大学病院などから、外来のみ近郊の病院に医師を派遣することです。時間契約です。従って、外来時間が終わると、また大学病院などに働きに戻ります。そのため、診療終了時間ぎりぎりで受診したとき、診療時間内に外来が終わらない可能性があると、他の医師に申し送りがされます。少しゆとりをもって受診すると良いでしょう (スーパーの生鮮品売り場とは違いますね)。
外勤という制度には、派遣する病院、される病院にメリットがあります。派遣する病院は、他院で外来をしている時間を休みとして扱っているので、医師のみかけの労働時間が減らせるのです。派遣される病院のメリットは、医師の確保です。

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神経学の原著

By , 2007年7月3日 10:04 PM

神経学の原著

 神経学は、その歴史を通じて積み上げられた一つの体系です。原著に触れることで、歴史上の神経学者の思想に触れることができますし、その観察眼に驚かされます。ところが、膨大な原著は、どれもあまりに古いため、医学論文の検索システムで、掲載誌などの情報を得ることができません。そこで、こうした論文の著者、論文タイトル、掲載誌、発行年などの情報をリストとして記した論文を豊倉先生が発表されました。

Toyokura Y. A List of original and classical descriptions of neurological diseases, signs and syndromes with their historical notes (1). 神経進歩 14: 868-896, 1971

はじめに

神経学の領域では、疾患の種類がはなはだ多く、徴候、症候群の数もおびただしい数にのぼる。そして、これらの記載は神経学の確立と発展を着実に基礎づけてきた重要な記念碑である。著者は約20年前から、これらの原著または古典的な論文のコピーを、折にふれ少しづつ蒐集してきたが、このたび研究者の便宜のために、不完全なことは覚悟の上、そのリストを掲載してゆくことにした。

下記の論文にそのリストが掲載されています。

①Toyokura Y. A List of original and classical descriptions of neurological diseases, signs and syndromes with their historical notes (1). 神経進歩 14: 868-896, 1971

②Toyokura Y. A List of original and classical descriptions of neurological diseases, signs and syndromes with their historical notes (2). 神経進歩 15: 1051-1070, 1971

③Toyokura Y. A List of original and classical descriptions of neurological diseases, signs and syndromes with their historical notes (3). 神経進歩 16: 745-770, 1972

④Toyokura Y. A List of original and classical descriptions of neurological diseases, signs and syndromes with their historical notes (4). 神経進歩 16: 1121-1136, 1972

⑤Toyokura Y. A List of original and classical descriptions of neurological diseases, signs and syndromes with their historical notes (5). 神経進歩 17: 765-785, 1973

⑥Toyokura Y. A List of original and classical descriptions of neurological diseases, signs and syndromes with their historical notes (6). 神経進歩 18: 417-435, 1974

また、それ以外にも、原著を紹介しながら、解説を記した名著として、「ヤヌスの顔」「続ヤヌスの顔」「続々ヤヌスの顔」「ヤヌスの顔第4集」「ヤヌスの顔第5集」があります。私も手元に置きつつ、まだ通読はしていませんが、少し時間ができたら読みたいと思っています。

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医療崩壊を扱った番組

By , 2007年6月29日 9:06 PM

6月27日に、医療崩壊に関する番組を2つ放映していたので見ました。

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第5回抄読会

By , 2007年6月27日 10:11 PM

昨日、内輪でいつもの抄読会を行いました。

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ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足

By , 2007年6月25日 9:33 PM

「ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足 (小長谷正明著、中公新書)」を読み終えました。

一般人でも十分読めるように、かみ砕いて書かれています。それでいて、医師から見ても考証がしっかりしています。

本書には、「神経内科からみた20世紀」という副題がついています。著者は私と同じ神経内科医です。

目次

まえがき
震える総統 ヒトラー
言葉を失ったボリシェヴィキ レーニンとスターリン
主席の摺り足 毛沢東
大統領たちの戦死 ウィルソンとフランクリン・ルーズベルト
芸術家、大リーガー、兵士 モーリス・ラヴェル、ルーゲーリック、横井庄一
二〇世紀のファウスト博士 ハーラーフォルデン
映像の中のリーダーたち
あとがき
参考文献

最初はヒトラーについて。彼がパーキンソン病であったことが、様々な証拠から示されます。ヒトラーのパーキンソン病のスコアなども紹介されます。

毛沢東は、筋萎縮性側索硬化症であったそうです。「新たな医療機動班を各都市に作って、中国中から同じ病気の患者を集めて治療し、もっとも効果あるものを主席に応用してみたらどうか」という意見すらあったようです。結局、西洋医学の情報を集めますが、如何なる治療も効果はありませんでした。現代でも難病です。

ハーラーフォルデンは、ハーラーフォルデン・スパッツ病に名前を残していますが、ナチスが虐殺した死体を研究していたそうです。

ナチスの虐殺 (T4計画) は優生学、「生きるに値しない命」という考えを元にしています。一方で、このような考え方はナチスだけでなく、フォスター・ケネディ症候群やレノックス・ガストー症候群に名を残したフォスター・ケネディーやレノックスやガストーにも見られ、彼らが 1942年に発達障害児の安楽死を提唱していたことを知りました。

著者は、あとがきで「医学の進歩や病態の追究を急ぐ余り、倫理観を見失ってはいけない、そう思って、ハーラーフォルデンの事例を検証した」と述べています。

我々も残酷な人体実験で得られた情報を何気なく使っています。例えば、ナチスが実験した「一酸化炭素中毒の脳に及ぼす影響」「氷水中で何分生きられるか」などです。本書で知ったこれらの情報を思い出す度に、虐殺された方々のことを考えそうです。

本書はわかりやすく読むことが出来、それでいて残るものの多い本です。是非お薦めします。

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アルコール誘発性喘息

By , 2007年6月22日 11:30 PM

郡山の病院時代、一緒に働いていた数名や、私の親しい医師でメーリングリストを作りました。そこで、色々と意見交換をしています。

ある先生がアトピー、喘息で悩んでおられて、酒を飲むと喘息発作が出やすくなるという話題となりました。

そこで、呼吸器科のN先生が色々と調べてくれました。内輪の話で済ませるにはもったいないので、N先生の了解を得て、転載します。

アルコール誘発性喘息について少し調べてみました。

飲酒による喘息の誘発はほとんどが日本からの報告で、その背景にアセトアルデヒド分解酵素の活性があるようです。

長崎大学の第二内科からアルコール誘発性喘息に関して報告が出ていました
まとめてみると
・エタノール経口負荷試験では健常者・誘発陽性喘息患者・誘発陰性喘息患者について調べた。
・血中アルコール濃度には3群で有意差は認められなかったのに対して、血中アセトアルデヒド濃度と血中ヒスタミン濃度は誘発陽性患者で陰性群と比較して有意に高値を示した。
・白血球ヒスタミン遊離試験ではエタノールにはヒスタミン遊離作用は認められなかったが、アセトアルデヒドに対しては用量依存性にヒスタミン遊離が認められた。
・健常者と比較して誘発陽性患喘息患者では有意にアセトアルデヒドに対するヒスタミン遊離が促進していた。
・誘発陽性患者の代謝酵素の遺伝子解析では日本人の平均的な分布と差異は認められなかった。
・変異型ホモでは100%、ヘテロでは53%、正常型ホモでは22%の患者にアルコール誘発性の喘息が認められた。

つまり、飲酒を契機に喘息が誘発される方はアセトアルデヒド代謝酵素の活性が低く、マスト細胞などからのヒスタミン放出を介して喘息発作が生じることになります。
ヒスタミンによる喘息ですので、H1ブロッカーの内服が効果があると考えられます。
(ただし、もともと気道過敏性を持っているために喘息が誘発されると考えられるので、通常の喘息の治療も必要と考えます。)

ちなみに、アセトアルデヒド分解酵素の活性を落とすジスルフィラムをあらかじめ内服させた喘息をもつ欧米人に飲酒をさせたところ、喘息が誘発されたとの報告もあります。
また、一部のセフェム系抗菌薬にもジスルフィラム様作用があり、注意が必要です。

ある報告では飲酒2時間程度前のH1ブロッカー内服と、30分程度前のβ刺激薬吸入が発作の予防に有効であるとされていました。

(稀ですが、飲料そのものに含まれる添加物や原料に対するアレルギーもあり、ワインやビールでは保存料や大麦・ホップに対するアレルギーで喘息が誘発されることもあるようです。)

アルコール誘発性喘息とアセトアルデヒド代謝酵素の関係については以下のものに記載されていました。
Correlation between alcohol-induced asthma and acetaldehyde dehydrogenase-2 genotype.
J Allergy Clin Immunol. 1998 May;101(5):576-80.

アセトアルデヒドに対する気道過敏性の上昇については以下のものに記載されています。
Increased airway responsiveness to acetaldehyde in asthmatic subjects with alcohol-induced bronchoconstriction.
Eur Respir J. 1999 Jul;14(1):19-22.

飲酒前のH1ブロッカー内服、β刺激薬吸入に関しては以下のものに記載されています。
Inhibitory effect of terfenadine, a selective H1 histamine antagonist, on alcoholic beverage-induced bronchoconstriction in asthmatic patients.
Eur Respir J. 1995 Apr;8(4):619-23.

アルコールと喘息  押方智也子, 谷口正実, 秋山一男
独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター  臨牀と研究, 83(11) : 1683-1685, 2006

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第4回抄読会

By , 2007年6月14日 10:48 PM

6月12日に内輪で抄読会を行いました。

電気整理の I先生は、「糖尿病性動眼神経麻痺は、末梢神経の虚血性ニューロパチーと考えられているが、実は動眼神経核など、中枢の虚血が原因の症例も多いのではないか?」という論文を紹介しました (Hopf HC, et al. Diabetic 3rd nerve palsy: Evidence for mesencephalic lesion. Neurology 40; 1041-1045, 1990)。

私は、胸腺腫について2本紹介しました。
①Lamberts SWJ. The thymus : at the interface between immunology and neuroendocrinology. Ann Med 31; 3-4, 1991
②Muller-Hermelink HK, et al. Pathological aspects of malignant and benign thymic disorders. Ann Med; 5-14, 1991

①の論文は、胸腺についての総論。胸腺における somatostatinやsubstance Pの重要性などについて。

②の論文は胸腺腫の病理分類について。まだ色々な分類が混在しているので、それを整理しました。また、胸腺疾患はしばしば重症筋無力症を合併しますが、何故胸腺炎での胸腺摘出は重症筋無力症の症状を緩和するのに、胸腺腫では改善に乏しいかを検討しました。胸腺腫で改善に乏しいのは、既に自己攻撃性 T細胞が胸腺から播種しているからとされていますが、それでも心臓血管合併症を起こすため、手術はせざるを得ないことも記載されていました。

結局末梢神経の病理を専門に選んだ K医師は、「massachusetts general hospital」のカンファレンスを題材に症例呈示しました (N Engl J Med 2007; 356: 1252-)。Sjogren症候群って、本当に扱いが難しいですね。私たちの勉強会の結論では、sicca syndromeとsjogren syndromeは別個の疾患で、sicca syndromeは診断基準にあるのと反対に、実は sjogren syndromeの本態ではないのではないか・・・、ということでした。もちろん overlapすることも多々ありますけど。また、多発性硬化症と Sjogren症候群による脊髄炎はしばしば鑑別が困難ですね。

New England Journal of Medicineは、世界で最も権威ある医学雑誌の一つですが、最近「Wii」というゲーム器で肩を痛める Wiitisという病気を掲載した、ユニークな面も持っています。

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ふるえの臨床

By , 2007年6月9日 7:54 AM

6月8日に、第3回Metropolitan Neurology Conferenceに参加しました。

「ペルマックス錠~リスクとベネフィット~」
座長 東京医科大学 第三内科准教授 内海裕也先生

「Parkinson病の診断・治療に関する注意点」
日本医科大学 神経・腎臓・リウマチ膠原病部門 助教 永山寛先生

「ふるえの臨床」
東京女子医科大学 神経内科主任教授 岩田誠先生

「Parkinson病の診断・治療に関する注意点」では、まずレモン水とL-Dopaの相互作用について検討されました。一つはレモンに含まれるビタミン Cによる COMT阻害作用です。VitC 2 g (ビタミンC製剤シナール10錠分) 飲むと少し効果があるのだとか。また、酸の作用も影響を与えるそうです。

次に検討されたのは、麦角製剤であるカベルゴリンの弁膜症への影響です。カベルゴリンでの弁逆流は大動脈弁に多いことや、統計結果などが示されました。

また、パーキンソン病の診断に有用であるMIBGシンチも検討されました。当初、MIBGで心筋への取り込み低下はParkinson病に特徴的所見と考えられていましたが、多系統萎縮症 (MSA)、びまん性レビー小体病 (DLB)、進行性核上性麻痺 (PSP)、アルツハイマー型痴呆 (senile dementia Alzheimer’s type; SDAT)、脳血管障害・・・いろいろな疾患でも低下がみられることが明らかとなりました。特に他系統萎縮症での MIBG取り込み低下は、約 3割にみられることも紹介されました。

最後の、岩田誠教授の「ふるえの臨床」は圧巻でした。講演が終わった後、会場がどよめいていましたね。

あまりに面白かったので、録画していた主催者に DVDをおねだりしました。頂けるとのことですので、今度我が家で上映会としゃれこみたいものです。

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神経学の歴史

By , 2007年6月5日 7:36 AM

神経学の歴史を紹介したサイトを発見。

じっくり読んでみよう。

鈴木康弘の神経学関連ページ以下に、神経学の歴史が記載されています。

神経学の歴史1(19世紀前半まで)
神経学の歴史2(19世紀後半)
神経学の歴史3(20世紀前半)

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ジェイムズ・パーキンソンの人と業績

By , 2007年6月5日 5:23 AM

ジェイムズ・パーキンソンの人と業績 (豊倉康夫編著、診断と治療社)」を読み終えました。

本書では、「An Essay on shaking palsy」と題する、パーキンソンの原著が紹介されています。この論文を読んだシャルコーは、「振戦麻痺 (shaking palsy)」を「パーキンソン病」と呼ぶことを提唱しました。

その他、パーキンソンの人生などが本書で紹介されています。

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