統計学は確率の世界であり、p値 0.05を境目に真実が 180度ひっくり返ってしまうことはないはずです。また、どのような対象をどのように評価したかでも、p値の持つ意味合いは変わってきます。
あまりに p値だけが一人歩きしている状況を受けて、米国統計学会が声明を出したそうです。下記のブログがわかりやすく説明しているので、勉強しておきたいと思います。
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(参考)
・統計学的有意差 (ネタです)
近年、学術雑誌の高騰化が進み、研究機関の予算を大きく圧迫しています。かのハーバード大学ですら四苦八苦しているほどです。
契約する科学雑誌数を絞って対策している研究機関も少なくないでしょう。そんな中、「takのアメブロ 薬理学などなど。というブログで、Sci-Hubという海賊サイトの存在を知りました。なんと 4700万件の研究論文にフリーアクセスできてしまうサイトなのだそうです。
使い方としては、Pubmedで検索したときに表示される DOIなどを上記リンクに入力すると、論文にフリーアクセスできます。自分の論文で試してみたら、実際に PDFファイルが表示されました。途中で表示される文字を見ると、ロシアのサイトなのでしょうかね。
もちろん違法ですが、学術雑誌へのアクセスが困難になってきている研究者で手を出す人は結構いるのかもしれません。
英論文を書くときに、文法や文章の構成でとても勉強になるサイトを知りました。こういうルールを勉強して、可能な限り洗練された英語で論文を書きたいものです。
論文投稿に関連したいくつかのネタの紹介。
①アブストラクトの話
論文には、通常抄録 (abstract) がついています。雑誌によってまちまちですが、論文のスタイル毎に文字数の制限が決められています。最短の論文はどのくらいだったか記されたサイトを知りました。
どうやら、論文タイトルを疑問形にするのが、この手の短い抄録を作るポイントみたいです。医学論文では、“structured abstract” という形式で書かれることが多いので、なかなか機会がないかもしれませんが、チャンスがあれば一度試してみるのも面白いかもしれません。
②英文校正会社
私が初めて英文校正を受けた時、医局の先輩に聞いて使った英文校正会社の英文が気に入らず、金を払った上で別の英文校正会社に頼みなおす羽目になりました。その時、会社によって結構クオリティやスピードに差があることを知りました。最近、比較したサイトがあることを知ったので、紹介します。
③剽窃チェック
小保方騒動で、論文の文章が過去の論文の盗用である「コピペ論文」が注目を集めました。ところが、2~3行程度なら書いた文章が意図せず過去の論文と似ていることもありえますし、そのことで剽窃の疑いをかけられるのはつまらないことです。
それを防ぐために剽窃チェックソフトが市販されていますが、結構な値段します。
私がいつも英文校正でお世話になっているエディテージ社が、剽窃チェックサービスを始めたらしいです。小保方騒動はこんなビジネスを生み出していたのですね。
私は 2008年9月からブラウザは Google chromeを使っています。動作が軽いですし、非常に気に入ってます。。
さて、その Google chromeは、拡張機能が充実していて、他のブラウザ同様、ブラウザを使いやすくカスタマイズできます。例えば、”Webpage Screenshot” という拡張機能 を使えば、ブラウザで読み込んだページのスナップショットをワンクリックで撮ることができます。こうした拡張機能のインストールは一瞬で終わります。
今日、偶然「アシスタント医学文献」という拡張機能を見つけました。
この拡張機能は、pubmedで論文を調べた時、雑誌の impact factorや論文 pdfへの直リンクを表示してくれます。使ってみると、とても使い勝手が良いです。ブラウザが Google chromeの方は、是非使ってみてください。
アシスタント医学文献 (画像サンプル)
2013年4月15日のブログで、偽科学雑誌についてお伝えしました。
最近、もう少し詳しく解説したブログ記事を見つけたので紹介します。後半部分がとても参考になります。
という訳で、日々怪しい雑誌社からメールが届きますが、騙されないように気をつけましょう。
研究で統計学的有意差が出なかった時・・・すごくポジティブな解釈をまとめたブログが面白いです。でも、本当に論文で使ったら多分大変なことになります (笑)
昔のボスから「症例報告は医者の義務」と言われ、報告すべき症例は出来るだけ論文にするようにしています。EBM最盛期の時代、メタ解析や RCTが重宝がられますが、これらは万能ではありません。例えば、稀な疾患だったりすると大規模研究が出来なかったりします。こうしたとき、症例報告には大変お世話になります。日本神経学会が発行する邦文誌が症例報告主体なのは、特に神経疾患において稀な疾患が多いことが関係しているのかもしれません。
この度、「ケースレポート(症例報告)を書くためのコツを教えるウェブセミナー」がオンラインで見られるようになりました。英語なのでうまく聴き取れず、大部分私は寝落ちしてしまいましたが (汗)、英語のヒヤリングが苦にならない方には勉強になるのではないかと思いますので、紹介しておきます。
科学雑誌を出版する Elsevier社が無料の新サービスを始めました。論文のタイトルと要約を入力すると、投稿に適した雑誌を教えてくれるそうです。
結果は一覧表で出力され、Impact factorとかも載っていて使いやすいです。周囲の医師たちの評判も上々です。
最近アクセプトされた自分の論文で試してみたところ、名前も聞いたことのない雑誌と共に Molecular Cellとか超 1流誌も出ていて、「いくらなんでもそれは無理だろ~」と思いました。参考程度に使うのが良さそうです。
こうしたサービスは確かに素晴らしいものですが、Elsevierが過去にやろうとしていたことを考えると、この会社に対するネガティブなイメージはなかなか払拭できません。
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(参考)
医学雑誌の偽善─死の商人が売りさばくトップジャーナル
医学雑誌の偽善:死の商人が売りさばくトップジャーナル─続報
しかし新たな出版物を立ち上げるのが容易となった今日、「偽学術誌」なるものが雨後の筍のように出現しているという。これらの偽学術誌は掲載にあたり数十万円、またカンファレンスに参加するのに更に数十万円積む必要がある場合もあるそうだ。厄介なことにこの偽学術誌は著名な学術誌に名前をよく似せていることが多い。
そういえば、最近いくつかの科学雑誌の editorから、論文投稿を勧誘するメールが届くようになりました。
こうしたブログ記事を読むと、届くダイレクトメールが「偽学術雑誌」からである可能性も、どこか頭の片隅に置いておいた方がよさそうです。