論文を書く時、参考文献のリストも記載しなければなりません。しかし、手入力するとミスしやすいし、Endnoteは使い方が結構難しい・・・というときに使えそうなサイトを見つけました。
例えば、上記リンク先で紹介されているMedical & Scientific Citation Generatorを使ってみましょう。2013年2月19日のブログで紹介した Nature論文で試してみました。この論文の DOIは “10.1038/nature11647″ なので、入力フォームに DOIをそのまま入力します。すると下記のように表示されました。
Tachibana M, Amato P, Sparman M, et al. Towards germline gene therapy of inherited mitochondrial diseases. Nature. 2013;493(7434):627-31.
投稿する雑誌によっては、少し整形が必要なものの、手でチマチマと入力していくより圧倒的に楽です。まだ試してはいませんが、上記リンクで Medical & Scientific Citation Generator以外のサービスを使うと、もう少し表示形式を変えることもできそうです。
その他、Facebook経由で得た情報だと、下記のサービスを使っている方もいるようです (その方から聞いた話では Wordへの引用も、参考文献一覧作成もワンクリックとのことですが、未確認です)。
研究者が研究内容を発表する最も重要な場が科学雑誌です。少しでも Impact factor (IF) の高い雑誌に掲載されるように、皆鎬を削っています。しかし、雑誌社が「掲載しない」と言えば、いくら優れた内容の論文であっても日の目を見ることはありません。そのため、雑誌社は研究者に対して強い立場にあります。
最近、ある研究者が面白い方法を取り、話題となっています。なんと、自分の論文を競売に掛け、掲載する雑誌社を募集したらしいのです。
著者が Twitterで論文を競売にかけることを tweetしたところ、8時間後に 4件の応募があり、Journal of Royal Society of Medicine (2011年 IF 1.1411) が落札しました。かなり特殊な例ですが、面白いことを考える人もいるものですね。
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(参考)
現在のラボが今月いっぱいなので、追い込みの時期で、ブログ更新の時間がほとんど取れていません。更新がないと、死んだんじゃないかと心配してくれる人がいるかもしれませんが、無事生きていますのでご心配なく。
これまで、学会で散々発表してきましたが、Power Pointを使ったプレゼンテーションをするときに大学でよく言われたのが、「1枚のスライドに 10行まで」の制約でした。学会発表を見ていて、確かに busyなスライドは見にくいですね。
最近、プレゼンテーションについて、面白いサイトを見つけたので紹介します。
プレゼンテーションのやり方を解説するプレゼンテーションが素晴らしいです。
そういえば、先日ノーベル賞を受賞した山中教授は、プレゼンテーションが上手なことで有名です。
その能力は、研究費を取るにも役立ったようです。「下手なイラスト」と言いながら、私より全然上手 (^^;
山中教授が自作したイラスト。ES細胞が直面している課題を「涙を流す胚」(上)、「腫瘍ができて涙を流すマウス」(下)で表現した(山中教授提供)
ノーベル生理学・医学賞の受賞決定から一夜明けた9日朝、山中伸弥・京都大教授(50)はいつも通り研究室に顔を出した後、夫妻で記者会見に臨んだ。
研究者として最高の栄誉に浴する喜びを語りつつ、世界の期待に応える重責への決意もにじませた。授賞理由となったiPS細胞(新型万能細胞)の研究を飛躍させた原動力は、研究の重要性を粘り強くアピールする山中教授自身の「プレゼンテーションの力」。自分で作成した個性的なイラストが、約3億円(5年分)という巨額の研究費を獲得するきっかけとなった。
山中教授は2003年8月、iPS細胞の基礎研究に手応えを感じ、国の大型研究費を申請した。しかし、当時は本人の強い自負とは裏腹に、iPS細胞研究はまだ模索の段階だった。そこで、研究費配分の審査では、世界的に研究が先行していたES細胞(胚性幹細胞)の問題点をイラストにまとめ、「ES細胞に代わる新たな細胞を作る必要がある」と訴えた。
イラストの図柄は、人の胚(受精卵が成長したもの)や腫瘍のできたマウスが涙を流す様子を描いていた。ES細胞の研究では、人間への応用を考えた場合、母胎で赤ちゃんに育つ胚を壊し、作らなければならないという倫理的な難問が立ちはだかっていた。移植した時に腫瘍ができやすい弱点もあり、それらが分かりやすく伝わった。
山中教授は「今考えたら、よくこんな下手なイラストをお見せしたものだと冷や汗が出ます」と苦笑するが、審査担当だった岸本忠三・元大阪大学長は「イラストを使った説明には(説得する)迫力があった。(iPS細胞は)できるわけがないとは思ったが、『百に一つも当たればいい。こういう人から何か出てくるかもしれん。よし、応援したれ』という気になった」と高く評価した。
(2012年10月9日14時42分 読売新聞)
※朝まで酒を飲んでその勢いのままプレゼンテーションしようとするとか、そうしようとして二日酔いでプレゼンテーションの 3分前までトイレに閉じこもって吐き続けているとかいうのは論外です。「こいつがトイレから出てこなかったらオレがやらなきゃ・・・」と焦らせた指導医の先生、すみませんでした。
Googleが “Google Scholar” という論文検索システムを提供しています。 その “My Citations” 機能を使うと、自分の論文を誰が引用したかがわかるのでやってみました。
すると、私の書いた日本語論文 (abstractは英語) が、ロシア語や中国語の論文に引用されていてびっくりしました。「本当に読んで引用したのかな???」と思って引用論文を読もうとしたら、当然意味不明でした。中国語は漢字でニュアンスが通じるけれど、ロシア語難しすぎますね。
励みになるので、被引用状況は今後ちょこちょこチェックしていこうと思います。
論文というのは、研究者にとって最大の評価対象です。ポストや生活がかかっているだけに、捏造など不正を試みる研究者も、わずかですが存在します。
最近、海外で斬新な手口での論文不正が立て続けに明らかになりました。
まずは中国から・・・。
2012年7月28日、中国・北京化工大学の陸駿(ルー・ジュン)教授が同姓同名の学者が書いた複数の論文をすべて自分のものと偽り、経歴をねつ造していたことが発覚した。京華時報が伝えた。
論文盗作や経歴詐称の摘発で有名な方舟子(ファンジョウズ)氏が告発した。発覚のきっかけは陸教授の「助手募集広告」。そこに書かれていた経歴と代表的な7本の論文に矛盾が存在することをネットユーザーが発見した。例えば、そのうちの1本はイェール大学の「ルー・ジュン博士」が書いたものと全く同じだったが、ルー博士はボストン大学卒であるのに対し、陸教授はトロント大学卒。2人の写真を照合しても、似ても似つかない別人だった。
7本の論文はいずれも欧米の一流学術誌に発表されている。方舟子氏によると、「これほどの論文が書けるなら、世界トップクラスの大学で教授になれる」というほど輝かしいもの。だが、実は「ルー・ジュン」という同姓同名の3人の学者の論文を寄せ集め、すべて自分のものと称して経歴に載せていただけだったようだ。
告発後、北京化工大学のウェブサイト上の陸教授に関する経歴がすべて削除されていることから、方舟氏は「学歴も含め、経歴はすべてウソだったのでは」との見方を示している。ネット上では陸教授の新たな詐称手口に「史上最強のねつ造教授」と非難ごうごう。方舟子氏も「同姓同名の学者に目を付けるとは。よく考えたものだ。思わず感心してしまう」と話している。
騒ぎを受け、同大では陸教授の経歴ねつ造疑惑に対する調査を開始した、と声明を発表。ねつ造が事実であれば、厳しい処分を下すとしている。中国ではアモイ大学医学院教授の学歴詐称が発覚し、物議を醸したばかり。(翻訳・編集/NN)
データの使い回しや多重投稿といった手口での論文不正は時々見ますが、想像の斜め上を行く手口ですね。
次は韓国から。
これも思いもつかない手口です。 “Acknowledgments: I thank Google for free e-mail address to pretend I am someone else.” という一文が論文に記載してあったとかなかったとか・・・ 。冗談です (^^;
一方、日本でもいくつも論文不正が疑われる事例があり、それを扱ったブログが存在します。
論文不正
同じ管理者の関連ブログ、「東京大学 分子細胞生物学研究所 の論文捏造・改ざん・不正疑惑」でやり玉に上げられた東大分生研の加藤教授について、Twitter経由で近況が伝わって来ました。
一般に、研究分野でネガティブ・イメージがつくと研究者生命は絶たれますが、これだけの人物をそのまま埋もれさせるのはもったいないと思っていました。加藤先生がこういう形で被災地で尽力されていると知り、ちょっと安心しました。
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(関連)
論文捏造疑惑
「論文に何を書くべきか→これだけは埋めろ→論文作成穴埋めシート」というブログ記事を見つけました。
確かにこれはわかりやすいです。論文に求められることが一目瞭然だと思いました。
エルゼビアという会社があります。科学雑誌を発行する最大手の雑誌社です。
ところが、この会社、過去に兵器取引という副業があり、問題視されていました。
今回、別の問題で反エルゼビア運動が起きているようです。
【編集部記事】英The Economist紙によると、欧米圏の学者たちを中心にオランダの電子ジャーナル出版大手Elsevier社(本社:オランダ・アムステルダム市)のボイコット運動が急拡大している模様。
記事によると、発火点となったのは米国下院の委員会において昨年末から策定作業が始められたResearch Works Act法案。この法案は、アメリカ国立衛生研究所のオープンアクセス論文サイト「PubMed」を実質停止させることを狙った法案で、米国の出版社団体AAPや学術ジャーナル出版界などが後押ししている。これが引き金となり、1月21日にフィールズ受賞数学者であるCambridge大学Timothy Gowers教授がElsevier社からの出版をボイコットすることをブログ上で宣言。あっという間に欧米圏の主要大学に飛び火し、約3,900名(本稿執筆時点)の研究者がボイコット活動に署名する事態となっている。
The Ecomonist紙はこれをArab Spring(アラブの春)になぞらえて、Academic Spring(学術の春)運動と命名。ネット上で今後ますます拡大し続けるだろうと予想している。【hon.jp】
記事中にある、基礎研究者や臨床医が文献検索をするのに最も多く使用する Pubmed実質停止は、もし現実になれば影響力が大き過ぎますね。Research Works Act法案が通るかどうか、非常に気になります。Elsevierボイコットの背景には、出版業者が後押しするこの法案のみならず、雑誌の値段が高いことなどもあるようです。
この問題、研究者にとっては目が離せませんが、末端の研究者の本音を言うと、「Elsevierだろうがなんだろうが、とにかく論文を acceptしてください」。ボイコット出来るくらい、実力があれば良いのだけれど・・・ orz
科学英語には特定の言い回しがあります。それらは多くの論文を読みながら自然と身につけていくしかないのですが、まとめてあるサイトを見つけたので紹介します。
Academic Phrasebank
論文を書くとき、医学英語の表現に迷うことが多いのですが、非常に素晴らしいサイトを見つけました。ノバルティス、GJ!
A Guide to Medical Writing