Category: 映画

クララ・シューマン 愛の協奏曲

By , 2009年7月25日 8:46 AM

クララ・シューマン 愛の協奏曲」という映画が今日から公開されるらしいです。

クララ・シューマンと夫のロベルト・シューマン、友人であるヨハネス・ブラームスの話らしいです。

映画では、ロベルト・シューマンが精神を病んでいて自殺を図ったとか、クララ、ロベルトとブラームスの親交があったことなど、かなり事実を織り込んでいるようです。

ただ、少し疑問な点があります。公式サイトでストーリーを見ると、ロベルト・シューマンが頭痛持ちということになっています。一般的には、ロベルト・シューマンはおそらく「うつ病」であり、更に「ジストニア」で楽器が弾けなくなったとされていて、頭痛のエピソードについては聞いたことがありませんが、実際はどうなのでしょうか?一方で、妻のクララ・シューマンは頭痛持ち(おそらく片頭痛)であったようです。クララ・シューマンは、慢性疼痛についてヨハネス・ブラームスに相談の手紙を送ってますね。

いずれにせよ、ロベルト・シューマンの病気、三角関係など、映画を面白くするスパイスはふんだんな気がします。

話は変わりますが、8月8日に公開される「ココ・シャネル」という映画では、「シャネル」ブランドでおなじみのとココ・シャネルと、作曲家ストラヴィンスキーの恋愛を描いているらしいです。

音楽関係の映画が連続して公開されて嬉しい限りです。是非見に行きたいものです。

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路上のソリスト

By , 2009年6月22日 10:25 PM

仕事を早めに切り上げて、「路上のソリスト」を見に行きました。一人でね。

面白かった~♪

この映画は実話を元にしています。L.A.タイムズ紙の記者が路上で2本の弦のヴァイオリンを弾くホームレスを見つけ、調べてみると昔ジュリアード音楽院に在籍していたチェリストでした。

路上で2本の弦で弾くヴァイオリンは、D線とG線が切れていて、E線とA線で演奏しているのですが、遠くから流れる音にD線が鳴っているのはちょっとした御愛敬(^^;

記者は何とかそのホームレスを救おうとするのですが、そのホームレスにもホームレスなりの価値観があるのですね。

そのチェリストが何故ホームレスになったかというと、統合失調症になったからなのです。統合失調症の幻聴をこの映画は非常に上手に描いています。こんな幻聴が聞こえたら、私でも統合失調症の患者さんのような振る舞いをしますね。

記者は自分の価値観を押しつけるようなことをしながら、最後にチェリストの持っている価値観、そして人格を尊重するようになりますが、その心の移り変わりが自然なもので、抵抗なく受け入れられました。

音楽好きにたまらないのは、ベートーヴェンの音楽が大音量で流れること。ベートーヴェンの交響曲が、カルテットが、全身が震えるようなボリュームで流されるのは圧巻ですよ。この映画は映画館で楽しむべきです。

最近のアメリカの映画というと、爆弾が爆発するか、飛行機が落ちるか、人が死ぬか・・・で盛り上げるのが多いイメージがあって辟易とするのですが、人の内面を描きあげてこれほどの映画が出来上がるとは思っていませんでした。途中、涙が出そうになったり、鳥肌が立ったり・・・。

上映している映画館は少ないですが、お勧めです。

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ラフマニノフ ある愛の調べ

By , 2009年6月6日 7:37 AM

映画「ラフマニノフ ある愛の調べ」を見ました。

いや~、マニアックな内容でした。

ラフマニノフに関わるエピソード、「ズヴェーレフによる作曲の禁止」「交響曲第1番初演の失敗」「ダーリによる精神分析」「従妹ナターリアとの結婚」「ライラック」「スタンウェイとの蜜月」「作曲への情熱の喪失」などが散りばめられていましたが、元のエピソードを知らないと何の話をしてるのかわからなくて、 Wikipedia で調べながら見ました。それぞれのエピソードの関連性も希薄で、ただエピソードがランダムに配置されているような印象を持ちました。冒頭はすごく面白かったのですけどね。

この映画には「ある愛の調べ」と副題がついており、女性が3人出てくるのですが、表面的な描写が多く、もっとラフマニノフの内面が描かれていたらなと思いました。例えば、従妹に対しては、大した愛情表現がないままに、いきなりプロポーズするのですが、そこまでの過程がイマイチ理解出来ませんでした。

とはいっても、音楽は綺麗ですし、一度予習してから見ると楽しめるかもしれません。

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神童

By , 2009年1月19日 6:57 AM

神童」という映画のDVDを観ました。

あらすじは、天才音楽少女と、落ちこぼれ音大受験生の話。

全体を通してちょっと消化不良でした。

内面の描写が今ひとつだったように思います。例えば、もう少し、主人公に陰があっても良かったと思うし、葛藤を表現しても良かったような気がします。これまで見た「シャイン」「4分間のピアニスト」「シャコンヌ」「不滅の恋」「ピアニスト」「戦場のピアニスト」など、音楽をテーマにした映画の多くではそうした点がきちんと描かれていますしね。

それと、モーツァルトの協奏曲では、オケ団員の演奏の仕方が視覚的にわざとらしい感じがしました。オケ団員は演奏経験者ないしプロの演奏家を使用している点で好感が持てましたが、映画ということを意識しすぎていたように思います。音楽で表現出来ていれば良いと思うのですが。

演奏は悪くないので、その点は楽しめると思います。

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4分間のピアニスト

By , 2009年1月17日 12:04 PM

映画「4分間のピアニスト」のDVDを見ました。

 あらすじ~DVDのジャケットから~

心をわしずかみにする圧倒的な演技とクラシックの概念を打ち破る衝撃の演奏

生きる希望を砕かれた天才ピアニストが、自分の才能を信じてくれる女性教師との出会いを通して、再び人生の輝きを見出すまでを描いた感動作。主人公ジェニーと、ピアノ教師クリューガーの迫真に迫る演技は、世界各国で絶賛され、数々の賞を受賞。また、モーツァルト、ベートーヴェンなど、クラシックの名曲はもちろんのこと、ジャズやロックなど他のジャンルのテイストを大胆にアレンジしたピアノ曲も堪能できる。主人公が織り成す、ラスト4分間の壮絶な演奏は必見!観る者の心を激しく揺さぶる。

類まれな才能を持ちながらも、人生は過ちばかり 自由をつかむために、彼女に残された演奏時間は、たったの4分間だった-。

ピアノ教師として刑務所にやってきたクリューガーは、問題児とされている少女・ジェニーの類まれなるピアノの才能を見抜き、それを開花させることこそが、残り少ない自分の人生の使命だと考え、所長を説得して特別レッスンをはじめる。その日から、全く違う世界に生きていた2つの魂のぶつかり合いが始まった。

全てのものに牙をむき、自らを傷つけようとするジェニーだったが、自分と同じ孤独を抱えるクリューガーの情熱にいつしか心を開いていく。しかし、新たな悲劇が2人を襲うのであった・・・。

ピアノ教師クリューガーの演技が凄まじかったです。地味で厳格なピアノ教師なのですが、一挙手一投足が洗練されていて、抑制された話し方が役柄を際だたせていました。

映画のシチュエーションが実際にあるかどうかは別として、クリューガー役の演技のおかげで、現実感が生み出されました。クリューガーの演技だけで、必見の映画ですね。

クライマックスで、おそらく精神的なトラウマのメタファーであるシューマンの曲を前衛的に演奏するのですが、主人公は幸せになれませんでした。これは過去のトラウマに囚われ、壊しても、また不幸が待っている、むしろ壊すことも新しい不幸と連鎖しているという、悲しいメッセージなのかもしれません。一方で、全く別の受け取り方をするのなら、シューマンの曲を全うに演奏できなかったことが、自分の過去と向き合えず、トラウマを乗り越えられなかったことを意味しているのだとも受け取れます。色々考えさせられます。

落ち着いて色々と考えながら映画をみたい人には、お勧めかもしれません。

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Le Scaphandre et le Papillon

By , 2008年8月18日 6:26 AM

以前、「潜水服は蝶の夢を見る」という本を紹介しました。その本が映画化されたのですが、更にDVDになったため、買ってきて見ました。

見る前は、見たら泣いてしまうかなとも思ったのですが、安っぽい作りではなく、荘厳な音楽を聴くような心境で鑑賞し、泣くとか泣かないだとか、そんなレベルの作品ではないことを感じました。

このDVDで特筆すべきは、Bonus映像です。原作本の著者の実際の闘病生活の映像が収録されているのです。看護の様なども収録されており、日本との違いを興味深く感じました。

実は、現在、私は「閉じこめ症候群」の患者の主治医をしています。映画の言語療法士のようにアプローチしようとしているのですが、なかなか上手くいきません。患者さん自身が 100歳くらいなので、主人公とはベースの部分が違うのだろうなぁ・・・など考えているんですけれども、どうにかしてコミュニケーションが取れるといいなと思っています。

最後に一つだけ疑問点。この主人公は、著者の実際の映像も含め、右眼が不自由で、眼球の乾燥を防ぐため、上眼瞼と下眼瞼を縫い合わされてしまっています。ところが、映画の1時間19分前後のところでは、左目が不自由になっているのです。単純なミスなのか、何か伏線を見逃していたのか、未だに気になっています。映画を見て分かった方がいたら教えてください。

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敬愛なるベートーヴェン

By , 2007年12月18日 9:34 PM

「敬愛なるベートーヴェン」という映画のDVDを見ました。

荒唐無稽な筋書きで、あまり楽しめませんでしたが、第九が流れる個所がいくつかあり、そこで音楽に聴き入ってしまいました。映画より、ベートーヴェンの音楽の方がよっぽど心を打ちますね。

それでも、クライマックスの10分くらいは、楽しめました。特に、テーマとしていた弦楽四重奏曲に対してです。大フーガもそうですが、特にお気に入りは弦楽四重奏曲第15番です。3楽章の楽譜には、「病の癒えたる者の神への感謝の言葉」と書いてあるのですが、映画は、仕事が終わった喜びとして描いていました。どう捉えるにせよ、言葉を失う程美しい曲です。特に、それが流れるシーンでの空気の作り方が良かったと思います。ちなみにこの第15番の最終楽章は、第九の最終楽章で使われる予定でした。第九のシーズンになると、いつも第15番を思い浮かべて不思議な気分になります。

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Magic Bow

By , 2007年6月24日 6:25 AM

Magic Bow」というビデオを見ました。

国内では手に入らなくて、アメリカのアマゾンから取り寄せて購入した音楽映画です。パガニーニというヴァイオリニストが主人公です。音源は若かりしメニューイン。英語版で字幕なしだったので、イマイチ内容が理解出来ず残念でしたが、E-D線の弦を切ってG線だけで演奏したりといった、主人公のパフォーマンスを見ているだけでも楽しめました。

ただ、例によって俳優の手の動きと音が全然一致していないのがストレスでした。この手の音楽映画は、俳優が演奏素人なので、音と動きが一致しません。だったら、演奏家に主役をやってもらえば良かったのにと思います。

例えば、Heifetzが出演した「彼らに音楽を」や「カーネギーホール」といった映画では、このようなストレスから解放されることが出来ます。

とはいえ、音楽は絶品です。

パガニーニの映画に関して言えば、他に「パガニーニ」というタイトルの映画もあります。こちらの演奏はサルバトーレ・アッカルド。技術的には傷が多いのですが、鬼気迫る演奏という表現がぴったり。悪魔の乗り移ったかのような雰囲気を作り出すのに成功しています。ただ、パガニーニの人生を描いているため、映画自体は官能シーンの連続で、他人と見ると気まずいのでご注意を。

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