Category: 演奏会

ハーゲン弦楽四重奏団

By , 2013年9月29日 10:07 PM

ハーゲン弦楽四重奏団のベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会後編の初日を聴いてきました。

2013年9月29日 (日) 17:00~ TOPPAN HALL

1. 弦楽四重奏曲第 3番 ニ長調 Op. 18-3 (L.v.Beethoven)

2. 弦楽四重奏曲第 5番 イ長調 Op. 18-5 (L.v.Beethoven)

3. 弦楽四重奏曲第 12番 変ホ長調 Op.127 (L.v.Beethoven)

Hagen Quartett

ハーゲン弦楽四重奏団を生で聴くのは 12年ぶりでした。12年前は髪の毛が黒々としていた彼らも、今回はほぼ全員白髪になっていて、第二ヴァイオリンにいたっては、頭頂部に素肌が (ry

演奏はちょっと違和感のある始まりでした。過剰ともいえるアゴーギクが気になったからです。しかし、演奏が進むにつれてそれが自然に思えてきて、やがて「Beethovenの初期弦楽四重奏曲はこんなに幅広く解釈できるんだ」という驚きが生まれました。

如何にエキサイティングなベートーヴェンかというと、プログラムノートにもこう書いてあります。

しかし私は初期作品の演奏に、これほどの衝撃を受けることは予想だにしていなかった。彼らの演奏から浮かび上がった作品の姿は、これまでの考え方を根本から覆すものだったからだ。我々はこれまで「作品18」についてベートーヴェンならではの様々な工夫が随所になされているものの、基本的にはまだ先輩ハイドンやモーツァルトの作法を踏襲している部分が多いという見方をすることが多かった。しかしハーゲン・クァルテットの演奏から浮かび上がった「作品18」の姿は、どれもが、これまで聴いたことがないような斬新さにあふれ、こんなにも新しい考えが、こんなにも新しい語り口によって、衝撃的に語られていたものだったのかという驚きの連続だったのだ。

斬新な解釈に加えて、美しい音、有機的に絡み合う各パート、まさに世界最高峰の弦楽四重奏団の一つというにふさわしかったです。

気になった点としては、前半、特に第一ヴァイオリンにテクニック的な傷が少しあったこと (技術的難所で音が上ずる、弓速が速すぎて時々音がかすれる) 。しかし、硬さがとれるとともにあまり気にならなくなりました。

コンサートが終わってからはサイン会があり、プログラムと購入した DVDに 4人のサインを頂きました。宝物になりそうです。

さて、最後に私が 12年前に聴いたハーゲン弦楽四重奏団の演奏会のプログラムも記しておきます。今回のシリーズで大フーガを 12年前と聴き比べ出来ると良かったのですけれど、日程的に叶いませんでした。

2001年10月3日 (水) 19:00~ 紀尾井ホール

1. 抒情組曲 (A. Berg)

2. 弦楽四重奏曲第 13番 変ロ長調 Op. 130/大フーガ 変ロ長調 Op. 133 (L.v.Beethoven)

Hagen Quartett

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成田達輝リサイタル

By , 2013年5月24日 8:23 AM

某医師とともに御招待いただき、成田達輝氏のヴァイオリン・リサイタルを聴いてきました。

ベートーヴェン:ヴァオイリン・ソナタ第 8番 ト長調 Op.30-3

フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第 2番 ホ短調 Op.108

シマノフスキ:<神話>Op.30より <アレトゥーサの泉>

フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調

成田達輝 (Vn) / テオ・フシュヌレ (Pf)

2013年 5月 10日 19:00開演 トッパンホール

ベートーヴェンは、現代風の演奏。淀むところなく、駆け抜けていきました。こういうスタイルには好感が持てます。ただし、フランス音楽を聴いているような軽さが少しだけ気になりました。

フォーレ、シマノフスキ、フランクの演奏は、聴いていて何も不満な点はなく、ただただ音楽に浸って楽しみました。成田氏の演奏は、意図が伝わってくるので、聴いていて面白いです。また、卓越した技術があり、安心して聴くことができます。

私がこの日一番衝撃を受けたのは、アンコール曲、サン=サーンス作曲「序奏とロンド・カプリチオーソ (通称ロン・カプ)」です。中学校 2年生の時、この曲を発表会で弾いて一時ヴァイオリンをやめたので、私にとって思い出の曲です。成田氏の演奏は私の持っていた曲のイメージを良い意味で覆しました。この曲としては、私が過去に聴いた中で最も素晴らしい演奏だったと思います。

そんな成田達輝氏がファースト・アルバムを出すことになりました。何と、ロン・カプが収録されています。これは絶対「買い」ですね。

成田達輝 CD

成田達輝 CD

発売日の 9月 21日まで待てない方、エリザベート・コンクールの記念 CDに、成田達輝氏の演奏が収録されています。こちらを楽しみましょう。

2012年エリザベート王妃国際コンクール・ヴァイオリン部門 (Queen Elisabeth Competition of Belgium – violin) (3CD+bonus CD) [輸入盤] [CD]

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ポリーニ・パースペクティヴ 2012
YAKINIKU

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ポリーニ・パースペクティヴ 2012

By , 2012年11月5日 7:30 AM

11月 2日にポリーニのコンサートに行ってきました。

ベートーヴェン―シュトックハウゼン 大ホール

2012年11月2日(金)19:00開演

シュトックハウゼン:ピアノ曲VII <曲目変更>

シュトックハウゼン:ピアノ曲IX <曲目変更>

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第24番 嬰ヘ長調 op. 78「テレーゼ」

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第25番 ト長調 op. 79

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第26番 変ホ長調 op. 81a「告別」

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第27番 ホ短調 op. 90

*シュトックハウゼン:ピアノ曲Ⅹが上記2曲に変更となります。

ピアノ:マウリツィオ・ポリーニ

シュトックハウゼンの音楽は、私はこの類の音楽を普段聴かないのでわからなかったけれど、ポリーニの音に対する繊細さはよく伝わって来ました。ポリーニの演奏を生で聴くのは初めてでした。

そして目的のベートーヴェン。まずソナタ第 24番はテレーゼは、あまり出来が良くなく、指がもつれてリズムが壊れたりしていました。ポリーニのおっかけをやっている人に聞くと、「いつも出だしはこんなものだよ」と。第 25番はやや持ち直したものの、しかし期待した演奏には程遠かったと思います。

後半に入ると、徐々にエンジンが入ってきたようでした。まずは私が現在ハマっている第 26番「告別」。お気に入りのバックハウスの演奏を毎日通勤の時に聴いていて、特に第 3楽章「再会」は、実験でテンパった時にいつも頭の中をグルグルと回る曲になっていました。

・Beethoven Piano Sonata No 26 Op 81a Les Adieux 1 Das Lebewohl (Les Adieux – The Farewell)


・Beethoven Piano Sonata No 26 Op 81a Les Adieux 2 Abwesenheit (L’Absence – The Absence)

・Beethoven Piano Sonata No 26 Op 81a Les Adieux 3 Das Wiedersehen (Le Retour – The Return)

で、ポリーニの演奏は、この上なく情熱的でした。ひたすら前へ、前へ!演奏としてはリスクが高く、いつ崩壊してもおかしくなかったのですが、それだけにポリーニの滾る思いが存分に伝わってきました。第 3楽章「再会」の演奏では、戦火を逃れた親友ルドルフ大公と再会したベートーヴェンの胸の高鳴りを感じました。

演奏は尻上がりに良くなり、第 27番も素晴らしかったです。アンコールはベートーヴェン「6つのバガテル」から op. 126-3, 4でした。会場はスタンディングオベーションでした。会場にはカメラがたくさんあって、NHKで一部放送するそうですので、興味の有る方は是非御覧ください。

 12月17日(月)【16日(日)深夜】午前0時~午前4時
プレミアムシアター
◇マウリツィオ・ポリーニ 日本公演
~ポリーニ・パースペクティヴ2012~ から

<曲 目>
Il rumore del tempo[日本初演](マンゾーニ)
弦楽四重奏曲 第3番「グリド(叫び)」(ラッヘンマン)
ピアノ・ソナタ 選集(ベートーベン)  ほか

<演 奏>
マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)
【ベートーベン作品の演奏】

クリストフ・デジャルダン(ビオラ)
アラン・ダミアン(クラリネット)
ダニエル・チャンポリーニ(打楽器)
チョー・ジョー(ソプラノ)
【マンゾーニ作品の演奏】

ジャック四重奏団
【ラッヘンマン作品の演奏】 ほか

収録:2012年10月23日、11月2、7、13日
サントリーホール

某千葉県 K総合病院の集中治療科のトップに内定した、知り合いのブリスベン先生 (仮名) が、エリザベート及びロン・ティボーコンクール第 2位のヴァイオリニスト成田達輝氏を会場で紹介してくれて、コンサートが終わってから 3人で飲みに行きました (この前日、ブリスベン先生とプロ棋士の橋本八段と私の三人で酒を飲んだので、ブリスベン先生とは2日連続の酒になりました (^^;)。

新橋に移動して、徳壽という焼肉屋でさんざん酔って、3人で芸術論を語り合いました。一流音楽家の話はとても新鮮でした。成田氏はジャン・ジャック・カントロフの弟子らしく、面白い話をたくさん聴かせてくださいました。今度は成田氏の演奏会を是非聴きに行きたいと思いました (残念ながら今回の来日公演はチケット完売で手に入らず)。

・ロン・ティボー国際音楽コンクール(成田達輝)

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フランス音楽の夕べ

By , 2012年7月18日 8:25 AM

ジェラール・プーレの演奏を聴いて来ました。ジェラール・プーレは世界的なヴァイオリニストである一方、ヴァイオリンの名教師としても知られています。

日仏会館・日仏音楽協会がおくるフランス音楽の夕べ

2012年7月11日 (水) 午後 7時 日仏会館 1Fホール

櫻木枝里子

ラモー:新クラヴサン組曲より アルマンド、クラント、サラバンド

ラヴェル:夜のガスパール オンディーヌ、絞首台、スカルボ

夜船彩奈

白山智丈: 前奏曲(初演)、幻想曲(再演)

ジェラール・プーレ/金澤希伊子

ラヴェル:フォーレの名による子守唄、ハバネラの形式による小品、ヴァイオリンとピアノのためのソナタ

一曲目の新クラヴサン舞曲は拍感に乏しい演奏で、舞曲としての雰囲気が感じられませんでした。この手の曲では和声に従って音の軽重をつけることがかなり重要になってきますが、軽く演奏すべき箇所に変なアクセントがついていたり、あるいはその逆だったりして、ドタドタした印象を与えました。多分専門外の曲だったのだと思いますが、残念でした。

一方で、二曲目のラヴェルは素晴らしかったです。漂うようなリズムの中、旋律が綺麗に描かれていました。

白山智丈氏が作曲した曲は、普段現代曲を聴かない私でも非常に聴きやすく楽しめました。その一方で、例えば前奏曲では左手バスが鍵盤の 12音すべてを使うようになっていたり、見えない工夫が多く凝らされているようです。白山氏は銀行員だったのに、退社して作曲を志したようで、安定した地位を捨てて音楽に打ち込めるところが凄いなと思いました。夜船さんの演奏も素晴らしかったです。

さて、休憩を挟んで後半はプーレ氏の演奏。フォーレの名による子守唄、ハバネラの形式による小品は素晴らしかったのです。ヴァイオリンとピアノのためのソナタはヴァイオリニストとピアニストの対話があまりなくて若干期待はずれでした。プーレ氏はこのことにかなり苛立たった雰囲気で、「俺の音も聞けよ」的なジェスチャーで、ピアニストの耳元で弾いたり、弓で指揮のような真似をしていましたが、ピアニストは黙々と演奏し、自分のスタイルを崩しませんでした。一方で、アンコールは涙が浮かぶほど美しい曲、美しい演奏でした。曲名を失念したのが残念。

初めて生で演奏を聴いたプーレ氏について、ボウイングが非常に軽やかであること (しかし音は軽薄ではない)、音の繋ぎ目が滑らかであること、ヴィブラートの幅が広く美しいこと・・・といった記憶が強く残りました。彼の音を一言で形容すると、「シルクの肌触りのような音」と表現できると思います。CDをいくつか購入しましたので、聴くのが楽しみです。

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スロヴァキア・フィルハーモニー

By , 2012年7月8日 4:30 PM

妹から招待券をもらい、コンサートを聴きに行って来ました。

スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団 2012年日本公演

2012年 6月 28日 「Cプログラム」

スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 Op. 104

ドヴォルザーク:交響曲第 8番 ト長調「自然交響曲」 Op. 88

指揮:レオシュ・スワロフスキー

チェロ:ガブリエル・リプキン

6月19日~7月2日にかけてスロヴァキア・フィルのツアーが行われ、6月27, 28日がサントリーホールでの公演でした。頂いたチケットは 6月28日のもの。6月27日は指揮が三ツ橋敬子だったらしいのですが、行った方から「言いたいことを全部詰め込みすぎるから、逆に聴きにくかった」との感想を聞きました。

さて当日、一曲目、パート間に少し隙間があるように感じました。ただ、我々が座っていた席が、前から 2列目の右側ということで、聴いた場所が悪かったせいかもしれません。

二曲目は初めて聴くリプキンの演奏。テクニックが素晴らしかったです。ただ、オーケストラの迫力と比べて、響き、音量に少し乏しい気がしました。ガット弦を使用しているためか、我々の席の位置の問題だったのかはよくわかりませんでしたが。

三曲目の「ドヴォ8」は、思い出の曲です。今から 20年以上前の話ですが、ゴールドブレンド・コンサートで、石丸寛氏が津山市民オーケストラを指揮した時、私と妹がヴァイオリン、父がクラリネットで参加したからです。

スロヴァキア・フィルの「ドヴォ8」は、いわゆる「東欧の音」そのものした。そして、コンサートマスター (Jarolim RUZICKA) のソロパートも素敵でした。第 3, 4楽章で弦楽器と管楽器のテンポが噛み合わない瞬間が少しあったけれど、一曲を通して大満足でした。スワロフスキー、素晴らしい指揮者ですね。

アンコールはスラブ舞曲第 15番と第 1番。

 

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ルーマニア国際音楽コンクール

By , 2012年6月17日 10:05 AM

古い話になってしまいましたが・・・。1月24日にルーマニア国際音楽コンクール入賞者披露演奏会を聴きに行って来ました。

2012年1月24日 会場18:00 開演 18:30

サントリーホールブルーローズ

1. ピアノ部門奨励賞:高橋健一郎

2. 管楽器部門第1位 (サックス):荒木絵美

3. 声楽部門第1位・ルーマニア大使館賞:善国亜由子

4. アンサンブル部門第1位・日本ルーマニア音楽協会理事会賞・オーディエンス賞 箏三重奏:内藤美和・本間貴志・マクイーン時田深山

5. 打楽器部門第1位(マリンバ):渡邉弥生

6. 管楽器部門第1位・本濱寿明

7. 弦楽器部門第一位(ヴァイオリン)・コンチェルトデビュー賞・最優秀賞:石神真由子

このコンクール、ルーマニアの方々の演奏を聴けるかと思ったら、過去の入賞者はほぼ全員日本人、日本で行われるという、正真正銘の日本のコンクールだったんですね。コンサートの終わりにルーマニア大使が挨拶したりという演出はありましたが・・・。

演奏はというと、普段聴けない楽器の演奏が非常に新鮮でした。特に、箏やマリンバが素晴らしかったですね。一方で、確かに上手いのだけどソリストとして食べていくにはちょっと難しいかなと思う方もいました。

最後にヴァイオリンということで、石上真由子さんの演奏 (無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番:イザイ) について。彼女は京都府立医大の学生で、私が注目していたヴァイオリニストの一人です。でも、今回の演奏は、メタメタでした。妹が聴いた最近の別の演奏会でも、出来が悪かったらしいです。上杉春雄先生のように、医業と音楽を両立させた稀有な例はありますが、彼女のような「未完の大器」的な荒削りなスタイルでは、難しいのではないかと感じました。

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ライプツィヒ弦楽四重奏団

By , 2012年6月17日 8:43 AM

6月2日にライプツィヒ弦楽四重奏団を聴きに行って来ました。

東京藝術大学 室内楽コンサート 2012

2nd Day 6.8 [金] 19:00開演

会場:東京藝術大学奏楽堂

ハイドン:<弦楽四重奏曲 第77番> ハ長調 作品 76-3 「皇帝」

モーツァルト:<弦楽四重奏曲 第19番> ハ長調 K.465 「不協和音」

メンデルスゾーン:<弦楽四重奏曲 第5番> 変ホ長調 作品 44-3

実験が長引いたので、会場に到着したのは 2曲目の第 3楽章でした。演奏中は中に入れないので、会場前でワインを頼み、モニターを見ながら、スピーカーから流れる音を聴いていたのですが、これが絶品でした。アンサンブルもさることながら、アルバン・ベルク弦楽四重奏団を彷彿とさせるような豊かな響き。洗練されていない音はありませんでした。

後半、メンデルスゾーンは中に入って聴くことができました。この室内楽は、ビオラが非常にしっかりしていたのが印象的でした。昔、ヴァイオリンの師に「弦楽四重奏は第一ヴァイオリンとチェロが上手いのは当たり前、第二ヴァイオリンとビオラが上手なのが一流のカルテット」と言われたことがあるのですが、まさにそれを実感しました。

さらに、パンフレットを見ていて、第二ヴァイオリンのティルマン・ビュニングと、ヴィオラのイーヴォ・バウアーが、ゲルハルト・ボッセさんの弟子であることを知り、びっくりしました。ボッセ先生は残念ながら亡くなってしまいましたが、弟子たちが素晴らしい演奏を続けているのを見えて、何かを受け継いでいくというのはこういうことなのだなぁと思いました。

–関連記事
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス弦楽四重奏団

ゲルハルト・ボッセ氏

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クリスティアン・テツラフ

By , 2012年6月10日 6:01 PM

2012年5月30日にクリスティアン・テツラフを聴いてきました。本当は、前日の協奏曲の方のチケットを取っていたのだけれど、医局の新歓とぶつかり泣く泣く妹夫婦にあげ、こちらのチケットを取り直したのです。

プログラム

①シマノフスキ:神話 Op.30 1. アレトゥーサの泉, 2. ナルキッソス, 3. ドリュアースとバーン

②イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番ト短調 Op. 27-1

③パガニーニ:24の奇想曲 Op.1より 第16番、第6番、第15番、第1番

④クルターク:<サイン、ゲーム、メッセージ>より J.S.バッハへのオマージュ、タマージュ・ブルムの思い出に、Video、カレンツァの舞曲、哀しみ、Zank-Chromatisch

⑤エネスク:ヴァイオリン・ソナタ第2番より <半音階的切り返し>

ヴァイオリン:クリスティアン・テツラフ、ピアノ:児玉桃

クリスティアン・テツラフはバッハの無伴奏ソナタ/パルティータ、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲の録音が素晴らしく、またベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲では自作のカデンツァを披露していたりして、昔からファンでした。今回は、ドイツで聴いて以来 3年振りいうことで、楽しみにしていました。

パガニーニのカプリスでは前半やや音がうわずるところがあったけれど、今回のハイレベルな技巧が要求されるなプログラムに対し、テクニック的に安定した演奏を見せました。彼の素晴らしいところは、小さい音量での空気の作り方だと思います。そこが非常に繊細である一方、盛り上げるべきところではしっかりと盛り上げます。音楽的な解釈も素晴らしく、イザイでは涙が出るくらい感動しました。

演奏後はサイン会の列に並び、プログラムと、買った CD両方にサインしてもらいました。ちなみに、CDを大量に買い占めて握手してもらおうとしている人はいませんでした (違

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ホグウッド

By , 2011年11月5日 11:17 AM

11月 3日に第九を聴いてきました。

サントリーホール 25周年記念

モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス
ベートーヴェン:交響曲第 9番 ニ短調 op.125 「合唱付き」

指揮:クリストファー・ホグウッド指揮
ソプラノ:スザンネ・ベルンハルト
アルト:クラウディア・マーンケ
テノール:ジョン・トレレーベン
バリトン:ルドルフ・ローゼン
合唱:東京混声合唱団、二期会合唱団
管弦楽:NHK交響楽団

ホグウッドを初めて知ったのは学生時代。古楽器演奏の大家です。モーツァルトの交響曲全曲録音で痺れました。感情べったりの演奏とは対極的に、曲本来の持つ魅力を引き出しています。Youtubeでいくつか聴くことができます。

さて、一曲目のアヴェ・ヴェルム・コルプス。弦楽器奏者の弓速のコントロールから、古楽器での奏法を取り入れて演奏しているのがわかりました。普段の N響とは全く違うサウンドでした。

そのまま第九の演奏開始。オーケストラは流行の対抗配置(第一ヴァイオリンが左側、第二ヴァイオリンが右側で向き合う形)。サントリーホールは舞台の後ろにも客席があるので、そこを使って合唱団を並べました。通常男女を左右に並べるのですが、面白いことに、女性が前、男性が後ろという配置でした。音響を考えてのことに違いありません。

第一楽章の出だしから、余分なものを排除した、シンプルなスタイルでの演奏。ベートーヴェンは古典派からロマン派の移行期の作曲家とされますが、ロマン派的要素を極力排除した演奏に聞こえました。ベートーヴェンの後期はロマン派の作品のように演奏されることが多いので、聴き慣れた演奏に比べると若干物足りなさを感じることがありました。

テンポはあくまで前がかり。感情に浸りそうなところは特に音を短く余韻を残さず次に突っ込んでいました。

これらのホグウッドの手法は、過去にない新鮮さを与えましたが、慣れないオケがばらつくシーンが多かったのも確か。

①対抗配置は音響学的なメリットがあるのに対し、第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンが隣り同士ではないのでアンサンブルが難しい。第一ヴァイオリンはどうしても隣のチェロの音を聞いてしまうので、上手くやらないと第二ヴァイオリンとずれてしまう。第二ヴァイオリンも場所的な問題で、普段のようにチェロと第一ヴァイオリンの間でバランスをとるという行為がやりにくい。
②あまりにクリアに解釈しているので、逆にミスが誤魔化しにくい
③指揮者の棒が見にくい。音と同時に振ることが多いので、奏者に時間的猶予がない。
④指揮者イルジー・コルトがけがのため急遽ホグウッドに変わったので、準備期間があまりなかった

といった原因を推測しました(間違っていたらすみません)。

一方で、音響的な効果は素晴らしく、第四楽章の合唱では脳天に突き抜けるような響きが得られました。また、第四楽章の途中から、テンポを滅茶苦茶落として、ある種のオペラのクライマックスのように壮大なスケールを演出したあたりは、ホグウッドが腕を見せたと思いました。

総括として、色々な意味でホグウッドが味わえて良かったです。なかなかこれだけの個性を持った指揮者は少ないと思います。曲の解釈も斬新でした。

ストリング誌の連載コラムで、N響ヴァイオリン奏者の永峰氏が今回の演奏について書いてくれないか、今から楽しみにしています(彼は演奏していて感動したとき、良くコラムに書いてくれるので)。

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Duo Dher Cher

By , 2011年3月8日 7:44 AM

3月 7日、知人の演奏会に行ってきました。この duoは、年 1回の活動で、今回が 2回目らしいです。

 Duo Dher Cher

2011年 3月 7日 大泉学園ゆめりあホール
Violoncello: 横山桂
Piano: 武田麻里江

1. 親愛なる言葉 (ガスパール・カサド)
2. スペイン民謡組曲 (マヌエル・デ・ファリャ, マレシャル編曲)
3. イタリア組曲より (イーゴル・ストラヴィンスキー)
4. チェロソナタ 作品 19 (セルゲイ・ラフマニノフ)

久しぶりの演奏会で楽しかったです。チェロの方は特にラフマニノフのソナタの歌い方が上手でした。ピアノも、響きが綺麗だし解釈も素晴らしくて、非の打ち所がない演奏でした。

そして、演奏もさることなら、チェロの方のトークに会場爆笑でした。

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