昨日 12月 11日に、発熱をおして、久々にヴァイオリンのレッスンに行ってきました。前回のレッスンは 2008年 10月の Tomoの結婚式で演奏するために行ったときでしたから、本当に久々でしたね。レッスンを受けたのは、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番3楽章。アゴーギクの付け方は間違ってないと言われましたが、色々課題が見えました。
・Bach – Sonata III for solo violin in C Major, BWV 1005 – 3. Largo
(レッスン内容) この曲の楽譜をお持ちでない方は、バッハ自筆譜PDF の 34ページを参照してください。
・第2楽章のハ長調の長大な Fugaの後にこの Largoを置いた意味を考えること。べったりと重く弾かない (単品として弾くときは別)。
・3楽章の一つの鍵は調性。調の概念が確立し、それに基づいて作曲するようになったのはもう少し後の時代だが、曲の雰囲気という意味では参考になる。3楽章はヘ短調であり、調としては「荘厳だが宗教的ではない」などの意味がある。他の楽章は全てハ長調で書かれている。
・フレーズが短くなりすぎないように。低音の声部がフレーズの目印となる。たとえば、低音部に注目すれば、最初から 2小節目の3拍目の終わりまでが一つのフレーズ。次のフレーズは 4小節目の3拍目の終わりまで。
・6小節目の 2拍目からどんどん前へ。低音の声部も上向形。
・7小節目は終止形であることを意識。その前で遅くしない。
・12~13小節目は一つのクライマックス。盛り上がる。
・曲としては17小節目で終わり。あとはコーダ。付け足しの部分と考えて、くどく弾かない。
・20小節目の 3拍目は非常に大事。急に調が変わる。それを強調するために、わざと大事な Asは低く、Hは高くとる (ここで Asが登場することが驚きなのだ!)。2拍目最後の G (3の指) にくっつけて As (4の指) と、それに幅狭く F (2の指) を押さえ、最後に 3の指をずらせて Dを取ると弾きやすい。
・21小節目終わりのC→Fはしっかり響かせる。16分音符の Fを弾いたら、軽く弓を浮かせて引き直して良い。
・最後は Dominant→Tonicなので、「緊張→弛緩」を意識して伝える。
レッスンが終わってから、音楽界のことや、教育について色々話し込みました。私が大学医学部の教員で、師が音大の講師ということもあって、「最近の学生がやたら真面目で、単位や与えられた課題をこなすことばかり気にしている」という風潮に、「遊んで視野を広げることも大事」、「言われた勉強をこなすだけでは幅の狭い人間になっちゃうよ」と盛り上がりました。
今、クラシカという音楽専用チャンネルで、樫本大進のリサイタルを放映しています。
リサイタルはまず、バッハの無伴奏パルティータ第3番から始まります。第 1楽章は出だしのためか固く、傷も多々あります。徐々に調子が上がっていきます。
第 3楽章は、私が以前レッスンで直されたところを完璧に演奏していて、お手本のように聴きました。私がレッスンで指摘されたのは下記。
①舞曲なので、出だしは舞踊の一歩目のような音で。
②3小節目の 2拍目で一度終わる。 6小節目の 2拍目でも同様。このテーマは繰り返されるが全部そうする。
③25-26小節目の上の声部をクリアに。
④26小節の 3拍目、27小節の 1拍、3拍目は切って演奏。
⑤34拍目の 3拍と 4拍はボウイングを分ける
⑥82小節目以降の持続音を響かせる。
その次の曲は、イザイ作曲のヴァイオリンソナタ第2番を演奏。この曲はバッハの無伴奏パルティータ第 3番の第 1楽章のテーマをなぞるように始まります。バッハの無伴奏ヴァイオリン 6曲全曲弾けるようになったら、イザイにも挑戦してみたいと思っています。
樫本大進のリサイタルの公式サイトで、彼の曲への思いを見ることが出来ます。
次代を担う大器が挑む新たなるステージ
樫本大進 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル
96年、日本の若手ヴァイオリニストが世界に衝撃のデビュー。彼の名は、樫本大進。権威あるロン=ティボー国際コンクールで当時史上最年少優勝という快挙を果たした。その後、国内外の有名指揮者・オーケストラ・演奏家との共演を幾たびも重ね、その目覚しい活躍には目が離せない。そんな彼が、日本で始めて無伴奏リサイタルのツアーを行う。
このリサイタルに向けて樫本大進さんからメッセージが届きました。
「初めての無伴奏リサイタル。チャレンジですが、期待していて下さい」 樫本大進
バッハのパルティータ第3番は8歳の頃に初めて弾いた作品で、とても懐かしい曲です。今回この曲を弾くことで自分がどう変わったかを知ることにとても興味があります。テッツラフの演奏を聴いた事がありますが、この作品は舞曲が沢山入った、音楽的に非常に興味深い作品だと思っています。イザイは演奏会で始めて弾きます。第2番は昔から弾きたかった作品です。フレーズをバッハのパルティータ第3番の第1楽章から取った作品で聴衆の方々にも大変興味深い曲だと思っています。ジェミニアーニは12歳位の時、ヴィエニャフスキ・コンクールに行った時に弾きました。イタリアのバロック音楽ですが、技術的に非常に難しい作品でとても珍しい雰囲気を持っています。バルトークのソナタは子供の頃からメニューインやリッチの録音で何度も聴いた作品で、とても弾きたかった曲です。挑戦的で恰好良く、大好きな作品です。
樫本大進氏のコンサートはこれまで何度か行きました。メンコンやロンカプを聴いたことがありますが、ザハール・ブロンから師を変えて、演奏がどんどん変わっています。今回のリサイタルも面白かったし、これからが楽しみです。
昨日、19時くらいから、バイオリンのレッスンを受けて来ました。持って行ったのは、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。ツィンマーマンのコンサートを聴きに行く前に予習しておこうと考えたからです。
テクニック的な点では、右手の使い方を工夫して音色の種類を増やすことを教わりました。
音楽的な面では、和声 からの音楽のとらえ方を教わりました。古典派のドイツ音楽は、ドミナント(Ⅴ)→トニカ(Ⅰ)の和声進行が多く使用されます。ベートーヴェンでは特にそれが顕著です。ドミナントはトニカに向かう性質を持ち、トニカは解決するという性格を持つことが、ドイツ音楽の持つ雰囲気に多く影響しています。
フランス音楽は、これ以外の和声を多様することで、簡単に終止に向かわず、移ろいやすさが表現されます。
このようなことを教わって、最後に、このコンチェルトでどのカデンツァを用いるかという話になり、「いろいろな版のカデンツァをまとめて一つの本にしてくれたら、好きなカデンツァが弾けるのに・・・」と言ったところ、「出版社に聞いてみようか?」となりました。
有意義なレッスンでした。理論的な面ももう少し勉強していきたいと感じました。
久しぶりに、ヴァイオリンのレッスンに行ってきました。
見て頂いた曲は、「DUO in B, KV 424 (W.A.Mozart)」です。12日に教授と合奏する曲ですが、今日はヴァイオリンの先生が初見でビオラパートを弾いてくださいました。久しぶりの合奏を楽しみました。
レッスン中、和声からみたフレージングなど、参考になる話をたくさん伺いました。ただ感じたままに弾けば良いというのは子供や初心者には許されるでしょうが、勉強を進めるに従って、演奏には根拠が必要になります。もちろんアプローチの仕方はいくつかありますが、和声というのは非常に有用な方法と思います。和声を基礎から学びたいという気持ちがかなりありますが、なかなか教えて頂ける方がおらず、探しています。
ヴァイオリンの先生の友人が、コンセルトヘボウ響で第2ヴァイオリンを弾かれているそうなのですが、私の先生に「最近日本では誰が有名なの?」と聞かれたそうです。私の先生がいくつか名前を挙げたところ、「こっちでは全然聞かない」と言われたそうです。最近、コンクールが重要視されなくなってきており、コンクール向けの傷のない演奏が得意なだけではヨーロッパでは売れないそうです。そういった意味では、日本はヴァイオリンの分野では不作なのかもしれません。
ヨーロッパで最近評価が高いのは、ツィンマーマンやレオニダス・カヴァコスだそうです。2人とも私は学生時代に聴き、非常に感動して、周囲に吹聴してまわった記憶があります。
もう8月にもなろうかというのに、いつまでも雨が降り続いています。今年は、春に雪が降り止むのも遅ければ、梅雨入りも遅く、梅雨が明けるのも遅いように感じます。
7月22日は、「Fighting Vascular Events in Tokyo」という抗血小板薬についてのフォーラムに参加。その後、私の下で勉強した研修医と上野で待ち合わせ。私が店長と仲良くなっている隠れ家的な居酒屋があり、そこの個室で七輪で魚を焼きながら、焼酎を飲みました。その医師は、研修を終え、現在国立の大学病院勤務で医師3年目ですが、「朝7時半出勤、帰宅は午前1~2時、土日休日なし」と、私が研修医だったときのようなハードな生活をしていました。体重も10kgくらいやせたそうですが、仕事自体はやりがいがあるとのことで安心しました。「普段食事をとっているのか?」と聞いたところ、「昨日は朝はカロリーメイトで、昼と夕方はパン(院内に売っているパンで、自販機内から落ちてくる様から『自殺パン』とよばれているとか)」と言っていたので、とりあえず腹一杯食べさせました。
その後、研修医と別れ、東京プリンスホテルのパークタワーで一泊したのですが、とても綺麗でサービスが行き届いたホテルでした。起床後、バーンスタインの「答えのない質問」というDVDの第2話を見てから、ヴァイオリンのレッスンへ。
ヴァイオリンのレッスンでは、無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番(バッハ)からFugaを見て頂きました。直された内容は、①Dominant→Tonicとなるときに、Tonicの方が強くなってしまっている、②前の音を押さえている指との関係で、次の音を押さえないから、音がバラバラになってしまう、③低音の声部がクリアに聞こえない・・・など、前回無伴奏パルティータ第1番のレッスンを受けたときと同じような課題でした。進歩がないというか・・・。結局3時間くらい先生の家で演奏したり話し込んだりしていました。うち1時間くらいは芸術論についての議論で、非常に勉強になりました。「音楽家が何を考えて演奏活動をしているか」ということまでは、なかなか知り得ないことです。代わりに私も「医師が何を考えて医療を行っているか」などお伝えしました。
レッスン後家を探しに不動産屋に寄りました。楽器可だとなかなか難しいものです。どこも夜8時までの演奏が限度のようです。もう少し探す余地があります。
日本を代表する現代作曲家である伊福部昭氏が先日亡くなられました。私のヴァイオリンの先生がアルメニア音楽祭で伊福部作曲の協奏曲を演奏したことがあったため、私も親しみを持っていた作曲家でした。一般には、映画「ゴジラ」のテーマ曲の作曲家として有名です。
彼の「音楽入門」は、彼独自の史観の上になりたった名著です。先入観に支配されず、まず音楽を感じて欲しいという姿勢は、バーンスタインが「Young people’s concert」で語っていたことと一致しています。北海道大学(確か農学部)卒業で、音楽を専攻したことのない人が、ここまでの音楽観を持ち、作曲を行えたというのは、同じく音楽を専攻したことのない私としては、あやかりたいものです。
彼が活動を始めた時期は、西洋への憧れが音楽界を席巻しており、彼の作曲する日本古来の音楽からの楽想に基づく音楽は全く評価されなかったといいます。しかし、日本と西洋の音楽両方の要素を持った音楽は非常に新鮮なものです。ロシア人作曲家によって発掘されて、初めて評価を受けるようになり、以後の活動は周知の通りです。ヴァイリン協奏曲を聴き直してみて、改めて惜しい人を亡くしたものだと思います。
昨日は、バッハの無伴奏ヴァイリンのためのパルティータのレッスンを受けましたが、演奏の中に必然性を作ることの重要さを痛感しました。