「Classic Bar ~in Blue Rose」に行ってきました。サントリーホールの小ホールで行われたコンサートです。
各座席の横にはウイスキーとおつまみが置かれていました。
第一部は、元バレーボール日本代表の佐々木太一さんが、ウイスキーの基礎知識やテイスティングの仕方などを解説しました。彼は日本で資格取得者わずか 2名しかいなかった「マスター・オブ・ウイスキー」を取得しているそうです。ウィスキーの歴史や味の違いなど、勉強になりました。
第二部は成田達輝さんと中野翔太さんによる生演奏でした。普段あまり聴かない曲を聴くことができて、貴重な経験でした。特にジョン・アダムズの Road Moviesという曲は、minimal musicと呼ばれる、非常に小さな単位から構成されているそうですが、初めて聴いて「良い曲だな」と思いました。楽しかったのは演奏だけではなくて、西山喜久恵アナの司会による演奏者のトーク付きでした。
Classic Bar
ドビュッシー:美しき夕べ
ガーシュウィン:3つの前奏曲
武満徹:妖精の距離
ジョン・アダムズ:Road Movies
チャップリン:Smile
成田達輝 (Vn)/中野翔太 (Pf)
10月30日 (木) 19:00開演, サントリーホール小ホール
なお、次回の Classic Barは、「ワイン」をテーマにして、2015年2月8, 9, 10, 11日に行なわれ、ヴァイオリニスト川久保賜紀氏、ピアニストの横山幸雄氏が登場するそうです。
余談ですが、今回から成田達輝氏のプロフィールに「使用楽器:匿名の所有者からの貸与を受けて、ガルネリ・デル・ジェス “ex-William Kroll” 1738年製を使用。」の一文が加わっていました。素晴らしいパートナーとのますますの御活躍を楽しみにしています。
24のカプリース全曲演奏会に行ってきました。
トーマス・ツェートマイヤー
24のカプリース (ニコロ・パガニーニ)
2014年10月17日 19:00開演 トッパンホール
パガニーニ作曲、24のカプリス は、ヴァイオリン無伴奏曲の頂点の一つです。バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ・パルティータを旧約聖書、パガニーニのカプリスを新約聖書と呼ぶ人がいるくらいです。特に第 24番の主題は、リスト、ブラームス、ラフマニノフらがパガニーニの名前を冠した曲に用いたことで非常に有名です。
非常に技巧的な曲であるため、24曲が一度に演奏されることはあまりありません。ツェートマイヤーにとって、かなりのチャレンジだったと思います。
演奏を聴いて、ツェートマイヤーがこの曲集を完全に自分のものにしていることが伝わってきました。他の演奏家に真似できない個性がありました。
また、素晴らしいと思ったのがボウイング技術です。例えば、第5番の中間部は 16分音符 4個が一単位ですが、楽譜には最初の 3個をダウンボウで、最後の 1個をアップボウで弾くように書いてあります。ところが、そのように弾いている演奏家はほとんどいません。例外的にマルコフが一部そう弾いているのを Youtubeで見ることができます (この動画の 40秒くらい ) が、それでも途中からは奏法を変えています。ツェートマイヤーは楽譜の指示通り完璧に弾いていました。
残念だったのは音程です。かなり不安定でした。一曲を通じて調性感のある安定した音程で弾けていたのは、第5, 7, 17, 18, 19 番などくらいで、あとはどこかしか気になりました。まぁ、それでも聴かせてしまうのは凄いんですが (^^;
アンコールは、下記。
ツィンマーマン:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第1楽章
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 Op.27-3 《バラード》
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 BWV1005より 第4楽章
現代作曲家ツィンマーマンの曲は初めて聴きました。難曲ですが、完璧な演奏でした。
・B. A. Zimmermann “Sonata for Violin” Part 1/2 played by Rachel Field
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(参考)
・Paganiniの手
・カプリス5番
・カプリス
映画「『アルゲリッチ 私こそ、音楽』」を見ました。
ピアノの巨匠マルタ・アルゲリッチの娘ステファニーが撮りためた、母親の映像を豊富につかったドキュメンタリー映画です。
ベッドでくつろいでいるシーン、起き抜けの顔、コンサート前に楽屋で「弾きたくない」とダダをこねているシーンなど、ほとんどがプライベート映像で占められています。
マルタ・アルゲリッチ自身が “音楽” に言及した部分はそれほど多くなく、「老いへの不安」や「家族の絆」という内面的な描写が多かったです。
マルタ・アルゲリッチは元夫シャルル・デュトアと離婚しているため、ステファニーの戸籍の父親の欄は「不明」となっています。ステファニーが父親に認知してもらおうとして役所に交渉したとき、スイス大使館がデュトアの結婚歴証明証を紛失していることが判明し、認知できないとわかったシーンはグッときました。
巨匠マルタ・アルゲリッチの素顔に興味がある方には、楽しめるドキュメンタリーだと思います。
2014年7月19日のブログで、出光音楽賞受賞者ガラ・コンサートについて書きました。
そのコンサートの模様が、9月7日午前9時からの「題名のない音楽会」で放送されます。
かつて聴いた生演奏がテレビではどう聴こえるか、比較できる機会で楽しみです。何度でも聴けるように、録画しておこうと思います。素晴らしい演奏でしたので、皆様も、是非御覧ください。
成田達輝氏が演奏するメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の第 1楽章が、テレビユニマンチャンネルで視聴可能になりました。
私がこの曲をさらった時、昔の巨匠達の演奏する CDを中心に 20枚くらい買って聴き比べたものでした。成田氏の演奏は、ややゆっくりめのテンポ設定で、気高さの中に漂う切なさを感じさせる演奏です。表現が豊かで、聴いていて面白いです。下記リンクから是非どうぞ。
ヴァイオリニストの成田達輝さんが出光音楽賞を受賞しました。受賞者ガラコンサートおよび授賞式に招待してくださったので、行ってきました。
第24回出光音楽賞 受賞者ガラコンサート
挾間美帆 (作曲・編曲・ピアノ): Suite “Space in Senses” より「Pentagram」「Interlude」「Puzzle」
-休憩-
小林美樹 (ヴァイオリン):コルンゴルト ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35 全楽章
成田達輝 (ヴァイオリン):シベリウス ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47より第 1楽章, 第 3楽章
2014年7月10日 (木) 午後 6時 45分開演
東京オペラシティーコンサートホール
その日は、私はさいたまで講演でした。17時30分から約束の 1時間きっかり喋って、18時30分に会場を出ようと思ったら、まさかの質問攻め。10分ほど足止めを食らうはめになりました。会場に着いたのは、19時40分くらいで、ちょうど 1曲目が終わった休憩時間でした。せっかく御招待頂いたのに演奏が聴けなかったらどうしようかとヒヤヒヤしたものですが、なんとか滑りこむことができました。
成田氏が「雪の中を鷹が飛んでいる」と解説した冒頭は、情景が目に浮かぶようでした。途中の技巧的なパッセージは、困難さを全く感じさせず、エレガントでした。最も印象に残ったのは、一楽章のカデンツァの美しさでした。うっとりと聴き入りました。
演奏の素晴らしさを言葉で表現するのは難しいですが、この演奏会は 2014年9月7日午前9時から、テレビ朝日系「題名のない音楽会」で放送される予定です。是非御覧ください。
成田氏がインタビューで「尊敬する」と評していたヴァイオリニスト Kavakosの動画を Youtubeで見つけたので紹介しておきます。
・Leonidas Kavakos Sibelius violin concerto
演奏会が終わってからは、東京オペラシティ スカイバンケット フォルトナーレで開かれたレセプションに参加しました。立食パーティーで、テレビで御馴染みの池辺晋一郎氏と少し話す時間がありました。あと、某女子アナウンサーがすぐ近くにいましたが、こちらは話しかける機会はありませんでした (´・ω・`)
レセプション後に成田氏ら飲みに行く予定を立てていたものの、この日は大型の台風が近づいていたので、まっすぐ帰りました。
名指揮者 ロリン・マゼール が、2014年7月13日に 84歳で肺炎で亡くなりました。
ヴァイオリニストとしても素晴らしい演奏をしたマゼール。わずかですが、ヴァイオリン演奏の映像も残されています。艶やかな音が印象的です。
・LOREN MAAZEL ~ Mozart Violin Concerto K.216 ~ 1st. Movement
指揮者としての名声は、クラシックファンとして知らない人はいないでしょう。特に彼の指揮するブラームスは色っぽさがあって、私は大好きです。フランクフルトで彼の指揮するブラームスを聴いた のが懐かしい思い出です。
昨夜は、マゼールの DVD を聴きながら、追悼しました。ご冥福をお祈りします。
知り合いの萩原麻未 さんのリサイタルに行ってきました。
萩原麻未ピアノ・リサイタル
2014年6月27日(金) 午後7時 紀尾井ホール
フォーレ:ノクターン第1番 変ホ短調 Op.33-1, ノクターン第4番 変ホ長調 Op.36
ドビュッシー:ベルガマスク組曲 1. 前奏曲, 2. メヌエット, 3. 月の光, 4. パスピエ
ドビュッシー:喜びの島
ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ, ラ・ヴァルス
ジェフスキ:ウィンズボロ・コットン・ブルース
萩原麻未さんは、ジュネーヴ国際コンクールのピアノ部門で日本人初の優勝を飾ったピアニストです。成田達輝さんとの競演で聴いたことはありましたが、ソロで聴くのは今回が初めてでした。
プログラムはフランスものが中心。ドビュッシーの「月の光」はたまに聴く機会がありますが、ベルガマスク組曲として全曲聴くことができる演奏会はなかなか貴重ですね。
最後のジェフスキは大変な難曲。萩原麻未さんは完璧に弾きこなしていました。どれほどの難曲か、別の演奏家の動画を参考に貼っておきます。この曲は、両手を総動員するだけじゃなく、肘まで使います。
・Roger Wright plays Rzewski’s Winnsboro Cotton Mill Blues
アンコールはドビュッシーの亜麻色の髪の乙女でした。
「ラ・ヴァルス」や「ウィンズボロ・コットン・ブルース」のようにテクニカルな曲を完璧に弾きこなし、一方で「月の光」や「亜麻色の髪の乙女」のような小品で幻想的な雰囲気を作り上げ、聴きながらさすが世界的なピアニストだと思いました。この日聴いたどの曲も、素晴らしい演奏でした。
演奏会が終わってから、萩原麻未さんや知人数名で行きつけの Barに行き、少し語って帰りました。Barで私が、「どうして技巧的な難易度の高い曲でプログラムを組むのですか?こんなに大変そうな曲を弾かなくても、綺麗な曲を美しく弾く技術があるのだから、そうした方が楽なのに」と聞いたら、「甘えが出るから」と仰っていました。こうしたメンタリティーがあるからこそ、世界のトップレベルに達することができたのかもしれませんね。