Category: 音楽

イザベル・ファウスト

By , 2014年7月3日 7:45 AM

2014年6月26日、イザベル・ファウスト&アレクサンドル・メルニコフのコンサートを聴きに行ってきました。ファウストの演奏は、半年前にバッハを聴いて以来でした。

都民劇場音楽サークル 第618回定期公演

2014年6月26日 (木) 19時開演

東京芸術劇場

モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第29番 イ長調 K.305 (293d)

シューベルト:幻想曲 ハ長調 作品 159 D. 934

シューマン:3つのロマンス 作品94

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第 3番 ニ短調 作品 108

<ヴァイオリン>イザベル・ファウスト, <ピアノ>アレクサンダー・メルニコフ

開演直前にハプニング。2階席から舞台にチラシの束を落としてしまう客がいました。演奏中にチラシで音を立てる客を含め、コンサート時のチラシの扱いは本当に何とかして欲しいです。

さて、肝心のコンサート内容。

一曲目の、ビリオド奏法を取り入れたモーツァルトは珠玉の演奏でした。特に 2楽章の絶妙な即興には、二人のセンスを感じました。 本当に優れた演奏家によるモーツァルトは、舞台上の空気が全然違います。

シューベルトは、器楽曲にも関わらず歌曲のように優しく歌われ、この曲の新しい解釈を知りました。私はこの曲は Odnoposoff/Mrazekの録音を好んで聴いてましたが、コンサート会場でファウストとメルニコフの CDを買って以来、そちらばかり聴くようになりました。コンサートで彼らの演奏を聴くことができない方には、是非彼らの CDでその美しさを感じて欲しいです。

シューマンは、ヴィブラートを抑えた演奏。感情をベタベタと貼り付けず、理性的な素晴らしい演奏でした。

ブラームスもシューマンと似たようなアプローチ。確かに美しかったのですが、こちらはもう少し情熱的な方が私の好みでした。

アンコールは、FAEのソナタから第2, 3楽章でした。

ファウストの演奏会はいつも外れがなく、彼女がヨーロッパで非常に評価されている理由がよくわかります。また彼女の来日の際には、是非聴きに行きたいです。

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アルテミス・カルテット

By , 2014年5月30日 10:30 PM

アルテミス・カルテットのコンサートに行ってきました。アルテミス弦楽四重奏団は、現在非常に評価の高いカルテットです。知り合いの集中治療医から声をかけていただき、当日券で聴くことが出来ました。

クァルテットの饗宴 2014

アルテミス・カルテット (ヴィネタ・サレイカ, グレゴール・ジーグル, フリーデマン・ヴァイグレ, エッカート・ルンゲ)

2014年5月27日 (火) 午後 7時 紀尾井ホール

ブラームス:弦楽四重奏曲第1番 ハ短調 Op.51-1

クルターグ:小オフィチウム アンドレーエ・セルヴァーンスキーを追悼して Op.28

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第 14番 嬰ハ短調 Op.131

まず一曲目はブラームス。洗練されていて、一つのスタイルとして完成されていました。しかし表現がやや抑制的であり、もう少し情熱的に盛り上がる方が、ブラームスの演奏としては私の好みでした。

クルターグは 15の短い部分から出来上がっていて、色々と音楽的な仕掛けのある曲です。あまり演奏が素晴らしかったので、うっとりと聴き入ってしまい、分析的に聴くことができませんでした。楽譜を見ながら何度か聴きたいと思いました。

ベートーヴェンは、私が最も好きな作曲家で、弦楽四重奏曲は普段から好んで聴くので楽しみにしていました。アルテミス・カルテットの演奏は、細部まで疎かにせず、練りに練っているのがよくわかりました。工夫が見えて楽しい演奏でした。また、この弦楽四重奏団はセカンドヴァイオリンのレベルがすごく高くて、表現力はファーストヴァイオリンと比べて遜色がありません。そのため、掛け合いなどでは、眼を閉じるとどちらが弾いているかわからないくらいバランスが良いのが、印象に残りました。

「完璧すぎるのが欠点」とまで言われたアルバン・ベルク弦楽四重奏団の後継者と目されているのが理解できる、素晴らしい弦楽四重奏団でした。

コンサートを終えて、いつもの如く Tizianoで軽く飲んで帰宅しました。

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ヴァイオリン・フェスタ・トウキョウ2014

By , 2014年5月2日 5:49 AM

2014年4月27日に、サントリーホールに「ヴァイオリン・フェスタ・トウキョウ2014」を聴きに行きました。2014年4月23日に成田達輝さん達と青山の川上庵で食事をして、Bar Tizianoで飲んだ時に話題が出て、御招待頂いたのです。

このコンサートはサントリーホールの小ホールで行われましたが、奇しくも大ホールで予定されていた佐村河内守のコンサートは中止となっていました。

【公演中止】佐村河内 守 作曲 交響曲第1番≪HIROSHIMA≫

この公演は中止となりました。チケットの払戻しは2月17日(月)から5月7日(水)までお買い求めのプレイガイドにて承ります。中止に関するお問い合わせは、サモンプロモーション 0120-499-699 までお願い致します。
日時
2014年4月27日(日) 14:00 開演
指揮
金聖響
演奏
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

さて、小ホールで行われた「ヴァイオリン・フェスタ・トウキョウ2014」は、難曲ばかりがプログラムを飾っていましたが、いずれも非常に高いレベルで演奏されていました。

ヴィエニアフスキ:モスクワの思い出 Op.6 (河井勇人)
バッツィーニ:妖精の踊り Op.25 (深田麗音)
サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ第 1番ニ短調 Op.75 第 2楽章 (小林香音)
サラサーテ:ナバーラ Op.33 (宮崎真莉子/宮崎真実子)
サラサーテ:カルメン幻想曲 Op.25 (後藤康)
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第 2番イ短調 Op.27-2 (北川千紗)
ジンバリスト:リムスキー・コルサコフの「金鶏」による演奏会用幻想曲 (見渡風雅)
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン・協奏曲第 1番 Op.77 第3/4楽章 (千葉水晶)
ワックスマン:「カルメン」幻想曲 (岡本誠司)
フバイ:「カルメン」による華麗な幻想曲 (土岐祐奈)
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第 29番イ長調 K.305 (293d)
サン=サーンス/イザイ編:ワルツ形式のカプリース (小川恭子)
ヴィエニアフスキ:華麗なるポロネーズ第 2番イ長調 Op.21 (宮川奈々)
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第 7番ハ短調 Op.30-2 (大塚百合菜)
ミルシテイン:パガニーニアーナ (山根一仁)
ストラヴィンスキー:協奏的二重奏曲 (成田達輝/萩原麻未)

まず、最初のヴィエニアフスキを聴いてビックリしました。なんと、小学六年生がこの難曲をミスなく完璧に演奏していたからです。これは凄いことです。ただ、一つ課題を挙げるとしたら、ヴィブラートだと思います。G線も E線も同じように細かいヴィブラートをかけていたし、音が変わるときにヴィブラートが途切れて滑らかさを欠いていました。とはいえ、彼のセンスがあれば直ぐに解決できるでしょう。2曲目は、私の大好きな曲。これは中学 2年生の深田麗音さんによる演奏でした。左でのピチカートが余りクリアではないという課題は見えましたが、音程は正確で、ボウイングのテクニックも華麗でした。

続いて、小林香音さん~小川恭子さんまでが、高校生~大学生による演奏でした。一番印象に残ったのが、サラサーテのナバーラ。おそらく双子でしょうけれど、2人のヴァイオリニストが完璧にシンクロしていました。デュオでのレパートリーが十分に増えれば、普通に演奏活動ができるレベルだと思いました。

いずれも質の高い演奏が続く中、モーツァルトとベートーヴェンのソナタは、少し残念。これは演奏者の技術云々というより、それだけ音楽的に難しい作品だからでしょう。生涯かけて追求する作品ですね。

空気が一変したのは山根一仁さんが登場したときです。登場した時のオーラが、これまでの演奏家とは全然違いました。そして最初の音から釘付けになりました。山根さんの描く世界が広がり、これが「上手な演奏家」と「カリスマ性のある演奏家」の違いなのだろうと思いました。本当に素晴らしい演奏でした。

・Nathan Milstein ‘Paganiniana’

締めは、成田達輝さんと萩原麻未さんの演奏。ストラヴィンスキーの デュオ・コンチェルタンテでした。

・Stravinsky Duo Concertante (Dushkin/Stravinsky)

成田さんと萩原さんによるこの曲の演奏を聴くのは二回目だったので、初めて聴いた時のような衝撃はありませんでしたが、山根さんを除くこれまでの演奏家達に比べて表現力が際立っていました。意図を伝える力、表現の幅、音の繊細さが素晴らしかったです。世の中に上手い演奏家はゴマンといることはわかりましたが、やはりプラスアルファして聴かせるものがあるのが、トッププロということなのでしょうね。この日はヴァイオリン演奏を堪能しました。

いずれの演奏家もまだまだ若いですし、将来が楽しみです。

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Soloist evaluations of six Old Italian and six new violins

By , 2014年4月9日 6:59 AM

2012年4月19日のブログで、ヴァイオリンの新作楽器と “オールド” の弾き比べについての論文をお伝えしました。目隠しをしたプロのヴァイオリニストには、どれがストラディヴァリウスか当てることができないばかりか、新作楽器の方を名器として認識してしまうというものです。

2014年4月3日の PNASに、その研究の追試の結果が掲載されました。

Soloist evaluations of six Old Italian and six new violins

前回の研究より楽器の数を増やして研究していますが、トップ 2位まで新作楽器でした (第 3位は黄金期のストラディヴァリウス)。やはり、トップヴァイオリニストでもストラディヴァリウスの評価は低く、モダン楽器の評価の方が高いようです。そして、楽器が製作されてからの年数、価格と楽器から感じる品質に関連は乏しいと・・・。

別のニュースに、今回の研究に参加したヴァイオリニストの名前が載っています。成田達輝さんが入ってる (゚д゚)!

Blind-tested soloists unable to tell Stradivarius violins from modern instruments

The soloists taking part in the study were: Olivier Charlier (France), Pierre Fouchenneret (France), Yi-Jia Susanne Hou (Canada), Ilya Kaler (pictured, Russia), Elmar Oliveira (US), Tatsuki Narita (France), Solenne Païdassi (France), Annick Roussin (France), Giora Schmidt (US), and Stéphane Tran Ngoc (France).

上記のニュースには、ホールでの演奏や、演奏者と聴衆の評価の違いなど、さらに 2本の論文を発表する予定だと書かれていました。続報が楽しみです。

(参考)

YAKINIKU

調整

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第15回ホテルオークラ音楽賞

By , 2014年2月27日 5:13 PM

2014年2月26日、「第15回ホテルオークラ音楽賞授賞式・受賞記念演奏会」に行って来ました。ホテルオークラ賞を受賞された成田達輝氏が招待してくださったためです。

第 15回ホテルオークラ音楽賞

2014年2月26日 (水) 18:00~ ホテルオークラ東京 本館 1階「曙の間」

成田達輝 (ヴァイオリン), テオ・フシュヌレ (ピアノ)

ショパン/サラサーテ:ノクターン第 2番

アルベニス/クライスラー:タンゴ

サン・サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ

三浦文彰 (ヴァイオリン), 小森谷裕子 (ピアノ)

ヴィエニアフスキ:華麗なるポロネーズ

チャイコフスキー:メロディ

チャイコフスキー:ワルツ・スケルツォ

成田達輝・三浦文彰 (ヴァイオリン), 小森谷裕子 (ピアノ)

ショスタコーヴィチ:5つの小品

その日は、仕事で打ちひしがれた気分になっていました。厳しい状態のなか治療を続けていた、ある患者さんの脳が不可逆な障害を受けていることが判明したからです。妹と同じくらいの年齢で、幼子がいて、何度も妹を診ているような気分にされた患者さんでした。

コンサートに行くか、コンサートをキャンセルして自宅に引きこもって布団に包まるか悩みましたが、ネガティブな感情が持続すると良くないので、そういう気分ではなかったけれどコンサート会場に向かいました。コンサート会場に向かう電車の中では、情緒がかなり不安定になっていて、これまでの治療経過を思い出し、涙ぐみそうになりました。

招待された私の席は前から 3列目中央で、近くにヴァイオリニストの藤原浜雄氏、徳永二男氏、チェリストの堤剛氏、指揮者の大友直人氏、それに成田達揮さんのお母様などがいました。

一曲目のショパンの冒頭は沁み入るような演奏で、心が洗われる思いがしました。二曲目のタンゴは、優しく癒してくれるような演奏でした。三曲目の序奏とロンド・カプリチオーソは成田さんの十八番。様々な表情を見せるこの曲に合わせて、自分の感情も揺れ動き、余計なことを考えることなく音楽に没頭できました。ふと左斜め前を見ると、藤原浜雄氏が演奏するように呼吸をしたり首を動かしたりしており、気が付くと私も同じようなことをしていました。演奏が終わった後、近くの席から「音が柔らかいわね~」という声が聞こえてきました。それぞれの曲を知らない方のために、Youtubeから曲の動画をリンクしておきます。

・Ruggiero RICCI @ CHOPIN/SARASATE Nocturne No.2 Op.9/2 – 1989

・Albeniz/Kreisler Tango – Daniel Bell, violin and Akemi Masuko, piano

・Camille Saint Saëns: Introduction and Rondo Capriccioso performed by Tanja Sonc

成田達輝さんの演奏に引き続いて、三浦文彰さんの演奏がありました。

演奏姿勢、ふとした表情の付け方に、ハイフェッツのような格好良さがありました。演奏した曲が丁度ハイフェッツが好んで演奏した曲だったから、余計に印象がかぶったのかもしれません。成田達輝さんとはスタイルが全然違っていて、柔の成田達輝さんに対し、剛の三浦文彰さんという印象を受けました。成田達輝さんとともに、テクニック的にも、音楽的にも完璧な演奏だったと思います。

その後、成田達輝さん、三浦文彰さんのデュオで、ショスタコーヴィチの「5つの小品」が演奏されました。息のぴったりあったデュオで、タイプの違う二人だからこそ、完璧に融け合いながら綺麗なコントラストがついていました。1楽章は楽譜を持っていて、遊びで合わせることはありましたが、ここまでこの曲が美しくなるのかと思いました。あまり知られてはいませんが、素晴らしい曲です。

・Five Pieces Shostakovich

演奏会を聴き終えて、来てよかったと思いました。不安定だった精神も落ち着きを取り戻し、音楽に救われるとはまさにこの事でした。

コンサートが終わってからは、懇親会場に行きました。押し出される形で最前列のテーブルへ・・・ (汗)。正装した、日本の音楽界を代表するような偉い人たちがいる中、ほぼ普段着の私が最前列・・・。ビデオカメラが回っているし、カメラマンが写真をたくさん撮っているし・・・。しかし、その居心地の悪さも、お酒が入るまででした (^^;

成田達輝さんが、「ショスタコーヴィチの最後の部分、テンポを上げたのは私のアイデアなんですよ~」と話しかけてきました。実は、演奏があまりに自然だったので、私はテンポを上げたのが意図的だったとは気付きませんでした。もともと楽譜にそう書いてあるのかと思ったくらいです。

会の途中で、成田達輝さんのお母様から、「いつもブログ見ています」とご挨拶されて、冷や汗をかきました。

それから、一緒にいた某神経病院の神経内科医が、三浦文彰さんと色々話していたのに加わり、いくつか話をしました。その神経内科医は、三浦文彰さんと知り合いだったようです。もう一人一緒にいた某集中治療医 H先生は、ピアニストのテオさんと英語で会話をしていました。テオさんはその日が誕生日だったそうです。

あと、ジャパン・アーツの方がいたので、私のプロモーションをしておきました・・・冗談です。会の終了間際は、ジャパン・アーツの方とずっと音楽談義をしていました。

最後に、御招待くださり、素晴らしい演奏を聴かせてくださった成田達輝さんに感謝したいと思います。音楽って本当に素晴らしいものですね。

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東京シティフィル 第277回定期演奏会

By , 2014年2月21日 5:43 AM

2014年2月14日、成田達揮さんのコンサートを聴きに行きました。

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

第 277回定期演奏会

2014年2月14日金曜日 7:00 pm 東京オペラシティコンサートホール

1. ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト

歌劇「イドメネオ」のためのバレエ音楽 K. 367

2. ニコロ・パガニーニ

ヴァイオリン協奏曲 第 1番 ニ長調 作品 6

3. ロベルト・シューマン

交響曲 第 2番 ハ長調 作品 61

指揮:ロッセン・ミラノフ ヴァイオリン:成田達揮 コンサートマスター:戸澤哲夫

この日は大雪。都内の交通が麻痺していました。

東京地方に大雪警報、ひと冬に2回発表は16年ぶり

2014年2月14日 23時15分

14日午後10時半過ぎに、東京23区に大雪警報が発表された。先週の8日に続き、東京地方に大雪警報が発表されるのは今季で2回目。ひと冬で2回大雪警報が発表されるのは、1998年以来で16年ぶりのことだ。関東は15日の明け方にかけて大雪に警戒が必要で、気象庁は大雪による交通障害に警戒を呼びかけている。(日本気象協会)

横浜は16年ぶりに積雪20センチ以上の大雪

14日午後11時の積雪は、東京都心は13センチ、千葉市は13センチ、熊谷市は32センチ。横浜市は22センチと、1998年以来16年ぶりに積雪が20センチを超えた。記録的な大雪となっている甲府は積雪76センチ。関東甲信は15日の明け方にかけて大雪に警戒が必要だ。

(2014年2月14日 23時15分)

コンサート 30分前に会場に着けるように病院を出たのですが、雪で電車が遅れまくり、着いたのは 1曲目の終わりでした。しかし、成田達輝さんのソロ曲には何とか間に合いました。

パガニーニは、成田さんの十八番。この難曲を余裕を持って演奏していたのはさすがでした。でも、指揮者との相性はあまり良くなかったようで・・。しかし、どうやってでも聴かせる演奏にできるところが、ソリストの力量でしょう。第一楽章のカデンツァは、特に美しかったです。アンコールは、パガニーニのカプリス第 1番、そして浜辺の歌 (成田為三作曲)でした。パガニーニのカプリスは成田さんの得意曲です。浜辺の歌は派手な曲の後にシンミリときました。

演奏会の半分が終わって休憩の時に、成田達輝さんのお父様に挨拶をされて、「いつもブログを見ています」と言われて恐縮しました。

パガニーニのプログラムで指揮者の力量を少し疑ったのですが、後半のシューマンは、素晴らしい出来でした。この指揮者、パガニーニはイケてなかったけど、シューマンの演奏を聴くと実力はあるのでしょうね。

演奏会が終わってから、某病院集中治療部の H先生らと楽屋に遊びに行きました。まず、コンサートマスターの戸澤さんに挨拶。H先生と同じ中学校・高校の 1学年違いで、意気投合していました。その後、シティ・フィル事務局長の新井さんと挨拶しましたが、H先生と新井さんは一緒に食事をしたことがあるようでした。

その後、成田さんの楽屋に入って、準備が終わってから食事会に行きました。タクシーがつかまらず、電車での移動。新宿駅に着いて、何とかタクシーを捕まえました。かなり雪が積もっていて、成田さんが楽器を持って転ばないかヒヤヒヤしました。持っているのが高価な楽器ですし、そして手を怪我したら、演奏活動にも影響しますしね。

食事会は、新宿ワシントンホテルの六角。数人で、すき焼きを楽しみました。成田さんが中学生の頃、パガニーニのカプリスの楽譜を手に入れて、あまりの嬉しさに 1日で全曲通して弾いてみたと聞いた時はビックリしました。天才は違いますね。

パリで一緒に食事したときは、シゲティ著の「ベートーヴェンのヴァイオリン作品―演奏家と聴衆のために」という本を差し上げたのですが、今回は Mx Rostal著の “Beethoven: The Sonatas for Piano and Violin”  という本を差し上げたら、喜んで頂けました。Rostalは、以前私がお貸しした CDに収録されていた演奏家です。

食事中、私が one bow staccatoが苦手だと話をしたら、あまりの雪で他に客が居なくて、さらに個室だったので、サイレンサーをつけて、軽く弾いてみてくださいました。彼がうまく弾けなかった頃、師匠の藤原浜雄先生から、きちんと弓で弦を捕まえるように、”bite!” と指導されたそうです。

その後、Bazziniの「妖精の踊り」のボウイングの話になりました。下記動画で 55秒くらいからのボウイングがうまくいかないと私が話したら、「アップボウでは腕自体を引き上げる感じ」「特に上腕の筋肉に力は入れていない」と実際に弾いてみせてくれました。こちらはアドヴァイスを聞いて自宅で練習したら、ある程度弾けるようになりました。何と贅沢な指導・・・。

そして、成田さんに Bazziniの曲を演奏会でアンコールとして弾いてくださるようにリクエストしたら、検討して頂けるとのことでした。楽しみです。成田さんの華麗なボウイングとの相性が良いと思うのですよね。

・Bazzini – La ronde des lutins (bazzini)

その食事会では、話しませんでしたが、アンコール・ピースとして個人的に期待したいのは下記のような曲達・・・ (^^;

・Gil Shaham – Sarasate, Zapateado

・Scherzo-Tarantelle

・Nathan Milstein plays Kreisler Praeludium and Allegro in the Style of Pugnani

・Scott Joplin – Easy Winners (Itzhak Perlman / Andre Previn)

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ジプシー音楽

By , 2013年12月30日 11:23 AM

昔、ジプシー音楽にはまっていた時期があって、色々な CDを聴きました。現在はそこまでの興味はなくなったので、ブログ記事として転載し、固定ページからは削除します。

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アンドレアス・シュタイアー

By , 2013年12月24日 6:19 AM

2013年12月11日にアンドレアス・シュタイアーと佐藤俊介のコンサートに行って来ました。

アンドレアス・シュタイアー プロジェクト8

12月11日 (水) 19:00 トッパンホール

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト

フォルテピアノとヴァイオリンのためのソナタ ハ長調 K303 (293c)

フォルテピアノ・ソナタ第8番 イ短調 K310 (300d)

フォルテピアノとヴァイオリンのためのソナタ ホ短調 K304 (300c)

「ああ、私は恋人を失った」の主題による6つの変奏曲 ト短調 K360 (374b)

フォルテピアノとヴァイオリンのためのソナタ ニ長調 K306 (300l)

使用楽器:アントン・ワルター (1800年頃・ウィーン) の複製

アンドレアス・シュタイアー:フォルテピアノ、佐藤俊介:ヴァイオリン

佐藤俊介氏は、過去にブログでも紹介したことのある演奏家です。2009年からメアリー・ウティガーのもとでピリオド奏法を勉強しているということで期待して聴きに行きました。

ところが、前半は期待はずれ。演奏者が硬くなっていたためか、音に伸びやかさがなく、ピリオド奏法の良さが発揮されていませんでした。シュタイアーが演奏するフォルテピアノ・ソナタも、綺麗ではありましたが、均一に演奏されるべきパッセージで変なアクセントがついてしまっているところが気になりました。

ところが、後半に入ってから一変。「これぞピリオド奏法」という演奏で、聴いていて脳内に快楽物質がたくさん出てくるのを実感しました。特に、「『ああ、私は恋人を失った』の主題による6つの変奏曲」は初めてじっくりと聴きましたが、素晴らしい曲ですね。K306の装飾の入れ方もとても綺麗でした。後半だけで、行ったことに満足できる演奏会でした。

(参考)

アンドレアス・シュタイアー&佐藤俊介 (朝日新聞による批評)

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ウィーン・フィル

By , 2013年11月14日 7:32 AM

ウィーン・フィルのリハーサルを聴いてきました。知り合いの医師がチケットを取っていたのですが、大阪で講演があるため行けなくなり、頂いたのです。席はホール前方真ん中の 1階 9列 20番と、贅沢な場所でした。

リハーサルは午前 10時開始。私は午前 9時まで西東京市で当直をしていて、ダッシュでコンサートホールに向かい、着いたのは扉が閉まる数十秒前でした。ギリギリセーフ!

ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2103

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

クリスティアン・ティーレマン指揮

無料公開リハサール

サントリーホール 大ホール 2013.11.10 (日) 10:00AM開始

最初の音から感動。久しぶりに聴いたウィーン・フィルの、甘い独特の音です。オーケストラは対向配置で、さらに客席側に経験豊かな奏者を並べていました。

一曲目はベートーヴェンの交響曲第 6番「田園」。1楽章はテンポを 1~2割落として、抑揚を付けずに演奏していました。おそらく、指揮者とオーケストラが互いを探り合っていたのでしょう。楽譜通りで何も表現しない演奏で、正直つまらなかったです。しかし、ウィーン・フィルの団員がそんな演奏に耐えられるはずがありません。徐々に抑揚をつけ始め、パート間がバラバラになるのをお構いなくテンポを前に引っ張始めました。そして、2楽章以降は通常のテンポ。終楽章は終わりの部分のハーモニーの音程が非常に悪くて (弦楽器の音程が高くて、管楽器が低い)、指揮者が何度もやり直していました。ウィーン・フィルでもこういうことがあるんですね。

次はベートーヴェンの交響曲第 5番「運命」。1楽章の冒頭、柔らかい音色に定評があるウィーン・フィルにここまで硬質な音が出せるのかとびっくりしました。続いて、2, 3楽章の出だしと、4楽章のフィナーレを練習。

最後はベートーヴェンの交響曲第 4番。1楽章の提示部と展開部などを練習していました。指揮者の指示は、声が客席まで届かず、よくわかりませんでした。

練習は 11時に終了。各パートがばらつく部分が結構あったのが気になりましたが、ウィーン・フィルならその辺は本番うまくやるのでしょう。日程的、金銭的事情 (プレミアムチケット全6公演 S席 200000円!, 1回券 S席 35000円!) で本番を聴くことができないのは残念でした。

サントリーホールの 2階で、ウィーン楽友協会アルヒーフ所蔵「人間、ベートーヴェン展」をしていたので、見てから帰りました。

 

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成田達輝&萩原麻未デュオ・リサイタル

By , 2013年11月11日 7:53 AM

2013年11月6日に「成田達輝&萩原麻未デュオ・リサイタル」を聴きに行きました。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調 Op.24 「春」

ストラヴィンスキー:協奏的二重奏曲

酒井健治:カスム

グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ短調 Op.45

成田達輝 (ヴァイオリン), 萩原麻未 (ピアノ)

2013年11月6日(水) 浜離宮朝日ホール

成田達輝さんと 7月7日に焼肉を食べた時に、是非聴きに欲しいとチラシを頂いたコンサートです。成田達輝さんとパリ (それも、ポリーニ行きつけのイタリア料理の店) でスプリング・ソナタについて語り合ったり、酒井健治さんにブリュッセルでカスムの話を伺ったりして、準備段階から楽しみにしていました。萩原麻未さんとは、何人かで食事をしたことはありますが、演奏を聴くのは初めてでした。

まず一曲目、ベートーヴェンのスプリング・ソナタは、斬新な解釈をしていて、聴き慣れた曲がすごく新鮮でした。しかし特に一楽章で、やりたいことを少し盛り込みすぎな感がありました。あと、調律が高めに設定されていて、この時期の作品ならもう少し低めの方が好みでした。とはいえ、ヴァイオリンとピアノのバランスが良く、3楽章の細かいパッセージの歯切れ良さ、4楽章展開部の高揚感など素晴らしかったです。

二曲目、ストラヴィンスキーのこの曲は初めて聴きました。綺麗な曲で、特に第5楽章のデュオニソス (酒神バッカス) への賛歌の美しさは、この世のものとは思えませんでした。

三曲目は、一番楽しみにしていた「カスム」です。パンフレットの曲目解説は酒井健治氏御自身がなさっています。

 ヴァイオリンとピアノのための短い作品「カスム」は、成田達輝さんからオーロラを題材とした作品を、と依頼を受けて書かれました。

カスム (英:Chasm) は現在では亀裂を意味しますが、古代ローマではオーロラを意味し、アリストテレスは空の裂け目と表現しました。古代中国や中世のヨーロッパでは、オーロラの発生は不吉な事の前触れだと信じられてきたそうですが、この意味に触発され、美しいビロードのような音楽、というよりも静寂を劈く短いパッセージをモチーフに書かれております。

今回、成田達輝さんと萩原麻未さんという素晴らしいヴィルトゥオーゾのお二人が初演するという事で、楽曲は完全にユニゾンで始まりますが、次第に乖離し、ソリストとしての彼らの魅力が伝わる様にそれぞれ短いカデンツァを配置しました。演奏者達にお互いの音楽性を同調させる事を求めつつ、同時に独自の音楽性を発揮しなければいけないこの作品は、成田達輝さんと萩原麻未さんに献呈されました。

一度聴いただけでは把握しきれませんでしたが、冒頭のユニゾンでのトリルのような速いパッセージから、細かい動きが突然止まってカスムを演出したりしながら、いつの間にか乖離してそれぞれのカデンツァに移行。今まで聴いた現代曲の中で最も素晴らしい作品でした。コンサートが終わってから、会場にいた酒井健治さんに「過去に 2度聴きたいと思った現代曲はないけれど、この曲は何度でも聴きたいです」と伝えたところ、「そうでしょう。現代曲も良いものは良いんです。」と仰っていました。演奏テクニック的には凄まじく難易度が高い曲で、成田達輝さんと萩原麻未さんの組み合わせくらいでなければ、この曲をここまで完璧に演奏することはできなかったでしょう。裏話ですが、ブリュッセルで酒井健治さんと飲んだ時に、「成田達輝さんとパリで会うのだけど、伝えることありますか?」と聞いたら、ニヤリと笑って「難しく書いておいたから、練習頑張ってね」と仰っていたのです。酒井健治さんのドSな芸術に妥協しない一面を見た気がしました(^^;

四曲目のグリーグはカスムに負けず劣らず完璧な演奏でした。ヴァイオリンとピアノのヴィルトゥオージティーがバランスよく融け合って、この曲から迸るような情熱を引き出していました。

グリーグのこのソナタは、私が中学生時代に一度やめていたヴァイオリンを再開しようと思ったきっかけの曲です。ヴァイオリンの緒方恵先生がピアニストの白石光隆氏とこの曲を演奏しているのを演奏会で聴いて、あまりの美しさにもう一度ヴァイオリンをさらおうと思ったのです。私が最も好きな 2楽章冒頭のピアノソロは、洞窟の中を歩くような神秘的な煌きがありながら、慈愛に満ちた優しさも感じさせます。萩原麻未さんは、この部分をとても綺麗に弾いていました (下記動画は別の演奏家によるグリーグのヴァイオリン・ソナタ第3番第2楽章)。

・Duo Birringer – Grieg Sonata c minor op.45/3 – 2nd mov.

アンコールは、グリーグとストラヴィンスキーから、それぞれ一曲ずつでした。

会場では、2枚の CDを買いました。一枚目は「成田達輝 デビュー!」です。成田さんが十八番にしているフランスの作曲家やパガニーニのカプリスが収録されています。もう一枚は「HAGIWARA PAREDES -EL SISTEMA YOUTH ORCHESTRA OF CARACAS- (KJ26201)」で、東日本復興支援チャリティCDです。エル・システマ・ユース・オーケストラ・オブ・カラカスとの演奏で、グリーグのピアノ協奏曲イ短調作品16と、ショスタコーヴィチの交響曲第5番ニ短調作品47が収録されています。帯に「演奏者は録音の印税収入を放棄し、収益を被災地の復興支援のために寄付します」と書かれていました。ライナーノーツの冒頭に演奏者たちのメッセージがあります。

東日本大震災で命を落とされた方を悼み、傷ついた方、近しい人を亡くした方、大切な地を壊された方の痛みと哀しみを想像しております。「エル・システマ」のモットーは「トカール・イ・リチャール」、つまり、平和のために楽器を奏で、物事に立ち向かうことです。このたび音楽によって、世界中が敬意を表すべき地・福島の復興に寄与できることは光栄です。

ホセ・アントニオ・アブレウ

今年8月6日「原爆の日」に、故郷の広島で演奏しました。原子爆弾が投下され、向こう数十年は草さえ茂らないだろうと言われていた広島が、時を経た今、緑あふれる美しい街に変貌したことに思いを馳せました。このたび、ベネズエラの仲間たちと行った演奏を通じて、福島の復興に微力ながら携われることになり、広島の長い復興の歩みをふたたび思い起こしています。福島が以前の姿をとり戻すことができるよう、祈り続けていきたいと思います。

萩原麻未

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