ついにハッシーこと橋本崇載七段がやってくれました。
見事に順位戦で昇級を決めたので、対局直後にお祝いメールを送ったら、朝 3時くらいに電話をくれました。ハッシーはすでに酔っていて、すごく上機嫌でした。私も将棋 Barの常連と飲んでいたので、酔っ払い同士電話口で盛り上がりました。
第70期名人戦順位戦B級1組の12回戦が3日、東京・大阪の将棋会館で行われ、深浦康市九段(39)と橋本崇載七段(28)が8勝3敗と星を伸ばし、木村一基八段(38)と山崎隆之七段(30)が5敗目を喫したため、最終局を待たずにA級昇級が決まった。深浦は4期ぶり4期目、橋本は初のA級。
昇級を決めた棋譜
これで、将棋界最高峰の順位戦 A級入り & 八段昇進です。A級で最高の成績をとった棋士が、名人位に挑戦することができます。
近いうちにハッシーと祝勝会をせねば!
「天下一将棋会」というゲームがあります。
天下一将棋会2
ゲームセンターで将棋のオンライン対戦が出来るゲームです。玉を囲ったり、好手を指すと派手なエフェクトが飛び出すのが魅力です。このゲームで、客がプロと対戦するイベントがありました。
第5回の「天下一将棋会 プロの一手 LIVE」は、プロとして橋本崇載七段が参戦。客はゲームでの段位をみると相当強いと思います (県代表クラス?)。結果は角 or 飛車落ちで橋本七段の三連勝。プロの強さをまざまざと見ました。トークも面白いので、将棋好きの方はどうぞ。
・「天下一将棋会 プロの一手 LIVE」 第5回放送 橋本崇載七段
8月 12日
13時 15分に上野駅に集合した橋本七段 (ハッシー) 一行 9名 (全員♂) は 13時 34分発の新幹線に乗車。ビールで乾杯するやいなや、日本酒、ワインが次々と空いていきました (^^; あっという間に仙台到着。
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7月31日に、将棋の社会人団体リーグ戦に行ってきました。この大会は、6月から一ヶ月に一回、数ヶ月かけて行われます。私は将棋 Barチーム (HSY28) からの出場でした。6月は 2局指して 1勝1敗、今回 7月は 1局だけでしたが何とか逆転勝ちし、通算成績で勝ち越すことに成功しました (現在 2勝1敗)。
棋譜 (後手)
帰宅してから記憶を辿って棋譜を並べ直してみて、自分らしい将棋だったなと思いました。序中盤で悪手を指して、苦しくなりながらも相手のミスに助けられて、終盤逆転・・・いつものパターンです。しかし、4段以上の強豪がゴロゴロいて、中には元アマチュア名人とか、元奨励会員がいる 3部リーグで指すには、こんな将棋指しているようではダメなんですね。
6月26日に社団戦に行ってきました。
将棋 Barチームで出場し、チームの結果は1勝3敗、私は 2局指して、1勝1敗でした。
1局目は陽動振り飛車にかき回され、中盤圧倒的不利な状況になり、何とか相手の攻めを切らせかけるところまでいきましたが、終盤力尽きて負け。でも、チームの中では投了が最後になるまで粘りました。(対戦相手のチーム「原宿カサブランカ」の方がブログを書いています )
2局目は、四間飛車に地下鉄飛車で対応。ちょい指しやすいくらいのところから、攻めを失敗し完切れ。粘りに粘って、150手くらいまでいきましたが、相手の玉は完全上部開拓し、入玉確定。指す手がないので、こちらほぼ裸玉にも関わらず飛車交換を挑みました。相手9八に歩、9七にと金、9五に玉、8一に桂がいるところで、こちらが9一飛車と打って、9三歩と”二歩”を誘発し、反則勝ち。粘るといいことあるものです。
3部リーグといえども、元奨励会員がギリギリの勝負をしていたり、非常にレベルが高かったです。将棋 Barで酒を飲みながらまったり指すのが好きな私としては、もっと弱いチームとのんびり楽しみたいですね。
4月30日、将棋Barの営業最終日に遊びに行って来ました。
思い起こせば、初めて将棋 Barに行ったのは、2009年 12月 23日でした。私の人生でそれまで有段者と指したのは、小学生の時に近所のおじさんと 6枚落ちで 2回、大学生の時に免許合宿で元奨励会員と 1回。それがいきなりプロとの対局で緊張したのを覚えています。
足繁く Barに通い、常連達と仲良くなり、4月 28日には Barの営業後に橋本七段達と焼肉を食べに行ったりもしました。
さて、最終日、とある理由で最後に Barから将棋の駒を頂きました。彫り駒ですが、表が一文字なのに裏は二文字 (成香など) となっている珍しいものです。Twitterで私の呟きをみて Barの閉店を知ったと門倉四段が駆けつけてくださり、その駒で記念すべき初対局をしました。
対局は、私が先手で、相懸かりから棒銀で繰り出した銀を中央に引く構想。プロの実戦にある進行から膠着状態になり、マイナスの手しか見えない局面で私が暴発してあっさり負け。でも、途中まで格調高い将棋が指せて満足でした。
将棋 Barは移転して再開の方針です。今回の移転は、震災で多くのボトルが割れてしまったりして、今の店舗ではもし大きな地震が次に来た時に客や従業員の安全が保証できないからみたいです。橋本七段は B1に昇級したり竜王戦決勝トーナメントに出場することになったり忙しいようなので、次の開店は少し先になるかもしれませんが、楽しみに待ちたいと思います。
(追記)
・最終日は Barが満員になり、盤駒が足りなくなったので、AKB将棋が登場。門倉四段と常連さんの対局を爆笑しながら見ました。互いに対局中の呟きが「前田は守らないと♪」とか「あぁ、篠田が取られた~!」とかwww
・常連さんが素晴らしい駒を持ってきてくださいました。100万円する逸品らしいです。聞くところによると、羽生善治四冠-佐藤康光棋聖の第55期王将戦第1局で、二人の丁度 100戦目にあたる記念すべき対局で使われた駒なのだそうです。それでヘボ将棋を指させて頂き、良い記念になりました。
第55期王将戦棋譜
4月27日に被験者として和光市の理化学研究所に行ってきました。将棋思考プロセス研究のうちの一つです。
実験を担当してくださった方は、中谷裕教氏で、以前紹介した本「将棋と脳科学」にも登場した方でした。研究者として、将棋ファンとして話が凄く話が合い、実験が終わってから話し込みました。そして最後に実験に協力している数十名のプロの色紙を見せて頂きました。プロになりたての棋士の初々しい揮毫、タイトル経験者の素晴らしい揮毫 (特に森内九段は素晴らしかった) などを鑑賞しました。木村一基八段が A級から B級1組に落ちた直後に書いた色紙には、「百折不撓」と書いてあり、どんなに辛い局面でも堪え忍んで頑張る彼の心境が表されていました。詰め将棋を色紙に書いていた棋士もいて、中谷氏と一緒に解きました。
私は将棋 Barで何度か橋本七段にこの研究の話をして、Scienceの論文を語ったりしていたのですが、その後橋本七段がこの実験を受けに来てくださっていたと聞いて感動しました。
中谷氏は、「Scienceに載った研究はスタートラインなのに、読んだ人みんな集大成みたいなこと言うんですよ」と笑っていましたが、この研究が発展していくことを願ってやみません。
3月4日、将棋Barで B級 2組最終局の中継を見ていましたが、橋本七段が、ついに B級2組から B級1組に昇級しました。
プロ棋士の順位戦は、上から A級, B級1組, B級2組, C級1組, C級2組, フリークラスとあります。4段でプロになった棋士は全員 (フリークラスから参戦の例外を除く) C級2組から参加し、規定に従って昇級、降級します。A級及び B級1組は、人数が少ないので総当たり戦です。
A級棋士は 10名おり、その中で最も成績の良かった棋士が名人に挑戦できます。成績の下位 2名は B級 1組に降級します。B級 1組の上位 2名は A級に昇級し、下位2名は B級2組に降級します。
B級1組の定員は 13名ですが、強豪揃いで、さらに成績下位 2名は自動的に降級なので、熾烈な戦いが繰り広げられます。「鬼のすみか」とも言われるゆえんです。
B級 2組以下はややこしくて、上位 2名が昇級するのですが、降級は「降級点」を 2回取った棋士となります。そのため、B級 2組は B級 1組より人数が多く、総当たりではないのですね。フリークラスは連盟から固定給が出ず、10年間 C級2組に戻れなければ、プロ棋士を辞めなければいけません。年老いて棋力が落ちてきた棋士の多くは、フリークラスまで落ちてそこでの規定により引退となるか、フリークラスに落ちた段階に引退します (この辺りのシステムは、上記リンクがわかりやすいです)。
さて、橋本七段は来期、強豪揃いの B級 1組の棋士となりました。Shogi Barで御世話になっていますし、常連さんと数人で飲みに行ったり身近な棋士ですので、応援を続けたいと思います。
昨日は店員や常連さんたちとリアルタイムで局面を検討しながらマッカランを飲み、本当に楽しいひとときでした。
将棋関係者の Twitterアカウントリストを記したサイトを見つけました。お気に入りの棋士のいる方は、ここからフォロー開始ですね♪
日本将棋連盟ツイッター支部
「コンピュータ VS プロ棋士 名人に勝つ日はいつか (岡嶋裕史著、PHP新書)」を読み終えました。
本書は渡辺竜王と将棋ソフト「ボナンザ」の対局風景から始まります。コンピューターが強さを発揮する筈の終盤で竜王に読み負け、89手目に勝ち手順 (正着は▲2七香、以後△2六金▲同香△2七歩▲3八金打△2八歩成▲同馬の展開が予想される) を逃して負けたシーンです。一応、棋譜へのリンクを貼っておきます。
棋譜「渡辺明竜王対 Bonanza」
この勝負は、コンピュータが苦手とする序中盤で竜王と互角に渡うという成果を見せた一方で、得意とする終盤でコンピュータが読み負けたという、予想を裏切る対局でした。ちなみに、将棋世界 2011年 3月号 165ページによると、最終盤に竜王が指した△3九龍 (96手目) の妙手を、あれから 4年進化したコンピュータソフトでもまだ見つけることが出来ないそうです。まだ人間もそう簡単にはソフトに土俵を割る状況にないようです。
第2章は「ディープブルーが勝利した日」です。様々なボードゲームをコンピューターで解析する試みが行われていますが、「人間のチャンピオンに勝つ」のと「ゲームを完全に解明する」のは違います。「ゲームを完全に解明する」というのは、全ての指し手の分岐を明らかにすることで、必勝法を知ることです。ちなみに、6×6マスのオセロでは後手勝ち (それより大きな盤では未解明)、チェッカーでは引き分けになることが解明されているそうです。
1997年 5月にチェスのチャンピオンであるカスパロフにコンピューター「ディープブルー」が 2勝 1敗 3引き分けで勝利しましたが、チェスにおいてもまだ「完全解明」は行われていません。このカスパロフとディープブルーの対戦にも後日談があり、IBMが対決直後にディープブルーを解体して再戦できなくしてしまったり、対局には人間が干渉する余地もあったことにカスパロフ自身が、疑問を呈していたそうです。それでも、カスパロフが負けたから人間がコンピューターにチェスで勝てなくなった事実はなく、あれから10年以上経っても人間とコンピューター両者の実力は拮抗しているようです。
その後、チェスでは、アドバンスド・チェスという、人間がコンピューターを使って対戦する楽しみ方が生まれました。コンピューターと人間がお互いに補う戦い方で、面白いことに、「アマチュア+パソコン」のペアが「グランドマスター+パソコン」を破ることもあるのだそうです。ソフトにも人間が補うべき弱点があり、それに精通することが非常に大事なのですね。
第 3章は「将棋ソフトが進歩してきた道」です。弱くて変な手ばかり指す時代から、どうやって進化してきたかが述べられています。初期のソフトでは強くするためのノウハウがわからず、色々試行錯誤が行われていました。爆笑したのが、「格言通りに指させる」というプログラムです。「玉飛接近するべからず」を守って、飛車を 1八に、玉を 9一に囲おうとして、飛車を 1筋に置いたまま玉が 8六に出たところを無惨に詰まされたソフトがあったそうです。その局面の図が本書に載っており、見た瞬間爆笑してしまいました。続く第 4章、第 5章では、強くするための技術的方法が述べられています。
第 6章では、清水市代女流王将と「あから 2010」の対局が扱われていました。実際の棋譜を振り返りながら、局面の解説をしています。さらに、その局面でのコンピューターの評価、どのような経緯を経てその指し手を選択したかについても詳しい解説をしています。棋譜からはわからないことを知ることが出来て非常に興味深かったです。
第 7章は「名人に勝つ日」です。コンピュータ将棋の課題、今後期待される方法などが述べられています。
本書はコンピュータ将棋の歴史や現状を俯瞰するのに適した本で、将棋好きの方には是非お勧めです。