プロの音楽家になるには、毎日数時間の練習が不可欠です。その上で、一流として食べていけるのは一握り。
医師でありながら音楽家として活躍している日本人を2人知っています。面識はありませんが。
米沢傑氏は、郡山の病院のボスに自宅に招待された際、CDを聴かせて頂きました。氏は鹿児島大学の病理学の教授でありながら、一流の声楽家として活躍されています。
上杉春雄氏は、神経内科医でピアニストです。先日教授に教えて頂きました。今日、CDを買って聴いたのですが、滅茶苦茶上手でした。私がこれまで聴いたプロの演奏家の中でも、最上位に入るレベルです。是非一度お会いしたいものです。
医師が音楽家であることは、時間的な制約などから非常に難しいことと思います。声楽に関しては、ある程度の年齢になってから始めること、喉を痛めるので練習量が他の楽器より少ないため、才能の要素が強くなります。そのため、才能さえあれば可能なように思えます。一方、ピアノについては、上杉氏がそうであるように、小さい頃どこまで極められるかにかかっています。ヴァイオリンにしろ、ピアノにしろ、基礎となる部分は小さいうちに築く必要があるからです。もちろん、トッププロの話であって、アマチュアは別です。
この2人にビルロート作曲の歌曲を演奏して頂けたら、どんなに幸せかと思います。
12月7日、頂いたチケットで、サントリーホールに聴きに行ってきました。サントリーホールに着いて、少し時間があったので、まず一杯。クリスマスツリーが飾られていましたが、クリスマスを忘れ去りたい私に対して、何かの嫌がらせでしょうか?
曲目は、ハイドンのオラトリオ「四季」。広上淳一指揮、日本フィルハーモニー交響楽団、ソプラノ野田ヒロ子、テノール福井敬、バス高橋啓三。東京音楽大学合唱団。
ハイドンはヘンデルの影響を受け、オラトリオ(管弦楽+合唱)を4曲作曲しました。うち、「天地創造」と「四季」が有名です。当日のプログラムの曲紹介からの引用です。
「ロンドンからウィーンに戻ったハイドンは、名高い音楽愛好家であり、ヘンデルの熱心な紹介者だったスヴィーテン男爵の協力を得る。男爵は、ハイドンのオラトリオ誕生に向けて、自ら筆をとって歌詞を書き、上演実現のために陰になり日向になって働いた。」
演奏が始まり、まずコンサートマスター、木野雅之さんの姿を発見して感動。日本人バイオリニストの中では、私が尊敬する方の一人です。私が大好きなミルシタインの弟子であるそうです。
やがて合唱が始まりましたが、非常にまとまりがあって綺麗でした。侵しがたい美しさがありました。歌詞の対訳も配布されていたため、内容を理解しながら聴くことが出来ました。
「春」第4曲の管弦楽は、交響曲「驚愕」の旋律。しかし、このオラトリオの中に用いられていたにも関わらず、違和感はありませんでした。
その時、バーンスタインの「音楽は何も意味しない」という言葉を思い出しました。本当に音楽がただ一つの意味を持つとすれば、多くのシチュエーションに当てはまることはないはずです。音楽は、音符の集まりに過ぎず、意味を持たない「曖昧」なものであるが故に、逆に強い表現力を持ちます。「曖昧さ」のない法律の文面に表現力がないこと、詩のように「曖昧な」文章は表現豊かであることを考えると理解しやすいと思います。といっても、限度がありますが・・・。
一曲を通じて、神への感謝を歌い上げていますが、自然の描写や、その素晴らしさを表現している点で、ベートーヴェンの交響曲「田園」と似た雰囲気を感じました。作曲手法としては、かなりフーガが多用されています。
ハイドンの時代のドイツ語の歌詞ですが、医学用語もいくつか登場していました。夏、第15曲、アリアから一例を挙げます。
感覚(Sinne)にはこよない蘇生
心(Herz)にはこよない回復
すべての欠陥をくまなく貫通し、
神経(Nerve)のすみずみにまで
爽やかな気持ちが行きわたる
こよない蘇生(Labung)・・・
魂(Seele)は目覚めて
歓喜を満喫する
新たな力が湧き、
穏やかな衝動で若者は
胸をときめかす・・・
最後の盛り上げ方は、指揮者が上手だと感じた瞬間です。演奏が終わった後、いつまでも拍手が鳴りやみませんでした。東京音大の学生による合唱だったためか、オケの団員達も観客と一緒に舞台の上から祝福の拍手をしていました。
19時開演で、演奏終了は21時40分。大作でした。席は半分くらい空席で、もったいないことだと思いました。
「抗体科学入門(岡村和夫著、工学社)」を読み終えました。著者は生化学が専門のようですが、抗体に対して、物理学や化学からのアプローチがされていて新鮮でした。物理学や化学の基礎が出来ていない私にとってはかなり辛い内容でしたが・・・。
前半は「The cell」で説明されている内容と似通っていたのですが、より物理学的ないし化学的なアプローチがされており、分子間力や抗体の親和性に多くのページが割かれていました。数式にはついていけませんでしたが、何となく雰囲気はわかりました。
後半は最新の知見が紹介されていて楽しめました。例えば、抗腫瘍抗体で臓器内の腫瘍化した部位を特定するといった応用についても紹介されていました。臨床家が読んでも面白い内容と思います。
著者のWeb pageがあり、一部内容が掲載されています。
久しぶりに、ヴァイオリンのレッスンに行ってきました。
見て頂いた曲は、「DUO in B, KV 424 (W.A.Mozart)」です。12日に教授と合奏する曲ですが、今日はヴァイオリンの先生が初見でビオラパートを弾いてくださいました。久しぶりの合奏を楽しみました。
レッスン中、和声からみたフレージングなど、参考になる話をたくさん伺いました。ただ感じたままに弾けば良いというのは子供や初心者には許されるでしょうが、勉強を進めるに従って、演奏には根拠が必要になります。もちろんアプローチの仕方はいくつかありますが、和声というのは非常に有用な方法と思います。和声を基礎から学びたいという気持ちがかなりありますが、なかなか教えて頂ける方がおらず、探しています。
ヴァイオリンの先生の友人が、コンセルトヘボウ響で第2ヴァイオリンを弾かれているそうなのですが、私の先生に「最近日本では誰が有名なの?」と聞かれたそうです。私の先生がいくつか名前を挙げたところ、「こっちでは全然聞かない」と言われたそうです。最近、コンクールが重要視されなくなってきており、コンクール向けの傷のない演奏が得意なだけではヨーロッパでは売れないそうです。そういった意味では、日本はヴァイオリンの分野では不作なのかもしれません。
ヨーロッパで最近評価が高いのは、ツィンマーマンやレオニダス・カヴァコスだそうです。2人とも私は学生時代に聴き、非常に感動して、周囲に吹聴してまわった記憶があります。
昨日、仕事を終えて帰宅中、偶然教授と一緒になったのです。話がはずんだので、少しでも教授といられるように、遠回りして帰りました。教授は、新しい片頭痛の薬(抗てんかん薬の一種)の治験の会議に出席される途中でした。
舞い上がってしまっていて、何を話していたかはあまり憶えていません。後から、「あの話もすれば良かった」とか、いろいろ後悔しました。
途中、医師兼音楽家である人物の話になり、ヨーロッパにはオルガニストで医師である人物が何人もいるだとか、日本人にもプロのピアニストである医師がいるとか、そういったことを話しました。人名は詳しくは忘れてしまいましたが。
それから、以前9月9日の日記で紹介した「不思議の国のアリス症候群」の話題になりました。「不思議の国のアリス症候群」は、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」という小説から名付けられました。キャロル自身が「不思議の国のアリス症候群」だったと言われていて、その体験を元に「不思議の国のアリス」という小説を書いたと考えられています。
教授は、「キャロルが『不思議の国のアリス』という小説を書いたのは、彼が『不思議の国のアリス症候群』に罹る前だったという説があるよ。」とおっしゃっていましたが、私が「でも、自分が罹患していないと、あそこまで細かな描写は出来ないでしょう?」と言うと、「そうかもしれないね」とおっしゃっていました。
その他、ブラームスやビルロートの話をしました。
電車の音がうるさくて、時々聞き取れない部分もあったのが残念です。でも、12月12日の忘年会は、教授とモーツァルトのデュオを合わせます。今からとても楽しみにしています。
シンボリの冠名を有する競走馬は、シンボリルドルフ、シンボリクリスエスなどの名馬を含め、多数存在します。
過去には、シンボリジャイアン、リーチシンボリ、シンボリフェラーリなど面白い名前の馬がいました。
あるテーマを元に名付ける傾向があり、現4歳馬世代では、シンボリヤンキース、シンボリレッズ、シンボリロイヤルズ、シンボリマリナーズ、シンボリマーリンズ、シンボリタイガース、シンボリドジャース、シンボリエクスポズ、シンボリエンゼルス・・・。メジャーリーグの球団名が用いられています。
現12歳馬はシンボリプラトン、シンボリサルトル、シンボリガリレイ、シンボリデカルトといった哲学者シリーズでした。
友人からの情報によると、今年は音楽家シリーズ。現2歳馬世代ではシンボリブラームス、シンボリハイドン、シンボリヘンデル、シンボリショパンといった高名な作曲家が名を連ねます。
音楽に関する馬名の馬には、シンボリ冠名に関係ないところでは、チゴイネルワイゼン、カノン、ピアニスト、マイクラリネットなどがいましたが、成績は今ひとつ。
シンボリショパン、シンボリブラームスは成績を残せていませんが、シンボリハイドンは11月12日に未勝利戦(福島ダート1150m)をレコード勝ちしました。強い馬ではないでしょうが、当面楽しめそうです。