ユーディ・メニューイン

By , 2007年3月22日 11:45 PM

「ユーディ・メニューイン『コンサート・マジック』を語る」という番組をクラシカで放映していました。

メニューインは若くして完成された演奏で一世を風靡しましたが、20歳代からスランプに陥り、苦しみに満ちた演奏家人生を送りました。このような音楽家としての苦悩は、彼を哲学者として育てました。彼はいくつもの著書を残しています。

「コンサート・マジック」は、若き日のメニューインの演奏を記した映画で、今回の番組は、メニューイン自身がその演奏を振り返るという企画でした。いくつものメニューイン語録が登場します。

まずはマタイ受難曲のアリア「神よ 憐れみたまえ」について。

これほど心を動かされた音楽はありませんでした。個人の苦痛が表現されているからでも、それを劇的に描いているからでもありません。この曲は全人類の苦痛を描いているのです。キリストの十字架に象徴される人類の苦痛と罪です。安堵感を与えてくれる音楽でもあります。

続いて、バッハについても語っています。

  バッハから遠くなるほど彼の曲に価値が出てくる。現代社会はあまりにも傲慢で不遜です。伝統を軽んじ物事を深く考えない。暴力的で騒々しく残酷です。五感を苛み自然を破壊し、人間を攻撃します。じきにバッハの音楽が真価を発揮します。人々に癒しを与える解毒剤として。

彼の一言一言を聞いて、深い言葉だなと思いました。

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