第592回東京定期演奏会

By , 2007年7月13日 6:55 AM

日本フィルハーモニー交響楽団
第592回東京定期演奏会

7月12日(木) 19時開演 東京オペラシティ
1.交響曲第104番≪ロンドン≫(ハイドン)
2.交響曲第38番(モーツァルト)
3.協奏交響曲(チェロ協奏曲第2番)(プロコフィエフ)
指揮:広上淳一
チェロ:趙静
日本フィルハーモニー交響楽団

今回の演奏会のテーマはロンドン。どの作曲家もロンドンに縁があります。

モーツァルト、ハイドンとも、不満のない演奏で、純粋に楽しめました。弦楽器の音は、日本のオーケストラの中では、日フィルが一番好きです。音に香りを感じます。

プロコフィエフは初めて聴く曲。途中、彼作曲のヴァイオリン協奏曲に似ている部分もあり、楽しめましたが、私の好みとは異なり何度も聴きたい程の魅力は感じませんでした。

趙静さんは、しっかり弾き込んで音を出す方で、以前聴いたハンナ・チャンと対照的に感じました。時々音程が甘くなりますが、これほどの難曲なので、多少の傷は仕方ないかもしれません。解釈に音楽的な違和感を感じる点はなく、特に技巧的な箇所でのボウイングにはびっくりしました。中国は、ヨーヨー・マを初めとして、良いチェリストを色々育てているなと感じました。

ただ、今日の聴衆は音に鈍感な客が多かったためか、ガサガサと音を立てる人が多く、指揮者が楽章の間に腕を組んでじっとしているシーンもありました。コンサートのパンフレットの束を演奏中に落とした人もいたし・・・。最低限のマナーは守りたいものです。

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第141回東京芸術劇場名曲シリーズ

By , 2007年7月13日 6:12 AM

瑠璃さんからいくつかのコンサートチケットを頂きました。いつもありがとうございます。

当直のやりくりが何とかなったので、7月11日のコンサートを、先輩の I先生と芸術劇場に聴きに行きました。

 読売日本交響楽団
第141回東京芸術劇場名曲シリーズ

7月11日(水) 19時開演 東京芸術劇場
1.歌曲<オベロン>序曲(ウェーバー)
2.ヴァイオリン協奏曲第1番(ブルッフ)
3.組曲<展覧会の絵>(ムソルグスキー(ラヴェル編曲))
指揮:Paolo Carignani
Vn:川久保賜紀
読売日本交響楽団

当初のソリストは、ジャニーヌ・ヤンセンの予定。ところが、急病のためとのことで、急遽ソリストが変更となりました。ヤンセンの演奏は聴いたことがなかったので、残念でした。

ウェーバーの歌曲「オボロン」を聞くのは初めてです。出だしに派手さはありませんが、徐々に盛り上がり、胸のすくようなクライマックスを迎えます。オペラの序曲は、客に曲を覚えさせること (口ずさめるような曲であったりします) と、ワクワクさせることが非常に重要です。ウェーバーは、モーツァルトの妻と従兄弟に当たるそうで、彼のクラリネット協奏曲には聴きなじみがあります。

ブルッフヴァイオリン協奏曲第1番を生で聴くのは久しぶりでした。昔、チャイコフスキーコンクールで入賞する前の川久保さんの演奏を聴いたことがあり、どう変わったのか楽しみでした。

川久保さん登場の時、背中がほぼ裸のセクシーな衣装で、ドキッとしました・・・・。

曲の出だしは、ポルタメントをかけながらで、面白い趣向だと思いました。彼女の魅力は、ミスのないことかもしれません。やりたいことも良く伝わってきました。ただ、演奏が少し平面的な印象も受けました。音の大小の幅が狭かったように思います。また、演奏に必然性を作り出す点で、巨匠と言われる演奏家と比べて少し不満を感じました。昔、師のザハール・ブロンの演奏を聴いたとき (川久保さんと共演だったのですが)、ブロン先生は、この点が天才的に上手だったと思います。もう一点気になったはヴィブラートです。低弦でのヴィブラートが、いずれも高音でのヴィブラート並に細かくかけられており、毎回気になりました。もう少し、ゆったりかけていると聴きやすかったと思いました。

とはいえ、今回は、急遽出演が決まり、ほとんど準備期間がなかったにしては、安心して聴くことが出来ました。高音の瑞々しい響きは彼女の魅力だと思います。

展覧会の絵を全曲聴くのは初めてでした。解説を読んでいたため、「あ、この曲がこの絵に相当するのか・・・」と楽しめました。ラヴェルの編曲も天才的です。

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禁煙について

By , 2007年7月10日 10:18 PM

脳梗塞慢性期の患者の外来管理では、抗血小板薬 (血液をサラサラにする薬) の他に、リスクファクター (高血圧、脂質異常症、糖尿病、タバコなど) のコントロールを行わなければいけません。

禁煙は実際に困難なことが多いのが現状です。ところが、禁煙治療が保険診療で行えるようになっています。

そこで、自分が神経内科外来をしている病院で、呼吸器外来医に相談してみたのですが、保険適応外と言われてしまいました。

昔一緒に働いていた呼吸器の N先生に同じ質問をしたところ、大変勉強になる話を教えて頂いたので紹介します。

禁煙外来ですが、保険適応はどの医療機関でも可能なわけではなく、
①施設基準と②患者基準の双方のすべてを満たす必要があります。

一般に禁煙外来を従来から持っていたところには施設基準を満たしていないことがあるようです。

まず、施設基準については

1. 禁煙治療を行っている旨を医療機関内に掲示していること
2. 禁煙治療の経験を有する医師が1名以上勤務していること
3. 禁煙治療に係る専任の看護職員を1名以上配置していることと 呼気一酸化炭素濃度測定器を備えていること
4. 医療機関の構内が禁煙であること

が満たされている必要があります。
この場合、大学病院などでは病院内だけではなく、庭・大学 (教育施設)・附属研究施設のすべて (病院と同一の敷地にあるものすべて) で禁煙が徹底されている必要があります。
(つまり、たとえ屋外であっても喫煙所がある場合や灰皿が設置されている場合は施設基準を満たさないことになります。)

上記のような点から総合病院などの施設では禁煙外来を掲げているものの、自由診療を継続しているところも多いようです。

患者基準に関しては

1. ニコチン依存症と診断されていること (タバコ依存スクリーニングテストで5点以上)
2. ブリンクマン指数 (=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上
3. 標準治療プログラム (12週間で5回の受診が必要)に文書による同意を得ている
4. 外来患者 (入院中は不可)
5. 前回の禁煙指導から1年以上空いていること

が必要とされています。

これについては患者の自己申告によるものが大きいので基準は満たせると思います。

タバコ依存スクリーニングテストは以下のようなものです。

1. 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか。
2. 禁煙や本数を減らそうと試みてできなかったことがありましたか。
3. 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか。
4. 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、次のどれかがありましたか。(イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加)
5. 上の症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか。
6. 重い病気にかかって、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか。
7. タバコのために健康問題が起きていることがわかっていても吸うことがありましたか。
8. タバコのために精神的問題が起きているとわかっていても吸うことがありましたか。
9. 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか。
10. タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか。

上記の質問で 「はい」を1点 「いいえ」を0点として計算
判定方法:10点満点のうち5点以上の場合、ICD-10診断によるタバコ依存症である可能性が高い(約 80%)
感度:ICD-10タバコ依存症の 95%が 5点以上を示す。 特異度:ICD-10タバコ依存症でない喫煙者の81%が4点以下を示す。 得点が高い者ほど禁煙成功の確率が低い傾向にある。

その他の医療機関についてはノバルティスが協賛している
http://www.e-kinen.jp/index.html
で調べてみてください。(施設基準が通っているかについても記載があります。)

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虐待

By , 2007年7月9日 11:38 PM

小児科医からの相談。

頭部MRIを見ると、多発する脳挫傷、脳出血。小児には麻痺がみられました。

放射線科の教授が、「親は高いところから落ちたというけれど、1歳の子供が、これだけの外傷になるような高さまで登れる筈がないし、まぁ虐待だね」と。

放射線科では良くみかける光景だと。

教授は続けて「絶対に親は認めないけどね」

いつも非常に優しい女医さんが、「私も、自分が子育てしてみて、初めて虐待する親の気持ちがわかった・・・。周りの人のおかげでしなかったけれど・・・。」と、しみじみ。

難しい問題です。

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病院を受診するときに

By , 2007年7月8日 12:53 PM

外来をしていて、困ることがあります。他院かかりつけの患者が、情報無く来院したときです。半分近くの患者が、内服薬を答えられず、治療に難渋します。併用禁忌の薬を処方すると医師の責任が問われるので、実質、薬を処方できません。更に、ジェネリック医薬品ブームで、同じ薬でも病院毎に商品名が違う場合があります。このようなケースでは、患者が気付かず、2倍量の薬を飲んでしまう可能性もあります。自分の病名を答えられない患者も何割かいる印象です。

そのため、一般人向けに、受診する上での最低限の常識、裏話を記載してみたいと思います。

1. どの病院を受診するのか?-大病院のメリット・デメリット-
専門的治療が必要な場合は、大病院が望ましいと思います。専門的な医師が充実し、検査を含め専門的な医療が行えるメリットがあります。また、急を要する病態に成り得る疾患の場合、入院ベッドがある病院の方が良いでしょう。とはいえ、政府の医療費抑制政策のおかげでベッドが足りず、かかりつけでも大病院に入院できないケースは、いくらでもあるので注意が必要です(注意しようもないのですけど)。

よく知られたことですが、大病院では、待ち時間が長くなります (需要と供給のバランスの不均衡が原因ではないかと思います)。新患で受診する場合は特にです。新患は予約の合間に診察する場合が多いのですが、病院に余力があれば、新患担当医を設けている場合もあります。予約診療の場合、だいたい一人当たり 5-10分で枠がとられています。そのため、全員が余り込み入った話はしにくいのですが、病態の悪化や、癌や難病の告知で時間を要する患者がいた場合、病態の落ち着いた患者の診察時間を短めにして時間を作ります。

色々相談したいといった場合、開業医の方が地域にも密着していますし、良いでしょう。大病院では、せっかく医師と信頼関係を築けたとしても、医師の異動が激しい現実があります。

待ち時間を考えた場合、風邪で大病院を受診するメリットはありません。風邪薬は多くの場合気休めですし、どうせ同じ薬を貰うなら、待ち時間の少ない診療所の方が良いでしょう。実は、病院で貰う薬と全く同じ薬のいくつかは薬局で普通に買うことができ、胃薬のガスターなどが有名です。その場合は保険はききませんが。

大学病院などではモルモットにされるという神話が昔あったようですが、都市伝説に近いものだと思います。ただ、医療は万能ではないので、ある程度の try and errorというプロセスは、不可欠の方法論です。大学病院で治療手段のない患者に対して、エビデンスの確立していない治療を行う場合が多々ありますが、十分なインフォームド・コンセントがなされるのが普通です (このインフォームド・コンセントって無料なんですよね。飲み屋の女性ですら話すだけで高い金を取るっていうのに!)。研究に関して言えば、医療崩壊に伴って、日本の病院では研究に時間を割く医師が激減しています。先の暗い話です。

2. 病院間の医師の質の違い
開業する場合、ある程度診療経験を持ってから開業するのが普通なので、大病院の外来医より開業医の方が診療経験が豊富な場合が多々あります。大病院の診療科長レベルまで勤め上げ、多くの医師を指導してきた実力ある医師が開業するケースもあります。医院やクリニックなどでは、ネットで医師の略歴を掲載してある場合もあるので、その医師の専門も含めて参考になると思います。

3. 新しい病院にかかるとき
他にかかっている病院があるときには、紹介状を持って受診しましょう。正確な医学病名、既往歴、臨床経過、内服薬は重要です。昔は、「よろしく」としか書いていない紹介状を持たせる医師もみかけましたが、病診連携が進み、改善されてきています。

4. いざ受診して
「いつからどのような症状があるのか」をわかりやすく伝えましょう。出来るだけ自己判断を事実に含めないようにしましょう。医師が得る情報で、最も重要なのは患者の話です。何が必要で何が必要でないかは難しいところですが、それを聞き出すのも医師の腕です。一方、診療に関係のない話を長々とするのはやめましょう。あなたの後にも多くの患者が待っています。

医師の習性として、自分の眼で見たものしか信じないというのがあります。紹介状の内容も疑ってかかっていますし、患者の話も無批判に受け入れている訳ではありません。これは誤診を防ぐために必要なことなので、感情を害さないようにしてください。もちろん医師の側も出来るだけ悟られないようにはしますが。

5. 時間外で受診する
時間外診療は医師のボランティアです (大学病院での当直の私の時給は約 200円です。食事代 (出前) が別途自己負担です)。当直医は、当直の日の朝から働いていて、夜の当直も徹夜で働いて、次の日も通常通り夜まで働きます。時間外診療の増加も医療崩壊の原因の一つと言われています。

緊急性のある疾患を対象としている外来ですので、日中の外来とは質が異なります。緊急性のない場合は、日中の外来を受診しましょう。もちろん緊急性のある疾患の疑いがあると思ったら、遠慮無く受診しましょう。受診前には病院に電話して、受診が可能か、受診の必要がありそうか聞くのも良いと思います。

基本的に、最低限の検査しかできません。また、内服も1日分しか処方されないことを知っておく必要があります。これは、緊急性のある疾患の診断・治療が主体であるためです。夜間外来の受診抑制の意味合いもあるかもしれません。

6. 人として最低限のマナー
医師と患者は、患者の病気を治す、苦痛をとるという共通の目的を持っています。そのためには良好な関係が不可欠です。医師の側も努力が必要ですが、患者側にもそういう意識を持っておいて欲しいものです。医師も人間ですし、感情を持った生き物ですからね。

(番外編)
・セカンドオピニオン
大学病院で精密検査を受けているのなら、多くの場合必要ありません。実際にセカンドオピニオン外来の医師も、そう考えながら診療しています。多くの場合、納得へのプロセスという意味合いが強いと思います。

・標榜科
医師は基本的にどの科でも名乗れます。診療所で、多数にわたる科を標榜している場合、医師が一人ならば、その医師が本当は何が専門なのかを知る必要があります。風邪程度での受診なら関係ありませんが。

・外勤
大学病院などから、外来のみ近郊の病院に医師を派遣することです。時間契約です。従って、外来時間が終わると、また大学病院などに働きに戻ります。そのため、診療終了時間ぎりぎりで受診したとき、診療時間内に外来が終わらない可能性があると、他の医師に申し送りがされます。少しゆとりをもって受診すると良いでしょう (スーパーの生鮮品売り場とは違いますね)。
外勤という制度には、派遣する病院、される病院にメリットがあります。派遣する病院は、他院で外来をしている時間を休みとして扱っているので、医師のみかけの労働時間が減らせるのです。派遣される病院のメリットは、医師の確保です。

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マスオさん

By , 2007年7月8日 12:31 PM

知り合いの女医さんに、小さな子供がいます (注:私の子供ではないです・・・(^^;))。

会話の端々に娘の話が入ります。この間は、アンパンマンの話。登場人物が多すぎて、覚えられないという母親の悩みを相談されました。

そこで、Wikipediaで調べてみたのですが、ホント登場人物(?)多いです。私の灰色の脳細胞でも覚えきれません。

Wikipedia-アンパンマン-

調子に乗って、サザエさんも調べてみました。マスオさんの意外な一面を発見。パチンコ、競馬・・・。このネタ、ツボですね。

フグ田マスオ (28)
2巻でサザエと結婚したサラリーマン。最初に登場したときはステッキをついていて、今よりも老けていた。マスオを婿養子の代名詞のようにいう人も多いがこれは誤り。マスオは苗字も「フグ田」であることから決して養子ではない別世帯である。しかし80年代中頃に、妻の両親や親族と二世帯で同居をする若い夫らを「マスオさん」と彼のキャラクターになぞらえたことが始まり。結婚当初はサザエとタラオとのフグ田家3人で磯野家の近所にある借家 (住所は「新町3丁目515」) に住んでいたこともあり、漫画の2巻において大家と喧嘩し追い出されたため磯野家と同居。現在に至る (大家との喧嘩の理由はマスオが家の板塀を壊して焚きつけの薪にしようとしたためと思われる。また、追い出された際サザエは、店子の立場ながら大家を殴ったために、波平は大家に土下座し謝罪した)。アニメではかなり気の弱い夫となっているが、原作では必ずしもそうではなく、磯野家に対して主張する時もある。
サザエやワカメに対し冗談を言っておどろかしほくそえむなど、アニメ版にはない人間臭い一面も描かれている。犬の散歩中にパチンコに行ったり (48巻) 競馬新聞に夢中になってサザエを怒らせる (64巻) などギャンブル好きな一面も持っている。体が普通でない程柔らかく、ホットケーキをひっくり返すと同時に「ヤーッ」っと叫んで宙返りするなど驚異的な運動神経を持つ。もちろん基本的にはいい兄貴分であるのでカツオとワカメに慕われている。大阪に実家があり、一度だけ帰省のエピソードがある(4巻)。
勤めている会社は当初は郊外だったが、異動したのか、後に有楽町に移る。当初は平社員だったが、後に係長に昇進。その時の年齢は 32歳で、月給は 1965年当時で手取り 3万4000円。二浪した後に早稲田大学 (一部早稲田ではないという声もある) を卒業。実家は大阪で、時々出てくる母親は大阪弁を話す。
連載初期のマスオはしばしば神経症を患っており、それを紛らわす為や、サザエの怒りを抑える為に精神安定剤を常用していた( 1971年以降は薬物依存から立ち直った模様) (Wikipedia-サザエさん-)

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チャイコフスキー国際コンクール

By , 2007年7月5日 10:04 PM

神尾真由子氏が、チャイコフスキー国際コンクールで優勝したようです。実は、これまでこのチャイコフスキー国際コンクールというのは、日本人が毎回のように入賞しているコンクールというのでもあります。

 【モスクワ=瀬口利一】モスクワで開かれていた第13回チャイコフスキー国際コンクールのバイオリン部門で29日、大阪府豊中市出身の神尾真由子さん(21)が優勝した。同コンクールはショパン国際ピアノ・コンクールなどと並ぶ若手音楽家の登竜門。

日本人が同部門で優勝したのは1990年の諏訪内晶子さん以来で2人目。98年の前々回は佐藤美枝子さんが女性声楽部門で、2002年の前回は上原彩子さんがピアノ部門で優勝しており、3大会連続で日本人の優勝者が出た。

神尾さんはこの日、本選に残った6人の最後に、チャイコフスキーとシベリウスのバイオリン協奏曲を演奏。会場から歓声と大きな拍手が送られ、聴衆に笑顔で応えた。優勝発表を受けた記者会見では、「本当にうれしい。逃げ出さずに弾けて良かった」と語った。

神尾さんは4歳でバイオリンを始めた。桐朋女子高校を経て、米ニューヨーク・ジュリアード音楽院プレ・カレッジで学んだ。04年のモンテカルロ・マスターズなど国内外の数々のコンクールで優勝経験があり、現在はスイス・チューリヒを拠点に活動している。(http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20070630p102.htm)

一緒に室内楽をしていた後輩が、「チャイコン優勝した神尾真由子、4才位ん時から僕の先生んとこでブイブイいわしてた神童です。」とメールをくれました。是非演奏を聴いてみたいものです。チケットは取りにくくなるでしょうね。

と、喜び一色の中で、少し辛口の話。

最近の流れとして、コンクールの乱立により、「コンクール優勝」という肩書きが珍しくなくなっていること、減点方式に耐えられるような傷のない演奏が (たとえつまらない演奏でも) 好成績につながること・・・など、コンクールに対する評価の低下が著しいということがあります。ヨーロッパでは、チャイコフスキー国際コンクールなど、メジャーなコンクールでも、報道がほとんどされないとか。

私も、ある有名コンクール優勝者の演奏を聴くことがありましたが、その師であるザハール・ブロンの演奏の方が、何倍も音楽に説得力があり、器が全然違うのを感じたことがあります。現在では、ツィンマーマンやテツラフのように、コンクール以外の方法で、つまりリサイタルなどを成功させて有名になってくる演奏家の方に、名演奏家が多いように思います。そういった演奏家は、評価にコンクールを必要としないのでしょう。

個人的には、エリザベート王妃国際音楽コンクール初期の頃の入賞者の顔ぶれが凄いと思います。多くが巨匠と呼ばれるようになりました。

神尾真由子氏が、どのような演奏家になるのか今後にかかっています。頑張って欲しいものです。

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神経学の原著

By , 2007年7月3日 10:04 PM

神経学の原著

 神経学は、その歴史を通じて積み上げられた一つの体系です。原著に触れることで、歴史上の神経学者の思想に触れることができますし、その観察眼に驚かされます。ところが、膨大な原著は、どれもあまりに古いため、医学論文の検索システムで、掲載誌などの情報を得ることができません。そこで、こうした論文の著者、論文タイトル、掲載誌、発行年などの情報をリストとして記した論文を豊倉先生が発表されました。

Toyokura Y. A List of original and classical descriptions of neurological diseases, signs and syndromes with their historical notes (1). 神経進歩 14: 868-896, 1971

はじめに

神経学の領域では、疾患の種類がはなはだ多く、徴候、症候群の数もおびただしい数にのぼる。そして、これらの記載は神経学の確立と発展を着実に基礎づけてきた重要な記念碑である。著者は約20年前から、これらの原著または古典的な論文のコピーを、折にふれ少しづつ蒐集してきたが、このたび研究者の便宜のために、不完全なことは覚悟の上、そのリストを掲載してゆくことにした。

下記の論文にそのリストが掲載されています。

①Toyokura Y. A List of original and classical descriptions of neurological diseases, signs and syndromes with their historical notes (1). 神経進歩 14: 868-896, 1971

②Toyokura Y. A List of original and classical descriptions of neurological diseases, signs and syndromes with their historical notes (2). 神経進歩 15: 1051-1070, 1971

③Toyokura Y. A List of original and classical descriptions of neurological diseases, signs and syndromes with their historical notes (3). 神経進歩 16: 745-770, 1972

④Toyokura Y. A List of original and classical descriptions of neurological diseases, signs and syndromes with their historical notes (4). 神経進歩 16: 1121-1136, 1972

⑤Toyokura Y. A List of original and classical descriptions of neurological diseases, signs and syndromes with their historical notes (5). 神経進歩 17: 765-785, 1973

⑥Toyokura Y. A List of original and classical descriptions of neurological diseases, signs and syndromes with their historical notes (6). 神経進歩 18: 417-435, 1974

また、それ以外にも、原著を紹介しながら、解説を記した名著として、「ヤヌスの顔」「続ヤヌスの顔」「続々ヤヌスの顔」「ヤヌスの顔第4集」「ヤヌスの顔第5集」があります。私も手元に置きつつ、まだ通読はしていませんが、少し時間ができたら読みたいと思っています。

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