Jazzの話
以前紹介したDVD「レナード・バーンスタイン 音楽のよろこび~オムニバス~」の第2話は、「ジャズの世界」でした。
バーンスタインは、「Young people’s concert」という一連の講義の、第2話「アメリカ音楽ってなに? 」で、ジャズこそが、アメリカの民族音楽であると結論づけています。
バーンスタインは、「長い間 音楽の頂点は作曲家とされてきましたが ジャズは演奏家の芸術なのです」と述べ、その魅力を語ります。ここでは、主としてブルースを例に取ります。古典的なジャズで、解説しやすいからかもしれません。私は、ジャズについて、時々聴くことはあっても、きちんと勉強したことがなかったので、興味深く拝見しました。以下、内容を簡単に紹介します。
①音程
ジャズの音階は、正規の長音階 (ドレミファソラシド) を変形させて使います。それには、第3音 (ミ)、第5音 (ソ)、第7音 (シ)を半音下げます。この3つの音をブルーノートと呼びます。ただ、これらの音程は、旋律のみで使われ、ハーモニーは正規の音階で作られます。旋律での音階とハーモニーの音階が違うことに由来する不協和音が、ジャズをジャズらしくします。
また、4分音 (隣り合う音程を4分割して生み出す音程) がジャズにはあり、これはアフリカ音楽に由来するとされます。しかし、ピアノでは表現出来ないので、隣り合う2音を同時に鳴らし、その間に求める音があるとします。
ここで、バーンスタインは、アフリカで覚えてきた歌を歌って聴かせてくれます。アフリカの雰囲気がしっかり伝わってきます。
②リズム
基本はビートです。1小節に主として 2ないし 4拍を途切れず続けます。テンポは一定です。これが鼓動となります。さらに、シンコペーションが加わります。これには 2通りの方法があり、規定のアクセントを移動させたり、予想外の個所に置いたりします。
バーンスタインは、8ビート (12345678:1と5が強拍) を例にとって解説します。弱拍である4番目の音を強くするとルンバに聞こえ、さらに強拍である5番目の音を鳴らさなければコンゴに聞こえます。
③音色
ヴィブラート、弱音器などを用いて、「ジャズの音」を作り出します。④形式
ブルースを例に取ります。本来のブルースには、伝統的な詩の形式があります。2行連句 (弱強の5歩格) と呼ばれます。例を出します。「わたしの彼は嫌なやつ あいつは最低の男」。ブルースでは1行目を繰り返します。「わたしの彼は嫌なやつ そうさ 私の彼は嫌なやつ あいつは最低の男」。バーンスタインは、「ということは、シェークスピアの 2行連句でも ”マクベス・ブルース” を歌えるはずなのです」と、実際にブルースを ”マクベス” をブルースにして歌って見せます。これらのジャズの法則がなかったら、音楽がどう聴こえるか、実演され、その重要性がわかります。上記は基礎的な話をわかりやすく解説したものですが、 DVDでは、更に発展した解説があり、最後にバーンスタイン作曲の「前奏曲、フーガとリフ」が演奏されます。
私がジャズを聴くようになったきっかけは、高校生時代に、「文学部唯野教授」「俗物図鑑」などの名作で知られるなど筒井康隆の小説を読みあさったことでした。書店で手に入る本はほとんど全て読んだと思います。その筒井康隆が、タモリや山下洋輔とジャズを楽しんでいたと知って、山下洋輔のCDを聴いて興味を持ちました。その後キース・ジャレットのCDを買ったりしました。ジャズではないのですが、高名なジャズ・クラリネット奏者ベニー・グッドマンがモーツァルトのクラリネット五重奏曲のCDを演奏したのを貰って聴いたこともありました。
数多くあるグラッペリの曲の中では、ジャンゴ・ラインハルトに捧げられた「Django」という曲が一番好きです。是非聴いてみてください。