四川省で先日大地震がありました。亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
私は中学生くらいまで中国の歴史小説が好きで、結構読んでいました。「三国志」「水滸伝」なんて、著者別に何度か読みましたし、陳舜臣氏の「小説十八史略」や「耶律楚材 」、「中国五千年」なんてのも読んでいました。「三国志」は、「出師の表」を途中まで暗記してましたね。その「三国志」の「蜀」の国の首都が成都でした。
四川省地震の中心的な被災地の一つが成都です。地震のニュースで成都と聞く度に、三国志の記憶が甦ります。
そんな中で、被災地で感染症が流行しているとのニュースがあります。衛生状態も悪そうですし、一刻も早く解決しなければいけませんが、実際には非常に難しそうです。
19日付新京報によると、四川省で12日に発生した大地震の被災者で、下痢や風邪の患者が増加している。また野犬化した飼い犬に噛まれるケースも多く、医療関係者は注意を呼びかけている
都江堰市で活動する海南省から派遣された医療スタッフによると、14日に活動を開始して以来、犬に噛まれたとして治療を求める被災者が多いが手元に狂犬病のワクチンがなく、傷口を洗い消毒するだけの処置をほどこしている。
北京から派遣され〓川県で活動している医師の場合も同様で、設備の整った大病院で狂犬病ワクチンの接種を受けるよう勧めているという。(〓はさんずいに「文」)
現地では飼い主を失った犬の多くが野犬化しているとみられ、ある医師は「犬が極めて攻撃的になっている。外出時には棒などを持ち防御してほしい」と訴えた。
中国は狂犬病の発生国で、2008年3月には全国163人が発症し、151人が死亡した。狂犬病による死亡者は伝染病のうち、エイズ、肺結核とともに、上位3位に入る状態が続いており、飼い犬の野犬化で、狂犬病の発生を懸念する見方も出ている。
また、被災地では下痢患者も増加している。地震が発生してから、不衛生な水を飲んだためとみられ、成都市などでは生活区、便所、排水溝などの消毒を強化している。ただし政府発表によると、これまでに大規模な感染症は発生していない。
その他、風邪をひく被災者も多く、仮設の診療所によっては治療を求める人の3割程度が風邪と下痢によるものという。
中国では、死因としての伝染病の上位3位が、エイズ、結核、狂犬病なのだそうですが、未だに狂犬病が流行していると聞いてびっくりです。何しろ、中国では、犬のワクチン予防接種率が 0.5%なのだそうです。しかも放し飼い。地震以前に対策していないといけなかったのかもしれません。ワクチン接種のきちんとしている日本では、狂犬病に罹患することはほぼゼロなので、私は実際に診療にあたったことはありませんし、診断もつけられるかどうか・・・。水を怖がっていたら疑いますけどね。
狂犬病は致死率ほぼ100%の疾患です。そのため、なにはともあれ、ワクチン、ワクチンです。
一方で、このウイルス、神経系に必ず感染が起こることで、ウイルスを不活化して神経疾患の治療に応用しようとしているという話を聞いたことがあります。上手くいけば、必ず神経系に移行する訳ですから、不活化できれば遺伝子治療などにも応用できるのかもしれませんね。
悪いことをするときは、緊張感を持ってしましょうということですね。
宮崎県日南市発注の用紙印刷の指名競争入札を巡り、落札業者などを事前に談合で決めていたとして、県警は22日、入札に参加予定だった10業者を競売入札妨害の疑いで宮崎地検に書類送検した。落札額などが書かれた紙を1業者が誤って市役所にファクス送信したことから発覚。市の告発で県警が捜査していた。
調べでは、10業者は昨年11月6日に予定されていた固定資産税納付書など約50種の用紙印刷(総額600万円分)の指名競争入札で、公正な入札を妨害し、不正な利益を得る目的で談合した疑い。
前日の5日午後、同市教委のファクスに、落札業者や落札額のほか、「これ以上の金額で(入札を)お願いします」などの注意も記されたA4判の紙1枚が届き、市は「談合の疑いが濃い」として入札を中止。10業者から事情を聴き、ファクス送りした業者以外は否定したため、市が日南署に告発していた。
もう一つ。
[ 2008年05月20日 14時23分 ]
[ウェリントン 20日 ロイター] ガソリンスタンドでの代金をマリフアナで支払おうとしたニュージーランドの男(28)が、警察に逮捕された。現地紙ドミニオン・ポストが伝えた。
この男はチョコレートとポテトチップスを買おうとレジに並んでいたところ、現金を持っていないことに気付き、マリフアナでの支払いを思い付いたという。ただ、男の後ろに並んでいたのが警察官だったため、この試みが実行に移されることはなかった。
同紙は、ガソリンスタンド内にパトカーが停車していたのに気が付かないほど、男は空腹だったのだろうと報じている。
高アンモニア血症はてんかん発作や意識障害の原因となることがあるため、てんかんの患者を診たときに、採血でアンモニアもチェックしておくことがあります。その時に、高アンモニア血症を伴っているものの、明らかに「「高アンモニア血症→てんかん」ではなくて、「てんかん→高アンモニア血症」であった経験を持っている医師は少なくないでしょう。そうした経験から、私は意識消失で搬送されてきた患者を診たときに、念のためアンモニアと CPKをチェックしておいて、アンモニアか CPKが高かったら、「てんかんだった可能性が少し高いのかなぁ。脳波はとりあえず必要だなぁ。」としています。経験則ですけれど。
何故、てんかん発作で高アンモニア血症が起こるのか?
肝内シャントを証明して考察した論文はありますが、このようなケースで全例肝内シャントが存在するわけではなし、どうしてかなぁーっと思っていましたが、最近面白い論文を読みました。防衛医大からの論文です。
This study demonstrated that hyperammonemia is associated with GC (※GC; Generalized convulsion). Convulsions are accompanied by severe muscle contraction. Active skeletal muscle becomes a major source of ammonia during exercise by deamination of adenosine monophosphate to inosine monophosphate in a cyclical process called the purine nucleotide cycle. This is why GC induces hyperammonemia.
合理的な説明です。疑問が氷解しました。過激な運動に伴って、筋肉でAMP→IMPの脱アミノ化反応が起これば、アンモニアが発生します。これがてんかんに伴う高アンモニア血症の原因です。ここには、書いてないのですが、てんかん発作翌日に、しばしば尿酸が高値になっているという神経内科医が持つ経験も、purine nucleotide cycleが回った結果として説明可能ですね。
In this study, no significant correlation was observed between ammonia level and PH, base excess, creatine kinase or lactate dehydrogenase
今回の論文では CPKとアンモニア値は相関しないようです。症例数が少ないため統計学的な問題があるのと、採血のタイミングも影響しているようです。
「高アンモニア血症によるてんかん」と「てんかんによる高アンモニア血症」の鑑別は、経験的に肝疾患があるかどうかでつけられますが、てんかん発作を抑えた後、前者であればアンモニア値は高値ですが、後者であれば経時的にアンモニア値が下がってくるのも鑑別点となります。
さて、てんかん発作が抑えられた後、どのくらいの時間アンモニアが高値を示すか、書いた論文がありました。
Liu KT, et al. Postictal transient hyperammonia. Am J Emerg Med 26; 388.e1-2, 2008
Transient hyperammonemia was in these patient sent to the ED (※ED; emergency department) because of generalized tonic-clonic epilepsy. We believe that the transient hyperammonemia may have been the result of heavy muscle exercise during the episode of epilepsy. The levels of serum ammonia returned to reference range within 3 hours, and this may be due to rapid metabolization by the liver. The hyperammonemia noted did not seem to be of hepatic origin.
3時間という数値は、Yanagawa氏らの論文にも登場しますが、一つの目安のようです。
外来患者さんから教えて頂いて、その後確認したのですが、4月から睡眠薬は 30日処方出来るようになったのですね。従来は 14日しか処方できなかったのですが、睡眠薬の為だけに来院する方にとっては朗報です。
こうしたルール変更って、変えた側から医師に全然連絡が来ないのですが、何とかならないものでしょうか?知らないままであることが多々あります。要点だけでも、まとめて知る機会があるとありがたいのですが。
4月以降、診療報酬改定に伴い、処方の日数制限が変わるものが出てくるとのこと。これまで14日までしか処方できなかった薬の殆どが30日分まで処方できるようになります。そこに挙げられていたのが以下の薬。
・トリアゾラム(ハルシオン)
・ゾルピデム(マイスリー)
・ロルメタゼパム(ロラメット)
・ブロチゾラム(レンドルミン)
・フルニトラゼパム(ロヒプノール、サイレース)
・エスタゾラム(ユーロジン)
・ニメタゼパム(エミリン)
・クアゼパム(ドラール)
・フルラゼパム(インスミン、ダルメート、ベノジール)
・ハロキサゾラム(ソメリン)
最近、非常に面白い論文を読んだので紹介します。
岩田誠.Alcohol as a good servant. 東京医学 94: 159-162, 1987
“アルコールと医学” というテーマで論ずる場合、アルコールの害が述べられることになるのは当然といえよう。実際、この bad masterに仕えることになった人間の辿った運命の悲惨さは、古今東西誰一人知らぬものはない。若山牧水、種田山頭火、Paul Verlaine、Stephen Foster・・・思いつくままにあげてみても、その限りなく気高い魂と溢れる才能を、永遠の暴君に献上してしまった人を数えることは容易である。
しかし、good servantとしてのアルコールの役割を忘れることはいささか不当といわざるをえまい。ここでは、このような good servantとしての系譜を博物誌的に辿ってみることにしたい。
酒飲みの興味を一気に引きつける冒頭です。心の中で快哉を叫びたくなります。
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Wikipediaのパロディで「アンサイクロペディア」というサイトがあります。
Wikipediaによるアンサイクロペディアの紹介は下記の通りです。
アンサイクロペディア(Uncyclopedia, “the content-free encyclopedia that anyone can edit,”、八百科事典)とはウィキペディアのパロディサイトである。“Uncyclopedia”という名称は否定を意味する接頭語“un-”と百科辞典を意味する英語“encyclopedia”を組み合わせたかばん語であり、あえて直訳すれば「非百科事典」の意味になる。
アンサイクロペディア自身による、アンサイクロペディアの解説もあります。
アンサイクロペディア(英: Uncyclopedia)は、つまらないウェブサイトばかりが溢れているこのインターネットに、もっと面白みを与えるために発足した、真実を真実としてどれだけクソ真面目に書くかを研究する百科事典サイトである。要するに、ここに真面目に書き込む奴はみんなロリコン・オタク・基地外・童貞の喪男であることが多い、ということだ。いま流行のサイクロン式百科事典ではない。
まぁ、ユーモア溢れたパロディサイトです。
さて、このアンサイクロペディアで秀逸なのが、「押しボタン症候群」なる項目。
アンサイクロペディア-押しボタン症候群-
サイト内の「初期化する」ボタンを押すと笑えます。
タライまわし
も是非どうぞ。
ポーランドといえば・・・高名な神経学者 Babinskiの出身地ですが、スタニスワフ・レムという作家も輩出しています。レムはルブフ医科大学に入学しましたが、ドイツ軍侵攻により学業を中断。自動車工、溶接工として働きました。その後、ルブフからクラクフに移住。ヤギェヴォ大学で学業を修め、SF作家としてデビューしました。クラクフは、私が目指す国際学会がある都市ですね。
私は19歳の時、物書きであった叔父から、「完全な真空 (スタニスワフ・レム著、沼野充義・工藤幸雄・長谷見一雄訳、国書刊行会)」という本を紹介され、読みました。この本は実在しない書物に対する書評を纏めたものです。
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