神経内科専門医試験に合格しました。様々な方に御世話になり、深謝いたします。
通知書
貴下は、第34回日本神経学会専門医試験の面接試験(第2次試験)に 合 格 しました。
2008年7月26日
日本神経学会認定委員会 |
昨日は、昼くらいにピアニストとの合わせがありました。発表会本番まで後 1週間です。いくつか課題を指摘されたので、修正が必要です。これまでは、一人で練習してきたのですが、ピアニストが入ると全然雰囲気が変わりますね。
そのまま、毎年恒例の OB合宿に直行。軽井沢まで行ってきました。いつも OBの方が子供を連れてくるのですが、年々成長する様子が窺えます。
最寄りの御代田駅までコテージの管理人が迎えにきてくれました。管理人は、原油の高騰を嘆いており、出来るだけ車には乗らないようにしていることをユーモアたっぷりにおっしゃっていました。「ガソリンが燃やせないから、自分の脂燃やすことにしたんだけど、こっちは使っても使っても減らないのよね」
コテージでは恒例のバーベキュー。雷が鳴っていたのですが、屋根があるので大丈夫です。今年は、他の客がいなかったので、時間も延長して貰えて、さんざん飲みました。それから、部屋に移動して、飲み直し。まず「葡萄交響曲 作品201」を飲みました。これはクラシック音楽を聴かせて作ったワインらしいのですが、おいしかったです。何の曲を聴かせたのかが気になるところです。ワインの次は、先輩が持ってきた焼酎「中々」を飲みました。
色々語り合ったのですが、この御時世なので、やっぱり医療崩壊関係の話題が多かったです。科や環境が違う医師が集まって話をしているので、新鮮でした。
「T大学の小児科外来で親が 2時間クレームをつけた事件があり、それ以来警察 OBが立ち会いで救急医療をしている」
「東京の某大学は、内科全科合わせてで研修医が 10人しか集まらなかった」
「会津地方の医師不足は深刻。福島県と新潟県の県境にある人口 7000人の町は、元々医者が二人しかいなくて、一人は引退。残った一人が病気になって無医地区となってしまった。」
「区の政策で、小児の医療費をタダにしたら、『タダなんだから時間外の方がすいていて良い』と、夜間に患者が殺到しているのが現状(時間外料金も助成されるため)。で、小児科医が足りないから内科の開業医が呼び出されて、小児科当直をやっている。」
「白内障手術の眼内レンズで、遠近両用というのがある。遠視用と近視用のレンズがそれぞれ円を描くように配置されている構造。ただ、保険が効かないので 70万円くらいが相場。東京だと結構需要がある。」
「N響では女性は出産しないのが、何となく不文律になっており、先輩の奥さんが出産したのが 20年以上ぶり。でも、何とか配慮して貰ってやっている。その後、3人くらい結婚して、出産を考えている後輩も増えてきた。」
みんなが眠った後、飲み足りなかったので、外に出て友人に電話しながら、一人で飲んでいたら、潰れて、そのまま外で寝てしまいました。途中で目が覚めて、部屋の中に戻りましたが、翌日地面に携帯電話とビールが落ちているのを管理人が見つけ、回収してくださいました。ちょっと不審がられてしまいましたね。
今朝は、二日酔いながら、楽器を演奏して遊びました。子供たちから、「ポニョを弾いて」と言われて即興で弾いたり、Bachの二声のためのインベンションを編曲したものを弾いたりしていました。久々の合奏は楽しかったですね。
昼は、NOROというレストランに寄って帰りました。なかなか雰囲気の良いレストランでしたよ。
来年は、奥さんを連れてくるように先輩から言われたのですが、結婚に関しては、今のところ、予兆すらありません。
試験受けてきました。
朝早かったので、寝坊するところでした。面接の10分前に到着。最初、カジュアルな格好で行こうと思ったのですが、ふと閃いて、ヨレヨロの黒のジャケットを羽織り、ヨレヨレのネクタイを持参しました。
会場につくと、みんな正装。ネクタイ持って行っていてよかったです。
A会場では、面接で診察の仕方を評価されるのですが、試験官に「完璧やね」と言われていたので、多分大丈夫だと思います。ただ、振戦の模擬患者を診察するとき、緊張で自分の手が震えていて、試験官に「先生の手の方が震えているよ」と笑われ、場が和みました。
B会場では、経験症例から問われるのですが、チグハグ。試験官の問う意図がわからなかったりもして、半分くらいしか答えられませんでした。「君は、もっと内科疾患を勉強しないといけないね」と言われてしまったので、かなり減点されたのかな?また、試験官自身の勘違い(表面筋電図と針筋電図の所見を取り違えていた)で答えられない問題もあり、指摘しようかとも思ったのですが、先輩から「君は試験官を苛めなければ受かるように思う」と言われたことを思い出し、自粛しました。
B会場を出た瞬間、試験官同士の笑い声が聞こえ、「落とされていなければいいけどなぁ・・・」と。今のところ五分五分です。
最後、なんだか噛み合わなくて、むしゃくしゃしたので、帰りに蕎麦屋に寄って、日本酒を飲もうとしたら、「昼はお出しできません」と言われ、家で飲み始めました。
むしゃくしゃするあまり、携帯に「うんこ、ちんちん」とメールしてしまった「はりやこいしかわ先生」「methyl先生」に、お詫び申し上げます(何じゃそれ)。
昨日、某企画会社からアンケートが送られてきました。
「医師が選ぶ病院ランキング」といった本を出すので、埼玉県、首都圏の神経内科の名医を列挙してくれとのことでした。
「神経内科の名医」といった漠然とした質問で、きちんとした解答は得られないんじゃないかと思いながら、ある程度の評価のある神経内科医の中から、掲載されると喜びそうな面々の名前を記入して返送しました。
神経内科という科は、その中で更に専門が細分化されています。例えば、高次機能障害なら○○大学病院、Parkionson病なら○○大学病院、神経感染症なら○○大学病院、脳梗塞なら○○大学病院・・・にそれぞれ日本をリードするオピニオンリーダーがいます。さらに脳梗塞と言っても、急性期治療と再発予防とで専門も異なります。どうせなら、そういった人達を尋ねるのは意味があるように思いますが、「神経内科の名医」と聞かれても何の病気を診てもらうかで変わってきます。
こうしたランキング本の難点ですが、専門が違う医師を比較してランキングがつく筈がありません。どこを比較しているかが不明瞭です。また、医師は学問水準で医師を評価しますから、医師が選ぶ名医が、必ずしも患者にとって名医とは限りませんし、こうした本に名前が載ったせいで患者が集まり、診察時間がとれなくなって質の低い診療をせざるを得なくなった医師も存在します。
ある程度以上の実力を持った神経内科医なら、専門ではない分野でも、きちんとした治療をしていることは事実です。それは患者側にも伝わると思います。自分が人間関係を構築できた、信頼できる医師を主治医に持つことが一番だと思いますし、あまりにも標準から逸脱した治療をされている場合には、ネットでもある程度のことは簡単に調べられますからね。セカンドオピニオンという制度もありますし。
数々の名曲を残したロベルト・シューマン。
彼は最初はピアニストを目指していたのですが、手の障害のために、その夢を断念せざるを得ませんでした。しかし、彼の手の障害に関する詳細には不明な点が多くあります。彼の病歴に対する医学的アプローチも、ほとんどが精神疾患に対するものです。
実は、「Shumannn’s hand injury」という論文が、1978年の British medical journal (BMJ) という雑誌の 4月 8日号に登場し、以後論争が誌上で繰り広げられています。その論争を紹介しつつ、ピアニストとしての道を絶った「手の障害」について考えてみたいと思います。長くなりそうなので、何回かに分けます(これでも、十分長いですけど)。
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