医師が選ぶ病院リスト
昨日、某企画会社からアンケートが送られてきました。
「医師が選ぶ病院ランキング」といった本を出すので、埼玉県、首都圏の神経内科の名医を列挙してくれとのことでした。
「神経内科の名医」といった漠然とした質問で、きちんとした解答は得られないんじゃないかと思いながら、ある程度の評価のある神経内科医の中から、掲載されると喜びそうな面々の名前を記入して返送しました。
神経内科という科は、その中で更に専門が細分化されています。例えば、高次機能障害なら○○大学病院、Parkionson病なら○○大学病院、神経感染症なら○○大学病院、脳梗塞なら○○大学病院・・・にそれぞれ日本をリードするオピニオンリーダーがいます。さらに脳梗塞と言っても、急性期治療と再発予防とで専門も異なります。どうせなら、そういった人達を尋ねるのは意味があるように思いますが、「神経内科の名医」と聞かれても何の病気を診てもらうかで変わってきます。
こうしたランキング本の難点ですが、専門が違う医師を比較してランキングがつく筈がありません。どこを比較しているかが不明瞭です。また、医師は学問水準で医師を評価しますから、医師が選ぶ名医が、必ずしも患者にとって名医とは限りませんし、こうした本に名前が載ったせいで患者が集まり、診察時間がとれなくなって質の低い診療をせざるを得なくなった医師も存在します。
ある程度以上の実力を持った神経内科医なら、専門ではない分野でも、きちんとした治療をしていることは事実です。それは患者側にも伝わると思います。自分が人間関係を構築できた、信頼できる医師を主治医に持つことが一番だと思いますし、あまりにも標準から逸脱した治療をされている場合には、ネットでもある程度のことは簡単に調べられますからね。セカンドオピニオンという制度もありますし。