カラヤンはなぜ目を閉じるのか
「カラヤンはなぜ目を閉じるのか-精神科医から診た”自己愛”-中広全延著、新潮社」を読み終えました。著者は精神科医です。この本は、カラヤンに残された多くの逸話が”精神疾患の分類に使われる ”DSM分類-Ⅳ” での「自己愛性人格障害」に相当するのではないかという観点から述べられています。加えて、DSM分類の問題点、賛否についても論じられています。
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「カラヤンはなぜ目を閉じるのか-精神科医から診た”自己愛”-中広全延著、新潮社」を読み終えました。著者は精神科医です。この本は、カラヤンに残された多くの逸話が”精神疾患の分類に使われる ”DSM分類-Ⅳ” での「自己愛性人格障害」に相当するのではないかという観点から述べられています。加えて、DSM分類の問題点、賛否についても論じられています。
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今日は誕生日です。
馬券オヤジ氏に「もう 32歳になっちゃったよ」とこぼすと、「大丈夫、16進法だと 20歳だから」と、極めてポジティブな返事が返ってきました。
今日は、大学時代の部活の後輩が飲みに来る予定です。まったりと音楽でも聴きながら過ごそうかなと思っています。
そういえば、話が変わりますけど、毒舌ドクターBermudaの三角形な気持ちのバミュ先生、俺が知っている方でした。産経新聞に本名が載ったそうで、そこで初めて彼が書いているのだと知りました。親しくはない人ですが、何度か話したことはある一方で、ブログで書いているようなみたいな内面を持っている人とは知らず、人は見かけによらないものだなぁと思いました。
暑い夏にはアイスが食べたくなりますね。とはいっても、だいぶ涼しくなってきましたが。
重症筋無力症に対する「Ice test」についての論文を読んでみました。この検査、何故か神経内科の教科書にはあまり書いてありません。でも、最初に報告されたのは 1979年の Neurologyであるそうです。
重症筋無力症は、神経筋接合部での自己抗体 (抗アセチルコリンレセプター抗体、抗 Musk抗体など) の作用により、神経から筋肉に命令が伝わりにくくなり、筋力低下を主体とする諸症状を起こす疾患です。自己抗体の測定や、電気生理学的検査 (反復刺激試験、single fiber EMG)、テンシロンテスト、筋生検といった方法で診断をつけます。しかし、なかなかクリアカットには診断出来ない症例が存在することが事実です。また、患者の多くが「だるさ」を訴えるため、うつ病などの精神疾患や詐病と鑑別が必要になることがあります。
今回取り上げる Ice testは、眼瞼下垂を訴える重症筋無力症に対する、ごくシンプルな検査です。やり方は、閉眼した眼瞼の上に、袋に入れた氷を2分間置きます。眼瞼下垂が 2mm以上改善すれば陽性とします (文献によって、やり方に多少の違いはあります)。感度 90-95%、特異度 100%とされています (Fisher症候群で陽性を示した報告もあり、実際には特異度100%とはいかないようです)。冷却することによって症状が改善する機序は、おそらくアセチルコリンエステラーゼの機能を阻害するからではないかと考えられています。
Ice testの利点は、何より簡便であり、テンシロンテストと違って副作用がないことです。そして、ある程度の感度・特異度が保証されます。
欠点をあげるとすれば、氷を眼瞼に置くと、患者にわかってしまうため、プラセボが使えないことでしょう。そのため、詐病の患者が演じようと思えば、疑陽性を生み出すことは可能です。一方、テンシロンテストではプラセボと組み合わせたりします。すなわち、詐病の患者だと、生理食塩水などでも効いたようなふりをしてしまうので、詐病を見破れる場合があります。
Ice testは、上記のような欠点はありますが、簡便ですし、他の検査と組み合わせると有用なのかもしれません。
(参考文献)
・Reddy AR, et al. “Ice-on-eyes”, a simple test for myasthenia gravis presenting with ocular symptoms. Pract Neurol 7: 109-111, 2007
・Kubis KC, et al. The ice test versus the rest test in myathenia gravis. Ophthalmology 107: 1995-1998, 2000
・Golnik KC, et al. An ice test for the diagnosis of myasthenia gravis. Ophthalmology 106: 1282-1286, 1999
・Reid JM, et al. Positive “ice-on-eyes” test in Miller Fisher syndrome. Pract Neurol 8: 193-194, 2008
いや、ホントやめて欲しいですね。
来月、ポーランドに行く予定なんですが、ロシアはポーランドに対して、軍事手段も辞さないって。私が乗る飛行機はオーストリア航空なんで、撃墜されるなんてことはないでしょうが、ロシア上空を飛ぶのは、気分が悪すぎます。行ってから軍事紛争が起こったらどうしよう。
何かあっても良いように、身辺整理だけはしておこうっと。まずは、女性関係から整理・・・の必要はないですけどね。
<ロシア>「外交手段超え対抗」…米ポーランドのMD調印で
8月21日11時53分配信 毎日新聞
【ウィーン中尾卓司】米国の東欧ミサイル防衛(MD)計画で、ライス米国務長官が20日、迎撃ミサイル基地を受け入れるポーランド側と協定に調印したことで、両国が同盟関係を強化すると同時に、東方へと拡大する米国の同盟国と、ロシアとの対決色は一層濃くなった。ロシアとグルジアの軍事衝突をきっかけに悪化した米露関係には険悪なムードが漂い、欧州を舞台に新たな緊張関係を生みつつある。
米国とポーランドのMD調印を受け、ロシア外務省は20日、「外交手段を超えて対抗する」と声明を公表し、軍事手段も辞さない構えを示した。MD計画で米国とポーランドが基本合意に達した直後の15日に、ロシア軍のノゴビツィン参謀次長は「MDを受け入れれば、ポーランドは武力攻撃にさらされる。100%の確率で」と警告するなど、ロシアは米国のMD計画に反発を強める一方だ。
協定の調印後、ライス長官は「ロシアは信頼性を失いつつある」とグルジアに軍事介入したロシアを非難した。しかし、MD計画はロシアを想定しているとの指摘は明確に否定し、「ロシア国民も米露の対決を望んでいないだろう。冷戦は終わったのだから」と強調した。
ポーランド国内では、ロシアが「脅威になる」との見方が急速に広がっている。調印後に、ポーランドのトゥスク首相は「つらい交渉だったが友好的だった」と語った。一方、カチンスキ大統領は「世界におけるポーランドの地位を高める」と喜びを表明した。
トゥスク首相とカチンスキ大統領は与野党に分かれ、MD計画でも首相は慎重派、大統領が積極派と対応に大きな差があった。ところが、グルジア情勢の不安定化をきっかけに、MD基地受け入れの交渉が急展開し、合意に至った。そりが合わなかった2人が歩調を合わせる結果となり、ポーランド政治の勢力図にも意外な影響を及ぼした。
(追記)
大学の先輩に、国際学会の発表内容について、メールで相談していた際に、この問題に触れたら、以下のような返信が来ました。
ミサイルが飛んできたらちゃんと逃げるんだぞ
「音大進学・就職塾 (茂木大輔著、音楽之友社)」を読み終えました。
特に管楽器を中心に、プロになるために必要なことや、音大に入ってから気をつけること、プロになってからのギャラの相場などが書かれていて、楽しく読みました。文章もウィットに富んでいます。本の終わりには、「楽団員のための-古典音楽一般論必須知識」と題された章ががあり、これだけでも読み物として楽しめます。
プロになるために必要なもの、それは演奏水準、演奏経験、コネなのだそうです。もちろん演奏水準は当然必要でしょうし、場数も踏まなければ実力を出せないこともあるでしょう。面白いのは「コネ」だと言い切るところです。確かに、音楽の世界の場合、実力があったからといって、黙っていても仕事が舞い込んで来るわけではありません。誰かに演奏を聴いて貰わないと、観客に知られることもありませんし、雇う側も聴いたことがない演奏家に依頼しようとは思わないでしょう。
具体的に書いてある部分を引用します。
音大・プロ志望者が漠然と誤解していることが多いのが、
・「うまければ」
・「いつか誰かが (先生) が仕事をくれる」となんとなく思っていること。
マチガイである。
技能の習得、向上は、プロを目指す以上当然の前提なのはもちろんだが、それだけをやって待っていても、一生シゴトは来ないのである。驚いたか。
この先大学院に行こうが留学しようが、「技術の向上」 (レッスンと練習) という自分の世界だけに没頭・逃避し続ける限り、状況は全然変わらない。
「シゴトを作る、もらう努力」は、別途行っていただきたい。
シゴトは、漠然とした「誰か」がくれるのではない。アンタが知っている、アンタを知っている、特定の誰かがくれるのだ。知り合いをたくさん作り、シゴトをしたい気持ち・熱意・連絡先を伝えておかなくてはならないということだ。
「コネ」を増す努力を、1年生、いや、受験生の時からしておくべきだった。これから毎日「コマネシ!」と唱えていなさい。 (古いか・・・)
シゴトを得るというだけでも、なかなか大変な世界なのですね。昔のヨーロッパでは芸術家の集まるサロンがあり、多くの音楽家が親交を結んだそうですが、日本ではあまりそういう話を聞きませんね。
さて、本書には「うまくなるには」という話も書いています。意識しなければいけないのが、音色・強弱、正確さ、雰囲気だとして、それぞれ個別に解説しています。良い音色の条件としては、雑音が少なく、音程がまっすぐでふらついていない、発音がクリアー、強弱のどちらのも思い通り進める余裕などが含まれます。また、正確さには読譜力、音程感覚、リズム感、楽器奏法上の自由があります。これらは、しばしばアマチュアに欠けているもので、プロと一緒に演奏すると、身につまされます。
そのために必要なことも議論されており、一部を引用します。
「さらう」場合に重要なのは、さらうという行いには、
・とにかく音にしてそれを聴く (ソルフェージュの補助)
・困難な箇所を発見する
・そこを克服するために、練習方法を考える (問題を整理、理解して対処法を考える>頭脳)
・それを実行し、偶然性を排除して確率を100%に近づけるために繰り返してさらう (肉体に覚えさせる)の、4つのファクターが含まれているということ。ただバカのように繰り返して吹いているうちにいつのまにかできる、というのは、まさに偶然であり時間のムダであり、根本的な上達は望めない。
楽譜の表現が曖昧なまま、間違えていたり、イラナイ音が混じっていたり、その瞬間にくっきりと音が移り変わっていなかったり、音量や音色にばらつきがあったり、レガートが途切れていたり、スタッカートが整っていなかったり、なんとなく薄汚れた演奏をしている人間がとても多い。90点を出すのはたやすいが、それを 100点まで磨くのは地獄の特訓しかない。自分と向かい合い、録音し、意地悪く聴き、全部を直せ。
なかなか厳しい意見です。プロを志すには、必要なことなのでしょう。
幸い私はアマチュアなので、演奏に失敗しても「てへっ」って言っておけば、次から飯の種に困ることはないのですが、楽器の上達のために、上記のようなことを意識して、もう一段ステップアップしたいところです。
以前、「潜水服は蝶の夢を見る」という本を紹介しました。その本が映画化されたのですが、更にDVDになったため、買ってきて見ました。
見る前は、見たら泣いてしまうかなとも思ったのですが、安っぽい作りではなく、荘厳な音楽を聴くような心境で鑑賞し、泣くとか泣かないだとか、そんなレベルの作品ではないことを感じました。
このDVDで特筆すべきは、Bonus映像です。原作本の著者の実際の闘病生活の映像が収録されているのです。看護の様なども収録されており、日本との違いを興味深く感じました。
実は、現在、私は「閉じこめ症候群」の患者の主治医をしています。映画の言語療法士のようにアプローチしようとしているのですが、なかなか上手くいきません。患者さん自身が 100歳くらいなので、主人公とはベースの部分が違うのだろうなぁ・・・など考えているんですけれども、どうにかしてコミュニケーションが取れるといいなと思っています。
最後に一つだけ疑問点。この主人公は、著者の実際の映像も含め、右眼が不自由で、眼球の乾燥を防ぐため、上眼瞼と下眼瞼を縫い合わされてしまっています。ところが、映画の1時間19分前後のところでは、左目が不自由になっているのです。単純なミスなのか、何か伏線を見逃していたのか、未だに気になっています。映画を見て分かった方がいたら教えてください。
β blockerってドーピングになるんですね。初めて知りました。競馬だとβ stimulantが禁止薬物なのに、作用が逆の薬が人間では規制されるのは興味深いです。
北朝鮮キム・ジョンス、ドーピング違反でメダルはく奪
8月15日14時25分配信 YONHAP NEWS【北京15日聯合】北京オリンピックの射撃で銀メダルと銅メダルを獲得した北朝鮮のキム・ジョンスが、禁止薬物検査で陽性反応を示したとしてメダルをはく奪された。国際オリンピック委員会(IOC)が15日、記者会見で発表した。
キム・ジョンスのサンプルからは、ベータ遮断剤の一種であるプロプラノロールの陽性反応が現れたという。ベータ遮断剤は心臓への負担を減らし血圧を下げるのに有用な薬物だ。キムは9日に男子エアピストルで3位、12日の50メートルピストルでは韓国のチン・ジョンオに次いで2位だった。キムの失格で、エアピストルの銅メダルはターナー(米国)が、50メートルピストルの銀メダルは譚宗亮(中国)が受け取ることになった。
β blockerは慢性心不全や高血圧の治療で比較的良く使います。脈拍数を落としたり血圧を下げるという作用の他に、気管支を収縮させる副作用があるので、一般的にはスポーツには利がなさそうです。しかし、この選手の競技種目を見て納得しました。手が震えては的に当たらないので、それを防ぐ目的で使用したのですね。実は、β blockerには震えを止める作用があるのです。私は、本態性振戦という震えの病気で、しばしばこの薬を処方します(というか、一般的に第一選択薬です)。
ちなみに緊張したときの震えに、どのβ blockerも有効なのではなく、β2作用が大事なのです。したがって、β1選択性が高いメインテートやセロケン、テノーミンなどは、心不全の治療には有用でも、震えを止める作用はほとんどありません。むしろ、震えに対してはアルマールやインデラルといったβ2遮断作用を持つ薬剤を用いるべきです。ドーピング(?)豆知識でした。
徐脈性不整脈や喘息の方には、命に関わる副作用を起こすので、禁忌であることを忘れてはいけません。また、気管支を収縮させる作用もあるので、マラソンなどの競技にはマイナスの影響を及ぼすことは容易に想像できます。
—
(注)医療関係者以外の方へ
blocker=遮断薬
stimulant=刺激薬
それぞれ受容体に対する作用を意味しています。
今日、オリンピックの開会式があります。
開会式の会場が、雨に弱いとかいうことで、雨が降るかどうかに最も関心があります。
中国を巡るドタバタを目にして、競技よりも、オリンピックが無事終わるかに興味を持っている人が多いのではないでしょうか?むしろ、何かおこるんじゃないかというハプニングを少し期待していたりして・・・。
アンサイクロペディアでは、そのブラックなジョークに笑ってしまいました。ブラック・ジョークが嫌いじゃない人は、是非一読を。
ちなみに、Yahoo!Japanで「オリンピック」と検索すると、「Olympic」というスーパーがトップに来ます(^^)
ヴァイオリンの名教師として、古くはレオポルド・アウアー、ジョルジュ・エネスコ、イヴァン・ガラミアン、その後ヘルマン・クレッバース、ドロシー・ディレイ、ザハール・ブロン・・・など。それぞれ一流の演奏家を多く育て、名声を得ました。
String誌の 2008年 8月号に、ジェラール・プーレ氏のインタビューがされていました。プーレ氏は、これまで何度か紹介してきた佐藤俊介氏の師匠です。やはりヴァイオリンの名教師として知られています。フランチェスカッティ、メニューイン、ミルシタイン、シェリングらの薫陶を受けています。
そのプーレ氏、実は父のガストン・プーレがドビュッシーと親交があったようなのです。
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昔は将棋の戦法といえば矢倉に組んで居飛車が主流で、横歩取りなんて行儀が悪いし、最初から穴熊に組むのは不利だとかいわれていました。
ところが、序盤の研究が進むにつれて、過去に見向きもされなかった戦法が注目されるようになり、今では穴熊も有力な作戦です。新しい作戦についていけないせいで、序盤に勝負が決まってしまうことも珍しくありません。
最高峰といわれる名人戦で、今年は全て先手が優勢を築いたことにも象徴されるように、作戦を決定する権利を手に入れやすい先手の有利が常識となりつつあります。最初から先手が主導権をとって仕掛けると、後手が一方的に受ける展開になりやすいのです。そして、その展開がなかなか逃れられないように研究が進んでいます。そうなれば一本道です。
後手としては、出来るだけ研究を逃れる展開に持って行きたく、様々に研究されました。そして有力な作戦がいくつか生み出されました。ゴキゲン中飛車、一手損角換わりなどです。一手損角換わりなんていうのは、もともと一手遅く始まる後手が、更に一手損する手を指すという戦法で、ダブルで損じゃないかとも思うのですが、なかなかこれも有用なのです。
さらに、2手目3二飛車、4手目3三角といったユニークな戦法も羽生名人が公式戦で指し、注目を集めています。
ただ、戦法が複雑になりすぎて、アマチュアにはわかりづらいのも事実で、「序盤がつまらない」と思う人が多いのも無理はありません。最近、将棋のとても多くの戦法を網羅したサイトを見つけました。私も勉強中なのですが、実際にサイトにある将棋盤で駒を動かしながら棋譜を見られるので、非常に使いやすいです。作戦を知ってプロの棋譜を見ると、面白み百倍です。
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