バッハの無伴奏ヴァイオリンのためソナタ・パルティータはヴァイオリン音楽の旧約聖書とも呼ばれます。ヴァイオリンで多声音楽を演奏するテクニック的な難しさもありながら、和声と対位法を突き詰めて作られた楽曲を読み解いて演奏しなければいけない音楽的な難しさを内包しています。無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ・パルティータはチェロ組曲と違って、自筆譜が見つかっていますので、原典を無視出来ない点で、演奏上の制約は逆に多くなります (自筆譜のファクシミリは、ガラミアン版の最後についていて、簡単に手に入ります)。
この曲はある一定水準以上のヴァイオリニストは必ず練習するものの、若いうちは録音を避けることが多いように思います。演奏家として成熟してから、つまり音楽を深く理解してから取り組むものと考えられているからです。
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第 1番の第 1・2楽章の演奏を Youtubeからいくつか紹介します。
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11月22日~24日に実家に帰省しました。
22日に帰省した日は親と飲みました。親もだんだん歳をとっていくことを自覚しているのか、「健康の話」「墓の話」などが多かったです。結婚のことや、いつ頃実家に戻ってくるかなどの話は、毎回の事で無視しました。私ですらわからないですからね。
23日は、馬券オヤジ氏の車で大山に乗馬に行きました。早く着きすぎたので、大山の自然歴史館を訪れ、馬券オヤジ氏と「無駄な公共事業ちゃうか?」と毒舌をとばしながら一周しました。とはいえ、生息動物の剥製がたくさん展示してあったり、登山情報があったり、そこそこ見応えはありました。大山はもう雪が積もっていましたよ。
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純粋な医療ミスのようです。
11月19日22時57分配信 読売新聞
徳島県鳴門市の健康保険鳴門病院で、肺気腫の疑いで入院していた男性患者(70)に、抗炎症剤ではなく、誤って名前の似ている筋弛緩(しかん)剤を点滴し、急性薬物中毒で死亡させていたことが19日、わかった。
病院側はミスを認めており、県警は業務上過失致死容疑で調べている。
病院や遺族によると、男性は今月17日夜に容体が急変し、体温が40度近くになった。当直の30歳代の女性医師は、抗炎症剤「サクシゾン」を出そうとしたが、データベースでヒットした筋弛緩剤「サクシン」をサクシゾンと思いこんだ。サクシンを受け取った看護師から「本当にサクシンでいいのですか?」との問い合わせがあったが、医師には「サクシゾン」と聞こえたため、「いいよ」と答えたという。
サクシンは、麻酔時や気管に管を挿入する際などに使用。使用を誤ると、呼吸停止を起こす場合がある。
30歳代の医師ですから、サクシンとサクシゾンが違うことを知らないことはあり得ず、コンピューターへの入力ミスだと思います。
電子カルテやオーダーリングシステムでは薬剤の最初の3文字を入れると薬剤の選択肢が表示されるので、「サクシ」と入れたときに誤ってサクシンを選んでしまったのだと思います。サクシンは筋弛緩薬でサクシゾンはステロイドです。
問題はいくつもあります。
①似た名前の薬剤が多い
例えば、抗癌剤のタキソールとタキソテールは電子カルテでは誤って入力される可能性があります。また、βブロッカーのアルマールと血糖降下薬のアマリールは名前が似ています。ややこしい薬名はジェネリック薬品の普及などで薬剤名の急激な増加と相まって、非常に増えています。今回のサクシンとサクシゾンも似てますね。
②危険な薬が簡単に出せる
その場で生命に直結する薬には、薬剤の冒頭に特殊な記号などを入力してからではないと出せないようにするべきです。抗癌剤、血糖降下薬、筋弛緩薬、静脈麻酔薬などが該当すると思います。
③気付いていたのに看護師が投与した
肺気腫の発熱に筋弛緩薬を投与することはありえません。死ぬとわかっていた筈です。医師に確認したそうですが、しつこく食いつくべきです。「どうして筋弛緩をかけるのですか?」とか。
緊張感がないとの指摘がありますが、この問題を精神論で片づけようとする人は、システムについての認識が足りないと思います。ミスというのは、思考のエアポケットやボタンの掛け違いで起こります。緊張感があればミスをしないのであれば、世の中からミスはほぼ駆逐できますが、それができないのが人間です。ミスをしようとしても出来ないシステムの構築こそが重要です。
9月くらいから、将棋連盟のサイトからリンクが貼られている「24倶楽部」でネット将棋を楽しんでいます。
24将棋倶楽部
初心者以外は10級から開始し、相手の強さと勝敗により級が上がったり下がったりします。Yahoo! 将棋よりは圧倒的に強い相手が多いです(そしてマナーがいいです)。
私は現在22勝13敗1持将棋で、勝率.629です。級だと9級になります。一時期8級の上の方で、もう少しで7級というところだったのですが、連敗しているうちにあっという間に降級してしまいました。
私は序盤が弱いので、大概中盤までは敗勢に陥っています。勝つときは、どうしようもないところから終盤で逆転勝ちすることが多く、逆転勝ちした将棋は自分で棋譜を見直しても不思議なくらいの粘りを見せています。終局後、将棋ソフトの棋譜解析を使って一人で感想戦をしているのですが、大概敗勢になるか、自玉に詰みが近づいてから逆転してますね。不利になるまでに悪手を指しまくっているので、棋譜がぐちゃぐちゃであまり会心譜は出来ないので、もやもやが溜まります。
序盤から納得がいく将棋が1局だけあったので、自分の感想を含めてアップしておきます。
棋譜:後手みぐのすけ
昨日、出勤中の電車内のドア付近で、若い女性が若い男性に胸を揉まれていたのです。電車は多くの人の出勤とは逆方向なので、結構ガラガラで、丸見えです。
「すわ、痴漢?」と思い、頭の中で止めに入るシミュレーションをしてみました。
妄想中
みぐのすけ「やめなさい」
(数分後)
女「あ、助けてくださってありがとうございました。お礼にお食事でも。」
みぐのすけ「いえ、そんなのは結構です」
女「せめて連絡先でも・・・」
いや、この妄想は御約束のネタですけど。
ところが、どうも様子が違って、女性が嫌がっているそぶりなく、そのうち自分でも胸をプニプニし始めました。
男の手が女性の臀部に回っています。
ここまできて、鈍感なオイラもようやく二人がカップルだと気付きました。
あまりジロジロ見るのも気が引けるので、手元の本に目を落としました。でも、気になって視線がチラチラと女性の方へ向かってしまいます。本の内容が全然頭に入りません。オイラも煩悩の塊なんだなぁ・・・とつくづく思いました。
他の乗客を眺めてみると、誰一人としてカップルの方を見ようとしておらず、ちらりとすら視線を送る人がいません。この車両の中で、オイラ一人だけが煩悩に囚われているようです。
病院についてから、上司に「いやぁ、目の保養ではあったんですけどね」って朝あったことを話すと、上司から「君は、自分がカップルを見ていたと思っているのかもしれないけど、実は君が観察されていたのだとしたらどうする?いちゃつくカップルをジロジロみている姿こそが観察の対象だったんだよ。ドッキリの収録だったら、今度 Youtubeに載っちゃうかもよ?」と言われました。
そういう見方もあるのかと思いました。いやー、みんな何故あのシチュエーションで平然と無視出来るんだろう。おいらは心が荒んでるのかなぁ・・・。Give me “uruoi.”
小柴昌俊氏が著した「物理屋になりたかったんだよ」という本に何度か出てくる戸塚洋二氏が、先月亡くなられましたが、彼のブログが出版されるそうです。
2008年10月30日17時43分
ノーベル賞に最も近い日本人物理学者といわれながら今年7月、直腸がんのため、66歳で亡くなった戸塚洋二・東京大特別栄誉教授が闘病中につづったブログ記事が本になった。テーマは「科学の面白さ」。戸塚さんの死後、妻の裕子さん(64)が自宅のパソコンから見つけた未発表のブログ用原稿3本も収録した。
戸塚さんは02年にノーベル物理学賞を受けた小柴昌俊・東京大特別栄誉教授(82)のまな弟子。岐阜県・神岡鉱山の地下千メートルにある巨大観測装置「スーパーカミオカンデ」を使って、ナゾの素粒子ニュートリノに質量があることを見つけ、98年に発表した。
その2年後の00年にがんが見つかって手術を受け、抗がん剤治療を続けた。06年に高エネルギー加速器研究機構長をやめ、親類や知人に近況報告するため、07年8月にブログを開設した。
「勉強することがたくさんあって楽しい。それにしても時間がほしいよ」と話しながら、体調の良いときに書きためた約240本の記事をブログに発表した。
このうち相対性理論から身近な植物の話題まで、科学がテーマの28本を収録した。亡くなる約2週間前の自宅での最後のインタビューも載っている。出版をもちかけたフリー編集者の緑慎也さん(32)は「長生きをして、若者向けの科学の解説をもっと書き続けてほしかった」と話す。
本は「戸塚教授の『科学入門』」(講談社刊、四六判239ページ、税別1400円)。30日刊行で、同日夕にはまず東京都内の大型書店などに並ぶ予定だ。裕子さんは「本人も生前、ブログを何らかの形で活字にしたいと言っていた。宿題を果たせて、いまはほっとしています」と話した。(山本智之)
彼のブログを見てみました。
The Forth Three-Months
花の写真がたくさん貼られていますが、病気になってからの心境の変化でしょうか?元々花の好きな方だったのでしょうか?元来物理学者には自然を愛でる人が多い印象を持っていますが、このブログに関しては、疾患の進行に連れて花の写真が増えているようです。
闘病生活中では、癌の大きさや腫瘍マーカーについて、物理学者らしい考察をされています。癌治療をどのように行うべきか提言されているのは、傾聴に値します。それ以前は、物理学に関する、わかりやすい記事が多かったですね。
タイトルは、4回の 3ヶ月で一年となっていますが、奇しくも丁度1年くらいでブログが終了となってしまいました。余命について、ご自身で感じるものがあったのでしょうか?
優秀な科学者だったそうですし、彼の考えたことに少しでも触れられるような本の出版は歓迎です。
11月 7日に埼玉 MS研究会に行ってきました。東北大学大学院医学系研究科多発性硬化症治療学寄附講座の藤原一男教授の講演を聴きました。抗アクアポリン (AQP)-4抗体陽性の疾患概念を独立して捉えようという趣旨。
以前、報道で視神経脊髄型の多発性硬化症 (MS) に IFN-βは望ましくないと報道されたそうですが、実は抗 AQP-4抗体が陽性となる Neuromyelitis optica (NMO) では無効例が多かったり再発回数が増加する事例があったにしても、抗AQP-4抗体陰性の視神経脊髄型ではIFN-βが有効なのです。両者は分けて考える必要があります。この報道を見た患者の中に「多発性硬化症に IFN-βは有害なんだ」と誤解している方が少なからずいます。NMOと MSを別の病気として確立すれば、このような誤解は避けられるでしょう。NMOと MSでは治療法が異なるので、別の病気としてしまう方が、患者には理解しやすいのかもしれません。
また、病理学的にも髄鞘の障害が目立つ多発性硬化症に対して、Astrocyteの障害を主体とする NMOは別の概念と言えるのかもしれません。
更に学問的には、抗 AQP-4抗体陽性の脳病変も色々知られるようになってきており、延髄の線状の病変であったり、視床下部両側性の病変であったり意識障害を伴う広範な白質病変であったりします。これらは、AQP-4Ab associated CNS syndromeとして捉えるべきなのではないかと考えられています。
これらの知見から、NMOを独立した特定疾患として厚生労働省に認めさせ、治療法に免疫抑制剤などを保険適応で認めさせるというのが藤原教授の願望の一つです。NMOには免疫抑制剤が有効で治療ガイドラインにも定められているのですが、現状ではその免疫抑制剤が保険適応ですらないのです。高額な薬なのに・・・(保険は詳記を書けば通りますが、切られるリスクもあります)。
この分野のオピニオン・リーダーの講演で、わかりやすい講義でした。眼科では「視神経炎にはステロイドは必要ない」という考えがスタンダードです。しかし、視神経炎が NMOの初発症状であることも多く、眼科医もこのような知識が必要だと思います。今回は、眼科の先生を連れて行ったのですが、非常に感激してもらえました。視神経炎の段階で NMOと診断して治療を開始できれば、脳病変や脊髄病変、失明を防げるようになる可能性があります。眼科界でも一大センセーションが起こるかもしれませんね。ただ、眼科では視神経炎という分野は非常にマイナーで、研究者が少ないので、一般に認知されるようになるには少し時間がかかるかもしれません。
さて、講演の最後に藤原先生の教室の Web pageが紹介されました。特にブログは数日おきに更新するので是非見て欲しいということでした。実際に覗いてみると、私が聞いた講演の内容の多くが載っていました。抗 AQP-4抗体の検体の送り方なども書いてありますので、是非見てみてください。
東北大学大学院医学系研究科多発性硬化症治療学寄附講座
針治療後に血圧が低下して脳梗塞を起こしたり、カイロプラクティック後に椎骨動脈解離(頚部を急激に回旋するため)を起こして来院した症例の経験があります。前者は非常に特殊な症例なので、ほとんど報告はないかもしれませんが。
あらゆる治療には、それなりの合併症が存在することは免れないので、そのこと自体をとやかくいうつもりはありません。しかし、治療に関する情報を把握して、メリット・デメリットを勘案して選択するべきだと思います。
あるサイトに鍼治療に関する合併症の報告がまとめられていたので、紹介しておきます。
Medlineによる鍼の有害作用に関する調査報告の紹介
医療従事者にとっても、「鍼治療を受けた後症状が出て・・・」という訴えで来院された方に、上記のような知識があると対応しやすいかもしれません。
ドリームパスポートが引退し、乗用馬になるそうです。
11月5日9時2分配信 日刊スポーツ
左前浅屈腱(けん)炎を発症しアルゼンチン共和国杯出走を断念したドリームパスポート(牡5、稲葉)がこのまま引退し、乗馬に転身することになった。4日、馬主のセゾンホースクラブがホームページで発表した。回復まで1年以上を要し、再発の可能性もあることなどから復帰を断念。近日中に登録を抹消し乗馬として余生を送る。牧場関係者によると、北海道恵庭市のすずらん乗馬クラブにけい養される予定。通算22戦3勝。3歳時にきさらぎ賞(G3)神戸新聞杯(G2)を制覇。G1でも皐月賞と菊花賞で2着、ダービー3着。ジャパンCはディープインパクトの2着に好走した。
怪我のため引退しなければいけなくなったことに関係者の心中を察しますが、乗馬として第二の人生(?)を送られることは、馬にとってはよかったのかもしれません。また、乗馬をする方にとって、こうした名馬に跨れるのは非常に嬉しいことでしょう。
実は、岡山県にある蒜山高原にも、競走馬を引退した馬が入厩しています。キーボランチ、マーブルチーフ、エイシンツルギザン、マッキーマックスです。素人には乗れないでしょうが、11月22-24日の連休中に蒜山高原に乗馬でもしに行ってみようかなと、馬券オヤジ氏と画策中です。そこで過去の名馬たちに会えるかもしれません。また、先日生まれて初めての乗馬体験をしましたので、その感覚を忘れないうちに復習です(^^)。
妹からメール。妹と同門でお互いにレッスンを聴きあう仲のヴァイオリニストが、日本音楽コンクールで二位に入賞したそうです。
第77回日本音楽コンクール(毎日新聞社、NHK共催、特別協賛・三井物産)本選シリーズ5日目の25日は、東京オペラシティでバイオリン部門の本選が行われ、端正な様式観を基に格調高くうたいあげた瀧村依里さん(22)=東京芸大4年=が第1位に選ばれた。118人の応募から3度の予選を通過した4人がブラームスの協奏曲を競演し、海野義雄、小林美恵ら11氏が審査した。
他の入賞・入選者は次の通り。(敬称略)
▽第2位 石上真由子(17)=京都・同志社高2年▽第3位 寺内詩織(18)=桐朋学園大1年▽入選 前田奈緒(20)=東京芸大2年▽岩谷賞(聴衆賞)石上真由子
写メも送ってくれたので可愛いじゃんと思って、ネットで記事をチェックすると17歳。さすがに手が出せません(^^;
何年後かには、どこかの演奏会でみかけることになるのでしょうか?