風邪の予防
風邪はイソジンで予防できるのかという研究結果が、Yahoo!ニュースで紹介されました。あいにくそのニュースは削除されてしまっていますが、いくつか扱ったブログがあります。
・内科開業医のお勉強日-うがいのエビデンス-
・医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン-風邪の予防には水でうがいを イソジンでは予防効果なし-
まだ、原著にあたっていないので何ともいえないのですが、上記ブログを見る限り、水うがいが良いようです。私も咽頭痛に対してや、解熱剤として良く処方しますが、ロキソニンは治癒を遅らせることがあるという結論ですね。こうした研究がなされることで、風邪の予防や治療は変わっていくことでしょう。
外来をしていると、無駄に風邪薬を飲んでいる人が多いのが目立ちます。風邪でもないのに「何となく体調が悪いから風邪薬が欲しい」という、風邪薬依存症の老人が多いことは肌で感じますし、風邪薬の種類の多さが処方した医者の優しさであるかのように、10種類くらいの薬を処方している医者もいます。たくさん飲んだから治るわけでもないし、風邪であることがわかっているのなら、辛い症状に最低限の薬だけ飲んで、家でゆっくり休むのが一番だと思いますけどね (風邪であることが確実ならムリに病院を受診する必要も無いわけですが、風邪以外の可能性も考えられる場合は、念のため受診しておいた方が良いように思います) 。
風邪はウイルス感染であり、(インフルエンザなどを除き) 原因ウイルスに効果のある薬がないため、どんなに薬を飲んだとしてもすぐ治ることはないことも知っておくことがあります。夜中、風邪の患者に叩き起こされて、「昼貰った薬を1回飲んだけど治らない」と言われることがあり、どっと疲れが出るのですが、こうしたある程度の知識は持っていてもいいのではないかと思います。国語の授業で「作者の気持ち」とかいう訳のわからないこと考えさせる暇があったら、義務教育で最低限の医学的知識を教育して損はないと思いますけどね。夜中に、「昼間に近くのクリニックで貰った薬をまだ飲んでいないけど、大きい病院から貰った薬を飲みたいから来ました」とか言われたことも1度や2度ではありません。
あと、当然風邪薬には副作用があります。アレルギーを起こすこともありますし、消炎鎮痛剤で胃潰瘍を起こすこともあります (私は昨日の当直でも、風邪薬として消炎鎮痛剤を貰って急性胃炎を起こした患者を診ましたが、別に珍しいことではありません)。こうしたことを考えて、薬をどうするかは総合的に考えるべきですね。ただし、医者の立場からすれば、せっかく来院した患者に、「風邪ですね。薬は出しませんのでゆっくり家で寝ていてください。」とは言いづらいので、やっぱり何かしら薬は出してしまうのですけれど。
風邪に対する研究は遅れているので、まだまだ研究の余地があるように思います。また、医療従事者、患者双方に啓発すべき点があるように思います。