イメージと読みの将棋観

By , 2009年1月11日 12:02 PM

「イメージと読みの将棋観(鈴木宏彦著、日本将棋連盟)」を読み終えました。

この本は、「羽生善治、谷川浩司、渡辺明、佐藤康光、森内俊之、藤井猛」という6名のトッププロが、ある局面を分析し、自分なりの応手や先手勝利確率を述べる内容となっています。プロ共通の認識というのははっきりとありますが、棋士によって有利不利の判断が分かれたり、候補にあげる最善手が異なったり、個性を感じて非常に面白かったです。それぞれのトッププロが判断した根拠も詳しく書いてあります。

過去の名局から出題したものが多かったのですが、漠然とした質問として「初手の戦略は」「2手目△3二飛の奇手」「2手目6二銀は通用するか?」などもあり、飽きさせませんでした。江戸時代の棋譜から次の一手を出題したものもありました。

また、2日制の勝負のとき、1日目の最後に行う「封じ手」についての質問では、羽生善治氏「どちらでもいい」、森内俊之氏「相手にしてもらった方が気楽」、佐藤康光氏「自分で封じちゃったほうがすっきりする」、谷川浩司氏「してもらった方が楽」、渡辺明氏「選択肢が多い局面では自分で封じようとする」、藤井猛氏「基本的に封じる方が有利です」とかなり意見が分かれました。こうした質問を複数のトッププロをぶつけたのは初めての試みかも知れません。

定跡を覚えるための本ではありませんが、ある局面においてプロがどのようなプロセスを経て考えているか、どのような候補手を挙げて選択しているかなど、非常に興味深く読みました。

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