感染症

By , 2009年6月1日 10:30 PM

最近、研修医向けに感染症診療の手引きを作って配布しました。わかりやすくまとめたつもりです。日本での使用が許された抗菌薬の量は、国際的に使用される量よりかなり少ないのです。最も効果的に使用すると、かなり保険で切られて赤字になってしまいます。

とはいっても、学問的な抗菌薬の使い方は大切ですので、研修医レベルで読んでおくと良い本を紹介しておきます。

<推薦図書>
① レジデントのための感染症診療マニュアル 第2版, 青木眞著, 医学書院
定番です。辞書的にも使えますので、必ず持っておくようにしましょう。私の手引きもほとんどこの本を参考にしていますし、困ったケースでは、この本が必ず使える筈です。
② 抗菌薬の考え方、使い方 Ver. 2, 岩田健太郎/宮入烈著, 中外医学社
「レジデントのための感染症診療マニュアル」より簡単に書かれています。
③ 結核診療プラクティカルガイドブック, 伊藤邦彦, 南江堂
結核のことなら、ほぼ何でも書いてあります。
<推薦サイト>
感染症ブログ感染症診療の手引きが公開されています。
<推薦メーリングリスト>
Idaten:日々、感染症専門医からのメールが届くので、読むだけで勉強出来ます。

最近見つけたのですが、大野先生の「レジデントのための
日々の疑問に答える感染症入門セミナー
」が結構面白いです。大野先生は、Idatenで積極的に発言されていて、勉強させて頂いています。

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免許

By , 2009年6月1日 10:28 PM

 高齢運転者:「認知症」なら免許、召し上げ 更新時、75歳以上は検査 /滋賀

6月1日13時2分配信 毎日新聞

◇きょうから道交法改正

75歳以上の高齢ドライバーが運転免許を更新する際、記憶力や判断力を調べる「講習予備検査」が、1日の改正道交法施行により義務づけられる。検査結果などによっては医師の診察を受けなければならず、そこで認知症と診断された場合には免許が取り消される。県内でも高齢運転者による人身事故は年々増加しており、県警交通企画課は「高齢だから必ず危ないというわけではないが、認知症のドライバーもいるはず。大事故になる前に見つけられれば」と話している。【稲生陽】

県内の75歳以上の運転免許保有者は全体の約4%にあたる3万6839人(今年4月末現在)で年々増え続けているが、高齢者からの免許返納はあまり進んでいない。昨年は過去最高の85人となったが、全国では5番目の少なさ。下にはいずれも滋賀より人口の低い県が並んでいる。

一方、75歳以上の運転者による人身事故も増え続けており、今年は4月末現在で115件と過去最高の昨年を上回っている。昨年9月に豊郷町の町道であった軽トラックによる軽傷ひき逃げ事故では、運転していた愛荘町の農業男性(82)が事故後に認知症と診断された。事故で運転席の窓ガラスが割れても、気付かずに走り続けていたという。

今回の法改正では、75歳以上には免許更新時の検査を受けることを義務付けた。そこで「記憶力・判断力が低くなっている」と診断され、更新の前後に交通違反があれば専門医の臨時適性検査を受けることになり、認知症と診断されれば免許取り消しとなる仕組みだ。警察庁によると、記憶力・判断力の低下と診断されるのは全体の3%ほどという。

◇運転やめるよう説得、守山野洲医師会取り組み
認知症患者は02年の道交法改正から免許取り消しの対象となっているが、これまでは取り締まりや患者が自ら申告する制度はなかった。診断書を出す医師もそのことを知らない人が多かったため、県内では医師会が中心になって患者に運転をやめさせようとする動きもある。

守山野洲医師会では昨秋、守山署や両市と認知症患者に運転をやめてもらうための勉強会を初めて開催し、診断書に車を運転させないよう注意を付記するという活動を続けている。これまで診断書まで書いたのは数人にとどまっているが、家族を通じて患者に運転をやめてもらうよう説得している。中心となった同医師会の北野充理事(52)は「認知症のドライバーはまだたくさんいる。事故防止のため、医師も積極的にかかわっていく必要がある」と話している。

認知症が疑われた方の多くが神経内科を受診するのでしょうが、下手すりゃ全員に高次脳機能検査、採血 (血算・生化学一般、ビタミン、アンモニア、梅毒、甲状腺機能など)、頭部 MRI、脳血流 SPECT等検査が必要になりそうですので、外来が大変になりそうです。急にみんな来院したら、外来パンク状態になりかねないと危惧しています。

それよりかさ、高齢現役医師とか国会議員の認知症検査はいらんのかいな・・・なんて。

(追記)
認知症のスクリーニング検査で行う高次脳検査があるのですが、問題点として慣れ効果もあるので、繰り返し練習すれば実力より高得点がとれてしまうのです。研修医が繰り返し HDS-R検査して、18点→25点となった症例を思い出しました。もちろん評価にはなりません。問題を覚えると点数が上がってしまうことがあるので、気をつけないといけませんね。

認知症の方の運転の問題については認知症の種類によっても異なり、例えばアルツハイマー病の方は健忘のため道がわからなくなって引き返すときに事故をすることが多く、前頭側頭型認知症の場合は道路を逆走するなど反社会的行動で事故を起こすことが多いと言われています。

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鳥インフルエンザ

By , 2009年6月1日 10:20 PM

豚の方は落ち着いてきましたが、懸念されるのは鳥インフルエンザ。致死率が高すぎます。

国立感染症研究所高病原性鳥インフルエンザ情報を見ていると、中国、ベトナムに続いてエジプトで流行が見られるのがわかります。

かなり心配して見ていたのですが、いなか小児科医様のブログで、興味深いニュースが紹介されていました。

 いなか小児科医-なぜ、蔓延しないのか?-

『鳥インフルエンザウイルスにとってヒトの鼻腔は寒すぎる

鳥インフルエンザ(H5N1)ウイルスにとって、ヒトの鼻腔内は温度が低すぎることが明らかにされた。このウイルス株がこれまでヒトの間で拡大しにくかったのはそのためではないかと科学者らが報告している。

英インペリアル・カレッジ・ロンドンおよび米ノースカロライナ大学の研究グループによると、鳥インフルエンザウイルスは40℃前後の鳥の消化管内で増殖するが、通常ヒトへの最初の感染部位である鼻腔内の温度は約32℃である。実験の結果、この低温の環境では鳥インフルエンザ株は成長および増殖することができず、近辺の細胞を効率的に死滅させることもできないことが示されたという。

また、研究チームがヒトインフルエンザウイルスに鳥インフルエンザ株由来の蛋白(たんぱく)を追加して特殊な突然変異ウイルスを作製したところ、この株も32℃では生存および成長が困難であった。このことから、鳥インフルエンザウイルスがヒトの鼻腔に容易に感染するには少なくとも2回以上の変異が必要であることが示されるという。この知見は、オンライン医学誌「PLoS Pathogens(病原体)」5月15日号に掲載された。

当面、鳥インフルエンザの日本での流行はなさそうですが、その前に準備しておかないといけませんね。

タミフルやリレンザの備蓄(鳥インフルエンザにどこまで効果があるかわからないけど)、トリインフルエンザ・ワクチンの量産の準備、豚インフルエンザで露呈した対策の不備の修正など、やらなければならないことがたくさんあるはずです。

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