遺伝子解析超基本講座
6月 13日に学際企画による遺伝子解析超基本講座に参加してきました。10時から 16時までみっちり講義で、結構疲れました。
場所は信濃町の東医保険会館。信濃町駅には初めて行ったのですが、怪しい教団施設が乱立していました。宗教って金になるんですね。
今回は超基本講座でしたが、PCR法の原理程度の内容は知っていることが前提で、実際に行うにあたってという話が主体でした。簡単に内容を書いておきます。
遺伝子解析超基本講座1. 遺伝子解析実験を上手く運ぶための基礎知識
2. DNA解析実験の立ち上げ入門
3. DNA・RNAの抽出
4. PCRによる断片の増幅
5. 電気泳動
6. 変異・多型解析
7. シークエンシング
最初の方は基本的な内容でしたが、特に PCRにおけるプライマーの設計は勉強になりました。プライマーの長さだとか、GC含量だとか、Tm値の計算なんてのは、実際にまだ実験をしたことがない者にとっては、新鮮でした。
シークエンシングの話も面白かったです。所謂、古典的な方法だと Sanger法を用いていたのですが、ヒト DNA 30万塩基を 1回読むのにかかる時間は、1996年の機械で約 5000年、2002年の機械で約 5年。ところが 2006年に超高速シークエンサーが登場し、2006年に約 15日、2007年に約 6日と飛躍的に時間が短縮されました。数年以内には、何時間かで読むことが出来るようになりそうです。技術の進歩は凄いですね。
講師の大藤道衛先生は著書をたくさん執筆されていて、話が整理されていました。また、実践的でした。講習が終わってから、質問コーナーには実験ノートを持った研究生達が集まりました。大藤先生は、その結果を見ながら、どうして上手くいかないかを的確に指摘し、失敗を回避する方法を指導されていました。私は、Nested PCRについて質問しました。「神経内科の分野では、髄液からの結核菌の検出には Nested PCRを用いるべきだと良く言われるのですが、かなり感度が違うのでしょうか?」と質問したのですが、大藤先生によると、Nested PCRは古い方法だし、Real time PCRでも感度が十分なので、無理に Nested PCRにこだわる必要はないのではないかとの話でした。
散々勉強して、頭から湯気が出ていたため、練馬の「海峡」で一杯飲んで帰りました。鮎の塩焼きが美味しかったし、「田酒」「司牡丹」も最高でした。