「偽善の医療 (里見清一, 新潮新書)」を読み終えました。
岩田健太郎先生のブログで紹介されていて、魅了されて購入したのでした。思わず頷きながら、あっという間に読了しました。内容については、岩田健太郎先生のブログに簡単に紹介されていますのでご覧ください。
楽園はこちら側-偽善の医療-
本書は様々な意味で問題提起をしています。
「患者様」という呼称の問題、告知の問題、人工呼吸器の問題、安楽死の問題、健康食品や怪しげな民間療法の問題、医師への謝礼の問題・・・。
すべての人間の死亡率は 100%であり、ほぼすべての人間は「患者」という状態を経験して死に至ります。
そのために考えておいた方が良い問題が多く挙げられています。また、本書を通じて、怪しげな治療に騙されないための科学的、論理的思考をある程度身につけることが可能です。多くの方が読まれることを期待します。
そういえば、最近何度かコメントを頂いた呼吸器内科ブログ管理人様のブログでも紹介され、感想が述べられていたのを思い出しました。
バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンの全集を買って聴いていると、同じフレーズの使い回しが結構多いことに気がつきます。
バッハの場合は、週に 1回ミサを書かなければいけなかった事情もあるし、もともと主題をどう扱うかの技法の面に重きがあったりして、同じ主題を何回も扱うことに納得できます。
モーツァルトの場合は、お気に入りの旋律を、手を変え品を変えて登場させます。様々な楽器、シチュエーションで登場し、気に入った旋律を変奏させて遊びます。旋律はとびっきり綺麗です。
ベートーヴェンにもいくつか使い回しは見られるのですが、少し事情は違うようです。曲のテーマとして用いることもあるのですが、作品の途中にさりげなく組み込まれることもあるようです。
晩年の作品、弦楽四重奏曲第 15番作品 132を聴いていて、彼の若い頃の作品に使われているフレーズがあることに気付いて非常にびっくりしました。びっくりした理由について述べたいと思います。
以前、「お気に入りの主題」として紹介した「エロイカ」の主題は生涯に 3回使われましたが、作曲年は非常に近いです。
1801年 バレエ音楽<プロメテウスの創造物>作品43のフィナーレ
1802年 <12のコントルダンス>WoO14第7番
1805年 交響曲第 3番「エロイカ」
編曲についても同じ。ヴァイオリン協奏曲と、それを編曲したピアノ協奏曲の作曲年も近いです。
1806年 ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op. 61
1807年 ピアノ協奏曲ニ長調 (ヴァイオリン協奏曲のピアノ版)
今回の弦楽四重奏曲第 15番作品 132の 2楽章中間部で使い回されていたのは、12のドイツ舞曲 WoO 13の第 11曲でした。調性も、旋律もまったく同じです。同じというだけならびっくりしないのですが、作曲年の違いに唖然とします。
1795年? 12のドイツ舞曲 WoO 13
1825年 弦楽四重奏曲第 15番 Op. 132
なんと 30年間も経ています。弦楽四重奏曲の集大成とも言える作品に、何故初期の作品が組み込まれているのか?
しばらく思索にふけるに相応しい題材を与えられた気分です。
岩田健太郎先生のブログにカルバペネムのまとめがありました。面白かったので紹介。
楽園はこちら側-カルバペネムのまとめ-
ついでに、もう一つ、過去の勉強になるエントリーも紹介。
楽園はこちら側-透析療法と感染対策-
しゃんでりあ先生から、コメント欄で生豆の魅力を教わりました。
生豆を求めて、練馬にあるバーバー珈琲に行ったところ、豆を店で焙煎していて更に浅煎りとのこと。店員に聞くと、仕入れた豆の中から傷物を選別して除外し、きちんとした豆だけを浅く焙煎してきているらしいです。豆の選別は結構手間がかかるものの、こだわっているとのことでした。
店舗のオリジナルブレンドを買って帰って飲んでみると、確かに生豆の香りが漂い、おいしかったです。深煎りは長持ちするので、多くの喫茶店では深煎りにしているらしいのですが、浅煎りには別の魅力がありますね。
今度は、いろんな銘柄の豆を浅煎りで試してみたいと思いました。
<豆知識>
しゃんでりあ先生の名前の由来は、郡山時代に私の引っ越しを手伝ってくれたとき、我が家から「しゃんでりあ」を持って帰ったことに由来します。
12月 1日に池袋に将棋バーがオープンしました。開いたのは、橋本崇載七段です。将棋の普及を目指してのことらしいです。行くと、プロと将棋が打てることもあるようです。
できれば年内に是非行ってみたいと思っています。ご本人のブログにある案内を紹介しておきます。
棋士らしくないブログ-将棋バー!?-
忘年会シーズン真っ盛りです。
12月10日(木) 飲み会 (大学)
11日(金) 当直
12日(土) 当直
13日(日) 飲み会 (学生時代の部活の納会)
14日(月) 飲み会 (後輩から急遽相談とのこと)
15日(火) 飲み会 (医局忘年会)
16日(水) 飲み会 (前の勤務先忘年会)
12月の飲み会がほぼすべてこの 1週間に凝縮されて、このようなスケジュールになりました。一回あたりの飲酒量を軽くして、乗り切るしかありません。
昨日は、学生時代所属していた部活の飲み会で、池袋に行ってきました。個人的に後輩を引き連れ、三次会に「ザウルス」という店に行ったのですが、これが良い店でした。雰囲気や料理の味はもとより、扱っているビールの多さ。
昔、江古田にあったイスラエル料理店で飲んだ「マカビー」というビールや、ベルギーほか世界各国のビール各種がありました。懐かしいキリンの「ハートランド」というビールもありました。ビールだけではなく、オリジナルカクテルも凄くおいしかったです。池袋に行く機会があったら是非お勧めです。
当直の日を休肝日として、普段から飲んだくれているみぐのすけとしては、看過できないニュースです。
Continue reading 'ショウジョウバエ'»
読んで ムカつく噛みつき評論に、視聴者を安心させないでというエントリーがありました。
「(医師は)健康番組の打ち合わせで、テレビ局側に最初に念を押されたという。
『視聴者を安心させないでください』
不安を覚えた視聴者はチャンネルを切り替えずに番組を注視し、続編を出せば飛びついて見てくれる」
健康番組の翌日は、不安を感じた一般人の受診が多く、外来担当医に負担となることがあります。いつもに比べて「○○が不安」という受診が多いのです。不安症の方の受診ばかりで、実際にその病気の方が受診するのを見たことがありません。症状がないのに、「新型インフルエンザが不安だから検査してくれ」なんてのも似てますね。
もし、上記に書かれた打ち合わせの風景が本当だとすれば、ただ不安をあおるのではなく、きちんと事実を伝えて欲しいものだなと思います。
11月15日に季節性?というエントリーを書きました。A型インフルエンザに罹患後、1ヶ月後に再度インフルエンザA型が陽性になった患者を診察したときの話です。その時は、新型と季節性、各1回ずつ罹患したのかなと思ったのですが、どうやら新型インフルエンザに 2度罹患することがあるらしいという話が出てきています。
大阪府内で5月、新型インフルエンザの集団感染が確認された関西大倉中学・高校の生徒を対象にした血清疫学検査で、府立公衆衛生研究所は11日、ウイルスに感染しながら症状が出ていない「不顕性感染者」が確認されたと発表した。
検査は8月下旬、生徒550人、教職員95人、生徒の家族2人の計647人を対象に実施。ウイルスに感染もしくは疑いが強い、高濃度(抗体価160倍以上)の抗体量を示した98人のうち18人(18.4%)に発熱、せきなどの症状がなかった。
また検査後に発症した108人のうち、高濃度の抗体を持つ人は3人おり、発症が1度にとどまらない可能性もあることが判明した。
同研究所は「(年齢層に偏りがあるため)必ずしも一般化できない」としながらも、「季節性インフルエンザと似ている」との見解を示している。(2009/12/11-22:35)
Idatenという感染症専門メーリングリストでも同様の報告がされており、今後の動向が注目されます。
新型インフルエンザに同年に再感染することがあるのなら、ワクチンを接種したにも関わらず感染することがあるのも納得出来ます。まぁ、2回新型インフルエンザに感染すれば、よっぽど強い免疫の「記憶」が出来そうですけどね。