先日、Bermuda先生と飲みに行ってきました。私は病棟の飲み会があったので、18時から 20時くらいまで軽く池袋で。
詳しい話はあまり言えないけど・・・というのは飲み過ぎて記憶が定かじゃないから・・・また今度飲もうという話になりました。
あー、懐かしかった。
Bermuda先生のブログ紹介しておきますね。ジャパンブログアワード受賞してるとか、産経新聞で連載してるとか、詳しくは先生のブログを見せてください。
毒舌ドクターBermudaの三角形な気持ち
あと、Bermuda先生の出している本もお薦めです。この本で勉強すれば、国試のギネの問題はバッチリ (嘘)
産婦人科医バミュの「小悪魔日記」
おいらと飲みに行ったときの話、ブログでちらりと触れられてました。
毒舌ドクターBermudaの三角形な気持ち-遺伝子の話-
Twitterで議論になった「余命1ヶ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」。番組内容がおかしいとして、内容見直しの要望書や公開質問状が TBSに出され、物議を醸しています
TBS「余命1ヶ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」の内容見直しを求める要望書提出について
世間一般では検診信仰というのがあるように思いますが、良い面ばかりではなく、なかなか複雑な問題を孕んでいます。李啓充先生のコラムを読むと、それらの問題を理解でき、上記の要望書の意味がわかるようになります。是非読んでみてください。
乳癌検診をめぐる大論争(1)
乳癌検診をめぐる大論争(2)
乳癌検診をめぐる大論争(3)
「物理学者の心 (寺田寅彦著、学生社出版)」を読み終えました。以前紹介した科学随筆文庫の第1巻にあたります。
寺田寅彦は東京帝国大学実験物理学科を首席で卒業し、Natureに論文を載せている立派な科学者です。一方で、文学者であり、夏目漱石と親交厚く、「我が輩は猫である」の水島寒月のモデルであるとされています。
本書の最初の随筆は、「花物語」。昼顔、月見草、栗の花、凌霄花 (のうぜんかずら)、芭蕉の花、野薔薇、常山の花、竜胆花の 8つの花をテーマにそれぞれ思い出話を書いていますが、淡い遠き日の美しい、あるいは切ない記憶が読む人を引き込みます。
次の随筆は、「病院の夜明けの物音」。明け方に病院で聞こえる物音を臨場感たっぷりに描写しました。あるいは、寺田寅彦は胃潰瘍に悩まされていたので、実体験だったのかもしれません。随筆の最後まで延々と音の描写が続くのですが、最後の数行に著者の心情が描かれます。ここまで情景しか描いてなかったので、却って深みがあります。その最後の数行を引用します。
自分の病気と蒸気ストーブは何の関係もないが、しかし自分の病気もなんだか同じような順序で前兆、破裂、静穏とこの三つの相を週期的に繰り返している気がする。少くも、これでもう二度は繰り返した。一番いやなのはこの「前兆」の長い不安な間隔である。「破裂」の時は絶頂で、最も恐ろしい時であると同時にまた、適当な言葉がないからしいて言えば、それは最も美しい絶頂である。不安の圧迫がとれて貴重な静穏に移る瞬間である。あらゆる暗黒の影が天地を離れて万象が一度に美しい光に照されると共に、長く望んで得られなかった静穏の天国がくるのである。たとえこの静穏がもしや「死」の静穏であっても、あるいはむしろそうであったらこの世の美しさは数倍も、もっともっと美しいものではあるまいか。
「蓄音機」という随筆は、当時流行した蓄音機にまつわるものです。「グラモフォーン」という語も登場します。グラモフォーンは今では CDのレーベルとして有名ですが、昔は蓄音機を作っていたんですね。著者は中学生時代に初めて見た蓄音機に大きな衝撃を受けました。しかし、その後汽船の中で流される閉円盤レコードの音に悩まされて以後、あまりレコードに良い印象を持っていなかったようですが、妻を亡くしてから淋しさの中に聞いた御伽劇のレコードに涙し、蓄音機を購入します。その後、生と録音の違いなどについて思索が巡らされます。なかなか含蓄のあるエッセイでした。
「茶碗の湯」は茶碗に入った一杯の湯についてだけで書き上げた随筆です。よくここまで話を膨らませるものだと感心しました。
「相対性原理側面観」は著者の専門領域の一つ。この難しい理論が理解出来ないという声が大きいので、彼は「理解する」のがどういうことかという議論を提唱します。「ニュートン力学」は相対性理論の出現によって初めて理解が可能になったのであって、ニュートンですら理解していなかったというパラドックスに逢着します。つまりアインシュタイン自身相対性理論を徹底的には理解できていないとも言えるのです。そうしたことを踏まえて、この理論をどう味わえば良いか述べていきます。
この随筆にいくつも示唆に富む言葉があったので紹介しておきます。
・「完全」でないことをもって学説の創設者を責めるのは、完全でないことをもって人間に生れたことを人間に責めるに等しい。
・少くとも我々素人がベートーヴェンの曲を味うと類した程度に、相対性原理を味うことは誰にも不可能ではなく、またそういう程度に味うことがそれほど悪いことでもないと思う。
・私は科学の進歩に究極があり、学説に絶対唯一のものが有限な将来に設定されようとは信じ得ないものの一人である。それで無終無限の道程をたどり行く旅人として見た時にプトレミーもコペルニクスもガリレーもニュートンも今のアインシュタインも結局はただ同じ旅人の異なる時の姿として目に映る。
・自然の森羅万象がただ四個の座標の幾何学に詮じつめられるということはあまりに堪え難き淋しさであると嘆じる詩人があるかもしれない。しかしこれは明らかに誤解である。相対性理論がどこまで徹底しても、やっぱり花は笑い、鳥は唱うことを止めない。
本書には、その他にも面白い随筆が一杯です。研究者には「科学者とあたま」という随筆を紹介したいです。「頭が良い」ことで陥りがちな失敗について触れられています。
寺田寅彦の随筆は青空文庫にもたくさん掲載されています。著者権が切れており、無料で読むことが可能です。
青空文庫-寺田寅彦-
本日ハンセン病資料館に見学に行ってきました。感染症を専門としている heropu先生から Twitterを通じて誘われ、神経内科医として是非とも見学したいと思って、一緒に伺いました。ハンセン病は末梢神経障害を起こすので、神経内科医が知っておかないといけない疾患なのです。
清瀬駅から 2 kmくらい。バスに乗ると、10分くらいでしょうか。途中、複十字病院を通った際、結核に対する検査「Quantiferon」が一般の施設で出来なかった時代に、検査を依頼したのを思い出しました。
ハンセン病資料館は自然に囲まれ、外観からは悲惨な歴史を内部に展示しているとは露とも感じさせませんでした。この資料館は多摩全生園に隣接しています。全生園は春には桜が非常に綺麗なのだそうです。勤務していた医師から、東京で一番桜が美しい場所だと聞きました。
資料館は入館無料で、常設展示の一画は整備中で見られませんでしたが、その分特設展示を見ることが出来ました。多くの展示物から、悲惨な歴史を学びました。このような歴史知ることは大切ですし、また疾患に対する正しい知識を得ることも必要です。
らい菌を発見しハンセン病に名前を残したハンセンを Wikipediaで調べると、一癖も二癖もある人物だったらしく、感染性の実験のために少なくとも1人の女性患者を感染させようとし、これにより裁判沙汰となり、彼は病院での地位を失ったそうです。ただ梅毒でもこれに類する事例があって、梅毒の歴史という本にリコールが囚人に淋病を移植し、梅毒が発生しなかったことから、梅毒と淋病は違う疾患であることを示したことが記されています。ハンセンが梅毒に罹患していたと知り、関係があるかないかはわかりませんが、似たようなことをしていたのに少し考えさせられました。
見学が終わってから、館内の図書館でハンセン病の勉強を色々して帰りました。「標準皮膚科学 (西川武二監修、医学書院)」は簡潔に纏められており初学者にお薦めです。また、「総説 現代ハンセン病医学 (大谷藤郎監修, 東海大学出版会)」は基礎医学から臨床まで詳細に記載されていました。
ハンセン病は治療可能な疾患であり、早期に診断をつけることが重要であると思います。特に神経内科医、皮膚科医が最初の砦であることを自覚し、臨床に当たりたいと思いました。
The Muppet showシリーズが Youtubeにアップされています。音楽関係の劇の面白いこと。それにしてもこのシリーズたくさんあって、当分飽きなさそうです。
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