調整
数年ぶりに楽器の調整に行ってきました。東邦音大の近くの「Tiento」という工房です。
楽器は 1ヶ月に数度しか触っていなかったのですが、調整していなかった期間が長かったからか、顎当てを外すと裏板が 1/5くらい剥がれていて、崩壊寸前でした。駒も歪んで倒れかけていたので新調して貰いました。調整して響きが格段に良くなった筈ですので、時間を作ってまた弾きたいです。
工房では、工房主の方と話が弾みました。
①私が Genoaでパガニーニが弾いた名器「Canon」を見てきたと伝えると、工房主の方はその楽器を「何度も手に取ったことがある」と。
②私が求めている、医師「Kresnik」の作った楽器。Kresnikは戦争中、爆撃で死んでおり、その際に楽器も大量に失われた可能性が高い。こうしたマイナーな職人の楽器は domesticな範囲でのみ流通しており、外には存在が知られていないことが多い。また、値段が付かないくらい安いだろう。私がクロアチアに買い付けに行ったら、多分中国製楽器にラベルだけ貼り替えて売られるのがオチ。
③アマティの息子に従軍医がいた。楽器制作に薬品を扱っていたからかも知れない。しかし、彼の製作した楽器は残存していない。
④昔の楽器職人は、それだけでは生計が立てられないことが多かったので、画家とか他に職業を持っていて、副業として作ることが多かった。
他に作曲家と病気の話、「脳と音楽 (岩田誠著)」に出ていたバッハの墓所発掘の話、楽器製作で有名なクレモナやミッテンバルトの話・・・などなど、色々話し込みました。久しぶりに音楽の話が語れて、楽しかったです。