報告が遅れましたが、4月 11~13日に石巻市渡波に、ジャパンハートのメンバーと共に行ってきました。
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渡波は、石巻市の東部に位置する、海沿いの地区です。津波で甚大な被害を受けました。この地区にある自民党のプレハブ選挙事務所を拠点に、診療所を開き活動をしました (選挙事務所は、津波で選挙が出来ない状況になって、候補者の方が貸してくださったのです。しかし、浸水したところをジャパンハートのスタッフが片づけてのスタートでした)。幸い、私が行く数日前に診療所に電気、水道が通っており、その恩恵を被ることが出来ました。
診療所では、意外と小児科の患者さんが多く、「専門的治療が必要なので石巻赤十字に行ってください」と言いたくても、受診患者さんの半数が車を失い、さらに石巻赤十字まで 10 kmくらいあるという状況の中での診療でした。
渡波から 10 kmくらいの距離にある女川に一度出掛けましたが、街の中心部は何もなくなっており、3階建てのビルの屋上に車が打ち上げられているなど、悲惨な光景でした。高台にある女川町立病院にも津波が押し寄せており、診療が出来る状況なのか凄く気になりました (2月21日から病院のサイトも更新されていません)。
今回は、行った期間が短かった (毎週木曜日が外来、土曜日が当直なので纏まった活動時間がとれない) ため、私は満足する活動が出来ませんでしたが、私と入れ替わりで戻ってきたナースは、10日間入浴もせずにぶっ続けで働いていたとのことで、頭が下がりました。
Golden weekは纏まった時間がとれそうなので、被災地に行こうかと思いました。しかし、多くの医療ボランティアが参加を表明しており、枠がありませんでした。多くの人がまだ「何とかしなきゃ」と思い続けていることを嬉しく思います。
4月27日に被験者として和光市の理化学研究所に行ってきました。将棋思考プロセス研究のうちの一つです。
実験を担当してくださった方は、中谷裕教氏で、以前紹介した本「将棋と脳科学」にも登場した方でした。研究者として、将棋ファンとして話が凄く話が合い、実験が終わってから話し込みました。そして最後に実験に協力している数十名のプロの色紙を見せて頂きました。プロになりたての棋士の初々しい揮毫、タイトル経験者の素晴らしい揮毫 (特に森内九段は素晴らしかった) などを鑑賞しました。木村一基八段が A級から B級1組に落ちた直後に書いた色紙には、「百折不撓」と書いてあり、どんなに辛い局面でも堪え忍んで頑張る彼の心境が表されていました。詰め将棋を色紙に書いていた棋士もいて、中谷氏と一緒に解きました。
私は将棋 Barで何度か橋本七段にこの研究の話をして、Scienceの論文を語ったりしていたのですが、その後橋本七段がこの実験を受けに来てくださっていたと聞いて感動しました。
中谷氏は、「Scienceに載った研究はスタートラインなのに、読んだ人みんな集大成みたいなこと言うんですよ」と笑っていましたが、この研究が発展していくことを願ってやみません。
東北関東大震災被災者支援チャリティー・コンサートがネット配信されています。
東北関東大震災被災者支援チャリティー・コンサート (ネット配信は後日終了)
指揮はズビン・メータで、曲は「G線上のアリア (Bach)」「交響曲第九番 (Beethoven)」です。
動画から、演奏家達が自分たちにとって出来る精一杯のことを尽くしている様子が伝わってきました。メータの表情も、必死で悲しみを堪えて前に進もうとしているかのようでした。感動的な演奏で、何度も鑑賞しました。
放射線への危惧から、来日を取りやめる外国人が多い中、演奏家としての使命感を持って、タクトを振ってくださったメータに、感謝の意を伝えたいです。彼の挨拶にある「この偉大な国、日本を襲った未曾有の悲劇の後に、何かこの国の素晴らしい人々を助けられることがないかと考えておりました」という言葉から彼の人柄を感じました。
プロフィールを見ていると、メータは一時医学を志したことがあるそうですね。余談ですが、そのことでも少し親近感が湧きました。
1936年、ボンベイに生まれる。有名なコンサート・ヴァイオリニストでボンベイ交響楽団の創立者でもあった父、メーリ・メータより最初に音楽の手ほどきを受けた。ほんの短期間ボンベイで医学部進学課程に籍をおいたものの、(略)
4月22日はラロの命日でした。ラロの「スペイン交響曲」は、小学生の頃発表会で演奏した思い出の曲です。まぁ、弾くのと弾けているのは違うのであって、あくまで「弾いた」だけです。ラロのヴァイオリン協奏曲第1番と、2番「スペイン交響曲」を初演したのはかの有名なサラサーテというのは知られた話です。
Youtubeでラロの「スペイン交響曲」を鑑賞していたら、面白い動画に出会いました。事件が起こったのは最後の動画ですが、せっかく良い曲なので、全曲通して聴いてみてください。
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獨協医科大学内分泌代謝内科の論文不正疑惑について追及したブログがあります。
この問題について、同大学の小鷹昌明神経内科準教授がコメントされています。小鷹教授は Guillain-Barre症候群など末梢神経の免疫疾患での世界的権威です。
良いとか悪いとかのみの問題ではなく、もっと深いところに根がある問題だというのが、文章からわかります。サイエンスに関わる人間には、是非読んでみて頂きたいと思います。
論文捏造疑惑
「モーツァルトを『造った』男 ケッヘルと同時代のウィーン (小宮正安著、講談社現代新書)」を読み終えました。モーツァルトを「造った」という表現がタイトルにありますが、モーツァルトが生きた時代にはモーツァルトよりハイドンの方が有名であり、モーツァルトは様々な政治的な要因があり、後世ウィーンの音楽の象徴となった訳です。もちろん音楽自体のすばらしさは言うまでもありませんが、ケッヘルがモーツァルトの楽譜を集め、散逸を防ぎ、ほとんどの作品を網羅した目録を作り上げていなければ、今日ここまでモーツァルトの楽曲は耳に出来なかったかもしれません。モーツァルトがいかにして今日の姿に造られたかは、是非本書を読んで頂ければと思います。
音楽の勉強をしていると、「時代背景を勉強しなさい」と言われますが、本書を読んでモーツァルトやケッヘルの置かれた時代の流れがとても勉強になりました。特にウィーン旅行を考えている方には、是非読んで頂きたい一冊です。
以下、備忘録。
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以前、Happy birthday songの動画をいくつか紹介しました。Violin演奏で、超絶技巧を散りばめた Happy birthday songを見つけたので紹介します。
・Happy Birthday Violin Variations — Rachel Barton Pine
凄い技巧的な曲ですね。途中はパガニーニを聴いているようでした。それにしてもヴァイオリニストが上手です。
下の動画はおまけ。
・Happy Birthday / Chamber Orchestra Kremlin
医療機関にアクセス困難な被災地の患者さんからの医療相談に答えるメールサービス「Rescue 311」。私も参加していて「中の人」ですが、答える側のシステム操作に慣れるため、トレーニング中です。
Rescue 311
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4月11~13日、再び被災地にボランティアで行ってきます。前回同様、本吉地区を中心に活動する予定ですが、状況次第で別の場所になる可能性もあります。 2週間振りになりますが、復興のムードが感じられれば幸いです。大きなことは出来ませんが、コツコツとやってきます。 本日 13時にジャパンハート事務局に集合して、出発です。
テレビで、気仙沼の酒蔵「男山本店」のことを放送していました。日本酒を醸造するときに熱が発生するので機械で温度管理をするのですが、震災によりそれが機能しなくなり、スタッフが泊まりこんで氷を使って温度管理したそうです。こうして今年の日本酒が完成しました。「蒼天伝」、是非飲んでみたいものです。
男山本店
また、東北地方の酒蔵は「自粛」による二次被害を心配していることが、下記の動画から伝わってきます。
・被災地岩手から「お花見」のお願い②【南部美人】
東北の日本酒を飲むことでも、現地を支援したいです。「東日本大震災の被災地の酒蔵リスト」「東日本大震災の被災地の酒蔵リスト」が、日本酒を買うときに参考になります。