カンボジアの奇病
カンボジアの子どもを襲う謎の病気、3か月で60人死亡 WHO
2012年07月04日 16:42 発信地:プノンペン/カンボジア
【7月4日 AFP】世界保健機関(World Health Organization、WHO)は3日、カンボジアの子供たちの間で広まっている原因不明の病気により、ここ3か月で60人が死亡したと発表した。
WHOの公衆衛生専門家、ニマ・アスガリ(Nima Asgari)医師によれば、最初の死亡例は4月に報告された。犠牲者は全て7歳以下の幼い子どもだという。
WHOは現在、カンボジア保健省と協力して病原と感染経路の特定に取り組んでいる。
アスガリ氏は、まだ調査が初期段階にあるため詳しい症状の特定は難しいとしつつ、「高熱や、重い胸部の症状に加え、一部の子どもは神経系に異常をきたしている兆候がある」と説明している。
現在までに報告された61例のうち、一命を取り留めた患者は1人しかいないという。発症した子どもたちは首都プノンペン(Phnom Penh)と北西部の観光都市シエムレアプ(Siem Reap)の病院に運び込まれている。
WHOが後にAFPに送ったコメントによれば、この病気が伝染病であると示す兆候はまだ確認されていない。(c)AFP
世界を震撼させたこのニュース、どうやらエンテロウイルス 71による手足口病であると結論付けられたようです。さらにステロイドの安易な使用が事態を悪化させていたとのこと。ステロイドは使い方によっては極めて効果的な薬剤です。副作用も必要以上に怖がる必要はありません。ただ、根拠のない使用は、慎むべきですね。以下は、某先生に教えていただいたニュースです。詳細が明らかになってきて、事態は収束に向かいそうです。
2012年07月13日更新 カンボジアで発生している原因不明の病気の調査結果について(更新3)
2012年7月12日に公表されたWHOの情報によりますと、カンボジア保健省は、カンボジア国内の小児で発生した原因不明の病気について、調査の結果、大部分は重症の手足口病であったと結論づけました。WHOと関係機関(カンボジアのパスツール研究所、米国の疾病予防管理センター等)は、2012年4月以降、カンタ・ボパ小児病院(Kantha Bopha Children’s hospital)から、入院した小児の疾患と死亡が異常に増えているとの報告を受け、調査を行っていました。
その調査では、カンタ・ボパ小児病院や他の病院の記録、検査、地域の初動対応チームによる家族調査、国のサーベイランスシステムのデータ評価が行われました。
調査結果
調査によって、合計78人の患者が特定されました。そのうち、カンタ・ボパ小児病院から報告があった患者は62人で、残りは他の病院から報告があった患者でした。症例定義を満たした61人の患者を中心に調査が行われ、そのうち54人が死亡しました。
適切な検体採取をする前に死亡した患者もおり、すべての患者の検体を検査することはできませんでした。合計31人の患者の検体が採取され、カンボジアのパスツール研究所で、いくつかの病原体の検査が行われました。その結果、大部分の検体で、手足口病を起こすエンテロウイルス71(EV71)が陽性となりました。また、インフルエンザ菌b型や豚連鎖球菌など、他の病原体が陽性になった検体も少数ありました。
調査の結果、患者のほとんどは3歳未満で、慢性疾患や栄養失調の患者が数人いました。患者は14州で発生しており、多くはステロイドを投与されていました。ステロイドの使用によって、EV71の患者の状態が悪化したことがわかりました。
対応
この事例に対応して、政府はWHOの支援を受けながら、EV71による重症の手足口病患者の主な症状であった神経症状と呼吸器症状のサーベイランスを強化しました。保健センターは、軽症の手足口病患者を報告するよう指示されました。サーベイランスが強化されたので、今後、数か月間は、この病気の重症例が新たに発見されることが予想されます。
また、保健省は関係機関の支援を受けて、軽症及び重症の手足口病患者を管理するためのガイドラインや研修コースの作成に取り組んでいます。さらに、保健省は、手足口病の予防、患者の発見、治療についての注意喚起を行っています。
手足口病とは
手足口病は、小児でよくみられる感染症です。カンボジアでの発生は新しいことではなく、世界中でみられます。ほぼすべての患者は、治療しなくても、7日から10日で回復し、合併症が起こることはまれです。
手足口病は、家畜に発生する口蹄疫とは別の病気です。手足口病はペットや他の動物から感染することはなく、また、動物に感染することもありません。
手足口病はエンテロウイルスによって起こる病気です。主に、コクサッキーウイルスによって起こり、軽症で自然に治ります。また、EV71によって起こることもあり、この場合には重症な合併症がみられることもあり、死亡することもあります。
手足口病の初期症状
手足口病は、通常、発熱、食欲低下、だるさ、のどの痛みで発症します。赤い斑点の発疹が1日から2日で広がり、手のひらや手、足のうらに水ぶくれができます。発疹は、お尻や陰部にできることもあります。
重症の手足口病の症状
少ないですが、手足口病が小児で重症になることがあります。重症の場合には、息切れ、眠気、手足に力が入らない、けいれんなどの症状がみられます。小児でこのような症状がみられた場合には、すぐに医療機関を受診することがすすめられます。
手足口病の治療
手足口病には、特別な治療法はありません。患者には、十分な水分補給が必要です。発熱や皮膚のただれによる痛みを抑えるための治療が行われます。
手足口病の予防
一般的な衛生習慣を守ることで予防できます。特に、水ぶくれやただれた部分に触った後、調理の前、食事の前、小児に食事や母乳を与える前、トイレの後、小児のからだを洗った後に、石けんと水でよく手を洗うことが重要です。
★感染症情報:手足口病
渡航する方は十分注意してください。
海外滞在中や帰国後に、気がかりな症状が出た場合には、すぐに医療機関を受診し、渡航した地域や滞在中の行動などについて医師に詳しく伝えてください。また、帰国の際に熱や心配な症状がある方は検疫所の担当者にご相談ください。