トーク認知症
「トーク 認知症 (小阪憲司、田邉敬貴、医学書院)」を読み終えました。シリーズ「神経心理学コレクション」の一冊です。小阪憲司先生は、Lewy小体病の提唱者としても有名ですね。序文に本書のコンセプトが書かれています。
単なる臨床の症例集、あるいは神経病理の教科書でもなく、臨床をじっくり見た上で剖検脳を調べるという、Charcot以来の神経精神医学の基本に立ち返り、加えて近年の画像診断法の粋をも取り入れた、類を見ない試みである。
エキスパートがどのような点に着目して診療をしているかがわかり、それが画像、病理所見とどのようにリンクしているのか非常に勉強になりました。アルツハイマー病や前頭側頭型認知症など比較的 commonな疾患が大部分でしたが、diffuse neurofibrillary tangle with calcification (DNTC) や limbic neurofibrillary tangle dementia (LNTD) といったマイナーな疾患は、本書で初めて詳しく知りました。近年、画像検査でわかることがどんどん多くなり、それとともに「わかった気になって」剖検を行わずに済ませることが多くなっていますが、剖検してみないとわからないことも多いというのが印象的でした。そして、剖検所見を活かすには、生前の詳細な観察が必要なのですね。
もう一冊、神経心理学コレクションから「痴呆の症候学 (田邉敬貴、医学書院)」も読み終えましたが、こちらは初学者向け。よく纏まっていると思いました。