おもしろ遺伝子の氏名と使命

By , 2013年5月8日 4:00 AM

おもしろ遺伝子の氏名と使命 (島田祥輔著、オーム社)」 を読み終えました。遺伝子には変な名前がついたものがあり、命名の由来を紹介した本です。勉強になることに、全て元文献が記されており、遺伝子の機能も概説してあります。

下記のリンク先に書評があります。私はこれを読んで購入を決めました。届いてから読み終えるまで、あっという間でした。お薦めの本です。

『おもしろ遺伝子の氏名と使命』 新刊超速レビュー

ちなみに、この本には載っていない遺伝子名のトリビアを一つ。

『回り回っても,一途に挑む事』

当時,日常的に細胞癌化アッセイ(Focus formation assay)を行っていたが,ある日たまたまアッセイ用細胞が余ったので,この遺伝子を導入してみた。2週間後驚いた事に,廃棄予定遺伝子が,繊維芽細胞の癌化を著しく促進した。自らの腕を疑ったわけではないが,実験が一番上手だった女子学生に,先入観を与えないために何の情報も教えず同じ実験を行ってもらった。彼女も,全く同じ結果を出した。この時は,廃棄ゴミの中から宝物を探し出した気分だった。その遺伝子は,脳,精巣,心臓で発現が高かったが,癌化促進機構は理解できなかった。しかしながら新規遺伝子であった事から,簡単なレポートを投稿する事にした。
新規遺伝子の場合,論文投稿前に,話しやすく,他人にも印象深い名前を登録する必要があった。そこで,当時この実験に従事していた大学院生Daisuke君とJunkoさん二人に敬意を込め二人の頭文字をとり「DJ-1」と名付けた。実は漫才コンビ名に触発されこの名前が思い浮かんだ。

この通り、パーキンソン病の原因遺伝子の一つ “DJ-1” は、Daisuke & Junkoの頭文字から命名されました。

DJ-1が初めて報告された論文の筆頭著者は Daisuke Nagakubo氏。ところが論文では著者名、本文中、どこにも Junkoさんの名前は出て来ません。Junkoさん、遺伝子に名前を貸してあげたのに表に名前が出ないのが、ちょっと可哀想・・・ 。いや、むしろ遺伝子に名前が残ったから、これで良いとすべきか?

Post to Twitter


Panorama Theme by Themocracy