Glucocorticoid-Induced Bone Disease
2013年7月28日のブログで、ステロイドと骨粗鬆症について書きました。それに関連して、少し古いですが 2011年の New England Journal of Medicine 誌に面白い論文が掲載されているのを知りました。
Glucocorticoid-Induced Bone Disease
Robert S. Weinstein, M.D.
N Engl J Med 2011; 365:62-70July 7, 2011DOI: 10.1056/NEJMcp1012926
This article reviews the risks of osteoporosis and osteonecrosis associated with glucocorticoid use, which are present even in the absence of low bone mineral density, and discusses strategies to reduce the risk of fractures and the data to support the strategies.
この論文で面白いのは、ステロイド性骨粗鬆症でFRAXを用いることの問題点を指摘していることです。著者はその理由として、次の点を挙げます。
・ステロイドの累積投与量や治療期間を勘案しておらず、ステロイドによる骨折リスクを低く見積もる可能性がある。
・大腿骨頚部の骨密度が使用されているが、ステロイドによる骨粗鬆症では椎体骨折の方がリスクが高い。そして閉経後女性での骨粗鬆症に対して、アルゴリズムに通常の危険因子を含めるのはそぐわないかもしれない。
アメリカリウマチ学会のガイドラインでは FRAXを用いていますが、これは今後の課題となるのかもしれません。
また、この論文では各種骨粗鬆症予防薬や各種ガイドラインの一覧表がよくまとまっていました。
多くのガイドラインでは、ステロイド内服時はビタミン Dとカルシウムを摂取することを進めていますが、合剤があると楽ですね。デノスマブを使用していると「デノタス」という合剤を処方できるのですが、何故かデノスマブを使用していないと保険適応外。デノスマブを使っていなくても処方出来たら良いのにと思います (ちなみに、ビタミンD+カルシウムの合剤は、OTCでは「カルシチュウ」という名前で販売されており、薬局で普通に購入できます)。