指輪の外し方
手術などで指輪を外さなければならないのに外れない・・・そういうときに役立つサイトを知り合いに Facebookで教えて頂きました。
指輪の外し方教えます
特に外科系の医師やナースにとって、参考になると思います。
ちなみに、某先輩の結婚指輪は、女性との飲み会になると勝手に外れます (^^;
手術などで指輪を外さなければならないのに外れない・・・そういうときに役立つサイトを知り合いに Facebookで教えて頂きました。
指輪の外し方教えます
特に外科系の医師やナースにとって、参考になると思います。
ちなみに、某先輩の結婚指輪は、女性との飲み会になると勝手に外れます (^^;
日本から帰国したドイツ人がデング熱を発症したとニュースになっていました。
ドイツ人女性がデング熱に、日本旅行中に感染の可能性も
TBS系(JNN) 1月10日(金)21時9分配信
60年ぶりに、国内でデング熱ウィルスに感染した可能性です。
熱帯を中心に流行し40度を超える熱などを引き起こす「デング熱」に、日本を旅行で訪れていたドイツ人の女性(51)が感染していたことが分かりました。
女性は、去年8月に山梨県内で蚊に数回刺されたと話していて、厚労省は海外から持ち込まれた「デング熱」のウイルスを日本の蚊が媒介し、感染を引き起こした可能性もあるとしています。
「デング熱」の国内感染は60年以上報告されていません。(10日19:59)
丁度 2013年の Lancet Neurologyに “Neurological complication of dengue virus infection” という総説を見つけて「おぉっ」と思いました。これだけ世界が近くなっている時代ですから、いつか診療する機会があるかもしれませんし、デング熱の神経合併症を勉強したことはなかったので、ざっと読んでみました。
Neurological complications of dengue virus infection
<Introduction>
蚊媒介の感染症で 2番目に多く、毎年 100万人くらいの症候性デングが発生する。重症デングでの死亡率は 0.2~5%である。
<Epidemiology, virus, and vectors>
ネッタイシマカ、ヒトスジシマカが主な媒介生物である。ほとんど熱帯および亜熱帯に特有である。最も発生率が高いのが、アジアと中央・南アメリカだが、アフリカでの報告が増加している。タイやカンボジアでは、小児の症候性デングは、小児 1000人当たり 20人にのぼる。
<Clinical findings>
ほとんどが無症候。症候性の感染は、従来、原因不明の発熱、デング熱、デング出血熱、デングショック症候群に分類されていた。
発熱、前頭および眼球後部の頭痛、筋・骨・関節痛、腹痛、吐き気、嘔吐が一般的な症状である。軽度の一過性の皮疹が見られ、半数の患者では 3~4日後に丘疹や猩紅熱様皮疹がみられる。
デング出血熱は 4つの基準の存在で定義される。①発熱、②出血、③血小板減少症 (10万/uL未満), ④血管透過性亢進による血漿漏出の証拠、である。
デングショック症候群はデング出血熱と同じ特徴に加えて、循環不全、低血圧、ショックを呈する。
しかし、数十年使われたこれらの分類は適応が難しく、重症例がスタディーから漏れることもあったため、2009年分類では「警戒徴候 (腹痛や腹部圧痛、持続する嘔吐・・・) のないもの」「警戒徴候のあるもの」「重症デング」に分類された。
<Neurological complications>
・Dengue encephalopathy
もっとも一般的な神経合併症である。 遷延するショック、低酸素、脳浮腫、代謝異常 (低Na血症など)、全身もしくは脳出血、急性肝不全、腎不全などの複数の要因によって起きうる意識障害を含む。髄液細胞数、蛋白は一般的に正常である。デング熱の数%にデング脳症を認める。症状は意識障害や痙攣である。髄液検査でウイルス特異的 IgM抗体やウイルス RNAは検出されない。予後はばらつきがあり、原因となった要因 (肝不全、電解質異常、ショックなど) による。支持療法が行われなければ、死亡率は高い。
・Encephalitis
髄液細胞数増多がみられ、髄液からウイルス抗体、ウイルスRNAが検出されるが、そうではない症例もあり得る。臨床的にデング脳症との鑑別は難しい。症状は、意識障害、頭痛、浮動性めまい、見当識障害、けいれん、行動異常など。重症例では四肢麻痺を来すこともある。予後は報告によりばらつきがある。
・Post-dengue immune-mediated syndromes
Post-dengue immune-mediated syndromeとして、急性横断性脊髄炎、急性散在性脳脊髄炎 (ADEM), Guillain-Barre症候群などが起こる。稀に、視神経脊髄炎 (NMO), Miller-Fisher症候群や、横隔神経麻痺、長胸神経障害、Bell麻痺、外転神経麻痺、動眼神経麻痺のような単ニューロパチーが報告されている。ポストデング症候群は通常数週間から数ヶ月で改善する。
①急性横断性脊髄炎
ウイルスの直接浸潤は傍感染期に起こるが、感染後脊髄炎は免疫介在性である。傍感染性脊髄炎は感染 1週間以内に起こるが、感染後免疫介在性脊髄炎は初発症状の 1~2週間後に起こる。デング脊髄炎では、ウイルス特異的 IgG抗体が髄液から検出される。MRIでは T2強調像高信号となる。下部頚髄~上部腰髄まで高信号を呈する症例もある。
②急性散在性脳脊髄炎
デング熱やデング出血熱の回復期に発症する。髄液蛋白の軽度上昇と、細胞数増多がみられる。頭部MRIでは、T2強調像高信号で、T1強調像ではガドリニウム造影効果を伴う。(論文に掲載されている写真では、両側レンズ核に対称性の異常信号が確認できる)
③Guillain-Barre症候群
デング発症 1週間後に、四肢の麻痺や腱反射消失がみられる。デングウイルス感染後の急性軸索性運動感覚障害も報告されている。髄液では蛋白細胞解離がみられる。Guillain-Barre症候群は、症状に乏しいデングウイルス感染でも報告されている。
・Cerebrovascular complications
デングの回復期での脳内出血が過去に報告されてきた。デング関連脳血管合併症の頻度はよくわかっていない (どうやら 1%以下で稀らしい) が、梗塞より出血性脳卒中の方が多いようだ。多くは、発熱の 1週間後の脳内出血である。急性脳内出血は、他の出血徴候を伴わないこともある。基底核の脳出血や脳葉の多発脳出血などが報告されている。より頻度の少ない脳内出血として、浮腫を伴った両側小脳出血や、閉塞性水頭症、橋出血、急性硬膜下血腫、多発急性硬膜下血腫、一過性血小板減少症を伴った限局性クモ膜下出血がある。脳梗塞としては、分水嶺梗塞、小皮質梗塞、放線冠と被殻梗塞による dysarthria clumsy-hand 症候群が報告されている。
・Dengue muscle dysfunction
血清学的にデング感染が確認された約 9割で CK上昇が見られたとする報告がある。臨床的には、CK上昇、筋痛、近位筋筋力低下などがみられる。重症例では横紋筋融解を呈したり、呼吸筋麻痺を起こして死因となったりする。従来は筋炎と言われたが、良性で自然治癒することから、最近ではデング関連一過性筋障害と言われる。熱帯地方では、小児の良性の急性ウイルス性筋炎の主な原因の一つとされ、”myalgia cruris epidemica” とも呼ばれる。CKは平均 837 IU/lだが、100000 IU/l以上になることもある。
筋電図では、early recruitmentがみられ、安静時活動電位を欠く (いわゆる non-necrotizing myopathyのパターンといえる)。最大干渉で、polyphasic MUPが観察されることがありうる。
筋生検では、軽度から中等度の血管周囲の単核球浸潤、筋壊死を伴った間質内出血、脂質の凝集がみられる。
多くの場合、1~2週間で自然に回復が始まる。まれに重症劇症筋炎やステロイド抵抗性筋炎が報告されている。鑑別は細菌性筋炎やレプトスピラ症である。
神経伝導検査が正常であることや、蛋白細胞解離がないことが、Guillain-Barre症候群との鑑別に役立つ。
・Neuro-ophthalmic complications
神経眼科的症状は、典型的には後眼部に起こる。後眼部に異常がない前部ぶどう膜炎はまれであり、進行性視力低下と関係している可能性がある。眼合併症は、デング黄斑症、網膜浮腫、網膜出血、視神経乳頭浮腫、視神経炎、硝子体炎を含む。これらはしばしば過小評価されている。眼合併症は通常回復期に発症し、デング入院患者の 10~40%程度にみられると推測される。多くの患者は特別な治療を要せず、約1~3ヶ月で視力が回復する。
<Pathogenesis of neurological features of dengue>
(略)
<Diagnosis>
多くの症状は非特異的なので、臨床的に疑うことが重要である。最初の数日は、ウイルスは血中にいるので、NS1抗原や RT-PCRやウイルス培養が推奨される。デングウイルス特異的 IgM抗体は、発症 3~10日間血清サンプルに存在する。IgM capture (MAC)-ELISAが最も広く用いられる血清学的検査である。抗体価は、他のフラビウイルス感染所うにより擬陽性を呈しうる。
流行国やそこを旅行してから 14日以内で発熱や神経症状を呈する患者では、デングの除外が必要である。可能であれば髄液検査を行い、髄液の異常やウイルス特異的抗体、NS1抗原、ウイルスRNAの検査がされるべきである。発熱性脳症の鑑別診断は、マラリア、結核、レプトスピラ症、リケッチア症、局所の疫学に応じたその他の細菌やウイルス感染 (日本脳炎、ウエストナイル熱、ヘルペスウイルス) である。
にもかかわらず、血清学的診断の感度は低い。ウイルス特異的 IgMの髄液における感度は 22~33%である。また、血清に比べて髄液での virus RT-PCRの感度は低い。また、デング脳炎の約半数で髄液が正常であったとする報告もある。したがって、髄液が正常でもデング脳炎は否定できない。
脳波で異常がみられることもあるが、特異性には乏しい。
<Management>
有効な抗ウイルス薬は存在しない。軽症例では、解熱剤や水分摂取が有用である。アセチルサリチル酸や他の NSAIDsは避けるべきである。出血性合併症に対しては、初期には保存的に対応すべきである。正確な輸液管理が必要であり、輸血や血小板輸血は重症出血例でのみ必要とされる。
重症デングで、血漿漏出の徴候がある場合、輸液過多にならないようにヘマトクリット値の緊密なモニタリングを行うとともに、急速輸液が必須である。輸液は、等張晶質液を用いるべきである。そして、深刻なショックや、初期の等張晶質液に反応がないショックに対して等張膠質液を用意するべきである。急性期のステロイド経口投与による、ショックや他の合併症の減少効果は示されていない。
症候性の痙攣は、肝毒性のない抗てんかん薬で治療するべきである。
デングの免疫介在性中枢神経障害に対してステロイドパルス療法を提唱する医師もいるが、脊髄炎や急性散在性脳脊髄炎で有効性を示した RCTは存在しない。ポストデング Guillain-Barre症候群に対する IVIgは有効である。筋障害に対しては、輸液や鎮痛剤が用いられる。コルチコステロイドの有効性は示されていない。
神経眼科的症状に対して確立した治療法はない。過去にステロイドは用いられてきたが、RCTは行われていない。前部ぶどう膜炎に対して局所ステロイドが用いられてきた。一方、ステロイドパルスやステロイド経口投与は、進展する網膜の血管炎に適応があるかもしれない。
デング予防に対する有効なワクチンはないが、現在いくつかのワクチン候補が開発中である。
当初想像していたより、多彩な神経症状が報告されていて、びっくりしました。筋障害も興味深い症状ですね。
深刻なショックに対しての記載で一点疑問。Surviving Sepsis Campaign 2012では、「重症の敗血症および敗血症性ショックの患者に HESを用いない (Against the use of hydroxyethyl starches for fluid resuscitation of severe sepsis and septic shock (grade 1B), 596ページ)」となっていますが、デングショックの重症例では晶質液も検討することになっています。敗血症性ショックとは別の扱いなんでしょうか?ショックに対する晶質液の使用については議論があるところで、この辺は集中治療医と相談しながらになりそうです。
「ウェクスラー家の選択 (アリス・ウェクスラー著, 武藤香織・額賀淑郎訳, 新潮社)」を読み終えました。アリス・ウェクスラーはハンチントン舞踏病の家系に生まれました。母親の疾患が進行した時に、初めてその事実を知りました。その時から、ウェクスラー家とハンチントン舞踏病の闘いが始まりました。父は患者家族や研究者らによる団体を作り、資金を集めるとともに研究を支援しました。また、妹のナンシー・ウェクスラーは、患者が密集するヴェネズエラの集落で DNAサンプルを集めるとともに、家系図を作成しました。最終的に、これらの努力は実を結び、遺伝子同定までこぎつけます。そして、高い精度で発症を予測できることが出来るようになりました。本書には家族の奮闘と、ハンチントン舞踏病研究の歴史が描かれています。検査法が開発された後、患者家系の中には、検査を受けた人も、受けなかった人もいます。発症リスクとどう向き合うか、検査を受けるか受けないかをどう決めるか、内面的な描写が素晴らしく、遺伝性疾患を診療する医療関係者は、読むべき本だと思いました。検査を受けるかどうかについては、著者自身の選択も示されています。
本書のあらすじを詳しくまとめたサイトがあるので、紹介しておきます。
アリス・ウェクスラー 『ウェクスラー家の選択 遺伝子診断と向き合った家族』 新潮社
後半は連鎖解析の話が大きなウエイトを占めますので、予めそれが何かくらいは知っておいた方が読みやすいと思います。知らない方には、Wikipediaの「遺伝的連鎖」の項などでの予習を御薦めします。
一点残念だったのは、科学用語の翻訳です。例えば、”Demyelinating, Atrophic and Dementing Disorders” は「末梢神経脱髄性・萎縮性・痴呆疾患」と訳されています (p231) が、単に “Demyelinating” だと、中枢の脱髄も、末梢の脱髄も両方ありえるし、”Demyelinating” 自体に「末梢神経」というニュアンスはありません。このように読んでいて引っかかる点がいくつかありました (翻訳者らは、科学者による校正を受けるべきだったと思います)。
以下、本筋に関係ないところで、2点ほど。
①以前紹介したハロルド・クローアンズの本で、ハンチントン舞踏病の患者に L-ドパを大量服薬させ発症リスクを推測したことが誇らしげに登場するのですが、本書で倫理的な問題が指摘されていました (p204)。「一時的な舞踏様症状を経験した人々はいつか苦しむかもしれないし、苦しまないかもしれない、といった症状の恐ろしい記憶を消せないまま、ただ時間の経過のなかに取り残されてしまうのだ。それに、実験的に投与された L-ドパそのものが病気の引き金になってしまうかどうかも、誰もわかっていなかった」のが理由のようです。
②「その先生は、ハンチントン病のリスクが、鎌状赤血球症、筋ジストロフィー、インスリン依存性糖尿病、そしてエイズのように、保険会社が無条件に医療保険での支払いを拒否できる病気の一つだということを知らなかったのだろうか? (p308)」という記載があり、アメリカの保険会社の闇の部分を見た気がしました。
福本伸行氏の漫画は、極限状態における人間の心理描写が巧みで、読んでいて引きこまれます。そして、あの角ばった顔、頻用される「ざわ・・・ざわ・・・」の文字は彼の漫画を特徴あるものにしており、見ると彼の漫画だとひと目でわかります。学生時代、付き合いで麻雀をする機会があったので、麻雀雑誌に掲載されていた「アカギ」「天」を読み始めたのが最初ですが、もう出会って 15年くらいになります。
福本氏を一躍有名にしたのは「カイジ」でしょうか (カイジ名言集まとめ)。映画化もされたようです。
さて、「カイジ」には鉄骨渡りという命を懸けたゲームが登場します。「鉄骨渡り」に対して考察した、建築家の方のブログが素晴らしいです。これを日本で作れるのは「○○建設のみ」と、施工した会社まで当ててしまうのは凄すぎます。「カイジ」を読んだことのある方は、下記のリンクを見てみてください。
カイジの鉄骨渡りに関する建築的考察1
あと、そのブログ主が、東京五輪でのオリンピックスタジアムについて解説されているのですが、こちらも素晴らしいです。併せて紹介しておきます。
新国立競技場の工事費が下がらない理由
ADA2014 糖尿病ガイドラインについて、2013年12月28日のブログで紹介しました。その際、私はガイドラインへのリンクを貼るだけでしたが、ADA2013に引き続き知り合いの南郷先生がサイトに内容を纏めてくださっていますので、紹介しておきます。
米国糖尿病学会ADAの糖尿病診療指針
Muscle & Nerve誌に、Hadassah Hebrew Universityから “Rare combination of myasthenia and ALS, responsive to MSC-NTF stem cell therapy” という論文が受理されており、すでにオンラインで公開されています。
内容をごく簡単に纏めると下記のようになります。
・重症筋無力症 (抗 AChR抗体陽性, PSL 10 mg + pyridostigmine 60 mg + azathioprine 125 mgにて治療) の既往のある 75歳の男性が筋萎縮性側索硬化症 (ALS) 及び前頭側頭型認知症 ( FTD) を発症した。
・autologous enahanced mesenchymal stem cells (MSC-NTF, Brainstorm®, Petach Tikva) を用いた ALSに対する Hadassah clinical trial (NCT01051882) の inclusion criteriaを満たさなかったが、倫理委員会の承認を経て、特別に MSC-NTF療法を行うことにした。MSC-NTFは髄腔内投与され、右上腕 24ヶ所に筋肉注射された。治療前後には、azathioprineは中止した。副作用は、微熱、頭痛、錯乱がみられたが、一過性であった。1ヶ月後には、認知機能、構音障害、筋力低下が改善し、車椅子生活だったのが独力で 20 m歩けるようになった。ALSFRS-Rは 36点から 44点に改善し呼吸機能の改善もみられた。
・6ヶ月後、筋力低下及び認知機能低下が進行したため、MSC-NTFの再治療が行われた。症状は治療 3日後には改善し、2ヶ月後には全神経機能は有意に改善していた。ALSFRS-Rは 30点から 43点に改善し, 重症筋無力症に対する QMG-scoreは19から 14点に改善した。下垂足も部分的に改善した。
・ALSと重症筋無力症の合併は稀である。本症例は、抗サイログロブリン抗体や抗核抗体も陽性であり、自己免疫が背景にあるといえる。また、髄液蛋白の軽度上昇もあったこと (糖尿病や過去の免疫グロブリン治療の影響を受けているのかもしれない ) や抗 AChR抗体の存在から、傍腫瘍症候群などの免疫介在性の要素の存在も考える必要がある (一応、悪性腫瘍の検索はしてあり、見つからなかった)。
・胚性幹細胞 (embryonic stem cell, ES細胞) と間葉系幹細胞 (mesenchymal stem cell; MSC) は、両者とも免疫調整作用、神経栄養/神経保護作用を持つが、ES細胞より MSCの方が悪性化しにくい。MSCはいくつかの小さなパイロット研究が行われており、ALSの神経安定化および進行性多発性硬化症の視神経再生、多系統萎縮症での有望な結果が示唆されている。
・神経疾患における幹細胞治療の臨床的な効果を維持するためには、反復した治療が必要なのかもしれない。
・早期に現れた効果は、神経再生よりも免疫介在性もしくは神経栄養性機序によるものと推測される。
ALSに対してここまで効果が見られたのであれば、期待したくなりますね。髄腔内投与や筋肉注射であれば、手技的には簡単に出来そうです。
この患者さんが自己免疫疾患を合併していたことで、色々と疑問が湧いてきます。ALSにおいて、免疫学的異常の背景があるかないかで治療効果が変わってきたりするのでしょうか。抗 VGKC抗体陽性の ALS患者さんを治療したことがありますが、そういう場合は、どうなのでしょう。また、ALSを起こす遺伝子異常はいくつも報告されますが、変異のある遺伝子によって効果の違いはあるのでしょうか。
論文を読むと、期待が高まるのですが、あくまで 1例報告です。Hadassah clinical trial (NCT01051882, A Phase I/II, Open Label Study to Evaluate Safety, Tolerability and Therapeutic Effects of Transplantation of Autologous Cultured Mesenchymal Bone Marrow Stromal Cells Secreting Neurotrophic Factors (MSC-NTF), in ALS Patients.) は、2013年3月に終了しており、結果の公開を首を長くして待ちたいです。
正月は、1月1日までがオンコール当番だったので、1月2日から帰省しました。以下、日記です。なかなか充実した正月休みでした。
羽田空港から空路で岡山空港へ。ボーイング 787は久しぶりでした。乗り心地良く、乗り込んだ後に、うとうとしていたら、いつの間にか空の上にいたのでびっくりしました。ただ、前回乗った時には座席前に液晶画面があったのですが、今回はありませんでした。席が 7番と、前の方だったからなのか、それとも別の理由なのかはよくわかりません。
機内では、隣の席の 3歳児がはしゃぎ回っていて、靴で膝を蹴られたので、「せめて靴を脱がせておいてくれよ」と思いました、でも、降りるときに母親が「○○ちゃん、ごめんなさい、は?」と指示して、愛くるしく周囲の座席に「ごめんなさい」してお辞儀をしているのを見て、なんだか和みました。
自宅に着いてからは、妹の夫が送ってくれた尾崎牛ですき焼きをして、私が取り寄せていた蟹をつまみました。用意した日本酒は、伯楽星大吟醸、伯楽星雄町、日高見、綿屋、丹澤山ひやおろし。飲みながらハーゲン弦楽四重奏団/メイエによるモーツァルトのクラリネット五重奏曲の DVDを見ていて、気がついたら寝ていました。メイエの夫は、バス・クラリネット奏者で、岡山県津山市にも来たことがあるらしいですね。
大山乗馬センターに行って、2鞍レッスンを受けました。乗馬は半年ぶりです。まずは、軽速歩からおさらい。踵が上がっていたので、そこを直されました。踵を下げると、重心を前にしたときに、それ以上体が突っ込まないメリットがあるようです。
次に、駈歩をしました。一番注意されたのは、肘が伸びること。肘が伸びているということは、体の重心が馬の後ろの方にあるということで、馬にブレーキがかかってしまうのです。次に注意されたのが、膝で馬をしっかり挟んで腰を使うこと。動きが小さく、遅くなっていってしまうのは、楽をしようとしているからで、そうすると馬は止まってしまいます。これらを意識するだけでも頭がパンクしそうなのに、「鞭」と声がかかると頭が空っぽになってしまい、結構パニックになりました。一度、右足で脚を入れながら、右手の鞭を打ったら、自分の足を打ってしまい、コントをやっているようでした。トレーナーの方は、「毎日通っている方だったら、1つずつ体に覚えて貰うのだけど、1年に1回だと沢山のことを同時に覚えてもらわないといけないのです」と仰っていました。まだまだ先は長そうです。
帰宅する時、近くのブックセンターに寄って「将棋世界」を探そうとしたら、車から降りた瞬間に、頭に鳥の糞をかけられました。ウンがあるとか言うし、縁起が良いのかしら?
夜は、蟹と鍋を堪能しましたが、疲れていたので、21時頃には眠ってしまいました。
以前帰省した時は、「結婚はまだか」としつこい親に激怒したのですが、その後「あなたがしつこく結婚の話をするから、あの子が家に寄りつかなくなるじゃない」と母親が父親に連日説教をしたらしく、今回は結婚の話題は出ませんでした。それはそれで寂しいものです。
医局の忘年会で当たった肉を自宅に送っていたのですが、これまで食べる暇がなかったので、朝からステーキにして食べました。
11時頃に、小中学で同級生だった馬券オヤジ氏が自宅に迎えに来て、京都に出かけました。途中から高速道路が渋滞していたので、吉川ICで降りて、一般道を使いました。京都に着いたのは、17時頃。ホテル「サンライン」付近の有料駐車場は、正月のみ終日 60分 500円 (上限なし) という信じられない価格設定で、少しでも安い駐車場を探して彷徨いました。
チェックインを済ませてから、予約していた虎杖に飲みに行きました。行きたかった店の多くが閉まっていた中、幸いここは空いていました。風情のある店で、料理も美味しかったですが、1合単位で頼める日本酒が「虎杖」という銘柄しかなく、この日本酒がイケてなかったのが残念でした。あと、鍋料理も、うどんとかおじやとか出来ればもっと良かったのですが。
食事を終えてから、JIVEという Beer barを見つけ、京都の地ビールやベルギービールを堪能しました。お互いの抱える結婚問題について 23時頃まで語り明かし、ホテルに戻りました。
午前 8時にホテルをチェックアウトして、京都競馬に出かけました。みんな暇なのか、G1の日くらい混んでいました。この日は、1レースから 11レースまで少しずつ馬券を買って、ほんの少しだけマイナスでした。
馬券オヤジ氏は病気の母親の世話があるとのことで、16時に京都駅で別れました。予約していた新幹線の時間まで暇がかなりあったので、京都駅内を散策しました。
まずは、「美術館えき Kyoto」の「茶の湯釜の特別展」。1月15日まで開催されています。釜だけじゃなくて、千利休が使っていた茶碗とかも展示されてました。昔読んだ茶道の本を思い出しながら鑑賞しました。様々な種類の釜を見て、茶の湯に使う釜というのは、形状において、かなり自由度が高いものだというのが勉強になりました。外に出ると、この美術館が入った建物が囲む階段は、綺麗にライトアップされていました (①, ②, ③)。
19時6分発の N700系のぞみに乗って、東京に戻りました。
明けましておめでとうございます。本年もよろしく御願い致します。
2013年のまとめと、恒例の新年の抱負など。
①学問
2013年は、神経内科医にそこそこ知られた医学雑誌と、基礎研究者に知られた科学雑誌に、それぞれ 1st authorとして論文が publishされました。すべて 2012年にやった仕事です。
2013年12月から千葉の病院に出張になり、通勤で空き時間が大量に発生しますので、研究はしないとしても、科学論文や医学書を出来るだけ沢山読んで知識を蓄えておきたいと考えています。
あとは、音楽家のジストニアに興味があるので、将来そういう勉強が出来るような環境作りを考えていきたいです。
②音楽
2013年は、ヴァイオリニストの成田達輝さん、ピアニストの萩原麻未さん、作曲家の酒井健治さんらとそれぞれ食事をする機会があり、とても刺激を受けました。
奇遇なことに、アマチュアの国際コンクールで入賞するくらいのピアニストを研修医として指導することになり、さらに合奏することになりました。まずは 1月に Beethovenのヴァイオリン・ソナタ第 1番、第 5番を練習します。Beethovenのヴァイオリン・ソナタを出来るだけ沢山ものにするのが、今年の目標です。
③結婚
2007年から、元日に毎年結婚の話題を書いているのですが、現実となりそうな雰囲気がありません。
実は、女性という生き物は、世の中に実在しないのではないか、蜃気楼のようなものなのではないかと感じ始めたこの頃。
良い出会いがありますように。抱負というより願望 (-_-;)
最近の Facebookの画面右側に出てくる広告、ほとんど嫌がらせです。こんなのばっかり orz
Panorama Theme by Themocracy