第15回ホテルオークラ音楽賞

By , 2014年2月27日 5:13 PM

2014年2月26日、「第15回ホテルオークラ音楽賞授賞式・受賞記念演奏会」に行って来ました。ホテルオークラ賞を受賞された成田達輝氏が招待してくださったためです。

第 15回ホテルオークラ音楽賞

2014年2月26日 (水) 18:00~ ホテルオークラ東京 本館 1階「曙の間」

成田達輝 (ヴァイオリン), テオ・フシュヌレ (ピアノ)

ショパン/サラサーテ:ノクターン第 2番

アルベニス/クライスラー:タンゴ

サン・サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ

三浦文彰 (ヴァイオリン), 小森谷裕子 (ピアノ)

ヴィエニアフスキ:華麗なるポロネーズ

チャイコフスキー:メロディ

チャイコフスキー:ワルツ・スケルツォ

成田達輝・三浦文彰 (ヴァイオリン), 小森谷裕子 (ピアノ)

ショスタコーヴィチ:5つの小品

その日は、仕事で打ちひしがれた気分になっていました。厳しい状態のなか治療を続けていた、ある患者さんの脳が不可逆な障害を受けていることが判明したからです。妹と同じくらいの年齢で、幼子がいて、何度も妹を診ているような気分にされた患者さんでした。

コンサートに行くか、コンサートをキャンセルして自宅に引きこもって布団に包まるか悩みましたが、ネガティブな感情が持続すると良くないので、そういう気分ではなかったけれどコンサート会場に向かいました。コンサート会場に向かう電車の中では、情緒がかなり不安定になっていて、これまでの治療経過を思い出し、涙ぐみそうになりました。

招待された私の席は前から 3列目中央で、近くにヴァイオリニストの藤原浜雄氏、徳永二男氏、チェリストの堤剛氏、指揮者の大友直人氏、それに成田達揮さんのお母様などがいました。

一曲目のショパンの冒頭は沁み入るような演奏で、心が洗われる思いがしました。二曲目のタンゴは、優しく癒してくれるような演奏でした。三曲目の序奏とロンド・カプリチオーソは成田さんの十八番。様々な表情を見せるこの曲に合わせて、自分の感情も揺れ動き、余計なことを考えることなく音楽に没頭できました。ふと左斜め前を見ると、藤原浜雄氏が演奏するように呼吸をしたり首を動かしたりしており、気が付くと私も同じようなことをしていました。演奏が終わった後、近くの席から「音が柔らかいわね~」という声が聞こえてきました。それぞれの曲を知らない方のために、Youtubeから曲の動画をリンクしておきます。

・Ruggiero RICCI @ CHOPIN/SARASATE Nocturne No.2 Op.9/2 – 1989

・Albeniz/Kreisler Tango – Daniel Bell, violin and Akemi Masuko, piano

・Camille Saint Saëns: Introduction and Rondo Capriccioso performed by Tanja Sonc

成田達輝さんの演奏に引き続いて、三浦文彰さんの演奏がありました。

演奏姿勢、ふとした表情の付け方に、ハイフェッツのような格好良さがありました。演奏した曲が丁度ハイフェッツが好んで演奏した曲だったから、余計に印象がかぶったのかもしれません。成田達輝さんとはスタイルが全然違っていて、柔の成田達輝さんに対し、剛の三浦文彰さんという印象を受けました。成田達輝さんとともに、テクニック的にも、音楽的にも完璧な演奏だったと思います。

その後、成田達輝さん、三浦文彰さんのデュオで、ショスタコーヴィチの「5つの小品」が演奏されました。息のぴったりあったデュオで、タイプの違う二人だからこそ、完璧に融け合いながら綺麗なコントラストがついていました。1楽章は楽譜を持っていて、遊びで合わせることはありましたが、ここまでこの曲が美しくなるのかと思いました。あまり知られてはいませんが、素晴らしい曲です。

・Five Pieces Shostakovich

演奏会を聴き終えて、来てよかったと思いました。不安定だった精神も落ち着きを取り戻し、音楽に救われるとはまさにこの事でした。

コンサートが終わってからは、懇親会場に行きました。押し出される形で最前列のテーブルへ・・・ (汗)。正装した、日本の音楽界を代表するような偉い人たちがいる中、ほぼ普段着の私が最前列・・・。ビデオカメラが回っているし、カメラマンが写真をたくさん撮っているし・・・。しかし、その居心地の悪さも、お酒が入るまででした (^^;

成田達輝さんが、「ショスタコーヴィチの最後の部分、テンポを上げたのは私のアイデアなんですよ~」と話しかけてきました。実は、演奏があまりに自然だったので、私はテンポを上げたのが意図的だったとは気付きませんでした。もともと楽譜にそう書いてあるのかと思ったくらいです。

会の途中で、成田達輝さんのお母様から、「いつもブログ見ています」とご挨拶されて、冷や汗をかきました。

それから、一緒にいた某神経病院の神経内科医が、三浦文彰さんと色々話していたのに加わり、いくつか話をしました。その神経内科医は、三浦文彰さんと知り合いだったようです。もう一人一緒にいた某集中治療医 H先生は、ピアニストのテオさんと英語で会話をしていました。テオさんはその日が誕生日だったそうです。

あと、ジャパン・アーツの方がいたので、私のプロモーションをしておきました・・・冗談です。会の終了間際は、ジャパン・アーツの方とずっと音楽談義をしていました。

最後に、御招待くださり、素晴らしい演奏を聴かせてくださった成田達輝さんに感謝したいと思います。音楽って本当に素晴らしいものですね。

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