「漱石の疼痛、カントの激痛 『頭痛・肩凝り・歯痛』列伝 (横田敏勝著、講談社現代新書) 」を読み終えました。
横田氏の著書については、「名画の医学」を以前ブログで紹介したことがあります 。非常に芸術に造詣の深い先生で、尊敬しております。本書は、「作家、画家、その作品」と、医師が日常診療する疼痛とを並べて扱っています。扱われた芸術作品をみると、著者の教養の広さがわかります。関節リウマチを「慢性関節リウマチ」と記述していたり、片頭痛治療でエルゴタミンを紹介していたり、少し古くなってしまった記述もありますが、一般人向けに書かれているにも関わらず、医師の眼から読んで唸らされることばかりです。オススメの一冊です。
神経内科医にとって「頭痛」は、初診患者での主訴として最も多い疾患の一つです。本書では、頭痛に関連した項で、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、クモ膜下出血による頭痛 (源頼朝)、高血圧性頭痛、二日酔いよる頭痛 (源実朝) などが扱われています。例えば、芥川龍之介の「歯車」という小説で、芥川自身の片頭痛体験が記されていることは本書で初めて知りました。小説中では閃輝暗点が詳細に描かれています。ちなみに、文学作品の中で「肩が凝る」という言葉を初めて使ったのは夏目漱石だったそうです。「門」という小説に登場します。欧米では「肩こり」という語はないそうで、彼らは「首の凝り」あるいは「僧帽筋の筋肉痛」と呼んでいます。
沢村伝之助 (三代目) という花形役者が閉塞性血栓性血管炎で下肢を切断することになったとき、手術したのはジェームズ・カーティス・ヘボン でした。手術はクロロホルム麻酔下で行われました。ヘボンの名は、ローマ字で「ヘボン式」というとピンときますね。ヘボンの弟子に、大村益次郎、高橋是清、林董、などがいます。彼は後年、明治学院で教鞭をとり、その間に島崎藤村を教えました。また、最初の和英・英和辞典 「和英語林集成」 を完成させています (上海で印刷)。ヘボンが「ヘボン式ローマ字」の開発など日本と西洋文化をつないだ人だとは知っていましたが、医師として業績は、本書で初めて知りました。
本書には疼痛に関するネタが満載なのですが、私の好きなミレーの「落穂拾い 」の絵が腰痛の項で扱われていますので、絵の背景に関する部分を最後に紹介しておきます。この背景を知っていれば、「落穂拾い」の絵がもっと楽しめるはずです。
ジャン・フランソワ・ミレーの名作「落穂拾い」は、旧約聖書の「ルツ記」をもとにしている。「ルツ記」は名もない民衆の一人の物語である。
-むかし、ベツレヘムの村にエリメルクという人がいた。妻ナオミとの間にキリオンとマロンという息子があった。エリメルクは裕福であったが、ベツレヘム一帯が飢饉に襲われ、すっかり財産をなくしてしまう。従兄弟ボアズの助けをかりることもできたが、新しい土地に移って心機一転やり直そうと決意し、死海のさきのモアブに移住した。
エリメルクは新しい土地で懸命に働き、間もなく多少の資産ができた。しかし、過労がたたって、病に倒れ、死んでしまう。残されたナオミは、幼い二人の子を抱えながら、よく働いた。やがて成長した息子たちは、母親をよく助け、近くに住むモアブ人から嫁を迎えた。こうして、ナオミと息子たちの家族は、モアブの地に根を下ろすことができた。
ところが、息子たちは二人とも病弱で、相次いで死んでしまう。気落ちしたナオミは、故郷のベツレヘムに帰りたいと思った。息子の嫁たちには、ベツレヘムに行くのか、残るのか、自分の好きなように選ばせた。キリオンの嫁のオルパは残ることにし、マロンの嫁のルツは、ひとりぼっちになったナオミを見捨てることはできないと言い、一緒にベツレヘムへと旅立った。
苦しい旅の末にベツレヘムにたどりついた二人には、一切れのパンを買うお金も残されていなかった。ルツは、何とかして年老いた姑においしいパンを食べさせたいと思う。ちょうど麦刈りの時期だったので、畑に出て落穂を拾い、それを粉にして、パンを焼くことにした。イスラエルでは、収穫が済んだあとの畑で落穂を拾うことが、貧しい人たちの権利として認められていたのである。これはモーゼが定めた掟の一つで、ルツは貧しい人たちにまじって、毎日毎日落穂を拾い、ナオミに食べさせた。やがてルツとナオミの噂がベツレヘムの人たちの間にひろがり、ナオミの亡き夫の従兄弟ボアズの耳にも届いた。
ボアズはルツの人柄に感心して、彼女の様子を見たいと思った。そこで、そしらぬふりをして、彼女がせっせと働く姿を見ていたが、昼になると、彼女を食事に誘った。ルツは食卓に出されたパンのほんの一部を食べ、残りを年老いた姑のために持ち帰った。
ボアズはルツとナオミを助けようと、麦の借り手たちに言いつけて、あまり念入りに収穫せず落穂をたくさん残すようにした。あくる日も落穂拾いにきたルツは、持って帰れないほどの落穂を拾うことができた。ナオミは「ボアズがルツに好意を抱いているな」と思って、大変喜んだ。「自分はそんなに長く行きられない。嫁のルツの身の振り方が気がかりだ。妻に死なれてやもめ暮らしをしているボアズがルツをめとってくれたらいいのだが。ボアズも幸せになれるだろうし、このけなげで優しいルツも、立派な主婦になって、幸せに暮らせるだろう」、こんな思いから「どうか私が死ぬ前に、この二人が幸せになれますように」と祈るのだった。やがてこの願いがかなえられ、ルツはボアズと結ばれて、子宝に恵まれた。ナオミは初孫を抱いてから、この世を去った-。
ミレーの「落穂拾い」は、貧しいながらも落穂を拾って、けなげに生きるルツのイメージを伝えている。貧しさと厳しい労働に耐えている姿が痛々しい。背景の豊かな収穫は、貧しさを一段と際だたせている。この絵に描かれた姿勢で長時間働いていると、筋筋膜痛症候群になり、筋肉が痛むようになるだろう。長年前かがみの姿勢で農作業に従事していると、立ち上がるときに腰が伸びにくくなり、歩くと腰の痛みがひどくなる。五十歳を過ぎた農村の女性の背骨は農作業をするのに適した前かがみの姿勢に固まってしまい、いつもこの姿勢で歩くようになる。この絵を見ていると、心が痛む。
2014年3月23日に炎症性腸疾患と ANCAについて書きました が、知り合いのリウマチ科医から、数多くの疾患で ANCAが陽性になることを記した論文を教えて頂きました。
これを見ると、陽性率はともかくとして、かなりの数の疾患で ANCA陽性になることがわかります。ここまで多くの疾患でとは知りませんでした。抗体だけで診断、というのが危険なことがわかります。
余談ですが、2014年2月26日から、保険診療において ”ANCA関連血管炎” の病名で MPO-ANCAが算定できるらしいです。これまでは “ANCA関連血管炎” なのに保険診療では ANCAが算定できないというおかしな状態でしたから、当然こうしてもらわないと困りますね。
好中球細胞質抗体 (ANCA) は、顕微鏡的多発血管炎 (MPA)、Wegener肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫性血管炎 (AGA) などで陽性となります。ANCAが陽性になる自己免疫疾患で、しばしば末梢神経障害などを引き起こすことから、我々神経内科医もよく検査を提出します。
最近、若年性脳梗塞の患者を診療したときに、ANCA関連血管炎が脳梗塞の原因になっていないか、ANCAを調べました。すると、PR3-ANCAが陽性でした。しかし、その患者にはクローン病の既往があったのです。
抗体陽性というだけで ANCA関連血管炎と短絡的に診断するわけにいかないので、炎症性腸疾患で ANCAが陽性になることがないか文献を調べると、結構たくさん報告されていました。パラパラ眺めてみると、潰瘍性大腸炎の約 50~70%, クローン病の 約 20~30%で ANCA陽性になるイメージです。別に脳梗塞の原因が見つかったこともあり、先ほどの患者さんの場合は、クローン病に伴う PR-3 ANCA上昇だったということになるのでしょうね。
ANCAが陽性になる鑑別に、炎症性腸疾患が頭から抜けていたので、よい勉強になりました。
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(参考)
・Diagnostic precision of anti-Saccharomyces cerevisiae antibodies and perinuclear antineutrophil cytoplasmic antibodies in inflammatory bowel disease.
Meta-analysisの結果、MPO-ANCAの潰瘍性大腸炎における感度/特異度は、55.3%, 88.5%だった。
・Presence of anti-proteinase 3 antineutrophil cytoplasmic antibodies (anti-PR3 ANCA) as serologic markers ininflammatory bowel disease.
PR-3 ANCAの潰瘍性大腸炎における 感度/特異度は、52.1%, 97.3%であった。クローン病より潰瘍性大腸炎の方が有意に陽性率が高い。
・The diagnostic accuracy of serologic markers in children with IBD: the West Virginia experience.
MPO-ANCAの感度/特異度は、潰瘍性大腸炎で 73/84%, クローン病で 16/35%だった。
・Antineutrophil cytoplasmic antibodies (ANCAs) in patients with inflammatory bowel disease show no correlation with proteinase 3, lactoferrin, myeloperoxidase, elastase, cathepsin G and lysozyme: a Singapore study.
ANCAの陽性率は、潰瘍性大腸炎 50%, クローン病 30%だった。
・Prospective evaluation of neutrophil autoantibodies in 500 consecutive patients with inflammatory bowel disease.
潰瘍性大腸炎の 66.3%, クローン病の 11.9%で MPO-ANCA陽性であった。
・Antineutrophil cytoplasm autoantibodies against bactericidal/permeability-increasing protein in inflammatory bowel disease.
潰瘍性大腸炎の 60%, クローン病の 28%, 細菌性腸炎の 23%で ANCA陽性だった。
・Inflammatory bowel disease serology in Asia and the West.
炎症性腸疾患における ANCAの陽性率には、人種差なさそう。
「クマムシ博士の「最強生物」学講座ー私が愛した生きものたち (堀川大樹著、新潮社) 」を読み終えました。著者はクマムシの研究者です。クマムシは乾眠という仮死状態をとることができ、マイナス273℃、プラス100℃、ヒトの致死量の 1000倍の放射線、水深 1万メートルの 75倍の圧力、真空などに耐えることが可能です。宇宙空間に 10日晒しても一部生存していた個体がいたそうです。このようなスーパー生物のクマムシですが、なかなか研究するための環境は大変で、著者は海外にポストを得て、有料メルマガ やクマムシをキャラクター化したグッズのオンライン販売 などで研究費を捻出しています。
本書には、クマムシの紹介、クマムシの探し方・飼い方の解説、他の「最強生物」について、研究全般について広く書かれています。下記の著者ブログで目次等が紹介されているので、興味のある方は御覧ください。
この本を読んで、生物の多様性を強く感じました。生物によっては、本当にさまざまな環境で生きられるんですね。それと、「博士生態学講座」の項に書かれた、「理系的『ジョジョの奇妙な英語学習法』」はとても面白かったです。好きな漫画の日本語版のセリフを暗記してから英語版を読んで、言い回しを学ぶというものですが、有名な「ジョジョの奇妙な冒険」のセリフを例にとるとこうなります。「ありのまま、起こったことを話すぜ→ I’ll just explain what happened!」
また、「オタクと変態はモテる」には、ハッとさせられました。私がモテないのは、変態であることを隠していたからなんですね。
結論からいうと、研究者、いや、オタクと変態はモテる。ただし、オタクや変態がモテるためにはひとつ気をつけなければならないことがある。彼らがモテるためには、自らの歪んだ性癖を隠さずに誇りをもってアピールする必要があるのだ。(略) 世の中にはマジョリティから逸れた尖った人間、つまり、変わった性癖を持つ人たちを好む男女が一定数いる。だから、このニッチを占める人々をターゲットにするのだ。 (p166~167)
「私は変態です (`・∀・´)エッヘン!!」、変態好きの女性募集中です!
Roche社が Elan社の子会社 Prothenaと契約し、PRX02の開発を進めることが、2014年3月10日のNature biotechnology誌の Newsで紹介されていました。その Newsでは、他にもいくつかの薬剤が紹介されています。
α-synuclein は、Parkinson病の多くやレヴィー小体病の原因と推測されているタンパク質です。α-synucleinが勝手に重合して蓄積することが、疾患にとって重要な役割を果たすと考えられています。PRX02は、α-synucleinの C末端に結合して、それを防ぐことが期待されるモノクローナル抗体です。この薬剤は、第一相臨床試験に向けて動き出しているようです。
また、AFFiRiS社も α-synucleinをターゲットとしたワクチン PD01Aを開発中です。作用機序としては、α-synucleinに似た小さなペプチドを用いることで、免疫応答を引き出すそうです。現在、第一相臨床試験が行われています。
ProteoTech社が開発する小分子 Synuclereは、α-synucleinの重合を防ぎ、また重合した α-synucleinを重合していない形にかえることで、α-synucleinを除去することを目的としています。開発が安価で、安全で、血液脳関門を通過しやすいというメリットのある薬剤のようです。
別の戦略として、Biogen社は、Amicus Therapeutics社と組んで、リソソーム酵素 glucocerebrosidaseの活性を高める小分子を開発することを発表しました。 glucocerebrosidaseの欠損は、脳内の α-synucleinの重合を引き起こすとされています。
パーキンソン病の根本的治療薬は現在のところないので、我々は患者さんの症状を緩和する薬剤を使うしか方法がないのですが、疾患の原因物質に作用して進行を遅らせることができるような薬剤が開発されれば、これほど喜ばしいことはないですね。治療薬の開発がうまくいくことを祈っています。
国立科学博物館の特別展「医は仁術」に行って来ました。酒井シヅ氏が監修に加わっていると聞いていたので、以前から楽しみにしていました。
入口付近は漢方関係の資料が多く、洋学の資料は少ないかと思って不安になりましたが、最初のブロックを過ぎるとその不安は杞憂だとわかりました。とにかく資料が膨大でした。
シーボルトの処方箋、華岡青洲の手術器具および手術記録、珈琲を日本に紹介した宇田川榕菴のミルとか医学史好き垂涎の資料が所狭しと展示されていました。その他、展示会場を埋め尽くしていたのが、膨大な数の江戸時代の医学書です。名前を聴いたことのある書物はほぼ全部ありました。解体新書の横には、ターヘル・アナトミアの該当するページを開いてあって、図が比較できるなどの気配りがありました。以前訪れた津山洋学資料館蔵 の展示品もいくつかありました。
あとは、徳川家康所用の薬壺とか、とにかくとにかく御薦めです。開催期間は 3月15日~6月15日です。
公式ガイドブックと、「酒は微酔 花は半開 (リンク先音が出ます)」のクリアファイルを購入して帰宅しました。
一口馬主になっていたレッドラヴィータが、待望の初勝利をあげました。強い内容でした。このくらいの距離が合っていることがわかったのは収穫でした。
ここ数年はほとんど競馬はしていなくて、自分が一口馬主になった馬のレースの馬券を少額買う程度ですが、今回は 万馬券を美味しく頂きました。なかなか孝行もののラヴィータちゃんです (*^_^*)
今後のレースも期待しています。
・2014年 3/15 中京5R 3歳未勝利 レッドラヴィータ
私はレッドラヴィータの他に、レッドキングダム、レッドメテオの一口馬主です。鳴かず飛ばずだったレッドキングダムは、障害レースのトレーニングを開始したそうです。デビュー戦で惨敗したレッドメテオは、ダート路線に変更になりました。障害、平地芝、平地ダート・・・三者三様でなかなか面白いです。
2013年3月9日に、Nature medicine誌にアルツハイマー病 (Alzheimer disease; AD)/軽度認知機能障害 (mild cognitive impairment; MCI) のバイオマーカーについての論文が掲載されました。採血で、数種類のリン脂質を測定すると、2~3年以内に AD/MCIを発症するか、90%の正確性でわかるというものです。
研究者らは、地域在住の、70歳以上、及び健常人525名の参加者を 5年間観察しました。対象には、MCI/AD 46名、Converters (途中で MCI/ADを発症) 28名、Normal control (NC) が含まれました。3年目の時点で、53名の MCI/ADを選びました。そのうち、18名は converterでした。また、諸条件を合わせて、53名の normal controlを選びました。これらの対象を対象として、非標的型メタボローム解析 (untargeted metabolomic analysis) を行いました。その結果、以下の 10種類の metaboliteを同定。
phosphatidylcholines (PCs): PC diacyl (aa) C36:6, PC aa C38:0, PC aa C38:6, PC aa 40:1, PC aa C40:2, PC aa C 40:6, PC acyl-alkyl (ae) C40:6
lysophophatidylcholine: lysoPC a C18:2
acylcarnitines (ACs): Propionyl AC (C3), C16:1-OH
更に別のグループ 40名で独立にメタボローム解析、リピドミクス解析を行い、再現性を確認しました。
さらにメタボローム解析のデータを用いて ROC曲線を作成し、感度 90%, 特異度 90%の結果を得ました。このように、脂質が関係してくる理由は、アルツハイマー病での脳細胞の細胞膜の障害によるものと推測されています (細胞膜にはリン脂質が豊富に含まれる)。
メタボローム解析や脂質代謝については素人なので、この研究を完全に理解することは出来ませんでしたが、もし採血で AD/MCIを発症するかどうかわかれば画期的なことです。しかし臨床応用するには、①本研究は、normal controlと AD/MCIを比較して、検出されるリン脂質量のパターンに違いがあることを見出しているが、他の脳疾患でアルツハイマー病と同様のパターンを取るかどうかが検討されていない、②SID-MRM-MS (stable isotope dilution-multiple reaction monitoring mass spectrometry) という特殊な質量分析を行っているが、臨床現場で用いるには技術やコストの面で難しそう、という点に課題を感じました。
この研究は、いくつかのマスコミでニュースになっています。論文が掲載されてすぐに報道されているので、ひょっとすると研究機関の広報部からマスコミに売り込みがあったのかもしれません。邪推ですが。
2014年3月3日、Movement disorders誌に、アルコール摂取とパーキンソン病のリスクについての meta-analysisが掲載されていました。
・アルコール摂取量とパーキンソン病の発症リスクは逆相関する。ワインやリカーより、特にビールので関連がある。
・アルコールは、中毒性の性質や血清尿酸値上昇により、パーキンソン病リスクに影響を与えるかもしれない。血清尿酸上昇は、パーキンソン病のリスク減少や、疾患の進行が緩徐であることと関連がある。
・アルコールによるパーキンソン病のリスク減少は、男性に見られたが、女性には見られなかった。
・アルコール摂取が 1 drink/day増加すると、パーキンソン病発症リスクが 5%低下する。
・喫煙やカフェインもパーキンソン病の防御因子として知られている。そして、アルコール摂取量が多い人は喫煙やカフェイン摂取も多いことが報告されている。しかし、これらの因子を補正しても、やはり、パーキンソン病リスクはアルコール摂取者で減少していた。
男性がアルコール、特にビールを飲むと、パーキンソン病リスクが減少するとの報告です。過去に、男性では尿酸値が高いとパーキンソン病リスクが低いとする報告があり、ビールは尿酸値を高めますので、ビール→尿酸値上昇→パーキンソン病リスク減少、という仮説が成り立っているかもしれません。
アルコールの飲み過ぎは体に悪いですし、ビールを摂取して尿酸値が上昇しすぎるのも良くないことですが、酒好きにとっては興味深い論文だなと思いました。