神経免疫セミナー in 千葉
2014年2月27日、神経免疫セミナーを聴きに行ってきました。
神経免疫セミナー in 千葉
平成26年2月27日 (木) 18:50~20:30 ホテル ザ・マンハッタン
SESSION 1 CIDPの多様性:患者さんから教えて頂いたこと
千葉大学大学院医学研究院 神経内科学 三澤園子先生
SESSION 2 ヒステリーの症候学と MMT
帝京大学医学部 神経内科学 教授 園生雅弘先生
SESSION 1は、EFNS/PNS criteriaに基づいた typical CIDP, atypical CIDP (MADSAMなど) の一般的な臨床経過 (発症様式、治療反応性、寛解率など) が主な内容でした。演者の方は講演に非常に慣れている感じで、聴きやすかったです。
SESSION 2は、神経内科医にとって非常に大事なヒステリーの話でした。園生先生の新患外来患者の 1割くらいがヒステリー患者とのことで、過去の報告ともほぼ似た数字のようです。症候学のスペシャリストの話で、非常に勉強になりました。ただ、時間の都合で MMTの話は今回なしでした。残念・・・。
ヒステリーの診断において重要なのは、陽性徴候を見つけること (除外診断ではない) というのが強調され、ヒステリーでは拮抗筋や遠隔筋に必要以上力を入れる、わかりやすい運動が麻痺しやすい、giving-away weakness (ただし GBS/CIDPでも出現しうる) を呈する、筋力低下の分布が錐体路性と逆という話などがありました。ヒステリーで侵されやすい筋、侵されにくい筋を判断するためには、きちんと MMTがとれないといけませんね。それだけに、時間的に MMTの講演がなかったのが残念でした。最も勉強になったのが、synergyを利用した診察でした。口笛や広頚筋徴候、大腿躯幹屈曲運動は Babinskiの原著の翻訳で読んだことがありました。しかし、器質的疾患では大殿筋の筋力が落ちにくいため、大腿躯幹屈曲運動が実際には使いにくいというのは知りませんでした。そして、お馴染みの Hoover’s test、さらに園生先生が発見された Sonoo abductor testについて説明がありました。Sonoo abductor testは最近出版された園生先生の総説で読んだときは良く理解できませんでしたが、講演で提示された動画が非常にわかりやすかったです。
もう一つ勉強になったのが、ヒステリーという用語についてです。語源的に女性の子宮に由来する語であり、ヒステリーは男性にも起こるので好ましくない用語であるとして、精神医学の DSM分類では別の用語が用いられています。しかし園生先生は、DSM分類での呼び名が版によって変わる問題点を指摘し、ヒステリーという呼び名を用いることは仕方がないのではないかとおっしゃっていました。私も同感です。コロコロ呼び名が変わる方が混乱の元ですよね。ヒステリーの語は歴史的にも長く使用されてきたものですし、今更変更する必要性も感じません。
懇親会では、園生先生と、もう一人の先生と三人でずっと語っていました。もう一人の先生が誰かわからなくて、帰りに別の人に聞いたら、「桑原先生ですよ」と。尊敬する、雲の上の存在だったのに、知らずにベラベラと “文学部唯野教授” のように喋っていました。ごめんなさい、ごめんなさい。この日は、桑原先生は園生先生の講演で座長をされていたのですが、初対面の人を覚えるのが苦手なのです・・・ (T_T)